産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第154号 2015.3.31 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成27年3月度(第154号) 目次
【27年2月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 2月18日(水) 12時00分〜14時00分
【27年2月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】 2月25日(水) 12時00分〜14時00分
【27年3月度 産業懇談会(木曜G)模様】 3月5日(木) 10時00分〜15時00分
【27年3月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 3月11日(水) 12時00分〜14時00分
【名古屋いちばん物語】 No.70
【4月度産業懇談会開催日程】
【5月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.132
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.77
コラム3 【苗字随想】 No.154
【27年2月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 ドバイのアラブ人との付き合い方
            〜ホテル建設工事を通じて解った事〜 』

日  時:平成27年2月18日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:32名

スピーカー:
注連野 泰栄(しめの やすてる)
大成建設(株) 名古屋支店 副支店長

注連野泰栄氏

1. ジブチ・パレス・ケンピンスキーホテル建設プロジェクト
 2005年、当社はドバイにあるナキール社より、東アフリカのジブチ共和国において初の5スターホテルとなる、「ジブチ・パレス・ケンピンスキーホテル」の建設プロジェクトを請け負った。ジブチ共和国は、「地球上で最も暑い大地」と呼ばれ、人口は約50万人、面積は四国程度、宗教はイスラム教である。また、ケンピンスキーホテルは、スイスのジュネーブに本社を置き、高級ホテルを運営する世界的に有名な会社である。
 そして、私がそのプロジェクトの責任者に任命された。当社にとって初めてのお客様、また、初めて建設工事を行う国で、しかも「設計施工による建設」が条件と、非常に厳しいものであった。更に、最初の1年で低層の1期工事を、翌1年で高層の2期工事を完成させる契約内容だった。

2. プロジェクト完遂に必要な前提条件
 当プロジェクトでは、私が親しくさせていただいたナキール社のチェアマンと、その直属の部下の方の2名がキーマンであった。ある程度の権限を持つスタッフが他にいても、キーマンの2人が良しとしなければ、全てが進まなくなる。スタッフ間の力関係をしっかり把握していないと、ドバイでの仕事は難しい。直接仕事を行うのは、キーマンである2名の部下の方々であったが、先にキーマンとのパイプを作っておかないと、仕事はスムーズに進まないのである。
 さらに、大前提となるのは、「英語が堪能であること」だ。契約書には、「英語での会話が流暢であること」と書かれていた。よく、「言葉など、現地に行けば何とかなる」と言われる経営者の方がいらっしゃるが、英語が話せない方は、絶対にドバイで仕事をしようと思ってはいけない。英語が話せない仕事のプロより、英語を話せるセミプロの方が、立場は上である。

3. 国際契約について
 現地での契約には、国際契約の方式が取られる。設計施工の場合は、シルバーブックかイエローブックを選択しなければならない。シルバーブックは、フルターンキー方式であり、決定した費用金額内で、全てを処理しなければならない。監理者も付かないため、報告の義務が生じない。対して、イエローブックは、監理者が付くため、毎月査定を受けなければならない。その査定で、金額、工期、品質等全てのチェックを受けることになる。
 日本のゼネコンが海外物件でことごとく失敗するのは、シルバーブックを選択するためである。イエローブックを選択すると、英語で様々な交渉を行う必要があり、それを嫌がるからである。当プロジェクトは、イエローブックで契約し、追加工事の費用などを受け取ることができたため、最終決算は黒字にすることができた。

4. ミッションを達成するために
 本プロジェクトのミッションは、第1に設計施工であること、第2に800人収容可能なカンファレンスホールの建設、200人収容可能なゲストルームの建設、また、それらを1年以内に完成させることであった。なぜなら、1年後の2006年11月に「東南部アフリカ市場共同体(COMESA)」がジブチで開催されることが決まっており、どうしても間に合わせる必要があったためである。
 設計施工が条件であったため、ドバイで設計とモノの調達を行い、タイムリーに資材を運んで、現地では組立だけを実施した。携わったスタッフは全部で34名、そのうち日本人は7名であった。
 当社としては、設計の中でインテリアデザインを担当したいと考えていたが、ナキールから拒否された。後から考えると当然で、日本人ではアフリカンテイストが理解できないのである。ケープタウンに住むデザイナーがインテリアを担当し、その素晴らしい出来上がりを見て、「このデザインは日本人にはできない」と納得した。
 多くの現地の人たちが、まず間に合わないだろうと予想する中、我々は第1期工事を間に合わせ、現地の人たちを驚かせると共に、絶大なる信用を得ることができた。
 その後、追加費用の交渉期間に1年を要したが、交渉が認められた。その後2期工事に取りかかり、工期内にホテル建設プロジェクトを完遂することができた。

