産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第167号 2016.4.28 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成28年4月度(第167号) 目次
【28年3月度 産業懇談会(火曜G)模様】 3月15日(火) 12時00分〜14時00分
【28年3月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】 3月16日(水) 12時00分〜14時00分
【28年4月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 4月6日(水) 12時00分〜14時00分
【28年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】 4月7日(木) 12時00分〜14時00分
【28年4月度 産業懇談会(火曜G・水曜第1G合同)模様】 4月12日(火) 12時00分〜14時00分
【名古屋いちばん物語】 No.84
【新会員自己紹介】
尾形 和哉氏

TMI総合法律事務所 パートナー弁護士 名古屋オフィス代表

廣 克也氏

住友商事株式会社 理事中部支社長

【5月度産業懇談会開催日程】
【6月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.145
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.90
コラム3 【苗字随想】 No.167
【28年3月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 四日市を巡る 』

日  時:平成28年3月15日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:25名

スピーカー:
種橋 潤治(たねはし じゅんじ)
(株)三重銀行
取締役会長

種橋 潤治氏

 私は四日市生まれの四日市育ちであり大学生まで当地に住んでいた。その後住友銀行に就職して東京に長く居を移したが、8年前にまた故郷に戻ってきた。
 現在四日市商工会議所の副会頭を務め、観光・まちづくりを担当しているので、本日はDVD動画やプロモーションビデオを交えながら四日市の魅力を宣伝したい。

■ 三重銀行
 三重銀行は昨年創立120周年を迎えた。前身は明治28年創立の四日市銀行である。
当時、紡績・製紙・鉄工業で栄えていた四日市に、地元本店の銀行が欲しいという財界人の声によって誕生した経緯がある。昭和14年からは三重銀行に名称が変わり、当地の繊維産業や重化学工業(コンビナート)発展といった時代の流れとともに歩んできた。
「地域とともに、みなさまとともに」が当行のテーマであり、次の三つを経営理念として掲げている。
  ・地域とともに発展する銀行
  ・お客さまとともに栄える銀行
  ・株主・従業員とともに歩む銀行
お蔭様で店舗数も順調に増加し、現在は75店舗(三重県57、愛知県16、東京1、大阪1)を構えるまでになった。

■ 四日市風土紀
 古くはヤマトタケルノミコトが東征の帰途に四日市を通過した伝説が残っている。鎌倉から室町時代にかけて建立された寺が多いことから、本格的に街が発展したのはこのころだと思われる。平安時代になると都のある近江・京都方面との往来が盛んとなり、伊勢商人や近江商人が鈴鹿山脈を越えて活発に商いを行った。安土桃山時代には回船業が発達し、毎月4の付く日に市場が開かれ「四日市」の由来になったと言われている。江戸時代には幕府の直轄地となったが、これは本能寺の変で逃亡する家康を四日市の回船問屋が手助けしたからだという説と、単に陸海の交通要所であったからだとの説と2つある。
明治時代には近代化が進み工業の街として栄えた。戦争で市街地の35%が焼けてしまったが、港湾地区の大規模石油コンビナートの建設で大きく発展した。

■ 統計からみる四日市の現在
 人口31万人を抱える県下最大の都市であり名古屋まで電車で30分という利便性を誇る。
三重県は全国比で人口、面積、域内総生産など押し並べて「1.5%」ほどの規模であるが、製造品出荷額は3.5%(全国9位)と突出していて「ものづくり」の県である。
 四日市の産業構造も製造業が44.2%(全国平均20.9%)となっている。
更にその製造業の構成内容を見ると、コンビナートの石化関連が57.0%と突出(全国平均19.1%)しており、また半導体の電気機械も29.3%(全国平均12.9%)と大きい。50年前との時系列比較では、この電気機械が大きく伸長した代わりに繊維産業が衰退したことがわかる。農業では伊勢茶が有名だ。あまり知られていないが三重県はお茶の生産量が全国第3位となっている。四日市港は明治期は食料品、飼料、綿花の輸入港として繁栄したが、戦後は世界最大の羊毛輸入港となった時期がある。現在は原油・天然ガス等の資源の輸入港であり、石油コンビナートの工業港として繁栄している。

■ 「四日市においなよ!」
 四日市の観光と名物をご紹介するので、是非トライして頂きたい。

・夜景クルーズ ・御在所岳
写真1 写真2

新たなスタイルの観光として、工場の夜景鑑賞が注目を集めている。四日市は「全国七大工場夜景」の1つに数えられ、昼間の景色とは全く違った美しい夜景を楽しめる。

山頂に通じるロープウエイは壮大だ。山頂からは伊勢湾を一望でき、冬場はスキー場となる。

・四日市あすなろう鉄道 ・四日市とんてき
写真3 写真4

日本に3ヶ所しかない762mmのナローゲージの鉄道。ローカル線の雰囲気が満点。

分厚い豚肉をにんにくと一緒に濃い目のたれでからめ、キャベツの千切りをそえた料理。
是非ご賞味あれ!!


