活動方針

活動テーマ: 真に持続可能な社会を考える ~我々は次世代に何を遺すのか~

代表幹事

代表幹事
敷島製パン(株)
取締役社長
盛田 淳夫

1.岐路に差し掛かる世界 SDGs と第四次産業革命

 世界は岐路に差し掛かり、そこに立つ我々が次世代に何を遺すのか、課せられた責任は重大だ。過去3度の産業革命と約200年に亘る経済・社会システム進展の恩恵により、人類社会は総じて豊かさを享受してきた。一方で、今まで置き去りにしてきた格差拡大や環境問題をはじめとする問題が顕在化し、世界の持続可能性を脅かしている。また新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、人の移動の制限などを通じ、経済社会面で甚大な負の影響を及ぼすとともに、顕在化しつつあった社会の分断や人々の不安を浮き彫りにしている。
 課題解決に向けた世界の合意「SDGs」の理念、「誰一人取り残さない」を実現するためには、企業、地域、国家他各々の主体が独自に取り組む一方で、長期的視点を持ち、分野横断的な連携軸で経済・社会・環境の調和の上に立つ持続可能性を不断に追求せねばならない。過去、ビジネス化が困難だったからこそ課題山積し、悪化をたどる一方の現実に今こそ楔を打ち、将来の世代を含めて、全ての人々が利益を享受できる方向に舵を切らねばならない。
 世界経済フォーラム創設者のクラウス・シュワブは、第四次産業革命の先端技術が社会にはかり知れない恩恵をもたらし、いずれ今日の課題の多くを解決し得ると述べている。一方、その条件として、恩恵の公平な分配、技術が生み出す新たな問題への主体的な取り組み、技術の中心に人間を据えた推進を挙げ、「イノベーションとテクノロジーの中心に人間性と公益性を据えた未来」を実現すべきと主張している。この未来像は、日本政府の提唱する「Society 5.0」とも軌を一にする。我々にも次世代に明るい未来をつなぐ不退転の決意が必要である。

2.日本が抱える課題

 「一人当たりGDP」は先進国の中で劣位にあり、また「課題先進国」と自認し久しい。多方面に亘る格差問題、少子高齢化などの構造問題、財政危機、多様性の欠如など、中長期で取り組むべき課題は複雑に絡み合い大きな挑戦の域にある。我が国が新たな国家戦略として持続的な成長モデルを描くことができるのか、まずは一人当たりの生産性を磨き上げることがカギとなる。新型コロナウイルス感染拡大への対策の中で、働き方の見直しも進んでいる。この危機は真に生産性の高い企業に生まれ変わる機会でもある。
 一方で、経済的豊かさと幸福度は必ずしも相関するものではなくなり、消費行動・投資行動において「ココロ」の比重と社会問題への意識が高まる。「モノ」の保有に執着せず、共感や体験といった「コト」や「ココロ」を重視するデジタルネイティブ世代にも注目せねばならない。これらの世代にとって、SDGsやその先の未来に想定される課題はまさに自分事であり、各企業の行動に目を凝らし、その存在意義を見定めようとしている。将来世代に明るい未来を引き継ぐため、いかにコストを負担するかが問われている。

3.中部の課題と克服に向けて

(1)諸課題の解決に向けて

 昨年度は、「構想力と共創力の涵養」、「リアルな知と情報技術の融合」、「中部の若者の力を引き出す」を重要課題とし、講演会・交流会・提言・視察等の活動を展開した。今年度も継続検討することに加え、以下の課題を重点項目に掲げ活動を展開する。

〈重点課題〉として

① 企業の社会的価値向上に資するSDGsの理解促進、
 SDGsの理念を実際の企業経営に取り込むには、経営者自身の理解と強い後押しが欠かせない。SDGs経営委員会の活動などを通じ、理解促進の機会を提供していく。

② イノベーション創出に資するオープンな交流の機会の提供、
 多くの差し迫った社会課題の解決、当地区の持続的な経済成長に、イノベーションが不可 欠であることは論を俟たない。垣根を超えたオープンな交流の場づくりを幅広く提供していく。

③ ダイバーシティーの深化による包摂的な社会の実現、
 多様な人材の能力を最大限発揮できる機会を提供し、価値創造につなげていくには働く環境の整備に加え、社会全体の意識変革による包摂性の実現が課題となる。

④ 若者の新たな発想・価値観の取り込み、
 デジタルネイティブ世代をはじめとする価値観の異なる若手との交流事業の活性化を推進する。世代間のコミュニケーションギャップを埋めることは、若者の新たな発想を事業化するための道筋ともなりうる。