5. 同じアジアの人
 日本人が現地で一生懸命働いている姿を見て、現地の人々は「一緒に働きたい」という熱い気持ちを持ってくれる。日本人が、中東の人々を同じアジア人だと思っているかどうかは疑問であるが、彼らは、我々日本人を同じアジア人だと思い、尊敬の念を持ってくれている。彼らは、我々を見習いたいという気持ちが強く、日本食なども大好きで、大変付き合いやすい。そのような状況に持っていくのは大変であるが、そうなるように努力しなければならない。約束は絶対に守らなければならないし、言った事は必ずやり遂げなければならない。
 また、ドバイは、世界の一流品が集まる町である。ところが、日本人がドバイに行くと、なぜか日本の技術が世界で一番だと思ってしまう人が多く見られる。アラブ人にバカにされないように、日本人が本来持っている「謙虚さ」をしっかり持って、現地の人たちに対応していただきたい。
 最後に、アラブ人は、日本のことを歴史も含めてよく知っている。日本人がアラブ人と付き合うためには、まず英語を話し、現地のルールを理解し、中東の歴史を勉強することにより、彼らを理解することである。


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【27年2月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 営業現場における労務管理について 』

日  時:平成27年2月25日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:22名

スピーカー:
福山 和則(ふくやま かずのり)
テルウェル西日本(株)東海支店 東海支店長

福山和則氏

1. 会社概要紹介
 昭和27年に、当社の前身である「財団法人電気通信共済会」が設立された。その後、昭和61年に、電電公社の民営化にあたり、略称を「テルウェル」とした。さらに、平成13年に、公益法人問題の対応として分社化を図り、一般事業を「テルウェル西日本株式会社」が、公益事業を「財団法人(現一般社団法人)電気通信共済会」が事業運営している。
 当社は、NTTグループに属し、持株会社である日本電信電話株式会社の傘下で、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)のグループ会社の1つである。本社は大阪にあり、社員数は約1,000名である。
 事業内容は、「ビル総合メンテナンス」、「フードサービス・各種サービス」、「サイン・メディア広告・イベント企画」、「各種設備メンテナンス」、「データエントリー・情報処理」等である。具体的には、「エコ・環境リサイクルサービス」、「人材サービス」、「オフィスソリューションサービス」、「介護サービス」、「ネットショッピングサービス」、「広告関連サービス」、「ビルメンテナンスサービス」、「その他のサービス」を行っている。
 当社の行動規範は、「お客様第一」、「誠心誠意」、「変革と前進」の3つで、「明日もこの職場で働きたい」と思える会社の実現を目指している。また、行動指針として、「自主」、「自立」、「自責」の3つを掲げ、従業員一同、企業の生き残りに向け、変化への対応を図り、新しいことに勇気を持ってチャレンジしている。

2. 営業現場における労務管理について、
(1)地方都市の営業支店(外販営業拠点)の事例
 私は、長い間人事労務を担当し、合理化施策等を手掛けてきたが、平成13年、営業支店長として、初めて営業現場を任された。
 私が赴任した営業支店の当時の事業計画は、「販売計画(システム受託、通信機器、ネットワーク回線等の販売)の必達」と「1年後の組織見直し(営業拠点として50人から10人体制へ移行)」であった。この販売計画の達成と合理化施策の円滑実施に向けた業務運営の課題として、「社員のモチベーション維持向上による販売計画の必達」、「1年後の組織見直しに伴う円滑な人員流動の実施」、「組織見直し後における新営業体制の構築」の3つが考えられた。したがって、それに対し重点施策を3つ実施した。
 1つ目は、「お客様第一及び社員のモチベーションを意識した行動の徹底」と「販売計画の達成に向けた組織横断的な活動」である。途中、ネットワーク回線販売が計画通りに進まないという問題が発生したが、管理者及び社員へのヒアリングの実施により、問題点を明確化、全社員参加の新施策や進捗管理徹底の実施により、年間販売計画を達成することができた。2つ目は、「年間営業成績のベスト10である営業担当者を新体制拠点として配置、それ以外の営業担当者は中心エリア支店へ配置転換」という基準を、配置転換実施の約8ヶ月前に発表した。これにより、社員全体のモチベーションが上がると共に、組織見直しに伴う円滑な人員流動の実施が可能となった。3つ目は、「営業スキル及びモチベーションが高い優秀な営業担当者の配置」を実行した。これにより、組織見直し後における新営業体制の構築を行うことができた。
 この営業所は、その後も県域全体の中で、常に上位の営業成績を残す営業拠点として活躍を続けており、私としては、県域全体への営業貢献を果たすことができた。
(2)コールセンタ事業における職場改善事例
 平成21年から23年にかけて、コールセンタ事業を担当した。この職場は、電話受付による案内業務が主で、業務量は毎年減少していた。人員構成は、本社オーバーヘッド50人、事業所1650人(20代〜70代のほとんどが女性)で、その内、事業所は、所長・副所長・監督者が300人、オペレータが1350人で、所長以外は全て契約社員であった。
 この時の事業計画は、「事業部として黒字化」、「案内率の向上、手数時間の短縮」、「人員の効率的配置」、「人材育成」であり、事業運営上の課題として、「生産性の向上」、「業務量と人員のアンマッチ」、「中期的な業務運営体制(センタ運営のあり方等)」があった。そして、この対策として、重点施策を3つ実施した。
 1つ目は、「現場第一線であるセンタ支援の強化」と「評価制度の導入」、2つ目は、「トラヒック減少に伴うセンタにおける人員配置の効率化」、3つ目は、「人材育成」である。これらの実施により、監督者とオペレータが抱える問題点が明確になり、研修制度の充実や新設、優良事例発表会等の実施で風通しが良くなった。また、オペレータのモチベーションも向上し、業績も改善した。
(3)特に成績が低迷していたセンタにおける職場改善事例
 前述のコールセンタの改善事例を、特に成績が低迷していたセンタに水平展開した。このセンタでは、オペレータから監督者に対して、多くの不満が発生していたが、改善が進まず、成績も他の事業所に比べ低迷していた。それに対し、「所長、監督者、オペレータで本音の議論の徹底」、「オペレータから提案された施策は前向きに検討し実施」、「監督者はオペレータ目線で自らの指導支援方法を見直す」等の対策を徹底させた。これにより、オペレータと監督者の関係が劇的に改善し、低迷していた成績がトップクラスへと大幅にジャンプアップした。そして、職場全体が明るくなり、社員全員が生き生きと働く職場に生まれ変わった。