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【28年3月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 電力と歩む中部プラントサービス55年 』

日  時:平成28年3月16日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:23名

スピーカー:
深澤 元喜(ふかさわ もとき)
(株)中部プラントサービス
取締役社長

深澤 元喜氏

■ 自己紹介
 NHK大河ドラマ「真田丸」で舞台となっている長野県上田市が私の出身地で、千曲川が傍を流れる信州上田城のすぐ近くが実家である。清明小、第二中、上田高校と全て数分の徒歩通学でしかもどんどん家に近づいてきた。公共交通機関での通学の楽しみが味わえなかったのが残念である。ちなみに上田高校の校歌には徳川との戦の記憶が謳われており、常に真田の歴史を感じる環境で育ってきた。社会人になると中部電力に入社。ずっと火力発電に携わり6年前から当社に在籍している。

■ 中部プラントサービス
 当社は中部電力火力発電所のメンテナンスを行う会社として昭和36年に設立された。
本社は西高蔵駅の近くに構えているが、拠点の多くは中部電力の発電所内にある。また最近は石油化学系のお客さまの構内にも拠点を持つ。全体の従業員数は1730名であり、多くの社員は各事業所に勤務している。
 本店大江の人材開発センターには「危険疑似体験装置」が常設されており、次のような様々な危険を疑似体験できるユニークな教育の場となっている。
 (1)高所 (2)回転体 (3)感電 (4)玉掛 (5)重量物 (6)溶接作業 (7)火災・爆発 (8)グラインダ
 一般の方も体験できるようになっているので、ご興味があればお問い合わせ頂きたい。

■ 電気事業の歴史
 日本で最初に電灯(アーク灯)が灯ったのが1878年であり、その翌年にエジソンが白熱電球を発明した。1894年の直流送電から交流送電への転換にあたり、東京電燈がドイツから50ヘルツ、大阪電燈がアメリカから60ヘルツの規格を採用したことで、現在まで東日本と西日本の周波数の違いが引きずられている。
 1907年には全国で116の電気事業会社が存在しており、この頃の電力業界は自由競争時代であった。1920年代には「電力の鬼」松永安佐工門(東邦電力)が東京進出して電力戦争が始まった。この時代に力を持っていたのが、5大電気会社(東京、東邦、大同、宇治川、日本)である。1938年には「電力国家管理法」が成立し、1942年には国策会社の日本発送電と9配電会社体制となり、電力の経営権の全てを政府が握ることとなった。
 戦後GHQによる、電気事業再編成が議論されると松永安佐工門は「地域ごとの会社が自分の責任と努力で解決するところに電気事業発展の基礎がある。」と主張。GHQの後押しを得て1951年から9電力会社への分割民営化(9電力体制)が実現され、地域の電力は地域の電力会社が守るという体制となった。

■ 電力供給体制
 中部電力の場合、伊勢湾地区と浜岡に大電源があるが、2012年には日本海側の上越にも電源を確保している。この3ヶ所を三角形の頂点とするような電力設備系統を築いている。
 また「地域の電力は地域の電力会社が守る」大原則から、地域のみなさんへ安定した電気を安価に供給することに全力で取り組んできたが、1951年から65年間継続した9電力体制が全面自由化となる。
 電力の自由化であるが、今回の対象となる市場規模は7.5兆円、契約数8400万件に上る。
2月現在、契約切り替えの件数は、東京電力管内の18万件、関西電力管内の7万件に対し中部電力管内は3000件である。

■ 中部プラントサービスのトピックス
 当社は、三重県多気町に「多気バイオパワー」という木質バイオマス発電所を建設中で本年6月には運転開始を予定している。その目的には森林事業の活性化や社会貢献もある。自分達で建設し、自分達で運転していくことで、新たな技術も身に付けている。今後はバイオマス発電に関する技術提供もできる。機会があればぜひ見学にいらして頂ければと思う。また、タブレット端末を使用したIT資料の作成や、電動機の洗浄修理も低コストで実施しているので声をかけて下さい。


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【28年4月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 社長3代 109年 』

