コラム1 【保健師からの健康だより】 No.154
株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里
『 セルフメディケーション税制が始まりました 』
新年あけましておめでとうございます。
今年は例年に比べると暖かい冬で例年より少し遅れはしたものの、インフルエンザやノロウイルスなどが猛威を振るっています。元気に過ごすためには、感染予防や自己の健康管理が欠かせません。
皆さまは「セルフメディケーション」という言葉をご存知でしょうか。聞いたことがある、という方も多いのではないかと思います。世界保健機構(WHO)ではこれを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義しています。
薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品(通称:市販薬)のことを、カウンター越し(Over(オーバー) the(ザ) Counter(カウンター))に購入できるというところから「OTC医薬品」と言います。その中には医師の処方がないと使えない医療用医薬品の成分うち、長期間使用されて有効性や安全性に問題がないと判断されたものを一般用に転換(Switch(スイッチ))して販売するようになったものがあります。これらは「スイッチOTC医薬品」と言われ、薬剤師のいるカウンターで他の一般用医薬品と同じように購入することができます。
そして今年2017年1月から2021年12月31日までを対象期間として「セルフメディケーション税制」が始まりました。これはスイッチOTC医薬品を購入した時に、一定の条件のもとで所得控除を受けられるようにした減税制度で、対象となる医薬品には対象商品であることを示すマークが記載されはじめています。 |
(セルフメディケーション税制対象商品に入るマーク) |
健康づくりなど健康障害の予防や健康の保持増進に関しては、バランスの良い食生活、適度な運動習慣、充分な睡眠・休養など生活習慣を整えることが第一です。ですが実際に体の不調を感じたときには専門家の診断や指示をうけることが良しとされ、自己判断は重大な健康障害を見落とす可能性もあるため積極的に勧められることはありません。このセルフメディケーション税制も、体調不良を自己判断で対処・放置することを奨励するものではありません。あくまでも「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」に対して、スイッチOTC医薬品を年間12,000円以上購入した時に、12,000円を超えた部分について所得控除をするというものです。その目的は、健康的な生活習慣を身に着けるとともに、日頃から自身の健康に関心を持って予防に取り組み、その中で軽度な体調不良であればスイッチOTC医薬品を購入して自分で対処できるようになってもらう、というところにあります。ですからその年に特定健康診査(いわゆるメタボ健診)、予防接種、定期健康診断(事業主健診)、健康診査、がん検診のいずれかを受けている人であることが、この制度を受けるための条件になります。また従来の医療費控除と併用することはできませんので、人によって使えるか否かやどちらを利用した方が節税になるかは変わってきます。
この制度は始まったばかりですし、正しく認知されるには少し時間が必要かもしれません。ですが、この制度を上手に利用することで自分自身の健康に関心を持ち、セルフメディケーションのスキルが上がり、なおかつ節税もできるとしたら、からだにもお財布にも優しい取り組みになりそうです。皆さまも今年から、セルフメディケーションに取り組んでみてはいかがでしょうか。
|