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【27年3月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 八事窯 作陶体験会 』

日  時:平成27年3月5日(木) 10時00分〜15時00分
場  所:名古屋市昭和区南山町12-1
参加者:11名

ご指導:
「楽焼 八事窯」 中村 道年(なかむら どうねん)

中村道年氏

 今回は、「八事窯 作陶体験会」を実施した。
 初めに、八事窯 中村道年氏より茶室に招かれ、抹茶によるもてなしを受けた。その後、作陶室に場所を移し、氏のご指導を仰ぎながら、楽焼の作陶を行った。

1. 楽焼(らくやき)とは
 楽焼は、一般的にろくろを使用せず、手とへらだけで成形する「手捏ね(てづくね)」と呼ばれる方法で成形した後、750℃ 〜 1,100℃で焼成した軟質施釉陶器である。楽茶碗などとも呼ばれる。楽焼は、聚楽第を建造する際に土中から掘り出された土(聚楽土)を使って焼いた「聚楽焼」(じゅらくやき)が始まりとされる。
 国内には、楽焼も作っているという窯元は多くあるが、楽焼のみを専門に作っている窯元は、日本には当家を含め三家のみである。

2. 作陶する茶碗の選択
 茶碗には、大きく分けて4つの種類がある。春夏秋冬いつでも使用できる「合茶碗」、真夏のみに使用する「平茶碗」、真冬に使用する「筒茶碗」、春夏秋に使用する朝顔形の「井戸茶碗」である。
 作りやすさは、前述の順で、「合茶碗」が一番作りやすく、「井戸茶碗」が一番難しい。「井戸茶碗」は、本来ろくろで作る茶碗であり、手捏ねで形作るのは難しいのである。
 材料の土は、良い楽焼を作ることができるように、焼き釜に合った自家製のものを使用している。当家では、初代から受け継がれた土を材料としている。

 中村氏のご説明を伺い、11名中8名が「筒茶碗(湯呑み茶碗)」、2名が「合茶碗(抹茶茶碗)」、1名が「平茶碗」を選択し、作陶を行った。

3. 形を作る〜乾燥〜高台を取り付ける
 丸められた土の中央に親指で穴を開けた後、両手を使って慎重にイメージした茶碗の形状に土を形作っていく。参加者全員、約1時間かけて、黙々と取り組んだ。
 形状が整うと、次の工程である「削り」に取り掛かれるように、こちらも約1時間かけて炉で乾燥させた。炉から取り出した後、中村氏の手により、各自の作品の下に高台が取り付けられた。

4. 削り〜修正
 乾燥させた作品のほぼ全体を、金属のへらを使用して削っていき、形状を整えながら軽量化する。元の土の半分以下の重量を目指し、約1時間、各自ひたすら削り続けた。
 各自の努力と中村氏の修正の結果、それぞれ非常に軽く、削りの模様が個性的な作品に仕上がった。

5. 出来上がり
 これより後の工程である天日干し、釉薬塗り、窯焼き等は八事窯にて行われ、完成は5月の長期連休後を予定している。
 最後に、各自「あめ色」、「赤色」、「白色」、「黒色」の4色から釉薬を選び、作品を預けた。同じ色でも、同じ色合いは絶対に出ない。どのような作品が出来上がるのかを楽しみに、作陶体験会は終了した。

 本体験会は、好評につき、7月2日(木)に第2回を開催することが決定した。今回ご参加された方もご参加されなかった方も、参加ご希望の方は、ぜひ申し込んでいただきたい。
(※案内状は、5月中旬を目処に発送予定)

八事窯外観

作業中1

作業中2

作業中3

作業中4

作業中4.5


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【27年3月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 「企業不動産戦略の基本と不動産有効活用について」
         (高齢者住宅・施設としての活用、その価値の考え方) 』