日  時:平成28年4月6日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:25名

スピーカー:
尾世 説紀(おせ のぶとし)
株式会社大本組 名古屋支店
支店長

尾世説紀氏

(本文中、敬称略)
1. 創業者 大本百松
 大本組は、明治40年に大本百松によって創業された建設事業会社である。創業以来、社長3代109年にわたり、建築・土木分野において社会の発展に貢献してきた。創業者の大本百松は、明治24年に生まれ、16歳の若さで大本組を創業した。もともと、大本家はつくり酒屋を営む一族であったが、百松の生家は農家で生計を立てていた。百松は天気まかせで安定しない農業ではなく、当時「灰買い」と呼ばれた、各家庭から出る灰を買い集め販売する商売を起業した。一旦この商売を廃業した後、水害に悩まされる地域に貢献するため、土木請負業を創業した。明治40年の創業である。
 着々と商売の手を拡げた百松であったが、20歳のときに病を患ったこともきっかけとなり、大借金をつくってしまう。百松の父親は、その借金を返済するため、家屋敷から田畑・家財道具にいたるまで全てきれいに売り払う事態となってしまった。
 手痛い失敗を経験した百松であったが、めげずに再起をはかる。広島県の尾道市・因島にある備後船渠における基礎工事の仕事を任せられ、見事成功させたのである。この仕事を契機として、大本組は順調に成長を遂げていく。順風満帆に見えたが、大正7年に富山県に端を発する米騒動の影響を受け、大本組が仕事を受注していた播磨造船所のオーナーである鈴木商店本社が焼き討ちを受ける事件が発生した。このときの百松の対応は果敢で、鈴木商店に義理をとおし、暴徒の説得に体を張ってあたり、鈴木商店の鈴木よね社長からの信任を厚くしたという。結果、多くの仕事を鈴木商店から請け負うこととなっていく。
 鈴木商店の中津川水力発電所の建設工事は、豪雪地帯ということもあり、大変な難工事となった。発電所の機器の運搬、取り付け作業を請け負ったのだが、雪で資材が運べないのだ。百松は、この難局にあたり、夫人の助言も受けて雪中ソリ輸送作戦を敢行し、大成功させる。ついに中津川発電所は完成し、大本組も大きな利益を出した。なお、百松はこの利益の一部を生まれ故郷の300戸全戸への電灯寄付に使い、故郷に錦を飾った。
 その後、創業者百松のもとで大本組は順調に発展し、昭和12年には株式会社大本組を設立。戦時中には軍需工場の建設などを手がけるも、岡山空襲の折に本社屋が消失してしまい、終戦とともに一旦解散をする。しかし、終戦後まもなく再出発し、新たなスタートを切ることとなる。

2. 戦後の発展
 戦後は、昭和21年の播磨造船所の仕事など、洋上の仕事も含め受注を獲得し、順調に社業は発展していった。電動浚渫船 大本丸をはじめ、海洋工事を手がける船舶を次々に保有し、工事能力を拡大した。昭和天皇が岡山へ行幸された際には、旧百松邸に宿泊されるほどの勢いであった。
 大本組は、中部地域の発展にも貢献している。伊勢湾台風がこの地域を襲った際には、決壊した木曽川・長良川などの堤防の復旧に大本組のディーゼル方浚渫船・大栄丸が大活躍した。長時間稼動し続ける浚渫船は当時少なく、大いに当地域の復興に貢献した。
 昭和36年に、創業者である大本百松が逝去した。創業以来、50年以上にわたり経営トップとして大本組を牽引した百松の葬儀には、大臣クラスをはじめ1万人以上が参列した。

3. 2代目社長 大本栄一
 創業者である百松の跡を継いだのが、婿養子として大本家入りした大本栄一である。栄一は、昭和36年の百松の逝去を受け、2代目社長に就任した。栄一は現場第一主義を貫く人で、社長在任中は執務時間の3分の2を現場に費やした。中部地域においても、長良川橋工事を日本道路公団より受注するなど、多くの河川工事を手がけている。栄一は、当時人気を博した力士になぞらえ「大本組は建設業界の千代の富士たれ」とよく言っていた。規模は小さくとも、品質の高い、良い仕事をしようという意味だ。社是としては「安全第一」「技術と信用」「誠実と努力」「経営の健全」を掲げ、不撓不屈・質実剛健の社風である。
 栄一は、幹部へ繰り返し次の2点を説いている。
  1. 経営とは、人材を育成することだ。
  2. 幹部は、現場へ常に足を運び続けること。百聞は一見に如かず。
 平成23年に現社長である大本万平へ社長職を譲ったが、現在も大変元気である。

4. 大本組の技術、今後の展望
 平成2年に発生した長崎の雲仙普賢岳における大規模火砕流・土石流事故においては、大本組の技術が大いに活躍した。事故に繋がる危険区域での作業をおこなうため、遠隔操作による無人工法が必要とされたのである。土砂の運搬などで、被災地の復旧に貢献することができた。また、昭和29年より導入しているニューマチックケーソン工法も遠隔操作の技術を活用した施工法だ。永田町の国会議事堂前での施工事例など、多くの実績を誇る。
 平成23年より、3代目社長の大本万平が大本組を率いている。東京本社の新ビルへの移転や、事業の選択と集中など、次の時代を生き抜くために新しい手を打ち出しているところだ。時代も移り変わり、大本組の事業領域も公共工事から民間工事へと大きくシフトしている。これからも多くの困難が待ち受けていることと思うが、創業の精神を振り返り、未来に向かって邁進していきたい。


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【28年4月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 歌舞伎はこんなに楽しい 』

日  時:平成28年4月7日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
参加者:30名

スピーカー:
おくだ 健太郎(おくだ けんたろう)
歌舞伎ソムリエ

おくだ 健太郎氏

■ 歌舞伎との出会い
 私と歌舞伎との出会いは、祖母との思い出にさかのぼる。地元名古屋で生まれ育った中学生・高校生のころ、よく祖母がテレビで歌舞伎を見ていたが、当時は内容が全くわからず、4〜5分見るのが限界といったところであった。大学進学を期に東京へうつった直後、祖母が亡くなった。理由はわからないが、訃報に接したときに脳裏に浮かんだ最初の思いは「もっと歌舞伎を一緒に見てあげれば良かった」というものだ。このあたりに、私の原点があるのかもしれない。
 東京は名古屋にくらべ、歌舞伎へのアクセス方法は多い。そこで、大学生のときに劇場へ見に行ったが、最初は内容が全くわからなかった。当時、すでにイヤホンガイドは存在していたようだが、一般的になっているとはいえず、歌舞伎は簡単に理解することは難しい芸能であった。