⑤ 深刻化する格差問題の真の理解に向けて、
 格差問題は世代間格差、教育格差、子供の貧困など様々な領域に波及している。極端な格差と貧困の固定化は、中間層の喪失による社会不安にもつながる。これらの格差問題への理解を深め、我々経済人の果たすべき役割について、様々な観点から検討したい。

(2)ビッグプロジェクトをチャンスと捉え

 東京オリンピック・パラリンピック、大阪・関西万博、愛知・名古屋2026アジア競技大会、リニア中央新幹線の開業等、国際イベントや国家的プロジェクトを契機とした大きな変化が当地をも巻き込む。この様な時にこそ、バックキャスティングで未来のあるべき姿を思い描き、今やるべきことは何かを考え実行することが求められる。自社の存在意義を見定め、どのような未来を構想し実現するのか、次世代に何を遺すのか、企業経営者である我々は問われている。この大変革期をまたと無いチャンスと捉えたい。

(3)中部経済同友会の更なる発展に向けて

 本会は平成29年度に会員1,000人を突破し活動実績や稼働率も高く活性化している。一方、10年後、20年後の本会の更なる発展に資する組織・機能強化等に着手する1年としたい。まず本会の中部地域の更なる発展への貢献の在り方について、広く、自由に議論・検討したい。また活動を支えるための機能強化として、具体的には、課題解決プロジェクト「サステナブルな中部経済同友会の実現」として、①広報・発信機能の強化、②ダイバーシティーや次世代育成の観点からの役職員登用、③本会主要事業の会員満足度に資する運営方法の見直し強化やタイムリーなテーマ設定、④会員満足度に資する事務効率化、事務局機能等間接部門の強化・育成、他を進める。

4.結び

 我が国では、「三方よし」、「経済と道徳の一致」、「論語と算盤」等、経済と倫理を両立・調和する価値観を脈々と受け継ぐ。ここには「SDGs」や「第四次産業革命」推進に必要な哲学が通底する。さらに、異質なものを取り込み、調和させ、新たなものを生み出す強みも持つ。
 今、世界そして日本は新型コロナウイルスの感染拡大、それによる経済社会活動への影響の長期化という危機に直面しており、足元では4月7日に我が国においても発令された緊急事態宣言への対応という課題もある。この苦境を乗り切るために、あらゆる主体が一丸となって適切な行動をとることが求められる。これを自社の在り方を見直す機会とするとともに、この難局からの立ち上がりに向けて、経営者の不安・課題解決に資する活動として「1000人の声プロジェクト」を活用した会員同士の情報の共有、産官学及び全国の経済同友会との連携に取り組んで参りたい。当地には歴史的にも大きな転換点では機敏に対応し我が国経済を牽引してきた実績がある。今後の新たな変革期においても我が国をリードする気概を持ち令和2年度活動にあたりたい。会員各位の積極的な参加をお願いしたい。

〈活動の進め方、定例活動について〉

(1)委員会

①「中部経済同友会の未来を考える委員会」を設置する。
 中部経済同友会の現状と課題を踏まえたうえで、会員及び地域経済界にとって必要とされるあるべき未来像を考え、組織改革・体制強化につなげていく。

②「ダイバーシティ&インクルージョン委員会」を新設する。
 国際交流委員会及び雇用の未来検討委員会それぞれの活動成果を継承すると共に、企業活動における「ダイバーシティ&インクルージョン」の重要性を鑑み、「担い手の多様性とイノベーション」の相関、「働き方の多様性と雇用の流動化」、「ダイバーシティ&インクルージョン」を実践すべき経営者の課題と役割を検討していく。

③「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進委員会」を新設する。
 令和元年度企画委員会が提言した課題、中でも「ものづくりと情報技術の融合」について、ベストプラクティスの実例研究と講演活動を継続する。

④ 上記の新設・統合委員会も含め13委員会体制とする。
 昨年度からの継続テーマを持つ委員会も含め、各委員会とも本年度中核テーマを意識しながら、調査・検討を進めるとともに、積極的な発信に努めるものとする。

(2)産業懇談会

 産業懇談会は異業種交流の場、会員相互の研鑽・交流の場として引き続き本会の活性化を支えて頂きたいが、令和2年度は産業懇談会設立40周年を契機として以下を取り組む。

① 令和2年度早々に、「世話人による座談会」を開催し、更なる魅力づくりと活性化に資する運営体制・組織強化施策等を検討頂く。

② 令和3年1月開催予定の新年合同懇談会(代表幹事講話)にあわせ、記念事業を開催する(企画内容は別途世話人打ち合わせ会で決定する)。

(3)地域懇談会

 三重地区地域懇談会、三遠南信地区地域懇談会は地域会員同士の研鑽・交流の場として引き続き活動頂き、本会活性化を支えて頂きたい。