日  時:平成27年3月11日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:22名

スピーカー:
古谷 廣道(ふるや ひろみち)
大和不動産鑑定(株)名古屋支社
支社長

スピーカー
村木 信爾
(むらき しんじ)
大和不動産鑑定株式会社 エグゼクティブフェロー
明治大学専門職大学院グローバルビジネス研究科
特任教授
古谷廣道氏 村木信爾氏

◆ 不動産鑑定とは
 不動産鑑定という言葉になじみのない方が多いのでご説明したい。具体例で申し上げると、まもなく3月の地価公示が行われるが、これらの評価を不動産鑑定士が行っている。また、8月には相続税の路線価が発表されるが、ベースとなる価格の評価を不動産鑑定士が請け負っている。さらに、固定資産税の金額は名古屋市をはじめとした市町村が決定するが、そのベースの評価を担っているのが不動産鑑定士の仕事である。つまり、皆様と近いところで関係があると考えていただきたい。
 公的な対象では、公共工事の用地取得の際の用地補償や、市有地の売却の際の価格等の評価を行っている。また、民間の場合は、不動産売買の際の、対税務署への説明や、企業の取締役会での説明、株主へ説明する場合等、不動産鑑定書を発行するというケースが多い。最近はM&Aに関する評価案件が増えている。さらに、ネガティブなものとして、民事再生(会社更生)の際の事業資産にまつわる鑑定書の発行等も行っている。
 現在一番注目されているのが、不動産証券化であり、それに絡む仕事が多くなっている。また、最近は不動産の鑑定だけでなく、建物の長期修繕やビルのメンテナンスの計画等のコンサルティングの問い合わせが多くなっている。皆様の企業で不動産の鑑定やコンサルティング等ご相談がございましたら、当社にご連絡いただきたい。

1. 企業不動産戦略の基本
(1)企業経営と不動産戦略(CRE戦略)
 CRE(Corporate Real Estate:企業不動産)とは、企業が事業継続のために使用する全ての不動産(保有のみならず賃借も)のことである。具体的には、事業用に直接供されている「本社、工場、店舗、支店、営業所等」、事業用に直接供されていないが、間接的に効用をもたらす「研修施設、社宅、寮、福利厚生施設等」、その他事業に関連して保有または賃借している不動産「遊休地、駐車場等の一時利用地等」を指す。
 CRE戦略とは、企業の事業用不動産や投資用不動産について、「全社的経営戦略、財務戦略、マーケティング戦略等との整合性を考え、その戦略に適合するように売買、有効利用、ファイナンスなどの不動産ソリューションを実行し、実際に利用、保有する不動産の管理、利用の合理性、効率性を高めること」である。
 CRE戦略の実践による効果として、「コスト削減」、「キャッシュフロー増加、資金調達力アップ」、「不動産リスクの分散・軽減・除去」、「CS戦略、ブランド戦略等にも寄与」等が期待され、企業価値の向上につなげることができる。したがって、CRE戦略は、企業にとって経営戦略上の重要な基本動作の一つと認識し、また、企業の経営層は、不動産の重要性を認識した経営を行う必要がある。
(2)BCP(事業継続計画)と CRE戦略
 BCPとは、災害や不祥事などの緊急事態が発生した際、事業の中断によるロスを最小化するために、企業が事前に策定する基本となる行動計画のことであるが、これは、経営レベルの活動でCRE戦略のあり方にも大きな影響を与える。つまり、物理的リスクの明確化、対策として、「土地:液状化、土壌汚染等」、「建物:耐震、免震、アスベスト等」等を考えなければならない。また、立地戦略として、「地震、津波などの潜在的リスク回避のための移転(海外も含めて)」、「関東から地方へ等、地域的リスクの分散。バックアップ機能を持つデータセンター建設、サプライチェーンが分断されないような部品供給工場の配置」等を考えなければならない。さらに、防災訓練や防災意識の継続のためのソフト面の充実を図り、街ぐるみでしっかりした取り組みを行えば、不動産の付加価値にもなる。
(3)組織内不動産プロフェッショナルの育成
 CRE戦略を任せることができる人材の要件は、「組織の経営方針、事業の方向性、組織について理解し、組織人であること」と「不動産の専門性、外部の専門家を適切に使う専門性を有すること」である。したがって、組織内において、アウトソーシングを含めプロと呼ばれる人達の先頭に立ち指示を出し、かつ自社の経営にも精通した、「組織内プロフェッショナル」と呼ばれる人材を継続的に育てる必要がある。

2. 不動産有効活用(高齢者住宅・施設)
(1)高齢者住宅・施設を取り巻くマーケット環境
 近年、高齢化社会対策で、高齢者住宅・施設の建設が増えている。入居者の身体状況(自立〜要介護)と経済力(自己負担可能額)により「有料老人ホーム、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅」等、多種多様な高齢者住宅・施設が共存している。その中で、特に、団塊の世代が後期高齢者に近づいていることから、政府の方針もあり、「サービス付き高齢者向け住宅」の伸びが大きくなっている。現在、日本国内でこの市場に参入している企業は2,000〜3,000社といわれているが、大手30社で約3割の市場を占めている。
(2)高齢者住宅・施設に関する鑑定評価の留意点
 事業用不動産共通の留意点は、「土地、建物、設備の物理的な価値ではなく、事業者の事業能力やブランドに大きく依存するため、事業分析が欠かせない」、「賃貸市場が未成熟なため、自社用の場合も賃貸借契約、賃料負担力を想定し評価が必要」等である。
 高齢者住宅・施設の評価上の留意点は、「介護保険、医療保険などの制度改変のリスク」、「建物用途転換の困難性」、「公共性や国家財政上の制約があるため、施設によっては供給規制があること」、「多様な事業モデル(自立者向け、要介護者向け、 提供サービス等の内容)に応じた収益性の変化」等である。
 現在、土地の有効利用策として、また、資金の投資対象として、高齢者住宅・施設が注目されているが、そのための適正な評価手法の開発が必要である。