■ 米国で得たヒント
 大学在学中に渡米した。当時は、ジャズに大変興味があり、本場米国のジャズを堪能することができた。その中で、米国発祥のジャズが、世界各国でどのように受容され変化しているか、比較文化論的な見地で研究しているロサンゼルス・UCLAの助教授に出会った。彼からすれば、ジャズ好きの日本から来た若者は格好の研究対象で、お互いに大きな刺激を受けた。その助教授は、米国の芸術を心の底から愛し、自信をもち、自由な発想で論じていた。その姿勢を目の当たりにし、大変憧れるとともに、自らも同じような情熱を注ぐことのできる対象を見つけたいとの思いに強く駆られるようになった。

■ 歌舞伎とジャズの接点
 帰国後、再度歌舞伎を見る機会を得て、衝撃を受けた。歌舞伎では、芝居の最中に聴衆が拍手で割り込み、大向うの掛け声がされる。また、役者側もそれに呼応するかのように、劇を進行する場合もある。このように、役者と聴衆との境目がなく、劇場が一体となって芸術を成立させているのだ。これは、ジャズにも通ずるところがある。この点に気づいたことがきっかけで、歌舞伎に大いにのめり込むこととなった。現場での熱気や、役者と聴衆の間合い、空気感を含めた盛り上がりを体験することで、伝統芸能は格式を重んじて堅苦しい、という一般的な先入観は払拭された。
 この気づきの後、数多くの歌舞伎を見に行った。その中で、何とか大向うの掛け声に挑戦しようとしたが、当初は大変難しかった。ただ、その中で芝居がだんだん「自分ごと」となっていくことを感じた。ものごとの本質は、当事者になることではじめて見えてくる。他人ごとのままでは、決して本当の姿は見えない。何度も何度も観劇するうちに、芝居が徐々に自分ごととなった。

■ 歌舞伎の世界に飛び込む
 大学卒業後、アルバイトで歌舞伎の世界に飛び込んだ。はじめは、イヤホンガイド売り場の従業員からのスタートであった。下積みの後、イヤホンガイドの原稿を作成する仕事を行った。その時に、大向うの掛け声のタイミングが自分ごととなっていたことが、役に立った。自分ごとになっているがゆえに、芝居全体の流れが見え、適切なタイミングでガイドを入れることができる。自分が「つくる側」に立つことによって、はじめて見えてくる風景であった。
 東京で歌舞伎の仕事に携わっているが、いつかは地元名古屋でも、歌舞伎を通じて地域に貢献していきたいという想いがあった。歌舞伎を通じて集まる仲間が増えれば、名古屋はもっと元気になるのではないか。このような想いを抱き、地元・名古屋の発展に少しでも貢献していければと考えている。

歌舞伎の身振りを交えながらお話いただきました!
写真1

*歌舞伎ソムリエ おくだ健太郎氏HP http://okken.jp/  〜ぜひご覧ください!〜


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【28年4月度 産業懇談会(火曜G・水曜第1G合同)模様】

テーマ: 『 栄ミナミの街づくり 』

日  時:平成28年4月12日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
参加者:29名

スピーカー:
清水 洋一(しみず よういち)
栄ミナミ地域活性化協議会
事務局長

清水 洋一氏

■ イベント活動をとおして、歩いて楽しい街づくりへ
 「栄ミナミ」は、北は広小路、南は若宮大通、東は久屋大通、西は本町通の4つの道路に囲まれた活気のあるエリアである。ビジネス街もあり、ショッピングを楽しむこともでき、様々なグルメもあり、また歴史ある神社仏閣も有する、大変多様性をもつ街だ。この街の活性化のために、栄ミナミ地域活性化協議会は発足した。当協議会は、「コミュニティ実現タイプの街づくり」を目指しており、エンターテイメント性を強みとしながら、スピード感溢れる運営を行っている。テーマは「歩いて楽しい街づくり」で、具現化するために3つのアプローチを用いている。
 1つ目が「安心・安全な街づくり」だ。町内会や商店街を中心に、地域のコミュニティが警察・消防・行政と緊密に連携することにより、コミュニティはセキュリティという考え方を実践している。
 2つ目は「埋もれた歴史を掘り起こし、文化施設を活用する」ことだ。栄ミナミエリアには、歴史のある神社仏閣があり、美術・文化に関連の深い施設も多く存在する。歴史・文化のマップをつくり、PRしていくことが重要だ。
 3つ目は「ナディアパークや矢場公園を活かす」ことである。今年10年目を迎える恒例行事の「栄ミナミ音楽祭」をはじめとするイベントを開催することで、一年中楽しいイベントがある街づくりを目指している。

