活動方針

テーマ:
「時代の大転換期 持続可能な社会を目指し、自ら起こすムーブメント ~ Culture & Innovation ~」

代表幹事

代表幹事
東朋テクノロジー(株)
取締役社長
富田 英之

1. 揺れ動く国際情勢

 『不確実性の時代』という著書が日本でベストセラーになったのは、1978年のことである。
それから39年が経過した今、我々はまさに不確実で混沌とした国際情勢の真っ只中にある。東西の冷戦が終結しアメリカによる一極体制での秩序のもと、グローバリゼーションは世界を平和と繁栄に導くかとの期待を抱かせた。しかし現実には同書の著者J・K・ガルブレイス氏が指摘したとおり、経済権力の集中は社会的・経済的格差の拡大を招いた。拡がる格差への反発や社会に蔓延した閉塞感は、民族間や宗教間の対立を生み地域紛争やテロの連鎖へも波及し、我々は先の見えない不確実な時代を迎えている。特に昨年来のアメリカの自国第一主義への変貌・イギリスのEU離脱・中華思想の台頭・北朝鮮暴発リスクの高まりなどにより国際情勢は揺れ動き、更に激しさを増している。

2. 転換期を迎える日本

 江戸末期の日本の人口は約3,300万人、本年は約1億2,700万人。実に150年間で4倍弱の大きな増加を経験してきた。しかし、日本の人口は2008年の約1億2,800万人をピークに減少過程に入ったといわれている。社会・経済の成長の原動力といわれる人口。日本は大きな転換期を迎えている。
 過去を振り返れば、我が国は江戸末期以来、明治維新・終戦という2つの大きな転換期を乗り越えてきた。欧米列強に対抗できる国づくりを目指した明治維新。黒船の来航という外圧により開国した日本は、東アジアにおいて帝国主義が存在感を増す中、「富国強兵」と「殖産興業」を旗印に掲げ、世界の列強に仲間入りを果たした。
 そして今から72年前、戦禍により荒廃した国土から再出発した日本。戦前の体制を一新し、「経済復興」と「貿易立国」に向かい、経済を中心に置いた国づくりに邁進してきた。自動車や電機産業に代表される「ものづくり」の分野で特に強みを発揮し、経済成長を成し遂げた。
 しかし、現在は経済にのみ注力できた時代とは異なり、変化する国際情勢に対応する安全保障や国際貢献まで含めた外交・国際政治に力を注ぐことへの転換を迫られている。
 また、経済の本質もIoT社会を迎え「ものの開発や生産」から「価値やコトの創出」へと大きく転換しつつあり、企業も事業内容や業態の転換を急がねばならない。
 さらに、社会保障費の増大により膨張してきた国・地方の債務残高は1,000兆円を超え、将来世代へ大きな禍根を残す可能性がある。

3. 我々は何をなすべきか

 第3の転換期ともいえる現在。我々は何を考え、何をなすべきだろうか?
 過去2度の転換期は黒船や終戦などの大きな外圧を起点とするが、今回は状況が異なっている。外部から迫られるのではなく、自らその転換を意識し、行動に移さねばならない。
 外圧による変革は国民規模での危機感やコンセンサスが得やすく、難局に向かって果敢に立ち向かう国民の一体感が醸成されやすかったともいえる。しかし、今回は自らが見たくない現実を直視し、問題を先送りにせず我々が向かう新たな道筋を見出さねばならない。

揺れ動く国際情勢の中、転換期を迎える日本 概要図

揺れ動く国際情勢の中 概要図

転換期を迎える日本 概要図

4. 持続可能な社会を目指し、自ら起こすムーブメント

 少子高齢化を伴う人口減少社会は、希望ある日本の将来像を描きにくくしている。将来ある若者が希望を持てるような、いわば「持続可能な社会」を目指すことは、如何なる時代においても大きなテーマであるが、特に今こそ喫緊の課題であろう。
 ついては、今年度の中部経済同友会の活動において「持続可能な社会」の構築を目指し、その道筋を検討していきたい。大変大きなテーマでもあり1年間という時間的な制約もある中、まずはこれまでの歩みを踏まえ、現在の状況を見つめ直し整理することに取り組むこととする。
 その整理の座標軸として、我が国や社会において 『変えずに受け継いでいくべきこと・失われつつあり取り戻していかねばならないこと』 と 『変えていかねばならないこと・撤廃や革新をしていかねばならないこと』の2つを設定したい。前者をカルチャー(Culture)と呼び、後者をイノベーション(Innovation)と呼ぶこととする。価値観が大きく変わる転換期であればこそ、自分たちの独自性や独創性を明確にして基盤をしっかり固めることが重要であり、変えずに受け継いでいくべきことを伝統文化に代表されるものとして大きな意味でカルチャーとした。また、イノベーションは技術革新のイメージが強いが、これも技術に限らず時代の転換に合わせて、是正や撤廃と革新(スクラップ&ビルド)を必要とすること全般を示すものとする。

現在の状況を見つめ直し整理する座標軸

カルチャー(Culture)

  • 変えずに受け継いでいくべきこと
  • 失われつつあり取り戻していかねばならないこと

イノベーション(Innovation)

  • 変えていかねばならないこと
  • 撤廃や革新をしていかねばならないこと

 物事には常に二面性がある。光と影の両面の要素がある。どちらが光で影かは時代の変遷によって移り変わる。受け継ぐべきものという視線で考えるか?はたまた変えるべきものという視線で考えるか?複眼での考察を通じて、新たな発見や気づきが生まれることを期待している。その考察にあたっては、実践的な活動を行っている方々との交流を旨としていきたい。また、中部経済同友会は約1,000名の会員を擁しており、このような活動を日々実践している会員も多く、本年度は会員交流の機会も更に増やしていく。
 事業活動や会員交流を通じ、ひとりひとりの心に芽生えた小さな想いが重なりあい、厳しい現実に向き合い明日を目指すムーブメントへとならんことを願うものである。

5. 検討の進め方、定例活動について

(1)カルチャー委員会、イノベーション委員会の新設

上記の中核テーマに関する検討を深めるため、平成2 9年度に「カルチャー委員会」 及び「イノベーション委員会」を新設する。両委員会においては、当テーマに関する調査を行うとともに、会員懇談会、幹事会 及び 幹事会主催講演会などの企画にも参画する。

(2)委員会

  1. 「人口と未来を考える委員会」の新設
    昨年度に重要テーマとして提起された人口減少問題に関し「人口と未来を考える委員会」を新設し、同テーマにつき継続して研究を行う。
  2. 「会員交流委員会」の新設
    会員懇談会や幹事会などの活動の機会において会員相互の交流をさらに深めるような企画・運営を行うための「会員交流委員会」を新設する。
  3. 上記新設委員会も含めて計17委員会体制となるが、各委員会においては昨年度以前からの継続テーマについて活発な活動を行うことに加えて、本年度の中核テーマを意識・連動した活動ができれば更に望ましい。

(3)産業懇談会

産業懇談会は、異業種交流の場として本会の活性化を支えていただいている。会員相互の研鑽・交流の場として、更なる活性化を期待したい。

(4)地域懇談会

地域会員同士の研鑽・交流の場としての、更なる活性化を期待したい。

(5)会員への意識調査

更なる会員交流の促進を目的として、メール等を活用した会員への意識調査や情報提供を行う。
中部地域の経営者がいま何を考え、どう行動しようとしているかを共有していく。