活動方針

活動テーマ: 持続可能な社会を目指して
       ~カーボンニュートラル・DXを成長戦略に~

代表幹事

代表幹事
日本特殊陶業(株)
取締役会長
尾堂 真一

1.サステナビリティ・トランスフォーメーションへの転換

 いま世界は、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響や、第四次産業革命、気候変動、グローバルサプライチェーンの寸断など、地球規模で複雑に絡み合う課題を抱え、先行き不透明な、いわゆるVUCA(変動、不確実、複雑、曖昧)の時代を迎えている。そのなかで求められるのは、社会の持続可能性を重視した経営への転換、「サステナビリティ・トランスフォーメーション」である。
 資本主義社会において、経済活動を通して利潤を社会に還元し、経済成長に大きく貢献することが企業の存在価値であった。一方、近年のグローバル競争の激化や、企業規模の拡大を是としてきたが故、短期的利益の追求や、行き過ぎた株主至上主義に繋がり、利潤配分の偏重など、社会課題を残してしまった。企業は、地域や顧客、従業員などを通じ、社会全体の持続性に貢献してこそ、企業が持続的に収益を享受できる「社会の公器」であることを今一度思い起こすべきである。自社の存在意義(パーパス)を起点とした活動を考え抜き、実践することが新しい時代の企業経営であろう。ESGなど財務諸表と異なる視点を掛け合わせ、企業価値を評価する世界的潮流は、加速度的に高まることが予測され、早い段階で舵を切ることが必要である。
 国連が提唱し、多くの国々の行政、市民、企業が支持するSDGsは、2030年までに人類が達成すべき17の分野・169のターゲットを明示している。この高邁な「持続可能な開発目標」は、我が国が持続していくために克服しなければならない多くの課題と、当地・中部が抱える多くの課題をも包含している。
 日本では、2020年10月に菅前総理が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2030年度の温室効果ガス削減目標も発表した。さらに2021年11月COP26において、岸田総理はアジアでリーダーシップを取り、ゼロエミッション火力への先導的な事業展開や、脱炭素支援のための革新的な資金協力の枠組みを発表している。このエネルギー転換に対して、ものづくり中部が長年培った英知を以て、実現に向けた新たなムーブメントを興すべきである。

2.いまこそ、生き抜くための自己変革を

 これまで日本企業は、匠の技、勘、経験、現場力、品質管理能力といった日本人ならではの強みで戦ってきた。伝承、構築に時間を要するこれらの強みは、他国が一朝一夕に真似できないものであり、価値を失ったわけではない。日本人の強みと、デジタルの力を融合し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現すれば、さらに飛躍し、世界をリードできるチャンスがあるはずだ。人口減少の著しい日本が反転攻勢をかけるためには、これまでの延長線上ではない新たな発想で自己変革を行わねばならない。その担い手となるデジタル人材、ITブリッジ人材の育成が必須である。我々経営者も含めて全階層でリスキリングに取り組み、人的労働を高度化させていくことが急務だ。
 日本の企業がデジタル革命へ対応できなかったのは、硬直的な日本的経営や制度にも原因がある。世界中でグレート・リセットが叫ばれているが、日本も従来の経営手法に固執せず、雇用制度、人材育成や登用の在り方、社内風土を含めて、抜本的に組織を改革する、コーポレート・トランスフォーメーション(CX)が求められる。

3.2022年度の重点課題とその克服に向けて

 持続可能な社会の実現のために、次の課題を重点項目に掲げた活動を展開していく。特に新型コロナウイルスとの共存の中で、工夫しながら、講演会・交流会・提言・国内外視察などの活動を展開していく。

(課題1)カーボンニュートラルの理解促進およびアプローチ・方向性の検討

 カーボンニュートラル実現のため、各国の動向や規制、技術進化の状況や、スタートアップの動きを理解し、実現へのアプローチ、競争優位性モデル、先進事例を学ぶ場の提供を行う。さらに、ライフサイクルアセスメントを念頭におけば、企業間連携や、産官学金連携が必須であることは明白であり、これら連携の促進を行っていく。なお、当地は内燃機関車両や、ハイブリッド車に関連する企業が多く、競争力のある新しいクリーンエネルギーの検討機会も提供していきたい。

(課題2)DXを手段とした新たな価値創造の促進

 DXを手段とした新たな価値創造を推進するために重要なことは、(1)産官学金連携(2)トップの強い意志(3)デジタル人材の育成である。また、近年の課題は複雑であり、1社での課題解決は困難である。個々の企業や組織の壁を越え、解決すべき共通の課題を具体化し、連携の中で新たな価値を生み出すパートナーシップ育成の場を提供したい。

(課題3)経営面におけるD&Iの目的理解と実践にむけて

 昨年のテーマ「ダイバーシティの進化による包摂的な社会の実現」を継続発展させ、経営面におけるダイバーシティ&インクルージョンの目的である、労働力増加、イノベーション創出等の理解促進のため、先進事例、失敗事例を学ぶ場の提供を行う。
 特に世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数2021」では156か国中120位と、低迷を続ける日本の現状を理解し、知識だけではなく、経営者の実践促進の場を提供したい。

4.結び

 新型コロナウイルス感染症は、従来から燻っていた社会の分断を加速させ、様々な社会課題を露呈させた。いまこそ、企業や業種を超えた団結が必須であり、オールジャパンでこれらの解決に取り組む必要がある。
 中部経済同友会は、中部地方の経済発展を第一の活動の目的としているが、上述の通り、社会課題解決を置いて語ることはできない。アフターコロナにおける新しい経営理念を、活動を通して模索し、発展の一助となるよう、会員各位の積極的な参加を得て、具体的な活動を検討、実践して参りたい。

活動の進め方、定例活動について

(1)委員会

  1. 「カーボンニュートラル委員会」(特設委員会)を設置する。
    今年度活動方針における課題のうち、特に「カーボンニュートラル」に関し調査・検討のうえ活動成果のとりまとめを行う企画委員会を設置する。
    調査にあたっては、テーマに関する先進事例等の視察も実施する。
  2. 上記の新設・改称委員会も含め13委員会体制とする。昨年度からの継続テーマを持つ委員会も含め、各委員会とも本年度中核テーマを意識しながら調査・検討を進めるとともに、積極的な発信に務めるものとする。

(2)産業懇談会

 産業懇談会は異業種交流の場、会員相互の研鑽・交流の場として、引き続き本会の活性化を支えて頂きたい。

(3)地域懇談会

 三遠南信地区地域懇談会、三重地区地域懇談会とともに、地域会員同士の研鑽・交流の場として、更なる活性化を期待したい。