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【名古屋いちばん物語】 No.70


テーマ: 『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第48回 』

料亭つたも主人
深田正雄

ものづくりの起点・矢場町

 荘園時代、矢場町地域は湧水に恵まれた小林村の北側に位置し、1548年には、その中心に牧 長義の居城として小林城が築城された。小林城は1570年に廃され、剣術指南・柳生利厳の屋敷となった後、1701年に清浄寺となり、現在は矢場地蔵として親しまれています。矢場町の名は、地域内に現存する三輪神社において、1669年に弓矢場が作られたことに由来するようです。(写真1)
 江戸期の矢場町には、下級武士達が軒を並べて居住し、お城勤めより「職芸」に熱心で鍛冶職・からくり・建具・和時計・家具・武具などの「ものづくり」を行い、また寺子屋の教師、武芸師範などの副収入で優雅な生活を営んでいたようです。武芸指南も活発で、稽古場として、剣術の柳生流の道場「清祥寺」などが使用され、「三輪神社」の弓道の通し矢道場(現在の矢場とん本店周辺)は、京都三十三間堂並みであったと言われています。
 和時計の津田助左衛門は、家康お抱えとなった後、清須に移り、その後彼の子孫も代々尾張藩の御用時計師として仕え、正式に尾張藩の御時計師・鍛冶職頭となって矢場界隈で仕事をしていたと言われています。「尾張藩士・津田助左衛門」の故事に因んで、和時計をモチーフにした「若宮大通公園・矢場町交差点からくり人形時計塔」が建てられています。(巻末・説明)
 南には寺院が隣接しています。明治43年3月より、鶴舞公園にて90日間に260万人を動員した「関西府県連合共進会」の開催に伴い、建造に携わる多くの建材関連店が万松寺・総見寺・性高院境内に裏門前町として進出、北の矢場町は「ものづくり」のインフラに恵まれ、家具問屋とともに指物・ガラス・金具店が昭和30年代まで軒を並べていました。北見さんの昭和30年代地図を基に、戦後開発された若宮通り北から懐かしいお店をご紹介してみましょう。(写真2)
 南呉服町通りの東側は、政秀寺の土地を借り上げ、南から菱家木工所さんの作業場、秋田自動車の跡地はデパート丸栄の家具・内装店から、ヤマダ電機を経て昨年末、外車ディーラー渡辺自動車「ランドローバー名古屋中央」がお洒落なショールームをオープンしました。石清金物、富士道木工の倉庫は、リパークの駐車場、角は小松タペストリーさんの敷物・ドレープの展示場でした。寺の西と北の底地は政秀寺所有のため開発が進んでおらず、未だに木造家屋と駐車場となっています。丸栄の角ビルは、何故鉄筋コンクリートで寺敷地に建設ができたのでしょうか。「丸栄創業者・中林一族が寺の檀家総代で当時の住職も断れなかった」と言われていますが、真実はいかなるものでしょうか。(写真3)
 西側は、角の民家北に大兼家具店、荻野建具店、菱家木工、石家道具、富士道木工、鍋野金庫と軒を並べた道具屋ストリートを形成、中でも富士道さんはいち早くビルを建設、上階には能舞台があり、粋な親父さんがお稽古されていました。現在は「NOCE」という洋風家具ショールームとなっています。富士道さんの三好工場は、広大な敷地に人食いサメ「ジョーズ」の剥製があり、工場直売セールに何度も訪問した記憶があります。(株)菱家木工場は、現在、菱家ビルとしてマンションとなり、3代目菱田雅之さんは矢場町2丁目町内会長として、地元で活躍されています。
 北のブロックは、江戸時代から下級武士の居宅が並び、現在のベル栄ハウスオーナー鈴木さんは、江戸末期から同じ土地にお住まいと聞いています。お隣の「地金伸銅商品・今津」は家具建材の金具部品製造卸として現在も経営され、粋な和風店舗には昔ながらの尺貫法・度量衡が鎮座しているようです。(写真4)そして、前田寿仙堂は茶道具骨董で現在もマンション併設で営業されています。南の尾畑板硝子さんは家具材料「中日ガラス」、角の河合茂商店は「君が代」文具ブランドが懐かしい思い出です。北角の(株)瑞穂商事さんは愛知時計の卸部門として名門であり、和時計制作とご縁があるように勝手に考えています。 また、地元では矢場町を呼ぶイントネーション発音は、「ば」を高く発し、「ちょう」は下がることにご注意下さい。