■ 栄ミナミ地域活性化協議会の活動について
 当協議会は、ミッドランドスクエアをはじめとする名古屋駅エリアの活況に刺激をうけ、栄ミナミで活動をされている経営者の方の呼びかけによりスタートした。様々な勉強を重ねる中で、やはり具体的な活動をはじめようということで、栄ミナミ音楽祭を社会実験的にVol.0としてスタートさせている。当初は様々な障壁があり、地域住民の方々の賛同を得にくいこともあったが、イベントを成功させ、交流を深めていくごとにまとまりができた。
 栄ミナミ音楽祭は、今年2016年に記念すべき10回目の開催となる、「街全体をひとつのライブステージ」とするコンセプトの音楽イベントである。今年も40会場以上で開催され、400組以上のアーティストが参加する。来場者数も含め年々増加をしている。エリアのラジオ全局とタイアップしたり、SNSなどを使用して広くアピールすることで、全国各地からアーティストや来場者が参加する盛り上がりを見せている。スポンサーも増えており、スポンサー自らライブイベントに参加するなど、アーティスト・来場者・スポンサーが全員で参加し、楽しみ、つくりあげるイベントとなっている。

■ イベントを核に、地域を活性化
 音楽祭以外にも、多くのイベントをスタートさせている。たとえば、昔行われていた盆踊り大会を2008年に40年振りに復活させた。誰もが気軽に自由に楽しめるイベントとして、多くの参加者を集めている。名古屋グルメ選手権(通称:NAGO-1グランプリ)は、地産池消をテーマに、名古屋グルメが一挙に楽しめるイベントだ。著名なレストランや料亭も出店してコンテスト形式で競いあうことにより活気が生まれ、「名古屋の飲食業は自分たちで盛り上げる」という気概を持つ出店者も多い。
 栄ミナミアイスリンク(通称:ナゴリン)は、矢場公園に特設のスケートリンクをつくり、夜のイルミネーションの中でもスケートが楽しめるようにしたイベントで、今は一流の選手となったスケーターが少年少女時代に参加したこともある。また2011年には、長らく中止となっていた歩行者天国を社会実験として復活させた。南大津通を歩行者天国にして、ファッションショーや移動販売車でのショッピング、街かどライブなどが楽しめる。行政・地元の企業・一般市民の方々のご協力のもと街の活性化を図り、元気を発信していきたい。

■ 10年の活動を振り返って
 協議会を立ち上げてから10年、イベントを軸に街づくりを進めてきた。これらの活動・イベントが街を創り、人を呼び、関わる人々の意識が変わってきた。「街が変われば、人も変わる」この良い流れを止めることのないよう、継続していきたい。


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【名古屋いちばん物語】 No.84


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第61回 』

料亭つたも主人
深田正雄(栄ミナミ地域活性化協議会)

「掃除と挨拶」から栄ミナミエリアマネジメントへ

 4月17日、栄ミナミエリアマネジメント社会実験 “日本初!地上の歩道部へのタッチパネル式デジタルサイネージの設置”がスタートしました。同日10:40より名古屋市河村たかし市長参加のもと、栄ミナミ地区において、セレモニーを開催。名古屋初となる都市再生特別措置法を活用したエリアマネジメントの導入をめざし、地元主体で開始までこぎつけることができました。(写真1・中日新聞紹介記事4月19日)

 栄ミナミエリアマネジメント社会実験協議会では、日本で初めて、地上の歩道部にタッチパネル式デジタルサイネージを7ヶ所に設置し、多言語対応の地図やイベント情報等、まちに関する最新情報を発信することで、訪れる方の快適性を高めます。
また、広告を掲出し、その収益で道路清掃等の公共還元事業を実施し、将来、公共空間で得られた収益で地域を活性化するエリアマネジメントの仕組みづくりを検討します。
同日は南大津通り歩行者天国、第22回目春姫道中もあり賑やかな栄ミナミとなりました。
(写真2・パネル・市長挨拶・春姫道中)

写真1
写真1:中日新聞 朝刊 2016年4月19日タッチパネル案内板 紹介記事
写真2
写真2:デジタルサイネージ 河村市長会見、パネル(南大津通り中電ビル前)、春姫道中

 今後、エリアマネジメント事業の本格実施をめざして、有料駐輪場事業、コミュニティサイクル事業などの社会実験の実施を予定しています。
20年前、矢場公園周辺の「掃除と挨拶」活動から、2007年栄ミナミ音楽祭をキッカケに「コミュニティはセキュリティ」の合言葉で安心安全な街づくり共同体がうまれ、栄ミナミ地域活性化協議会が中心となりイベント事業を継続、お互いが親しくなりつつ新しい組織づくりが活発に動き出しました。
他地域では例のない事業も多く、これからの姿と社会実験の流れを紹介してまいりましょう。
まず昨年末より話題となっているのが、プリンセス大通りアーチ広告(写真3)。

写真3
写真3:プリンセス大通りサントリー・アーチ広告

 「安定した収入を得て、まちづくりに投資できる仕組みができた。車が走る公道の真上に広告を掲げるのは全国的にも珍しい。」伊藤孝紀名古屋工業大学准教授談。サントリーさんの宣伝協賛が3本のアーチ改修費2600万円など商店街の財源に貢献しております。
そして今年の春、栄ミナミの若木の桜が注目されました。仲間たちが「栄ミナミ桜を育てる会」として三蔵通り、久屋大通から名駅地区まで2kmに約250本を植える構想。早咲きのオカメザクラ、オオカンサクラを各商店街と企業が協賛して名古屋市に寄贈、土木局が管理していく協力体制ができつつあります。(写真4・南伊勢町の桜並木)

