産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】  第122号 2012.7.31発行

 メールマガジン■産懇宅配便■

平成24年7月度(第122号) 目次
【24年6月度産業懇談会(火曜G)模様】 6月19日(火) 12時00分〜14時00分
【24年6月度産業懇談会(水曜第1G)模様】 6月20日(水) 12時00分〜14時00分
【24年7月度産業懇談会(木曜G)模様】 7月5日(木) 8時50分〜18時00分
【24年7月度産業懇談会(火曜G)模様】 7月10日(火) 12時00分〜14時00分
【名古屋いちばん物語】 No.31
【新会員自己紹介】
阿部 陽一氏

三菱商事株式会社 中部支社総務業務部長

小松 良郎氏 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 理事 東海ディーラー本部長
多田 清氏 三菱UFJリース株式会社 常務取締役
【9月度産業懇談会開催日程】
【4グループ合同懇親会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 【保健師からの健康だより】 No.100
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.45
コラム3 【苗字随想】 No.122

【24年6月度産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ『 成功は缶コーヒーの中に 』

日  時:平成24年6月19日(火)12時00分 〜 14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
参加者:41名

スピーカー:
谷田 利景(たにだ としかげ
株式会社ポッカコーポレーション 創業者

谷田 利景氏

1. コカ・コーラに挑んだ男
 コカ・コーラを飲んだ時、私は薬の味がすると思ったが、「スカッとさわやかコカ・コーラ」という宣伝と共に若者の間で売れるようになった。そして、飲料メーカーのトップになった。そんな折、私は缶コーヒーにチャレンジした。コカ・コーラをはじめ日本の飲料もすべてビンの時代に、「これからはビンの時代ではない。使い捨ての時代になる」と考えた。
 あわせて考えたことは、自動販売機でホットにして売ることであった。当時の厚生省は、「清涼飲料水はビンを洗浄して100度で殺菌したものを詰めること」という規則があるだけだった。しかし、缶に詰めたコーヒーを自動販売機で温めて、1か月、2か月たつと、不良品が出てきた。ここにホット缶コーヒーを作ることの難しさがあった。殺菌不良などが考えられたが、大学や保健所ではわからなかった。自前の研究所で徹底して分析調査したところ、砂糖に混じった菌の殺菌不良であることが判明した。トコトン調べることの大切さを知った。
 自動販売機は当時1台50万円と高価であった。銀行や商社に行っても大きな投資であり、金は貸せないとのことだった。タバコ屋の前に自動販売機を置けば、喫茶店を店先に開いたのと同じと思っていた。1年で回収できると思い、缶コーヒーの自動販売機の販売に傾注した結果、その実績が出ると日本中に広まった。
 誰も缶コーヒーを考えられなかった。売れるかわからなかった。自動販売機でコールドだけでなくホットで缶コーヒーを売るという、缶コーヒーの将来を予言し、将来の夢を実現していくということが私の力になった。

2. 私の夢、名古屋の夢
 日本がこれからどうなっていくのか。これからの名古屋はどうなるのか。中部国際空港ができて、万博をやって、何が残っているのか。ものづくり愛知がどこに残っているのか。愛知はものづくりで戦っていかないといけない。名古屋に来たいと思わせる名古屋の魅力を作る必要がある。それは何かというと、私はロボットミュージアムだと思う。三菱重工は名古屋で宇宙衛星ロケットを作っている、なぜ公開しないのか。模型でよい、月旅行の夢を打ち出すなど、将来の夢が欲しいと思う。
 新しいことに挑戦する。まだまだ新しいこと、新しい夢はある。もっともっと挑戦すべきである。私は今でも新しいことに取り組んでいる。例えば、地域の食文化を通じて産業活性化を図るために「食・尾張プロジェクト」に取り組んでいる。きしめんを名古屋の名物として全国展開したいと思い、きしめんのコンクールなどを企画している。また、「商品開発こそわが人生」であると思い続け、勉強会を主催し、後進たちに「商品開発」を指導することを通じて「ものづくり」の大切さ、楽しさ、喜びを訴え続けている。
 私は85歳ではあるが、まだまだ新しいことに挑戦するという夢を描いている。皆さんも一緒に名古屋の夢を創りましょう!

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【24年6月度産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ『 町工場 あっという間の47年 』

日  時:平成24年6月20日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:22名

スピーカー:
株式会社サイトー 取締役会長
齋藤 道雄(さいとう みちお)氏

株式会社サイトー 取締役社長 
齋藤 充廣(さいとう みつひろ)氏
齋藤 道雄氏 齋藤 充廣氏

1. 会社沿革
  当社は、1964年に創業。73年に大手陶器メーカーより食器焼成炉の製作依頼を受ける。その後、食器焼成で培った技術を活かし、タイル、レンガ、トイレ、プラズマディスプレイパネル等の焼成装置を製造するに至り、現在は携帯電話やノートパソコン、スマートフォンに使用されているセラミックコンデンサーやリチウムイオン電池等の焼成装置を製作している。また、焼成装置以外でも自動車業界・医療業界を筆頭として、あらゆる産業の生産・搬送設備にも関わっている。経営指針には、『「こんないい会社なくしちゃいかん」とお客様に心から思って頂けるような会社にすること』を念頭に置き、最高の製品と信頼をお届けするよう励んでいる。

