1.高速道路交通安全セミナー
当社は、旧日本道路公団が平成17年10月に東日本・中日本・西日本の3社に分割・民営化して設立された。当社の事業エリアは、東は東京、西は滋賀県が境になっており、具体的には、東名高速道路、中央自動車道と4月に開通した新東名高速道路、北陸自動車道の富山県朝日インターチェンジ以西、名神高速道路の八日市インターチェンジ以東、新名神高速道路の甲賀土山インターチェンジ以東となっている。
「高速道路交通安全セミナー」は、高速道路での交通事故削減を目的に実施しており、これまで約10万人の方に受講いただいた。自動車交通では「ドライバー」、「自動車」、「道路」の相乗効果で安全性が向上することから、高速道路をよく知っていただくことでより高い安全レベルを確保したいと考えている。高速道路は高速で安全に走行できる道路であり、いわば「急がなくても速い道」であるが、昨今の通行料金に関する施策などにより、一般道との区別が意識や走行内容から希薄になっていると思われ、それが事故の増加につながっている。
2.高速道路の事故状況
平成23年度における当社管内の総事故件数は13,057件(約36件/日)、うち死傷事故は1,465件(約4件/日)であり、ここ数年の死亡事故は増加傾向にある。死亡事故の特徴として、大型車が関連する割合が半数以上となっている。また、パンク修理などで車から降りている間に事故に遭うといった人対車両の事故件数が増加している。
故障や事故に遭った際には、路肩や非常駐車帯に停車し、ハザードランプ、非常停止板等により後続車へ合図した後、ガードレールの外などの安全な場所に避難のうえ非常電話か携帯電話の#9910で道路管制センターに通報することが大切である。
3.危険な場面と防衛運転
高速道路本線での事故の2割以上が渋滞中の事故である。特に、渋滞末尾では死傷事故となる割合が高く、渋滞外の事故と比べ約1.8倍となる。渋滞末尾に着く時には(1)ハザードランプで後続車に渋滞を伝え、(2)後続車の減速を確認し、前車との車間距離を十分取りながら、(3)後ろに何台か着くまで安心しないことが防衛手段となる。また、咄嗟の路肩避難に備えて、走行車線に着くことをお奨めする。
当社では、渋滞対策への取組みとして東名高速道路の岡崎地区において、暫定3車線に改良して運用したところ、渋滞量が約95%、事故件数が約33%減少した。
更に、高速道路を走行するにあたっては、次の4点にご注意願いたい。(1)本線を逆走する車両が関係する死傷事故が発生しており、情報板に「逆走車有」の表示をみた場合、逆走車の約7割が追越車線を走ってくるため、走行車線に避難することを推奨。(2)本線への落下物は約200件/日で発生しているが、落下物を発見した場合には急ブレーキ、急ハンドルは厳禁である。(3)ETCレーンではETCカードの未挿入などによりバーが開かない事象が約3,000件/日発生しており、バーの手前で止まった車両に後続車が追突する事故が起きている。ETCレーンでは20km/h以下の安全速度で十分な車間距離を保った走行が必要である。(4)シートベルト非着用により、車外に放出される事故は悲惨であり、後を絶たない。平成20年6月に後部座席のシートベルト着用義務化が行われたが、運転席や助手席に比べて着用率は低く、車外放出による死亡割合は運転席の2倍以上ある。また、その着用効果は、車外放出や自らの致命傷を負う危険性の回避だけではなく、同乗者に対する加害性の回避にもなる。
4.安全運転とエコ
高速道路での経済速度は80km/hである。100km/hでは燃費が約18%ダウンし、CO2排出量が約16%アップする。そして、無用なブレーキ、速度変化を避けることがエコにつながるが、(1)ひとつ先の動きを見て運転、(2)ゆとりある車間距離を保つ、(3)上り坂の速度低下を見越し、手前から少し速めの速度で坂に進入することが運転がコツである。すなわち、安全運転がエコ対策となる。
最後に、中日本高速道路では、本日お話しした高速道路上での事故や交通安全のポイントをお伝えする交通安全セミナーの出前講座を通年で実施しているので、いつでもご相談いただきたい。
(事務局:名古屋支社 総務企画部 企画調整チーム 052-222-1181(代表)) |