コラム1 【保健師からの健康だより】 No.118
株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里
『 運動をはじめるのはいつがいい? 』
毎年2月は全国生活習慣病予防月間です。これは生活習慣病の一次予防を中心に、その普及・啓発を行う日本生活習慣病予防協会が、2011年からはじめたもので、生活習慣病に対する国民の意識向上とこれによる健康寿命の伸長を目指して行っている活動の一つです。
月間の基本テーマは、以前こちらのサイトでもご紹介した「一無二少三多(いちむにしょうさんた)」です。一無は無煙(喫煙は万病のもと)、二少は少酒(お酒は程々に)と少食(食事は腹七〜八分目)、三多は多動(身体を活発に動かす)と多休(休養をしっかりとる)と多接(活動的な生活)で、初年度から6年間は基本テーマの一無から順に強化テーマが設定されることになっています。4年目になる今年、2014年の強化テーマは「多動」で、毎年公募によって選ばれているスローガンは「運動で 減らす体重 増す寿命」に決まりました。
運動というと日々の積み重ねが大切なものですし、生活の中で年齢を感じる最初のきっかけは運動機能の衰えを感じたときという方も多いことでしょう。ただ、運動を行うのに遅すぎるということはなく、たとえ高齢になってから運動を始めた人でも、健康的に加齢(エイジング)していくことができるという研究が、医学誌「英国スポーツ医学ジャーナル」に発表されています。
英ロンドン大学公衆衛生学のMark Hamer氏らは、平均年齢64歳の高齢者約3,454人を対象に、8年間という期間にわたる追跡調査を行いました。それによれば研究の開始時に、適度な運動や活発な運動を週に1回以上行っていて、それを続けられた人では、運動をしてこなかった人に比べ「慢性的な病気を管理してメンタルの良い状態を維持し、認識能力や社会的なつながり、活動を維持できる可能性」が3〜4倍に上昇することが明らかになりました。また、8年間活発な運動(週1回以上)を続けた人は、健康的な高齢者になる可能性が7倍に上昇しています。はじめは運動習慣をもっていなかったけれど、途中で週に1回以上の運動を始めたという人でも、運動がもたらす恩恵は大きく、前述のような状態を維持できる可能性が3倍に上昇しました。「運動不足は、大量の飲酒や肥満に並んで、平均寿命を縮める主な要因です。健康のために運動を習慣として行うことが必要です。研究では、年齢が高くなってから運動を始めた人でも、運動がもたらす恩恵は大きいことが確かめられました」とHamer氏は話しています。
2013年度に改訂されたアクティブガイド2013でも、一日10分歩くことからの活動が勧められています。急に無理な活動をすることは怪我や事故にも繋がりますのでお勧めしませんが、この機会に、自分の今の体力にあった活動を自分にあったペースで少しずつ始めていきませんか?
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