2. 代表的なキルン(工業炉)のラインナップ

  • 窯業(食器、タイル、衛生陶器)用キルン
  • 電池材料焼成用キルン
  • プラズマディスプレイパネル焼成用キルン
  • シャトルキルン:工業用砥石焼成用
  • ロータリーキルン:コンクリート材料焼成用
  • セラミックコンデンサー焼成用キルン:スマートフォン、薄型テレビ、ノートパソコン内のセラミックコンデンサーの焼成に使用。
  • その他、これら装置に付随する自動搬入、排出、回収装置

 最近、セラミックコンデンサー焼成用キルンがよく出ているが、日本の半導体における地位低下に伴って、最近では韓国の電気メーカーに納入している。韓国メーカーは意思決定が早く、日本では導入決定まで3〜6か月かかるケースが多いところ、早ければ2週間ほどで決定する。また、情報管理が厳しくパソコンを持ち込むとメモリが増えていないかのチェックを受けたり、最近では紙の持ち込み自体が禁止されているような所もある(お客さんに渡す資料の紙は持ち込み可)。

3. 製作工程について
 製作工程としては、お客様のご要望に合わせて仕様の検討を重ね、経済性、耐久性、省エネ性あらゆる面で満足度の高いシステムを作り上げていく。
 全てオーダーメイドであり、お客さんの生産物及び工場に合わせ、長さ、幅、高さ、色、温度、スピード、等を決めそれに合った形で設計し製作している。
 「製作=研究開発」となるため、なかなかノントラブルでスムーズにいくことはない。
 全く同じ物を量産する形ではないため、その点が大変である。
 設計に関しては、高温度帯に使用する部材は高価であるため、過去の実績より、安全率を計算し、入口から出口まででそれぞれの温度帯にあった部材を選択し、コストダウンに努めている。
 この選択を誤ると、部材の破損及び生産物の破損に繋がるため、最新の注意を払い設計している。
 引き渡し後、メンテナンスという形でシステムに関わり、アフターケアにも十分に配慮し万一のトラブルにも迅速に対応するのが、当社の強みである。

4. 医療用滅菌装置(過酸化水素ガス除染・滅菌)
 医療機器の分野では、過酸化水素を使うことによって、凝縮のないドライプロセスで除染・滅菌ができる装置を製作している。パソコン等の電子機器をはじめ様々なアプリケーションの滅菌も対応可能。副生成物が酸素と水のため安全であり、人と環境に優しく、従来のガス除染・滅菌方法より、サイクル時間の短縮が可能である。ユーザー様からも部屋除染にこれまでのホルムアルデヒドを使用すると10日必要だったものが、これによって4日となり、入室時の異臭や部屋・備品へのダメージもなく、管理レベルが向上したとの声をいただいている。
 今後もあらゆる設備の設計・製造・試験・設置・メンテナンスまでを請け負う総合エンジニアリング企業として発展していきたい。

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【24年7月度産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ『 パナソニック(株)視察会 』

日  時:平成24年7月5日(木)8時50分 〜 18時00分
場  所:パナソニック(株)アプライアンス社(滋賀県草津市)
参加者:19名

高見 和徳氏
見 和徳氏
一色 毅氏
一色 毅氏
脇 浩史氏
脇 浩史氏
内田 義人氏
内田 義人氏

 今回の産業懇談会視察会では、パナソニック(株)アプライアンス社を見学した。
 8時45分に名古屋商工会議所に集合し、バスで目的地であるパナソニック(株)アプライアンス社(以下「アプライアンス社」)に向けて出発し、予定通り10時30分に到着した。

◆アプライアンス社概要説明(説明者:アプライアンス社社長 見和徳)
 アプライアンス社は、パナソニックの社内分社として2012年1月に大型の空調設備などに強みを持つ三洋電機、理美容などに強みを持つ松下電工と合併して設立された。「アプライアンスNo.1の環境革新企業」の実現を目指し、家事・調理・冷暖房・給湯・美容・健康など幅広い分野の製品を生産している。
 従業員数は国内約9千人、海外約32千人であり、海外工場は47拠点、国内は9拠点である。一番遠い拠点はブラジルサンパウロで、冷蔵庫を作っている。中国には23拠点があり、海外拠点の多くはアジア地域である。国内から海外へのシフトが進んでおり、インド、ベトナム、ブラジルへの展開が終わると、次はアフリカだと考えている。また、ミャンマーも自由化が進むと大きな市場となると見込んでいる。
 グローバル化していくには、人材が重要である。人材育成のために、50人採用すれば10人ずつ5グループでそれぞれ外国語を会社の支援のもとで1年間学んでもらい、語学力を習得してもらってはどうかと考えている。グローバル化には言葉の壁があるので、通訳を通してではなく自身でコミュニケーションを取れる人材をつくることが肝要である。

