1. グループ概要・会社概要紹介 当グループは、2009年4月1日持株会社制へ移行した。グループの中心で上場会社となっているのは、東海東京フィナンシャル・ホールディングス(株)である。連結子会社として、国内9社、海外4社、持分法適用会社4社があり、連結従業員数は、約2,850名である。私は現在、連結子会社の一つである東海東京証券鰍ヨ出向中という立場である。 国内ネットワークとして、営業店舗数は、東海東京フィナンシャルグループとして全国に121店舗あり、野村證券、大和証券に次いで3位の店舗数を有している。そのうち東海東京証券は、全国に68店舗、この東海地方に39店舗、愛知県内に30店舗を有している。また、海外ネットワークはアジアを中心に提携を進めているが、最近北米の会社との提携を実施するなど、積極的にネットワークの構築を進めている。
2. 金融危機を乗り越え強くなった企業体質 「東海東京証券」という名前は、合併した結果の名前である。当社もそうであるが、バブル崩壊後金融危機があり、20年間、企業として破綻を免れるため合併や統合を繰り返してきた。そのため、金融業界として、証券会社と都市銀行は、勢力図が大きく変わってきた。しかし、そのような厳しい時代を経てきたおかげで、現在は企業の体質改善が進み、強くなったと感じている。
今後、株式投資を考える場合、金融業界以外でも、同じように厳しい状況を乗り越えてきた企業は体質が強くなっており、投資先として検討するに値すると考えている。
3. 大学時代に実施したアコウダイの研究
(1)きっかけは卒業研究
私は、子供の頃から海や魚が大好きで、釣りや釣った魚を食べるのも好きだった。大学は、家族の勧めもあって、三重大学の水産学部に進んだ。
卒業研究は、「アコウダイの成長曲線を描く」というテーマに取り組んだ。成長曲線とは、横軸が「年齢」、縦軸が「魚の大きさ」を表すグラフのことである。魚の年齢を、ウロコを使って調査し、その成長曲線を基にして資源調査や資源管理、また将来にわたって、アコウダイの種の管理につなげることを目的とした研究であった。
現在も、大学で学生や教授が、私が「アコウダイ」で研究したようなデータを一種一種手作業で集めている。データが何百種と集められることで、魚類の種の生態が判明し、資源管理の役に立つのである。
(2)アコウダイの生息地域
アコウダイは、太平洋側では青森県から高知県沖、日本海側では新潟県から山口県沖に分布し、水深300〜700mの深い海に生息している。通称「赤魚」や「メヌケ」と呼ばれ、我々も口にする機会が多い。通常、水深の深いところに生息し、50気圧前後の圧を受けているため、釣り上げると体内の空気が膨張し、ある程度の水深からは、勝手に浮き上がってくる。アコウダイを含め、水深500m程に生息する深海魚には赤い種が多い。これは水深が深くなると青い光しか届かなくなるためである。青い光は赤いものに吸収される作用があり、アコウダイはその作用を利用し、自分の姿を消しているのである。
(3)アコウダイの捕獲方法
大学時代、三重大学が所有していた練習船「勢水丸」に乗船し、松阪から半日かけ尾鷲沖まで行き、アコウダイを捕獲していた。漁法は、1,000本の針がついた仕掛で漁を行う「底延縄漁(そこはえなわりょう)」を用い、餌には自分で釣ったイカを使用した。
漁は、夕方の17時頃から1時間かけて仕掛を投入し、翌朝7時頃から4時間かけて、仕掛の巻き上げを実施した。そして、午後からは、研究用に釣った魚のウロコや耳石のサンプルを採取した。その後、釣った魚のほとんどを大学名が書かれた箱に詰める作業を行った(箱詰めした魚は、次の研究費用の一部とするため、最終的に三重漁連に買っていただいていた)。最後に、3〜4人で約1時間のうちに1,000本の針に餌付けをし、再度仕掛を投入する、というサイクルを1週間実施した。最終的に、1年間で十数回海へ出て、何千匹ものアコウダイを釣り上げた。そして、その都度採取したウロコや耳石を研究室に持ち帰り、自分の研究を行ったのである。
4. アコウダイの粕漬け 粕漬けは、食材を酒粕に漬ける手法で、昔から保存目的で用いられてきた。平安時代の書物に「粕漬け」の記述があることから、1,000年前には、すでに存在していたと考えられている。昨年、世界遺産に「和食」が登録されたが、粕漬けにすることにより和食特有の「旨み」が出てくることも知られている。また、粕漬けの栄養成分は、原料の米やそれから作られた酒などに比べ、カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛、ビタミンB1、B2、食物繊維などが豊富に含まれている。粕漬けは、塩焼きなどに比べて、塩分が控えめで、「旨み」も多いのでお奨めである。是非アコウダイを粕漬けにして、おいしく食べていただきたい。
5. 水産資源の持続的利用について
現在、水産資源の管理が非常に重要視されている。日本は、国土の面積は世界で61位であるが、排他的経済水域の面積では、世界で6位である。しかし、世界的な人口増加もあり、排他的経済水域の狭い国の人々も魚を食べるように変わってきている。そのため、今後、水産資源の乱獲につながらないよう、これまで水産資源に恵まれてきた日本は、世界の中で水産資源をしっかり管理していかなければならない責任を負っているのである。
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