「若宮大通公園・矢場町交差点からくり人形時計塔」
http://www.geocities.jp/urbanivjp/karakuritokei.html

 和時計風の躯体から織田信長、豊臣秀吉、徳川家康を模したからくり人形(身長60〜80cm)が交互にせりだし1日四回各五分間の演技をします。人形は八代目玉屋庄兵衛氏の作によるものです。
 そもそも名古屋は尾張からくりの古里であり文化、文政期を頂点とする江戸時代には数多くの山車からくりが製作されて現在でも各地の祭礼で主役を勤めています。また名古屋は時計の古里であり津田助左衛門による国産時計第一号や明治初期の時計産業が全国に先駆けて誕生した歴史が有ります。さらに名古屋は信長、秀吉、家康三英傑の古里でありこの三人によって戦国時代の天下が平定された歴史は余りにも有名です、従ってからくり人形時計は名古屋の生い立ちを象徴していると申せましょう。
 この事業は地元の大須と栄を中心にした若宮大通の環境を良くする会の構想と本市若宮大通公園整備にかかるモニュメント設置計画が一致したもので官民が一体となって実現したものです。特にからくり人形は若宮大通の環境をよくする会より大須と栄を結ぶ若宮大通の再整備と市制百周年に協力する趣旨で寄贈を受けました。

若宮大通公園・矢場町交差点からくり人形時計塔

写真1
写真1:宝暦時代の矢場町地図 (北見氏作成)
中央南に三輪神社・弓矢場、北は下級武士の屋敷

写真2
写真2:昭和34年頃の矢場町1-2丁目住宅地図(北見氏作成)
南は区画整理でできた100M若宮大通

写真3
写真3:政秀寺西側、昭和からの現在へ:河合ビルーくまカフェ、小松タペストリーSEANT、丸栄ハウジングーランドローバー

写真4
写真4:ベル栄ハウス・鈴木さんは江戸時代から同地に代々お住まい 趣あるレトロな今津伸銅店・現在も営業中

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【4月度産業懇談会開催日程】
水曜第2グループ以外は、名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ 場所
火曜グループ

岡部 聰
深田正雄

4月7日(火)
12:00〜14:00

(株)ヨコタエンタープライズ
代表取締役 横田成人 氏
「リーマンショックの後遺症を
    払拭した今、そして未来」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

落合 肇
飯田芳宏

4月14日(火)
12:00〜16:45

(株)ジェイテクト 取締役会長 新美篤志氏のご紹介
「(株)ジェイテクト 刈谷工場視察会」
【定員】行程の都合上、30名(お申込順)とさせて
    いただき、定員に達し次第、申込みを締切
    らせていただきます。
【詳細】ご参加の皆様には、別途ご案内申し上げ
    ます。
【集合場所】
18階
伊吹の間
水曜第2グループ

片桐清志
見祐次

4月8日(水)
8:00〜15:00
井村屋グループ(株) 取締役会長 浅田剛夫 氏
「井村屋グループ(株)工場視察会」
【定員】行程の都合上、30名(お申込順)とさせて
    いただき、定員に達し次第、申込みを締切
    らせていただきます。
【詳細】ご参加の皆様には、別途ご案内をお送り
    させていただきました。
【集合場所】
名古屋商工
会議所ビル
正面入口前
中区栄2-10-19
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

4月2日(木)
12:00〜14:00
航空自衛隊小牧基地
第1輸送航空隊司令兼小牧基地司令 野中 盛 氏
「我が国周辺の防衛情勢」
18階
伊吹の間

<ご参考>
平成27年4月8日(水)水曜第2グループ:井村屋グループ(株)工場視察会
井村屋グループ(株) 津工場 住所:三重県津市高茶屋7丁目1番1号 TEL:059-234-2131

8:00
8:15〜10:00
10:00〜11:30
11:30〜11:45
12:00〜12:50
12:50〜13:00
13:00〜14:00
14:00〜15:30
15:30頃
名古屋商工会議所ビル入口前 集合
バスにて移動
井村屋グループ樺テ工場見学
バスにて昼食会場へ移動(降車後、徒歩移動)
はま作(津市垂水3013-1)にて昼食
徒歩にて移動
石水博物館 (津市垂水3032-18)見学
バスにて移動
名古屋商工会議所ビル 帰着・解散

平成27年4月14日(火)水曜第1グループ:(株)ジェイテクト 刈谷工場視察会
(株)ジェイテクト 刈谷工場 住所:刈谷市朝日町1丁目1 TEL:0566-25-5111

12:00
12:00〜12:30
12:40〜13:20
13:30〜14:00
14:00〜15:30
15:30〜15:45
16:00〜16:45
名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間 集合
昼 食
バスにて移動
会社(工場)説明
工場見学
質疑応答
バスにて移動、名古屋観光ホテル帰着・解散

【備 考】

  • 4月8日(水)、14日(火)ともに、後日実費を精算させていただきます。
  • スケジュールは変更となる場合がございますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