◆パナソニックの環境経営(説明者:専門店グループGM 一色毅)
 爆発的な人口増加、資源の枯渇、新興国の成長など、世界は転換期を迎えている。弊社の国別環境行動調査によると、先進国では節電、新興国では節水に対する意識が高い。日本では、震災により、電力安定供給神話が崩壊し、新たなニーズ市場が誕生している。当社は、世界中の次世代の人たちのためにくらしからのグリーン革命を先導していく。
 創業100周年ビジョンとして、全事業活動の基軸に「環境」を置きイノベーションを起こすという意味で「アプライアンスNo.1の環境革新企業」を掲げ、環境貢献と事業成長を一体化し両指標を同時に追求している。また、グリーン指標の達成をするためのアクションプランとして「グリーンプラン2018」を定め、環境課題への取組みを実施している。

◆アプライアンス社の環境経営(説明者:環境推進グループ グループマネージャー 脇浩史)
 2011年10月「エコアイデア宣言」を発表し、CO2±0(ゼロ)のくらしの実現、「循環型ものづくり」で資源を限りなく活用、地域環境保全活動を推進している。取組みにあたっては、CO2削減など環境パフォーマンスを業績評価のポイントとしている。
 CO2削減の4つのコア技術として、エネルギーを効率的に制御する「インバーター技術」、エネルギーを有効に使う「ヒートポンプ技術」、エネルギーの無駄を抑える「断熱技術」、そしてエネルギーを創り出す「創エネ技術」があり、省エネ商品の開発を行っている。
 循環型ものづくりとして、使用済みブラウン管から真空断熱材へと循環させ、冷蔵庫などの商品に活用することで、モノづくり時のエネルギー抑制にも配慮している。

◆ショールーム&エコナビハウス、冷蔵庫製造工程視察
 ショールームでは、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの最新エコ商品を見学した。また、海外展開している製品も展示してあり、欧米向けの冷蔵庫は、扉を開けた後に引き出しも開けるなど手間のかかる仕様となっていたが、手間よりもシンプルなデザインが重視されるとの説明があった。
 エコナビハウスでは、「自分でできる省エネ」と「エコナビにできる省エネ」についての説明があった。自分でできる省エネとして、エアコンでは設定温度を控える、室外機の通気口付近に物を置かない、冷蔵庫では冷蔵室は冷気が流れるようにすっきり、冷凍庫はぎっしり物を入れる、熱いものは冷ましてから冷気が上から下へ流れるので一番下に置くなどの具体的な取組みの紹介があった。エコナビにできる省エネとして、エアコンは人のいるところだけ冷やす、冷蔵庫では使用者の生活リズムから開閉を行わない時間帯の電気使用を減らす、洗濯機では汚れの量に応じて水の量を変えるなど、事細かな節電機能が紹介され、環境技術の高さを体感した。
 冷蔵庫工場では、冷蔵庫の生産の一連の流れを見学した。普段見ることのない、冷蔵庫の裏側や中身を具に見ることができ、またパナソニックの安全や品質に関する意識の高さが作業員や職場から見てとれた。

◆太陽光発電システム(説明者:エナジー&ライフソリューショングループGM 内田義人)
 全国の住宅用太陽光発電設置数は2011年に累計100万件を突破した。2009年に余剰電力の固定買取制度ができ、06年に打ち切られた補助金が08年に再開されていたこともあり、大きく実績が伸びた。なお、愛知県は補助金の支給額が全国で1位である。
 オール電化と太陽光発電の組み合わせは効果的である。その理由は、オール電化の料金体系が、昼間の電気代が高く、夜間が安いためだ。家庭においては朝と夜の炊事の時間帯に多くの電気を使い、昼間はあまり使わない。太陽光発電は昼に多くの電気を発電する。電気代の高い昼間は自家発電で賄え、余剰分は売電するため、電気代がお得となる。
 パナソニックの太陽光パネル(HIT)の特徴として、(1)発電時のロスを削減し高変換効率と高出力を可能、(2)夏場の高温時にも高出力で業界最高水準の発電量、(3)ウォータードレインコーナー採用で汚れ防止性UPとなっている。また、HITの強みは、ソーラーカーレース(2011World Solar Car Challenge)で優勝という結果をもって実証された。
 3.11以降、停電時に生活に必要な電力を供給するという「もしもに備える」という意識が高まり、太陽電池と蓄電池との連携も進んでいる。また、弊社と藤沢市などとの共同で、世界に先駆け、太陽光パネルや家庭用蓄電池を大規模に全戸導入したスマートタウン構想(FUJISAWAサスティナブルスマートタウン)を推進している。

 視察終了後、記念撮影を行い、パナソニックの多くの社員が青い自社の旗を振って見送ってくれた。お客様を大事にするというパナソニックの社風を目の当たりにし、感激しながら帰路に就いた。

集合写真

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【24年7月度産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ『 新たな公が主役−モノづくりから・モノ語りづくり− 』

