1. 歓迎挨拶:三菱電機株式会社 稲沢製作所 部克則所長より 三菱電機の稲沢製作所は1964年に名古屋市東区にある名古屋製作所から分離独立し、エレベーター、エスカレーターの専用工場として設立されており、今年秋に50周年を迎える。これまで累計約43万台のエレベーターを生産し、世界92ヵ国に出荷している。91番目はガーナ、92番目はアンゴラであり、アフリカに広がっている。 現在、世界最高速のエレベーターに取り組んでいる。今年12月頃に完成予定の上海タワーに分速1,080m(時速64.8km)のエレベーターを造っている。ちなみに、現在の世界一は台北101の東芝製であり、分速1,010m(時速60.6km)である。 エレベーターは速度の競争もあるが、それよりも世の中で多くのエレベーターが安全、安心、快適に作動することを願って仕事をしている。本日は、そうしたところをショールームと試験棟で見学いただきたい。
2. 稲沢製作所の概要
稲沢製作所の敷地面積184,000m2、ナゴヤドームで4個分くらいである。建物面積は152,000m2である。当社社員で約1,200名、関係会社等も含めると約3,500名が勤務している。敷地内にはショールームや高さ173.0mのエレベーター試験塔「SOLAE(ソラエ)」がある。試験塔は42階建てに相当するが、地上から39階までの高速エレベーターは、極限まで振動が抑えられ、立てた10円玉が倒れない性能である。こうしたエレベーターは横浜ランドマークタワーなどに設置されている。
エレベーターとエスカレーターを総称して昇降機と呼ぶ。稲沢製作所では昇降機とビル管理機能を向上させるビルマネジメントシステムを取り扱っている。
3. 事業環境
国内の昇降機の新設需要は景気回復や消費税増税前の駆け込み需要等により、住宅や大型商業施設の建設需要が増えている。2013年度の国内新設需要は2007年度以来の2万台超が見込まれる。また、エレベーターの商品寿命は約20〜25年である。日本経済のバブル期の建築ラッシュで新設された昇降機が更新時期を迎えている。設置後25年超の当社の昇降機は6万台以上ある。省エネや安全・安心に対する感度が高まっており、リニューアル需要にも力を入れている。
一方、全世界の新設需要は約80万台であり、当社進出先の需要は約75万台と見込まれている。当社は、日本、上海、バンコクの3拠点を核にグローバル事業を推進している。地域密着型オペレーション、地域製造拠点と連携したサプライチェーン構築、製造分業体制強化を図り、グローバル最適事業体制を構築している。
4. 新製品・新技術紹介
省エネ技術によって、昇降機のエコプロダクツ化を推進している。同時に、エコファクトリー化や梱包・輸送、据付・保守、リニューアルなど製品のライフサイクルすべてにわたり環境に配慮した取組みを展開している。例えば、エレベーターの省エネ技術としては、省エネ群管理システム(消費電力を削減できるエレベーターを割り当てることにより、消費電力を最大10%削減)、待機電力制御(利用が少ない時は運行台数を減らして待機させ、消費電力を大幅カット)、エレベーター自動待機モード(かご呼び・乗場呼びが3分間ない場合、かご内の照明と換気の電源を自動オフ。乗場のインジケーターも輝度を落として消費電力をカット)などがある。
効率化、利便性向上の技術では、DOAS(行き先階予報システム)、入退室兼来客管理システム、ハンズフリー入退室管理システムなどがある。稲沢製作所のショールームでは、こうした技術を体験できる。
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