■ベネフィット・ワンの事業コンセプト
当社は人材派遣のパソナグループに属しており、社長の白石が社内ベンチャー制度で事業を立ち上げたことが源流である。ちなみに当社がパソナ社内ベンチャー第一号だ。
会費制で多数のユーザーに加入してもらい、そのスケールメリットを活かして良いモノをより安く提供する。そんなプラットフォームを目指した。2001年、事業拡大とともに商号をベネフィット・ワンに変更した。
事業コンセプトは「サービスの流通創造」。モノの流通といえば普通の概念だが、サービスの流通というとピンと来ないのではないか。サービスにはもともと流通が確立はされておらず、受益者が各サービス提供者を訪ねサービスを受けることが一般的。我々はこの概念を覆し、企業の福利厚生に繋がる様々なサービス(健康・旅行・グルメ・教育・自己啓発など)を一元化するプラットフォームを提供している。
ヘルスケア事業にも注力している。元々はメタボ診断など各健康保険組合様のお手伝いをしていたが、最近は事業主様と直接取り引きし、従業員ストレスチェックサービスや健康インセンティブポイントを提供している。「病気になった後のケア」よりも、「病気にならないためのケア」へと、ニーズが移りつつあると感じている
■福利厚生のトレンド
旧来の福利厚生のイメージは社宅・保養所といった施設投資型福利厚生であったが、現在は従業員へ投資する人材投資型福利厚生が主流だ。子育て・介護支援などワークライフバランス支援型、健康増進・病気からの復帰を目指すヘルスケア支援型、自己啓発や財産形成などライフプラン支援型と、主に3つのカテゴリーに分けられる。従業員からのニーズにとどまらず、国や企業の事情にも合致している。
採用難の時代、新入社員意識調査もチェックしておきたい。入社理由として給与や福利厚生を始めとする待遇面を重視する姿勢が上昇し、働き方もプライベート重視型がますます高まっている。経営者の皆様にとっては、いろいろ思うところもあるだろうが、人手不足感が増していく中で、「従業員を大切にしてくれる会社」というイメージの向上に結び付ける側面からも、自社の福利厚生の在り方の参考にしていただきたい。
■健康経営銘柄を目指してみませんか
東証と経産省の連携で、2015年から健康経営銘柄の認定がスタートした。健康経営を軽視すると、欠勤率の上昇やモチベーション・生産性の低下、あるいは健康保険料・疾病手当金の増加など、企業経営にとって不利な事象が続発する。逆に、健康経営に取り組む企業は生産性が向上するだけではなく、長期視点で企業価値向上が期待され、投資家にとっても魅力的だ。健康経営の認定の頂点が、上場企業のうち1業種につき1社しか認定されない「健康経営銘柄」で現在26社。それに次ぐのが大規模法人対象の「健康経営優良法人ホワイト500」と中小規模法人対象の「健康経営優良法人」だ。
当社は2018年に健康経営銘柄およびホワイト500に認定された。健康経営銘柄の認定を受けるには、まず経営者が社内外へ健康経営宣言を発信することが求められる。当社もトップ自らが健康的な生活を率先垂範し、トップダウン型で健康志向の打ち手を決断し素早く実行した。その結果ではなかろうか。
厚労省の調査では、健康経営銘柄に認定された企業では、長期欠勤・休職者が4割減少、メンタルヘルス休業者が3割減少、喫煙者は3割から2割へ減少、年間医療費/人が3万円減少したというデータもある。また、学生もこの銘柄に注目しており、求人への応募が増えているという報告もあるようだ。なお、健康経営認定要件として挙げられる各種施策は、当社グループが提供するサービスを使ってワンストップで提供できることも頭の片隅に入れて頂けると幸いである。
■地方創生にも一役かっています!
グループ従業員約1,000名のうち、実は約半数が愛媛県で働いている。07年に東京や大阪のコールセンターの一部を愛媛松山に移したのがはじまりだが、09年には現地自社センターの開設で体制が整い、コールセンター業務やルーティンの事務業務は基本的に松山で行うこととした。
さらに18年には高知県との県境にある愛媛県愛南町にもサテライトオフィスも開設。結果、本社部門では、より付加価値の高いコア業務のみに集中することを志向している。地方は職住近接で働きやすいが、若者が就きたい事務業務が圧倒的に少ない。当社は地方の雇用創出とともに、そんな働きやすい地方でテレワークなど更なる働き方改革にも取り組み始めた。