日  時:平成24年7月10日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:27名

スピーカー:
夢童 由里子(むどう ゆりこ
株式会社夢童アート 社長

夢童 由里子氏

1. 今、関わっている、麗水世界博覧会について
 2012年5月〜韓国の麗水にて「生きている海と息づく沿岸」をテーマに世界博覧会が開催されている。隣の国、「韓国の勢いを非常に感じる」博覧会である。日頃の見学・視察もいいが、中国・韓国の凄まじいパワーを感じ取れる博覧会に、経済力という視点からも是非、足を運んで欲しい。「BIG-O」と呼ばれる巨大なO字型の構造物は、華やかな照明と最高70mの水柱が噴き上がり、レーザーショーと海上噴水ショーが華やかな空間を演出する。また、「エキスポ・デジタル・ギャラリー」は、空に浮かぶ巨大なLEDスクリーンで、60インチテレビ約6324台分に相当する大きさがある。私は、このスクリーンに韓・中・日の国際子ども絵画交流展の受賞作を上映することを企画し、麗水世界博覧会に提案、公式プロジェクトとして実施されている。受賞作を決定するにあたって、韓国の審査員からは点数化することを強く求められ、韓国が内申書重視であることや、国全体の上昇志向を実感した。企業パビリオンが各々面白い、ロボット館では子供たちが目を輝かせて見学していた。世界に打って出る次世代の勢いが、そこにはある。日本館は震災のことをテーマに表しているが、もっと生の声をいれて、苦悩や切なさや回復期の営みをあらわしてほしかったと思う。(因みに博覧会組織委員会より、国際広報委員・大使を委嘱されている)

2. まちづくりに寄与したい。まちを彩る作品群。
 私は京都出身で名古屋に来て、数多くの作品を創ってきた。高校・大学と日本画を学んで来たが、立体についての勉強や作品を作っていく中で、コンピュータ制御のからくり人形やブロンズ制作に行きついた。余計なものは削ぎ落とし、全体の中で何が一番大事かを意識して創作している。企画する時、カラクリ作品にも、まちづくりにも日本画で学んだ「元素」が自分の中で活きているように思う。いくつかの作品を紹介すると、

【ジェイアール名古屋タカシマヤ・誕生2周年記念からくりモニュメント】
 コンピューターで制御された4体の人形たちが音楽に合わせて演技をする。また、高島屋は「薔薇のマーク」が定着しているため、人形の衣装に徹底的こだわり、ふんだんにバラをあしらって優雅なイメージを醸し出した。
作動時刻 : 12時 13時 15時 17時 19時 (演技時間 4分20秒)

【宗春爛漫(むねはるらんまん)】
 七代尾張藩主徳川宗春公をテーマに制作し、大須観音境内に設置されている。尾張藩の歴史、まちづくりを約30年勉強してきた。尾張市中を派手な赤い着物、長いキセルを持ち唐人笠姿で練り歩く宗春など合計7体の人形をコンピューター制御でからくりを行う。
作動時刻 : 11時  13時 15時 17時 18時30分
(演技時間 6分)

【恋人たちのモニュメント】
 諏訪湖サービスエリアに石のモニュメントを設置した。左右の石柱に二人で同時に触れることで、音色を奏でる機能が内蔵されており、ランダムに曲が様々なタイプのものがあるため、「音色のおみくじ」としての参加型モニュメントである。除幕式の際、カップルが触れると最初に聞こえたのは赤ちゃんの声であり、再度挑戦するとウェディングマーチが流れるというハプニングもあって、マスコミにも大きく採り上げられた。

【愛知万博・日本の塔「月」】
 日本の光と風と水を表し、悠久の時の流れを伝えるこの10mの塔は、月の形で象徴された、過去から未来への渡し船。天空を舞う童子たちが希望、優しさ、凛々しさを示す。他はすべて撤去されたが、このモニュメントは永久設置モニュメントとして万博会場跡地に保存されている。
作動時刻 : 11時 12時 13時 14時 15時
(演技時間 5分30秒)


3. 名古屋城本丸御殿復元に向けての活動について

 名古屋の観光の目玉としての文化財。焼失し、忘れ去られようとしていた本丸御殿の復元を喚起する目的で「春姫」という歴史上の人物にスポットを当てたお祭りとして「春姫道中」を企画した。紀州浅野家から初代尾張藩主徳川義直公に嫁いだ、春姫の輿入れ行列を再現したもので、今年で18回開催している。知事や市長、各役所の局長、一般市民がボランティアで古式ゆかしい衣装をまとい熱田神宮から名古屋城までを練り歩く。クライマックスは嫁いできた春姫の新居がなく、「御殿はどこじゃ〜」と訴える。本丸御殿復元の機運を盛り上げて官主導ではなく、春姫道中を主催する市民団体「名古屋城文化フォーラム」が中心となって再建にこぎつけたと、自負している。