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【5月度産業懇談会開催日程】
水曜第1グループ以外は、名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ 場所
火曜グループ

岡部 聰
深田正雄

5月12日(火)
12:00〜14:00

ラジオDJ・マルチタレント
クリス・グレン 氏
「SAMURAI CITY Nagoya!」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

落合 肇
飯田芳宏

5月20日(水)
12:00〜16:40

北川工業(株) 取締役社長 北川清登 氏
「北川工業(株) 春日井事業所見学会」
【定員】25名(お申込順)とさせていただき、定員に達し
    次第、申込みを締切らせていただきます。
【詳細】ご参加の皆様には、別途ご案内申し上げます。
【集合場所】
18階
伊吹の間
水曜第2グループ

片桐清志
見祐次

5月13日(水)
12:00〜14:00
ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株)
常務取締役経営戦略本部本部長 征矢真一 氏
「企業が考える今後の地域戦略のあり方
〜サッポロの北海道とポッカの名古屋を見て〜」
2階
曙の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

5月7日(木)
12:00〜14:00
中部電力(株)
原子力部 業務グループ長 豊田哲也 氏
「浜岡原子力発電所の安全性向上の取り組みについて」
18階
伊吹の間

<ご参考>
平成27年5月20日(水)水曜第1グループ:北川工業(株) 春日井事業所見学会
北川工業(株) 春日井事業所 住所:春日井市明知町字頓明1423-101 TEL:0568-88-1885

12:00
12:00〜12:30
12:40〜13:30
13:30〜14:00
14:00〜15:00
15:00〜15:20
15:30〜16:30
名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間 集合
昼 食
バスにて移動
会社概要および見学内容のご説明
電波暗室 他 見学
質疑応答
バスにて移動、名古屋観光ホテルへ帰着・解散

【備 考】

  • 5月20日(水)の見学会は、後日実費を精算させていただく予定でございます。
  • スケジュールは変更となる場合がございますので、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

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【お知らせ】

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 No.132
保健師からの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里

『 クリエイティブな発想力を高めるために 』

 通勤途中で早咲きの桜の花を見かけるようになりました。今年は例年より早く、桜前線が北上しているようです。このコラムを皆様にお読みいただくころには、満開の桜があちこちでみられるようになっているかもしれません。早いもので、もうすぐ新しい年度を迎えます。年度の変わり目は、人も業務も入れかわる時期ですので、皆さまの会社でも新しい、あるいは今までとちょっと違う業務に取り組まれる部下や社員の方が多いのではないかと思います。

 世の中には色々な業種の会社がありますし、1つの会社の中でも業務は多種多様に分かれています。そして最近ではIT化や業務のアウトソーシング化が進んだ結果、どの職場でもいわゆる「定型業務」は少なくなっているように感じます。そこで求められるのは、常に先を見てクリエイティブな発想ができること、その実現に向けた行動力やリーダーシップを発揮すること、になってきているのではないでしょうか。

 昨年、アメリカ心理学学会に「ウォーキングが脳の思考力を活性化してクリエイティブなアイデアを思いつきやすくする」という研究が発表されました。これはカリフォルニア州のサンタクララ大学の研究チームが発表したもので、対象者をいくつかのグループに分け、グループ単位で身体の動きを変えて、アイデアのひらめきが必要になる課題の回答数を比較したり、思考力をはかるテストを実施して成績を比較したりすることで導き出されています。どの調査でも、ウォーキングをしている時の方が座っている時よりもクリエイティブなアイデアや、斬新で実践的なアイデアが多く生まれたようです。ウォーキングは生活習慣病予防や健康づくりに役立つだけでなく、クリエイティブな能力も活性化してくれるということですね。行動力やリーダーシップも、身体と心が健康でタフであればこそ発揮できるものですから、これからは創造的な仕事をする、仕事のパフォーマンスを上げる目的でも、生活の中に(時には仕事の中にも)ウォーキングを取り入れることが有効なのかもしれません。

 外は暖かく、出歩くのにいい季節になりました。クリエイティブな発想力を高めて、お仕事だけでなく、皆さんの人生を創造的で豊かなものにするために、今日からウォーキングを始めてみるのはいかがでしょうか。

ウォーキングで健康な心身とクリエイティブな発想を得て、仕事も人生も充実させましょう!

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.77
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『決戦! 関ヶ原』
講談社刊

  慶長十五年九月十五日の天下分け目の関ヶ原の戦いを焦点に据え、参戦した七人の武将を、現代を代表する歴史小説作家七人がそれぞれに描くユニークな短編集。既に発表された作品をまとめて一冊の本に、という形式はよくありますが、この企画のために売れっ子作家七人が書き下ろすということはめったにないことです。編集者の腕の見せ所といったところでしょうか。

  • 徳川家康―伊東潤
  • 可児才蔵―吉川永青
  • 織田有楽斎―天野純希
  • 宇喜多秀家―上田秀人
  • 島津義弘―矢野隆
  • 小早川秀秋―冲方丁
  • 石田三成―葉室麟

皆様は、どの作家に軍配を上げますか?

