1. 会社紹介
当社は、1979年に(株)東海銀行の経営相談部門が独立し、(株)セントラル経営センターを設立。その後、1988年に(株)東海総合研究所に社名変更された。2002年に銀行の合併に伴い、(株)UFJ総合研究所が発足、2006年に、更なる銀行の合併により、現在の社名「三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)」となった。従業員数は、約700名、事業所は東京都港区、愛知県名古屋市、大阪市北区にある。
2. 女性がイキイキと働く職場作りに向けて
(1)「女性活躍推進」の現状と課題
最近、マスコミ(新聞・テレビなど)で「女性活躍推進」という言葉をよく目にする。例えば、最近の新聞の見出しから拾っても、1週間のうち何度も「女性の活躍」「女性の活用」が話題に上っている。一方、アベノミクス成長戦略の中で、「現在、最も活かしきれていない人材は、『女性』である。(中略)それは『成長戦略』の中核をなすもの」と安倍総理が語っている。実際、その成長戦略の中で「女性が輝く日本へ」の具体的な施策として、(1)待機児童の解消、(2) 職場復帰・再就職の支援、(3)女性役員・管理職の増加 を掲げている。
現状をみると、どの会社でも、何らかの形で女性従業員(派遣社員・パートタイマーを含む)が在籍している。場合によっては、女性が中核的戦力となっている会社もある。ところが、女性役職者の割合は、平成24年で、係長は14.4%だが、管理職は、課長7.9%、部長4.9%(男女共同参画白書による)である。さらに、女性役員となると、平成25年で、全上場企業の役員全体の1.8%しかいないという現実がある。これらの数字は、諸外国と比較しても圧倒的に低く、「女性の活躍」はまだまだ進んでいないことがわかる。
(2)女性活躍推進が必要な「3つの理由」
1つ目の理由は、「女性の活用(女性活躍推進)」による労働力確保である。例えば30年後の日本の総人口は減少し、そのため、生産年齢人口そのものも現在の8000万人に対し、約2400万人減少し、5600万人になると推定されている(男女共同参画白書による)。そのため、会社の維持・発展には「労働力の確保」が大きな課題となる。課題解決には、「65歳以上の高齢者の活用」、「外国人労働者の活用」等が考えられるが、さらに「ひとつの方法」として「女性の活用」が考えられる。 2つ目の理由は、「女性の活用(女性活躍推進)」による女性の活躍機会の拡大である。そもそも女性が働くことについて、機会の均等は法律で保障され、差別的な取扱いは禁止されている。従って、女性社員について、(1)採用後の配置や担当する職務を見直す、(2)教育や研修、人事ローテーションを見直す、(3)出産、育児などについて必要な支援を行う等の取組みを実施し、本来の能力を活かせる場を整備していかなければならない。 3つ目の理由は、女性が活躍する職場は、意識改革や採用面の効果だけでなく、女性ならではの発想も評価されているという現状である。女性活躍推進によるメリットは、今後多様で広範なものとなる可能性が高い。
(3)女性が活躍する職場作り
女性活躍推進には「2つの方向性」がある。1つは、仕事と家庭の両立支援を中心に「定着度」を上げる方向性、もう1つは、能力発揮を促し「活躍度」を上げる方向性である。この2つの方向性の組み合わせで4通りのタイプが考えられる。(1)定着度が高く、活躍度も高い「いきいき型」、(2)定着度は高いが、活躍度が低い「ほどほど型」、(3)定着度は低いが、活躍度が高い「バリバリ型」、(4)定着度が低く、活躍度も低い「これから型」ある。今後、企業として女性の活用を考える場合、理想的には「いきいき型」を目指し、男女誰もが活躍できる環境を整備することが重要である。
また、女性が活躍する職場作りのためには、(1)経営トップが「女性活躍推進」を明言し、且つ本気であることを「言葉」と「行動」で常に示し続ける、(2)女性活躍推進に向けた「制度」を整備する、(3)女性活躍推進に向けた「制度」が活用される仕組みを整え、実際の利用を促す、(4)女性の「意識改革」に取り組む、(5)さらには、男性の「意識改革」に取り組む等の取り組みの推進が必要である。
3. 効果を上げている女性活躍推進の取り組み事例
(1)X社
この会社で女性が活躍するための取り組みは、(1)製造工程を全面的に機械化、作業負荷軽減により女性の活躍の場を増加、(2)勤務体系は、各人が働きやすい時間帯を設定、(3)急な休みを前提に常に人員を確保、(4)仕事に限らず、家庭の悩み、プライベートな悩み事を相談する機会を設けている等である。
(2)Y社
この会社では、女性が活躍するため「ダイバーシティ推進の取組」を実施。(1)ダイバーシティに関するアンケート、フォーラムの実施、およびダイバーシティに関する数値目標(新卒採用における女性や外国人の比率、女性管理職比率)の設定、(2)女性管理職候補にはメンター制度を導入、(3)女性の職域拡大や異動、(4)男性社員の育児休暇取得等を実施している。また、生産現場において、積極的な女性活用により、多くのメリットが生まれている。
「女性活躍推進」は、今後ますます重要な経営課題になってくると思われるため、皆様の企業でも積極的な取り組みをご検討いただきたい。 |