4. 新しい公が主役
 この土地に人を呼ぶためにモノを作って発信しているつもりでも、本当に核になるものが何なのか、明確ではない。自分の街のありよう、他所から来た人に「案内できる街の深さを知っているか」と問いかけると、意外に「行った事がなく知らない」ことが判る。中部経済同友会文化の街づくり委員会において、自分たちの街をもっと知って、自慢できるように「ステキ・小粋・街歩き」活動を行っている。人間は何を持って潤いを感じるのか。物欲は一時である。文化を育てあげるという満足感がこの町には欠けているのではないか。
 本日のテーマ「新しい公が主役」という意味は、自分たちも行動を起こさないと世界は動いていかない。そして、ボランティアといっても、やる以上は責任を持ってやっていかなければならない。人の批判はいつでもできる。何かコトを起こそうと行動することが大事であり、日本を、愛知を、名古屋を動かすことになるのではないか。
 是非とも、中部に人々が観光で来るような、ある意味の「幻想」を抱かせる街になりたい。「あそこに行ってよかった。」と思わせる尊敬される街づくりをしたいものである。
 それには、まちのいろどりに敏感になり、大局的空間をつかむ努力を惜しまず、あらゆるものにストーリー性を感じ「ものがたりを紡ぐ」一人として「まちづくり、夢づくり」に関わりたいと思っている。

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【名古屋いちばん物語】 No.31

テーマ『 「住吉の語り部となりたい」 シリーズ第16回 』

料亭つたも主人
深田正雄

「栄中部を住みよくする会」が街づくりの原点

 先週、18日に「栄中部を住みよくする会」第36回通常総会が開催、地域17町内の代表80名の参加のもと、昨年より会長を務める多湖秀明さんから事業報告そして今後の事業計画発表、承認がなされました。
 栄2-3丁目地区町づくりの原点である同会の変遷とともに、これからのシリーズでは栄ミナミ地域の諸活動を紹介してまいります。
 昭和50年頃、栄住吉地区は名古屋の最も賑やかな繁華街として、悪質な客引き、ぼったくりバー、違法風俗店、不法駐車、公園でのホームレス、そして、暴力団対策など多くの課題を抱えておりました。昭和41年に新町名表示となっても各町内は旧町名地域での町内会や振興会の活動で、組織もバラバラで一体化した活動が不十分でありました。警察や行政からの指導もあり、栄3丁目を中心に総合的に共通の問題を考える組織として、同会が発足しました。会の中心は住吉町の深田正矩(蔦茂・父)、南呉服町の佐藤嘉晃(ごみとり)、南伊勢町・山岸正明(山岸自転車)、南大津通り・杉野峯一郎(ふとんのスギノ)そして、事務方は竹市稔夫(たけいち文具)、伊藤泰弘(灘屋)であったと父から聞いています。
 住みよくする会の主な活動は、防犯、防災が中心で年末の深夜巡回、客引き防止、暴力団対応、歩道看板撤去などでお互いのコミュニケーションの場として啓蒙しあい、各商店振興会が発足、街路灯、防犯カメラ、植樹、イルミネーションなど各町内が個別に活動しておりました。
 なかでも、中央高校跡地の市有地開発にコンペ方式を採用、USAのマイケル・ウイニック氏の設計を取り入れ土地信託に基づく商業施設ナディアパーク開業(平成9年)については「住みよくする会」の佐藤会長の調整力が大いに評価されております。名古屋市の街づくり事業として数少ない成功事例といえましょう。
 同時に、住吉通商店街振興組合では、灘屋伊藤社長のリードで、当時飲食店街では珍しい「住吉通都市景観協定」を平成9年7月18日締結、大型アーチ型アーケード3基、街路搭そして、舗道には各店舗のイメージと要望から絵タイルを設置しております。
 この絵タイルは住吉1-3町目全域に5mごとに254枚のオリジナル陶板による絵タイルでそれぞれの店舗や事業者の由来と要望に応えてデザイン、制作費用は1枚80000円、設置には各5000円を地元負担で施工しました。現在も数枚を除き現存しており、是非、住吉の街歩きの話題として足元の絵タイルを楽しみながら15年前の繁盛振りも思い出してください。
 しかし、このような街づくり活動も各商店街が個別に企画検討して、イメージ統合もなくバラバラに実施されておりました。
大規模店舗をかかえる南大津通りのメンバーが商業イベントを仕掛け、建設協定、イルミネーション、バナー&共聴放送、共同清掃など、栄地区の中枢として頑張っておりました。逆にナディアパーク開設までは、全く街づくりから取り残された居住者の多い矢場町も隣接しておりました。そして矢場町1丁目では公園の愛護会・共同清掃、老人会、子供サークル、婦人会、資源ごみ回収、など昔ながらのお互いのコミュニケーションが図られる場も多くありました。
 平成17年(2005年)ごろ、藤井英明社長の(株)ゲイン・雑誌ケリーが住吉地域を「栄ミナミ」と命名しており話題となってまいりました。その頃、栄中部を住みよくする会の佐藤会長が体調を崩され、小生を中心に世代交代を要請されておりましたのがきっかけで、新しい栄ミナミの地域活性化が若手と外部の力で萌芽していくことになります。
 次回から、イベントによる「歩いて楽しい栄ミナミ」づくり、最近の活動を紹介してまいりましょう。

写真:住吉町アーチ1丁目(東急イン東)、2・3丁目にも各1基設置
住吉町アーチ

住吉町2丁目:絵タイル・つたも旧玄関前 (現在は居酒屋あろちゃん):池の橋をイメージ
住吉町2丁目

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【新会員自己紹介】

阿部 陽一氏
水曜第2グループ

阿部 陽一(あべ よういち)
三菱商事株式会社 中部支社総務業務部長

【三菱商事株式会社】
〒450-8680 名古屋市中村区名駅1-1-4
Tel:052-388-3100 Fax:052-388-3178
URL:http://www.mitsubishicorp.com