 有料駐輪場事業は夏前までに、三蔵通りラシック南側歩道に機械式駐輪ラックを100台規模で設置、料金は100円ですが商店街での利用者には駐輪チケットをサービスしていただき相互の利便を図る計画です。コミュニティサイクル事業も社会実験として、実施段階となりました。現在用地確保を含め検討中ですが、100円/時、500円/日くらいでナディアパークや矢場公園周辺で今秋にはスタートする予定で進捗しています。

写真4
写真4:オウカン桜並木・南伊勢町通 ナディアパーク西 企業協賛

 そして、長期ビションマスタープランでは各ストリートのカラーシンボル、ターゲット、個性を大切にしながら、栄ミナミビジョンのデザインコンセプトの同意ができてきました。
また、矢場公園リニューアルプロジェクトも仲間で話し合われています。こういった活動は名古屋市住宅都市局、緑政土木局、警察なども一体となって支援、都市づくりのモデルケースとして下記の栄ミナミエリアマネジメント法人化に向けて、具体的なタイムスケジュールが決定してまいりましたので、新展開に期待してください。

下図:各通りのイメージ統合   及び   街づくり活動を推進する組織の変遷

図1 図2

図3

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【新会員自己紹介】

尾形和哉氏
水曜第2グループ

尾形 和哉(おがた かずや)
TMI総合法律事務所
パートナー弁護士 名古屋オフィス代表

【TMI総合法律事務所】
〒460-0003 名古屋市中区錦1−11−11名古屋インターシティ3階 (伏見駅10番出口直結)
TEL:052-219-2626 FAX:052-219-2627
URL:http://www.tmi.gr.jp/

TMI総合法律事務所名古屋オフィスの尾形和哉と申します。
弊事務所は、東京を本拠地とする弁護士・外国弁護士数370名超、弁理士・外国弁理士60名超が所属する法律事務所です。
名古屋オフィスは、2012年4月に開設し、弁護士5名、弁理士3名が所属しております。
TMI総合法律事務所名古屋オフィスでは、東京オフィスで培った経験と大規模事務所ならではの豊富なリソースを生かしながら、中部エリアのクライアントの皆様に高品質で地域に密着したリーガルサービスを提供しております。
東京、名古屋の他にも、神戸、上海、北京、ヤンゴン、シンガポール、ホーチミン、ハノイ、プノンペン、シリコンバレーに拠点があり、渉外案件についても専門的・総合的なリーガルサービスを提供しています。

私は、愛知県にある大手自動車メーカーの法務部に3年間出向しておりましたので、その時に得た経験を生かしながら、現場の実状に応じた問題解決の提案や実行、問題発生の事前予防のためのコンプライアンスセミナー等の講師、労務問題への対応などを中心に活動しております。

産業懇談会の参加を通じて、少しでも中部エリアの経済の発展に寄与できるよう尽力したいと思っております。
ご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

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沖廣克也氏
水曜第2グループ

廣 克也(おきひろ かつや)
住友商事株式会社
理事中部支社長

【住友商事株式会社】
〒461-8729 名古屋市東区東桜1-1-6
TEL:052-963-2010
URL:http://www.sumitomocorp.co.jp

住友商事株式会社中部支社の沖廣でございます。
このたび産業懇談会水曜第2グループに参加させて頂くことになりました。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

私は昨年4月に名古屋に着任し、当地での単身生活も早いもので1年が過ぎました。
名古屋に住むのは今回が初めてですが、この間、数多くの方々との出会いや様々な機会を通じて、名古屋を含む中部圏の奥の深さ、多様性、成長性、バイタリティ、生活のし易さ等を肌で感じ、すっかりこの地域のファンになってしまいました。

私事になりますが、入社以来、東京以外では、インドネシア(ジャカルタ)、フィリピン(マニラ)、インド(デリー)の3カ国で仕事をして参りました。
名古屋は、レベルは異なるものの、発展途上のこれら国々のエネルギー、ポテンシャルに通じるものを感じさせてくれる都市だと思っています。

産業懇談会への参加を通し、自らの見識を広めつつ、様々な業種、業界の皆様と幅広く交流させて頂けることを大変楽しみにしております。
何卒宜しくお願い申し上げます。

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【5月度産業懇談会開催日程】
名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

5月10日(火)
12:00〜14:00

(株)料亭蔦茂 取締役社長 深田正雄氏のご紹介
川地建築設計室 川地正数氏
「名古屋城天守木造復元、そして木造都市へ…」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
飯田芳宏
落合 肇

5月24日(火)
12:00〜14:00
宝和工業(株) 取締役会長 落合 肇氏のご紹介
日本ベンチャーキャピタル(株)
取締役社長 奥原主一氏
「名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャーファンドについて」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

5月11日(水)
12:00〜14:00

(株)名古屋観光ホテル
取締役社長 森本 審氏
「開業80周年と観光ホテル業の現況」
3階
桂の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

