コラム1 【保健師からの健康だより】 No.109
株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里
『 +10(プラス・テン)から始めよう! 』
「世界最高齢の男性」としてギネスブックに認定されている木村次郎右衛門さんが、今年4月19日に116歳の誕生日を迎えられました。京都府京丹後市に住む木村さんは、国内外から寄せられたお祝いメッセージに「サンキューベリーマッチ」と得意の英語で喜びの言葉を述べたといいます。そしてその約1か月半前、3月5日には「世界最高齢の女性」として同じく認定されている大川ミサヲさん(大阪市東住吉区在住)も115歳を迎えています。写真や映像でお顔を拝見すると、お二人とも肌の色つやがよく、朗らかな笑顔が印象的です。
4月16日に公表された人口推計を見ると、平成24年10月1日時点で100歳以上の方は51,000人(前年より4,000人増加)という結果が出ています。日本の平均寿命は世界トップクラスを維持し続けていますから、ますます元気で自立して過ごせる時間"健康寿命"を伸ばしていきたいものです。
厚生労働省は2013年度から「健康日本21(第2次)」を開始するにあたって「健康づくりのための運動基準2006」を改訂した「健康づくりのための身体活動基準2013」と「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」を発表しました。新しい指針では「+10(プラス・テン)から始めよう!」をキャッチフレーズに、身体活動時間の目標「16〜64歳は一日60分」「65歳以上は1日40分」を達成することを目指しています。
身体を動かすことによる効果は、肥満や生活習慣病の予防にとどまらず、がんやロコモティブシンドローム(骨、関節、筋肉などの運動器がそれ自体の疾患や加齢によって障害されることで要介護リスクの高い状態になること)、認知症の予防にも役立ちます。こういった知識の普及はされてきているものの、実際に運動をしている人の割合はあまり増えていないこと、身体活動の指標となっている"歩数"がここ10年の間に全年代で1000歩(時間にして10分)程度減少していること、などがその根拠になっています。新しい習慣を身につけるには努力が必要ですが、「一日10分」であれば工夫次第なんとかなりそうですね。
現代のビジネスマンは、身体を使うことよりもパソコンに向かって目や耳、脳をフル稼働して働くスタイルの人が多くなっています。時代と共に働くスタイルが変化していくのは自然な流れですが、慢性的な疲労をためてしまいやすいのも事実です。身体を動かした後の疲れは、脳を酷使した後の疲れと違って心地よさを感じるものですし、ぐっすりといい睡眠がとれて翌朝さわやかな目覚めを迎えられることも多いものです。ちょっと意識して身体の声に耳を傾け、身体が喜ぶことをはじめていきませんか。
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