三菱商事の阿部陽一と申します。

このたび、産業懇談会 水曜第2グループに参加させて頂くことになりました。宜しくお願い申し上げます。

6月に中部支社に着任致しました。前職は、韓国三菱商事でコーポレート本部長を務めておりました。入社以来、税務・経理畑を歩んで来ましたが、その間、米国・豪州の関係会社のCFOも経験しました。国内支社での勤務は大阪に次いで名古屋は2ヶ所目で、当地は初めての勤務です。

国内の景気が低迷している中で、中部地域は比較的元気が良いと聞いております。このような名古屋に赴任できたことは、大変光栄に思います。前任地の韓国には、4年駐在しましたが、ここ数年で大きく躍進しています。一方の日本も負けじ魂を発揮してほしいと思います。そして、そのカギを握るのが当地名古屋ではないのかと思っております。

今回参加させて頂くのを機に、さまざまな業種の多くの皆様と情報交換や意見交換が出来れば幸いと考えております。
何卒宜しくお願い申し上げます。

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小松 良郎氏
火曜グループ

小松 良郎(こまつ よしろう)
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 理事 東海ディーラー本部長

【あいおいニッセイ同和損害保険株式会社】
〒451-8650 名古屋市西区名駅2-22-9
Tel:052-563-8960 Fax:052-563-8965
URL:http://www.aioinissaydowa.co.jp

 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社の小松と申します。
 この度、前任の末永隆の後を受け、産業懇談会火曜グループに参加させていただく事になりました。よろしくお願いいたします。
 弊社は2010年10月1日、「あいおい損保」と「ニッセイ同和損保」が合併し、「あいおいニッセイ同和損保」として新たなスタートを切りました。
 従来に増して、お客様との接点を大切にし、地域社会とのつながりを重視した地域密着の営業活動・損害サービス活動の徹底を図ることで、地域や社会にとって存在意義のある会社創りを目指して取り組んでおります。
加えてこれまで進めてまいりました地域に根ざした社会貢献活動や環境問題への取り組み等につきましたも、一層の強化を図って参ります。
 私事ですが、5年ぶりの名古屋勤務となりました。前回は愛地球博開催やセントレア開港の時期と重なり活気ある中部経済の中での仕事でした。今回も会社生活の中でも有意義なものとなり記憶に残る名古屋となりますよう仕事を楽しんでいきます。
 この産業懇談会を通じていろいろと勉強させていただきます。様々な業種の諸先輩方との交流の機会を頂けたことに感謝するとともに、何卒ご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

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多田 清氏
木曜グループ

多田 清(ただ きよし)
三菱UFJリース株式会社 常務取締役

【三菱UFJリース株式会社】
〒460-8407 名古屋市中区丸の内3-22-24 名古屋桜通ビル
Tel:052-857-9203 Fax:052-857-9227
URL:http://www.lf.mufg.jp/

三菱UFJリースの多田でございます。
この度前任の三浦の後を引き継いで産業懇談会木曜グループに参加させて頂くことになりました。どうぞ宜しくお願いいたします。

三菱UFJリースは、総合ファイナンスカンパニーとして、従来のリースの枠を超え、リース&ファイナンスの可能性を徹底的に追求しています。
ファイナンスリースに加え、モノの価値に着目したオペレーティングリースを推進している他、オートリース、不動産関連ファイナンス、PFI事業、
ファクタリングや環境関連商品などの多彩な金融サービス、更に各種レンタル、中古機器の売買や保険事業、海外のお客さま向けサービスなど、
グループ全体で幅広いお客様ニーズに、最適なソリューションをご提供して行きたいと考えております。

名古屋勤務は4度目7年振りとなりますがトータル14年過ごした第二の故郷です。あのとんでもない夏の暑さを目前に単身生活をスタートしました。

今回、産業懇談会に参加させて頂き皆様方と交流させていただく機会を得ましたことを大変感謝しております。何卒ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い申し上げます。

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【9月度産業懇談会開催日程】

名古屋観光ホテルでの開催です。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ
安井善宏
深田正雄
9月11日(火)12:00〜14:00 三菱重工業(株)中部支社  支社長
中里博人氏
「三菱重工の燃料電池」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
9月19日(水)12:00〜14:00 (株)日本機械製作所 取締役社長
自見厚則氏のご紹介
水中写真家 今尾映子氏
「海からのメッセージ
       (東日本大震災を踏まえて)」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
見祐次
9月12日(水)12:00〜14:00 名古屋保護観察所 所長 大矢 裕氏
愛知県更生保護協会 事務局長 坂井田 学氏
保護司
NPO法人愛知県就労支援事業者機構 理事長 切中厚美氏
「更生保護における就労支援について」
18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助
9月6日 (木)
12:00〜14:00
双日(株)
中部地区管掌兼名古屋支店長 
筒井和彦氏
「海外工業団地最新事情
       −インドネシア・ベトナム他」(仮題)
18階
伊吹の間