5月12日(木)
12:00〜17:00
(予定)

中部電力(株)
技術開発本部視察会
【定員】移動手段の都合上、定員を20名様(お申込順、但し、多数お申込の場合は木曜グループ所属会員優先)とさせていただき、定員に達し次第、申込を締切らせていただきます。
2階
曙(西)の間

<ご参考>
平成28年5月12日(木)木曜グループ
中部電力(株)技術開発本部見学会
中部電力(株)技術開発本部  住所:名古屋市緑区大高町字北関山20番地の1

12:00
12:00〜12:30
12:30〜13:30
13:30〜13:40
13:40〜13:50
13:50〜


13:50〜
14:15〜
14:40〜
15:05〜
15:30〜
16:00
16:00〜17:00
17:00(予定)
名古屋観光ホテル18階 伊吹の間へ集合
昼食
バスにて移動
ご挨拶、技術開発本部の説明
技術開発本部の案内DVD鑑賞
施設見学(5ヵ所)
・2班(1班10名程度)に分けてご案内致します。
・1ヵ所につき、25分程度(移動時間含む)
(1)全天候型環境実験棟(ヒーポンラボ)
(2)住宅用環境実験棟
(3)波浪水理実験棟(うぃんどプール)
(4)音響実験棟
(5)ソリューションラボ
見学会終了(予定)
バスにて移動
名古屋観光ホテル帰着・解散

【備 考】

  • スケジュールは天候等により、変更になる場合がございます。
  • ご参加の皆様には別途ご案内申し上げます。

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【6月度産業懇談会開催日程】
名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

6月14日(火)
12:00〜14:00

日油(株)
支店長 豊田建吾氏
「日油のご紹介 −バイオから宇宙まで−」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
飯田芳宏
落合 肇

6月15日(水)
12:00〜14:00
ニューライトサービス(株)
代表取締役 淺井博司氏
「『健康経営』持続的成長を図る為に
           トヨタグループへの提案事例」
2階
曙の間
水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

6月8日(水)
12:00〜14:00

ダイナパック(株)
取締役副社長 齊藤光次氏
「段ボールのイノベーション
           デジタル・オンデマンド印刷」
18階
伊吹の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

6月2日(木)
12:00〜14:00

つるた小児科・アレルギー科
医学博士 鶴田光敏氏
「アンチエイジング」
18階
伊吹の間

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.145
保健師からの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 稲垣 静香

『 ちょうどいい労働時間 』

 花屋に色とりどりのカーネーションが並ぶ季節になりました。今年の母の日は5月8日です。色によって花言葉が違うためピッタリな花言葉を添えて、感謝の気持ちを伝えるのもいいのではないかと思います。

 さて今年2月、厚生労働省は平成27年度「過重労働解消キャンペーン」の実施結果を公表しました。重点監督を実施した事業場の約半数にあたる2,311事業場で違法な残業を確認しています。過去の研究では、労働時間が長くなるとそれだけ脳・心血管障害のリスクが上昇するという結果が示されています。

 先日、心筋梗塞や脳卒中などの脳・心血管疾患を予防するためには、労働時間は短過ぎても長過ぎても良くないことが、米国テキサス大学の10年以上の研究で明らかになりました。それによると、ちょうどいい労働時間は週40〜45時間であり、週休2日であれば1日あたり8〜9時間との結果でした。
 労働時間が週30〜40時間であると労働時間が増えるごとに脳・心血管障害のリスクが上昇しましたが、週40〜45時間であるとリスクは下がり、46時間を超えるとリスクが再び上昇しました。また脳・心血管障害のリスクは、労働時間が週平均45時間のグループに比べると、週55時間のグループで16%上昇し、週60時間のグループで35%上昇しました。
 「ワーク・ライフ・バランス」の考え方が浸透するにつれ労働時間は減少する傾向にありますが、脳・心血管疾患予防の観点からするとただ単純に時間が短ければ良いというわけではなさそうです。何事もほどほどが大事だということですね。

 これから日照時間もだんだんと長くなり、活動しやすい季節になります。仕事を終えて早く帰ればその時間は、自己啓発や定期的な運動、家族や仲間と過ごすことができます。そうすれば自分の価値や健康を高めることができ、そのうえ大切な人との関係もより良いものになります。その結果、自分の人生をより豊かにすることができるのではないでしょうか。
 仕事・私生活・健康のバランスをうまくとって、いきいきと過ごしたいものですね。

ちょうどいい労働時間で人生を豊かに

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.90
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

厄除け詩集
井伏鱒二著・講談社文芸文庫

 この文庫は、「厄除け詩集」「訳詩」「雨滴調」「拾遺抄」の4部からなり、それに大岡信の解説と井伏の詳細な年譜・著書目録がついています。詩心のない私には、よくわからない詩も多くありましたが、漢詩を訳した「訳詩」は「なるほど」と味わいました。横書きで恐縮ですが、有名な2例をご紹介します。

春暁 孟浩然
 春眠不覚暁 ハルノネザメノウツツデ聞ケバ
 処処聞啼鳥 トリノナクネデ目ガサメマシタ
 夜来風雨声 ヨルノアラシニ雨マジリ
 花落知多少 散ツタ木ノ花イカホドバカリ

