視察会当日は好天に恵まれ、日本ガイシ(株)小牧事業所においては大変温かくお迎えいただいた。最初に小牧事業所の鈴木利博 総務グループマネージャーに歓迎の挨拶と会社概要をご説明いただき、続いて市岡立美 電力技術研究所長より、電力技術研究所・碍子博物館の概要をご説明頂いた。
日本ガイシ(株)について
日本ガイシ(株)は、平成26年度に売上高3,787億円、営業利益616億円と過去最高水準となった。祖業である電力関連事業では、「がいし」の海外での販売が好調であったことに加え、新規事業として進めてきたNAS電池が海外(アブダビ・イタリア)での大型受注を獲得し、業績向上に寄与した。エレクトロニクス事業も、半導体製造装置用セラミックス等が好調で、来期は増収が見込める。セラミックス事業は、欧米や中国での好調な自動車販売の好影響を受け、自動車関連部品が伸長した。さらに、欧州や中国での排ガス規制の強化もあり、DPFやNOxセンサーの需要が大幅に増加し、こちらも好業績であった。
そもそも、祖業であり社名の由来ともなっている「がいし」は、電気を送ったりする際に電気が地面など外部へ流れてしまうことを防ぐ為の器具である。電力技術研究所では汚損時の特性や対雷特性、濃霧中での使用等、自然の中で使用されるがいしの特性を試験するための各種設備を配置している。
また、併設されている碍子博物館は、世界に日本ガイシ(株)社内の1つしか存在しない。当博物館では、過去から現在まで、様々な国・地域・用途で使用されるがいしを展示している。
引き続き、電力技術研究所並びに碍子博物館の見学を行った(主に中地敏之 電力研究所GMよりご説明)。
電力技術研究所・見学
最初に立会い試験場にて、高電圧試験の見学を行った。こちらでは、実際に電気を流していただき、試験の様子を見学することができた。電気を流した瞬間に、大音量とともに閃光が走り、その迫力には圧倒されるばかりであった。
続いて見学したUHV汚損ホールは、がいしの汚損時特性を評価する試験場である。がいしを自然界で起きうる汚損状態におき、一定の電圧をかけた後に霧で試験場内を湿潤させる試験を行う。
引き続き、交流・直流高電圧試験を行うUHV ACホールの見学を行った。海外製の試験設備を導入し、実使用に近い状態での乾燥時、注水時のがいし製品の耐電圧特性等を評価している。
これらの試験場においては、大自然の過酷な条件に人智を結集して立ち向かう姿勢が垣間見え、長年業界をリードするトップ企業であり続ける理由を知ることができた。
碍子博物館・見学
電力技術研究所に併設されている世界唯一の碍子博物館では、明治以前から現代に連なるがいしの系譜を見ることができた。
当博物館には世界21カ国、57社のメーカーの様々な材質・形状のがいしが集められている。これら多数の競合との間で切磋琢磨し、卓越した技術でトップメーカーの地位を築き上げた日本ガイシ(株)の先達技術者の方々の苦労が偲ばれる。また、博物館の入り口には、80トン以上の引張力に耐えうるという巨大な懸垂がいしが展示されている。
日本、世界の電力の安定供給に貢献してきた同社が、世界的なトップメーカーとして業界の歴史を具体的な形として残していく姿勢に、参加者一同深い感銘を受け、視察会は終了した。
碍子博物館見学中の様子
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UHV汚損ホール
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UHV ACホール |
集合写真 |