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【産業懇談会4グループ合同懇親会開催日程】

 10月度の例会につきましては、グループ相互の交流と活動の活性化を促進するため、恒例の4グループ合同懇親会を下記のとおり開催いたします。
 今回は、水曜第2グループの企画による、(有)プレジャー企画 代表取締役 大棟耕介様のご講演及びクラウンのパフォーマンスをお楽しみいただきます。なお、大棟様にはその後の懇親会にもご参加いただきます。
 産業懇談会のメンバーの皆様はもとより、ご家族の皆様もお誘い合わせのうえ、多数のご出席をいただきたくご案内申し上げます。

日時 10月2日(火)
17:30〜20:00
場所 ウェスティンナゴヤキャッスル 2階 天守の間
会費 お一人 10,000円 ※当日、受付にて頂戴いたします。
当日の予定 17:00〜 受付開始
17:30〜18:30 ご講演、クラウンのパフォーマンス
18:40〜20:00 懇親会(着席ビュッフェ)
講演内容

演目:ホスピタル・クラウン活動についてのご講演及びクラウンのパフォーマンス
講演者:有限会社プレジャー企画 代表取締役
NPO法人日本ホスピタル・クラウン協会 理事長/愛知教育大学 非常勤講師
                          大棟 耕介(おおむね こうすけ)氏

1969年愛知県出身。総勢約40名のクラウンチーム「プレジャーB」のリーダーを務める。抜群の運動神経と大きな身体を活かした大技やジャグリング、バランス芸などのパフォーマンスは観客を惹き付ける。闘病中の子ども達に笑顔を届ける「ホスピタル・クラウン」の活動を、日本を中心に海外でも行っており、新聞・雑誌でも多く取り上げられている。2008年には1冊目の著書がTVドラマ化、2011年には、ホスピタル・クラウンの活動が児童作家の手によって物語となり、第57回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に選ばれた。現在は講演会を年間150本ほど行っている。

ご案内先 代表幹事および産業懇談会メンバーの皆様
その他 ・食事の手配等準備の都合上、ご出席の場合は同封のFAX用紙で9月18日(火)までに必ずお知らせ願います。また、ご同伴者がいらっしゃる場合は、FAX用紙の余白にお名前をご記入下さいますようお願いいたします。
・なお、出席のお取り消しにつきましては、
9月28日(金)までにお知らせ下さい。それ以降にご連絡いただいた場合は、会費を申し受けることになりますので、悪しからずご了承願います。
お問い合わせ先 担当:東條・山田 
電話:052-221-8901

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【お知らせ】

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【コラム】

コラム1 【保健師からの健康だより】 100
花ちゃんからの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 鳥巣 妃佳里

『 声をかけ合って乗り切りましょう 』

 梅雨明けと同時に厳しい暑さが続いていますね。あと数日でロンドンオリンピックが開幕します。イギリスと言えば何でも賭けの対象にするブックメーカーが有名ですが、各種目、選手別のメダル獲得のほか、オリンピック期間中の天気まで賭けの対象になっているのだとか。ニュースによれば、今年のロンドンは冷夏だといいます。あまり寒くても農作物などへの影響が心配ですが、酷暑の中にあってはすこしうらやましい気もしますね。

 毎日のように、熱中症で救急搬送される人々のニュースが流れています。そして熱中症は屋外だけでなく、屋内で発症して搬送されているケースも多くあります。各省庁やメディア等で熱中症予防について呼びかけられていますが、皆さまご自身、そして皆様の会社での対策はどのようにされているでしょう。今年はSUPER COOL BIZ(スーパークールビズ)2012と称していくつかの取り組みが紹介されています。その中には今まであったCOOL FASHION(クールファッション:夏を涼しく過ごすための軽装)、COOL WORK (クールワーク:勤務時間の朝方シフトや残業をしないことで効率的な働き方に見直す)、COOL HOUSE(クールハウス:グリーンカーテンの使用やこまめな温度管理などで快適空間づくり)、COOL IDEA(クールアイデア:打ち水、冷却ジェルや身体を冷やす食品など、ちょっとしたアイデアで涼を取る)などの他にも、節電対策と合わせてCOOL SHARE(クールシェア:家のエアコンを止めて、公共施設や地元のお店などに行って涼しい場所をみんなで共有すること)のような、地域や組織としての取り組みも挙げられています。このように多様化する取り組みの中で、今回は熱中症予防声掛けプロジェクトの一つであるWATER BIZ(ウォータービズ)をご紹介したいと思います。

 WATER BIZとは、オフィスにおける夏の水分補給を相互に声かけしあうことで促進し、熱中症を予防しようというワークスタイルのことを言います。
具体的な取り組み内容は以下の7つです。

  1. 出社したら、コップ一杯の水を飲もう
  2. 外出する前にコップ一杯の水を飲もう
  3. 外出する人に“ウォーター”と呼びかけよう
  4. 外出するときは水を持ち歩こう
  5. 戻ったらコップ一杯の水を飲もう
  6. 戻った人に“ウォーター”と声をかけよう
  7. 帰宅時にコップ一杯の水を飲もう

 この取り組みは、節電や熱中症対策としてだけでなく、互いに声をかけ合うことでコミュニケーションの活性化にもつながるいいアイデアですね。いきなり大きな声で“ウォーター”と言ったら驚かれるかもしれませんが、そこで「何それ?」と笑って、周りに伝えて、みんなで一緒に始められたらいいですね。夏の暑さもちょっとした工夫やアイデアと、周りの人との支え合いで上手に乗り切りましょう。

みんなで声をかけ合い、水分補給してこの夏の暑さを乗り切りましょう!

