1. 会社概要と自己紹介
NTT DATAは、一言で表すと「世の中を便利に変える仕組みをITで作っている会社」と言える。昨年度でグループ企業は世界全体で約220社、売上高は1兆2千億円の企業グループを形成している。NTTグループの一角を占めているが、電話通信を取り扱う会社ではなく、いわゆるシステムインテグレーション事業を生業としている会社である。なお、 NTTグループでは東日本、西日本が国内の地域通信事業を、コミュニケーションズが長距離通信と国際通信事業、ドコモが移動体通信事業を担っている。
株式会社NTTデータ東海は、東海地域におけるNTT DATAグループの事業拠点として、2003年7月に設立された。従業員数は約400人である。
近年、NTTグループ全体としてグローバル化を進めているが、中でもNTT DATAグループは早くから業務提携、M&A等により海外への事業展開を着手しており、現在では約5万人を超す従業員のうち約4割が海外の社員が占めるようになり、社内会議でも英語や日本語が飛び交う場面も多くなってきている。
私は昭和60年、電電公社からNTTに民営化された年に入社した。当時は国産コンピュータを国内企業と連携して開発しており、OSや通信制御ソフトウェアの開発を緒に、システムインテグレーション事業に携わってきた。一昨年に当地に着任するまでは、中央省庁等のシステム開発を担当していた。
本日は貴重なお時間を頂戴したので、私どものグループ会社や仕事の紹介とともに、最近のITの動向や注目技術についてお話ししたい。
2. ITの動向について
近年、ITの変革は極めて激しい。私が入社した当時はメインフレームという大型コンピュータが主体の時代であった。まもなく小規模なオフコンやミニコンに置き換えられ、さらにパソコンやサーバが活躍する時代となった。また、情報処理の手法も時々に変遷してきており、高性能のコンピュータで集中処理する手法から、複数のコンピュータをネットワークを介して互いに通信しあい大型コンピュータと同じ性能を出そうという分散コンピュータの考え方も出てきた。昨今はネットワークの高速化等、インターネットの接続環境の整備を背景にコンピュータの設備を共有するクラウドコンピューティングの利用も普及してきた。このように情報処理の手法は集中、分散を繰り返しており、さらに昨今ではモバイル端末の想像を遥かに超える発展が、その進展に拍車をかけてきている。
大量のデータを扱う上の三大要素技術として、CPU(中央演算処理装置)、ストレージ(記憶装置)、ネットワークがある。最近の市販パソコンのCPU能力は1969年に月面着陸したアポロ11号計画で使われたものと比較して5万倍の処理能力がある。スマートフォンにはそれ以上のものまで搭載されている。ストレージは1988年には1つのドライブで20メガバイトであり、新聞20部ほどの情報の容量であった。1998年には5ギガバイトになり、新聞5千部相当、新聞紙を積み上げると高さ10m分にもなる。今は6テラ、新聞紙の高さは1万2千m分の高さになる。さらに、ネットワークは急速に速くなっている。
3. 注目技術のご紹介
コンピュータ業界は女性ファッション業界よりも流行志向が強い唯一の業界とも言われている。情報化社会を映すキーワードの変遷は、激しく次々と変わる。注目すべき技術動向として、モノのデジタル化のインパクト、ビッグデータという2つの面から話したい。
デジタル化は本当にいろいろなところで影響を及ぼしている。身近なところでは、音楽や出版、地図で進んでいる。消費者からすれば、保管スペースが減少し、検索がしやすくなった。また、複製が簡単になった。企業からすれば、資源が節約できるほか、市場の変化に対応できる。ただし、違法コピーへの対応は必要である。これまでは音楽や映像、画像のデジタル化が中心であったが、現在はモノがデジタル化される動きが出ている。3Dプリンター、電子設計図による造形が盛んになるだろう。
ビッグデータへの取組みでは、データの収集とデータの活用に分けられている。また、日本ではまだ進んでいないが、データの所有権や共有化、オープン化についてはっきりさせなければならない。様々なデータの収集することを検討するなかで、それらをどのように処理し、活用するかが課題である。その際、個人情報の安全が守られなければならない。集めた技術の暗号化や匿名化の技術がこれから非常に重要になる。また、大量データを速く処理し、検索する技術に留まらず、概念処理、概念検索の技術も必要である。 |