1. トヨフジ海運(株)駒田社長の歓迎挨拶より
中部経済同友会産業懇談会の方々がお越しになり、心より歓迎の意を表したい。
輸出産業や中部企業のニュースに関連して、自動車の船積作業がテレビや新聞で紹介されていると思うが、本日はその内容を直に皆様に見学して頂く場を設けた。
私自身が社長に就いた2005年は、ちょうど団塊世代が60歳定年を迎える2007年問題が話題になっていた。当社もそうであったが、熟練作業者のノウハウを次世代にどう継承するかいうことが大きなテーマであった。私共はこの船積作業を含め、ベテランが抜けた後の技能伝承について議論し、社内及び港湾協力会社と共同で「職場力強化活動」を立上げ、3本柱「標準化」「人材の育成」「チームワーク作り」に基づいて様々な活動を展開している。
「標準化」では標準作業書を作成して作業遵守の徹底を図り、「人材の育成」では本日見学していただく物流道場を活用した教育制度の導入、そして「チームワーク作り」では、安全をテーマとしたQC活動などを行なっている。又、港湾協力会社のトップとの交流で定期的に工場見学などの懇談会を行ない、職場力強化活動の成果や課題を共有している。
このような活動の産物として、安全については作業事故が年々減少し、過去、年に数10件もあった物損事故台数が'10年から'11年までゼロを達成できた。残念ながら、'12年度に事故が発生して記録が途切れたが、本年は新たな気持ちで無事故の継続を目指して頑張る所存である。
本日、皆様には、私共のこのような活動について頭の片隅に入れていただき、名港センターを見学していただければと願っている。
2. トヨフジ海運(株)の概要
トヨフジ海運(株)は、トヨタ車の海上輸送を円滑に行うことを目的にして、1964年に設立された。出資元はトヨタ自動車(株)50.0%、(株)フジトランスコーポレーション33.3%、トヨタ輸送(株)16.7%である。事業内容は(1)国内海上輸送、(2)海外海上輸送、(3)輸出ターミナルオペレーション(ヤード管理、構内・船積作業、通関)である。
国内海上輸送は、国内における完成車・工場生産用部品の輸送が主で、トヨタ車の国内海上輸送は2012年度実績178万台、シェア100%である。トヨタ車に限らず、全国内メーカー車を対象とすると、フジトランスとの共同輸送で8割のシェアを占めている。また、海外海上輸送は、アジアを中心とした航路にて2012年度実績で62万台を輸送しており、又、海外に拠点を設置して内航輸送やターミナルオペレーションにも手掛けている。
そして、輸出ターミナルオペレーションではトヨタ海上物流基地の一括管理と運営を行ない、世界一の自動車専用ターミナルとして、安全・高効率・高品質維持・低コストに向けて常に改善に取り組んでいる。又、ターミナルオペレーションでは安全活動が不可欠であり、当社と港湾協力会社が一体となり、標準作業遵守活動、リスクアセスメントなどの事故未然防止活動、教育や訓練を推進している。その結果、駒田社長の話にもあったように、2010年度には創業以来初となるすべての事故ゼロ(国内作業事故ゼロ、船舶事故ゼロ)を達成し、2011年度もゼロを継続した。
3. 名港センターの概要
名港センターは、トヨタ車の効率的な海上輸送システムを実現する為に1964年に設立され、敷地面積約50万m2、収容台数約25,000台の海上輸送基地である。輸出は欧州を主に年間65万台、国内中継では年間に77万台を取り扱っている。
現場作業は、構内作業と船積作業に分かれ、構内作業は名港センターに搬入された自動車を点検して各ヤードへの移動仕分けや情報入力などを行なう。
船積作業は、「ギャング」と呼ばれる15名が1組になったチームが、プランに沿って、海外の揚地での作業が前進でできるように自動車の積み付けを行なっている。ギャングの15名は、(1)足バス運転手1名、(2)商品車ドライバー6名、(3)船内積付指示者1名、(4)船内積付者2名、(5)船内固縛者5名で構成されており、こうしたギャングが船毎に何組かつくられている。
4. 見学の概要
当日は、バスで名港センターを移動して自動車の受け入れから各ヤードへの流れと実際に作業中の自動車運搬船「TRANS FUTURE 10」の船内を見学した。自動車が積み込まれる入口から船内に入ると、ギャングが自動車を左右10cm、前後30cmの間隔で順次積み込んでいる様子を見ることができた。同船は2010年9月就航、全長165m×全幅28m、総トン数約28,900tであり、積載能力は完成車約2,000台である。
また、ジャンピングスロープという5階から直接10階まで走行できる施設を備えており、高効率船積船が歌い文句である。操舵室や船員室なども巡回し、船の安全運航の設備などの紹介もしていただいた。そのほか、2006年開設のトヨフジ物流道場、2010年開設の安全模擬訓練所を見学し、トヨフジ海運の教育や安全活動に対する取組みを拝見することができた。
見学後、PRホールにおいて活発な質疑応答も行われ、大変有意義な見学会となった。
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