勧酒 于武陵
 勧君金屈巵 コノサカヅキヲ受ケテクレ
 満酌不須辞 ドウゾナミナミツガシテオクレ
 花発多風雨 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
 人生足別離 「サヨナラ」ダケガ人生ダ

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コラム3 【苗字随想】 No.167
コラム【苗字随想】

片桐清志

「地」と苗字

 「土」偏シリーズの今回は「地」と苗字の関係を取り上げてみる。
 「地」で始まる「地姓」にはあまりポピュラーな苗字は思い浮かばないが、種類は意外と多く約70種見つかった。「地」も菊地や宮地のように「地」が下に付いた苗字も多く、両方合わせると150種を超えそうだ。
 一字姓の「地」さんは残念ながら見つからなかった。
 「地姓」のランキング(佐久間 英)では上位は地引の3048位ぐらいだ。ランキングでは「地」が下に付く苗字がむしろ上位を占める。トップは菊地で108位、続いて宮地(662位)、福地(916位)が1000番内に登場する。1000番以降にも山地(1393位)、加地(カチ・カジ:1718位)、横地(2357位)、引地(2651位)、野地(2663位)、下地(シモチ・シモジ:2881位)、上地(ウエチ・カミチ・ジョウチ他:3218位)、浜地(3457位)などが見つかった。
 「地姓」でユニークな苗字では地下(チカ・ジゲ他)、地蔵(ジゾウ)、地蔵堂(ジゾウドウ)、地頭(ジトウ)、地主(ジヌシ他)、地代(チダイ他)、地場(チバ)、地道(ジミチ)、地平(チヒラ・ジヒラ)、地曳(ジビキ・チビキ)などが見つかった。
 「地」が下に付く苗字でユニークなものでは天地(テンチ・アマチ)、大地(ダイチ・オオチ他)、高地(コウチ・オウチ他)、山地(サンチ・ヤマチ他)、沼地(ヌマチ)、畑地(ハタチ)、畦地(アゼチ・ウネチ他)、平地(ヒラチ)、土地(トチ)、敷地(シキチ)、角地(カドチ他)などこちらも賑やかだ。

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【平成28年4月号編集後記】

 4月恒例の全国経済同友会セミナーが岡山で14〜15日開催された。第29回となる岡山大会のテーマは「世界に輝く地域を創ろう〜桃太郎の郷(くに)から発進〜」で、過去最多となる1420名が参加した。中部経済同友会からも38名が参加した。前日こそ打ち水模様のお天気だったが、開催当日にはきれいに晴れ上がり、「晴の国おかやま」を標榜する言葉どおりの好天が参加者を歓迎してくれた。
 初日の基調講演では「エコノミスト」誌元編集長のビル・エモット氏から「『地域』から日はまた昇る」というテーマでお話を伺った。地域活性化のカギは近隣自治体の連携、企業との連携にあること、中央政府主導でなく地域の自主性が必要との認識を示唆された。
 その後開催された分科会では5つのテーマで行われ、第1分科会では富田代表幹事が座長を務め、「日本ものづくりの復権」について4人のパネリストを迎えて活発な議論が行われた。
 懇親会の後にはサーカスナイトが開催され、地元が生んだ「木下サーカス」による特別ステージが行われ多くの参加者が迫力ある演技に大きな拍手を送った。
 2日目には大原美術館理事長の大原謙一郎氏が「文化・芸術・人文学の力〜経済人の視点から考える〜」というテーマで、「文化」と地域の活力の関係を歴史や海外の事例を交えながら多岐にわたってお話戴いた。
 以上は例年と同様だが、今年の2日目は例年と異なった。1日目の行事がすべて終わった21時26分に熊本県益城町で震度7の地震が発生した。これを受けて2日目に小林代表幹事から義援金の呼びかけがあり、会場に義援金箱が用意された。東日本大震災に対して「IPPO IPPO NIPPON」を展開中の経済同友会らしい迅速な呼びかけだった。その後、16日になってマグニチュード7.3の阪神大地震並みの本震が追い打ちをかけ、被害が一気に拡大した。自然の猛威をまたしても見せつけられ、その後も大きな余震が続いている。しかも震源地が熊本県から大分県にかけて広範囲に及んでおり前例がないと専門家も驚きを隠せない状態だ。一刻も早く余震等がおさまるのを祈るばかりだ。

 26日(火)には中部経済同友会の総会が開催された。新美代表幹事から種村代表幹事へバトンが受け継がれた。新年度のテーマは「日本と中部の未来を考える」だ。少子高齢化、産業・経済、国際関係、日本の伝統と文化、資源・環境・災害の5つの重要問題を中長期的視点で考えてみようとの呼びかけだ。

 今月の「産懇宅配便」では3月の例会模様2件と4月の例会模様3件を紹介できた。新会員も2名ご紹介できた。例会では地元の紹介、自社の生い立ちの紹介、歌舞伎の魅力の紹介、街づくりの取り組みの紹介など多彩だ。いずれも地域と深く関わりを持った活動で歴史と文化の薫りが溢れるものばかりだ。

(片桐)