*上田秀人の作品の中で、豊臣秀頼の幼名を「お捨てさま」と呼んでいます。最初の男子に「捨」と名付け夭折したので次の男子(後の秀頼)には「拾」と命名したはず、と講談社の編集に問い合わせたところ、二説あるとのことでした。

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コラム3 【苗字随想】 No.154
コラム【苗字随想】

片桐清志

「祝日」と苗字(3)

 3月の祝日は21日の「春分の日」だ。昭和23年に公布・施行された「国民の祝日に関する法律(通称:祝日法)」で制定された。自然をたたえ、生物をいつくしむ」趣旨で設けられ、年によって若干変動する。暦年の「春分の日」は国立天文台の「暦象年表」に基づき閣議決定を経て、前年2月の官報で発表される。
 苗字との関係ではさすがに「春分」さんは見つからなかったが、一字姓の「春(ハル・カスガ)」さんはいる。
 「春」が頭に付く「春姓」は108種見つかった。因みに四季の中では「秋姓」が125種、「夏姓」が48種、「冬姓」が18種で、春は秋と共に苗字でも人気は高い。
 ランキング(佐久間 英)でも、春日(カスガ・ハルヒ)の395位を筆頭に、春山(1201位)、春木(1734位)、春田(1737位)、春名〔1831位〕、春原(ハルハラ・スノハラ・スハラ他:2379位)、春本(3597位)の7姓が4000番内に登場する。
 ユニークな苗字では春夏秋冬(ヒトトセ・ヒトトキ)、春秋(ハルアキ・シュンジュウ)、春姫(ハルヒメ)、春好(ハルヨシ)、春口(ハルグチ)、春近(ハルチカ)、春風(ハルカゼ)、春海(ハルミ・ハルウミ)、春花(ハルハナ)、春芽(ハルメ)、春菜(ハルナ)、春米(ツキシネ・ツイシネ)、春駒(ハルコマ)などが見つかった。
 これに対し「分」が頭に付く「分姓」はわずかに22種しかない。一字姓の「分」も見つからなかった。ランキングでも分部(ワケベ・ワキベ・ワリベ)の2757位が4000番内で見つかっただけだ。
 ユニークな苗字では分家(ブンケ)、分校(ブンコウ・ブンギョウ)、分目(ワケメ・ワンメ・ブンメ)、分道(ブンドウ)、分野(ワケノ)、分銅(フンドウ・ブンドウ)が見つかった。

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【平成27年3月号編集後記】

 3月13日に開催された会員懇談会では、石田筆頭代表幹事から今年度の活動テーマ「世界を魅了する“CHUBU”を目指して」に関して12項目の提言がなされた。この1年間の活動を集約したもので、「中部スーパー世紀」の幕開け〜東のメガロポリス「TOKYO」・西のテクノポリス「CHUBU」が日本を牽引〜というキャッチコピーを付して、約1時間にわたり熱い思いを発表された。
 2014年秋以降、中部地域を舞台に世界が注目するニュースが続いた。国産ジェット旅客機「MRJ」のロールアウト、燃料電池自動車「MIRAI」の販売開始、リニア中央新幹線の工事着工と三大プロジェクトが本格的に動き出した。中部地域が将来にわたって「ものづくり」で日本を、ひいては世界を魅了し、リードしていくためには「モビリティ関連技術」の強みを発揮し、これを他の分野へも波及させることが必要との提言だ。
 「ものづくり」を技術の集積に終わらせるのではなく、世界最高の「ものづくりビジネス拠点」として、次世代に向けた“モビリティ”最先端技術がすべて集約され、人々が交流する「巨大モビリティエリア」へ向かうべきだと結論づけている。そのための具体策を「最先端モビリティ地域・都市」「国際交流&観光ハブ地域・都市」「アメニティ地域・都市」「産学連携地域・都市」の4つの分野に分けて計12の提言を行っている。
 一例を紹介すると「自動運転等最先端実用地域」の確立、「EV/PHVによるカーシェアリング」の広域での実用化、「モビリティ・テーマ・パーク」の開発、「からくり山車全国協議会」の設置と「全国山車総揃い祭」の開催、アフターコンベンション及び「観光センター」や「観光ICT」などにかかる環境整備等で、いずれも具体的な提言だ。さらに、これらの提言を実現させるためには「オープンネス」な社会、「オープン・イノベーション」が不可欠で、そのための「大学発ベンチャー事業化推進ネットワーク」の設立や中部地域特化「ベンチャーキャピタル」の設立等、産学官の連携を呼びかける提言も行っている。
 次年度は新美筆頭代表幹事がこれらの提言をさらに発展させることになる。折しも次年度は中部経済同友会の60周年の節目の年だ。会員の総意を結集して魅力ある“CHUBU”の実現に邁進したい。

 今月の「産懇宅配便」では2月の例会模様2件と3月の例会模様2件を紹介できた。木曜グループは「八事窯 作陶体験会」模様を紹介している。好評につき7月に再度開催する。行動する産業懇談会の企画が今後も続く。いろんな楽しみ方を体験していただきたい。

(片桐)