1. 自己紹介と会社概要
私は東京で生まれたが、会社は関西の会社に入社。退職後、縁あって名古屋電機工業株式会社に入社した。現在までに国内勤務地7ヵ所、海外勤務地5ヵ所を経験し、今回の提言にも関係するが、住んでみて初めて分かることが多くあった。海外勤務が長かったこともあり、「逃げない!ぶれない!群れない!」をモットーとしている。
名古屋電機工業株式会社は、売上高約150億円、従業員数約450名、本社は愛知県あま市にある。当社では3つの事業を行っており、1つはITS情報装置事業で、道路情報板、コイン式のパーキングメーター、視覚障害者用信号機(ピヨピヨカッコー)などを日本で初めて開発し、世の中に送り出した。2つ目のFA検査装置事業では、世界で初めてプリント基板用のレーザー式外観検査装置を開発し、昨年トヨタ自動車(株)より、技術開発賞を受賞した。3つ目のインフォメックス事業では、散光式警光灯、車載用情報板、LED照明などを製作している。
2. 転入者から見た名古屋のイメージと現状
私は転入者なので、名古屋のイメージを正直に申し上げると、「夜が早く、出歩かない」、「仲間が大好き、家族大好き」、「大阪ほどではないが、地元大好き」である。実際、夜は栄、錦のクラブ街以外は閑散としているし、若者の街と言われる大須も夜8時を過ぎるとシャッター街である。また、名古屋駅周辺は、今後新しいビルが3棟建つが、このままでは名古屋は駅前一極集中となり、久屋大通公園には人が来ない状況になるだろう。
3. 久屋大通公園の現状
久屋大通公園は、北から南まで1.8kmある大きな公園である。しかし、その現状は、東西の道路で分断されブロック化した細切れの公園であり、また、北に向かって左側の商業施設と右側のビジネス街を、まるでベルリンの壁のごとく、分断している公園となっている。そして、家族や恋人とぶらぶら散歩しようとしても、トイレが汚く、薄暗くて怖い、アイスクリームやジュースも売ってない、お弁当を食べたくてもおしゃれなベンチや花壇がない等々、これでは誰も歩きたいとは思わない。
いろいろな観点から分析すると、久屋大通公園の現状は、「日本でよくありがちな、てんこ盛りで部分最適のプロダクトアウトなデザイン」、「多くのものが散りばめられているが、東西の道路で分断されており、ストーリーとコンセプトに欠け、総合デザイン性がない」のである。そして、最大の欠点は、前述したように東西の道で南北が分断され、楽しみながら散歩する自然な流れを作れない、「公園のブロック化」にあると思われる。
4. 喜ばれるための提言
◎(ハード面)「南北に人が自然に流れるような一本の太い散歩道を作る」
(1) 多くの東西の道路を左折専用にし、信号をなくし歩行者専用にする
メイン道路である、桜通、錦通、広小路通以外の東西の道路を公園入り口で封鎖し、左折専用にすることにより、南北に歩ける信号のない遊歩道を確保する。
(2) 主要道路には歩道橋を増設し、道路による分断を避け南北の一本道にする
桜通のように、広小路通、錦通に歩道橋を増設し、メイン道路による分断をなくし、南北に歩ける信号のない一本道にする。
(3) バスターミナルは観光バス専用と広い歩道にする
セントレア空港から直結し、昇龍道の起点にする。
◎(ソフト面)「夜中まで安心・安全に楽しく過ごせるための工夫をする」
(1) 各ブロックに交番、キオスク、カフェを新設する
交番は、トイレ近くに設置し、安心・安全で楽しく、便利な公園にする。
(2) 防犯・防災機能を強化する
照明や防犯カメラやスピーカーを各エリアに増設し、安全で、夜遅くまで楽しめる場所にする。また、大規模災害が発生したときの防災拠点としても利用する。
(3) ボランティアによる巡回、案内所等で各国語対応する
名古屋城本丸御殿にいる、学生おもてなしボランティアのような人たちを配置し、日本人も外国人も、誰もが楽しめる賑やかな公園にする。
5. 集客のための提言
◎(マーケティング面)「自然体で身の丈に合った集客活動を行う」
(1) 名古屋近隣都市の人々を呼び込み、リピーターに育てる
大垣:16万人 多治見:11万人 桑名:14万人 四日市:31万人と、名古屋近郊には大きな人口を抱えた街がある。その人達が何度も訪れたくなるような場所にする。
(2) 金沢、福井、郡上など地方都市からのグルメ、ショッピング目当ての若者を招く
地方都市の若者たちが車に乗り合わせて、ブランド店が揃っている名古屋を訪れた時、ちょっと寄って休息したくなるような場所にする。
(3) LCC、セントレアと一体で、アジアの人たちに来てもらうための情報発信をする
久屋大通公園独自の、魅力的なPRポイントを情報発信するしくみを作り上げ、集客につなげる。
久屋大通公園を、「名古屋といえば久屋大通公園!」といえるような、集客力のある魅力的なスポットに変えていかなければならない。そして、今はまだ愛知県民にも知名度が低い昇龍道プロジェクトの起点(へそ)とすべきである。そのためには、札幌の大通公園のように、観光客が「一泊目は名古屋で宿泊し、久屋大通公園でリフレッシュしてから次の目的地に向かおう」と考えていただけるような場所に変えていかなければならない。
それにはお客様の目線で、自分が楽しめる、行きたくなるアイデアを出していくことが必要である。
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