 この健康だよりもついにNo.100となりました。原稿を書きながら、お読みくださっている皆様がいきいきとお元気で活躍されることを願うばかりです。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.45
コラム【理念経営物語】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

 今年もまた、日本の夏がやって来ました。私にとって、生まれる僅か9年前まで繰り広げられていた太平洋戦争は、自分の知らない遠い過去の出来事のような気がします。しかし、体験していないからと言って風化させてしまってはならないことがあるはずです。
 今月は、日本兵2万人・米兵7千人の戦死者を出し、米軍海兵隊をして「地獄の中の地獄」と言わしめた「硫黄島決戦」関連の書物をご紹介します。(梯久美子の著作は、是非セットでお読みください。)

『散るぞ悲しき−硫黄島総指揮官・栗林忠道』
梯久美子著・新潮文庫

 軍人の中の軍人・栗林忠道の最後の戦いを描く感涙のノンフィクション。
 飛行機も戦艦もない徒手空拳の日本兵2万余に対し、上陸した米兵6万(後方支援部隊さらに10万)。万に一つの勝ち目もなく、5日で落ちると言われた硫黄島を36日間持ちこたえさせた栗林中将はいかに戦ったのか。
 軍隊の存在意義は一般国民を守ることにあるという強い信念を持つ栗林は、着任の翌月には約1千人いた島民を本土へ送還し、本土の一般人の犠牲を一人でも少なくするために、一日でも長く持ちこたえることを使命とした。そのために、玉砕を禁じ、自らも名誉の自決を選ばず、部下達と敵陣に突撃して果てる。
 その栗林が大本営に宛てた訣別電報が改竄されて発表されていた。さらに、辞世の歌の第1首「国の為重きつとめを果たし得で 矢弾尽き果て散るぞ悲しき」の「悲しき」が「口惜し」に変えられていたのだった。

『硫黄島 栗林中将の最後』
梯久美子著・文春新書

 『散るぞ悲しき』上梓後に、「栗林は、ノイローゼになって米軍に投降しようとして部下に殺された」という説が流布していることを知った著者が、真相を突き止めることで、『散るぞ悲しき』では史料がなくて書けなかった栗林の最後を描く。
 最終章「美智子皇后 奇跡の祈り」は、平成5年10月20日、59歳の誕生日の朝に突然倒れ、以来声を失われた皇后が、平成6年2月に硫黄島で声を取り戻されたことにまつわるドキュメントである。

『硫黄島に死す』城山三郎著・新潮文庫
昭和7年のロサンゼルスオリンピックで金メダル(馬術)の栄冠に輝いた「バロン西」こと西竹一の物語。

『硫黄島からの手紙』
渡辺謙が栗林忠道中将を演ずる、クリント・イーストウッド監督の映画。

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コラム3 【苗字随想】 No.122コラム【理念経営物語】

片桐清志

「宮」と「室」

 皇族関連でよく使われるのが「宮」や「室」だ。今月号では「宮」と「室」と苗字の関係に注目してみた。
 「宮」で始まる苗字は約250種見つかった。尊厳さを持つ字だけに人気度は抜群だ。一字姓の「宮」もあり、そのままミヤとお呼びする。ランキングでも宮本の60位を筆頭に宮崎(113位)、宮田(120位)、宮沢(147位)、宮下(192位)、宮川(257位)、宮内(ミヤウチ・クナイ:389位)、宮島(439位)、宮原(562位)、宮城(ミヤギ・ミヤシロ・ミヤグスク:612位)、宮坂(634位)、宮地(662位)、宮野(775位)、宮脇(825位)の14姓が10000番内にランクインしている。
 ユニークな苗字では宮一(ミヤイチ)、宮中(ミヤナカ)、宮家(ミヤケ・ミヤイエ)、宮主(ミヤヌシ・ミヤジ)、宮首(ミヤノクビ・ミヤクビ・ミヤジ)、宮王(ミヤオウ)、宮司(グウジ・ミヤツカサ・ミヤシ)、宮守(ミヤモリ)、宮座(ミヤザ)、宮男(ミヤオトコ)、宮野女(ミヤノメ)、宮仕(ミヤツカエ)、宮臣(ミヤオミ)、宮氏(ミヤウジ)、宮住(ミヤスミ)、宮作(ミヤツクリ・ミヤサク)、宮門(ミヤカド・クモン)、宮鈴(ミヤスズ)、宮花(ミヤハナ)、宮風(ミヤカゼ)、宮道(ミヤミチ・ミヤジ)、宮領(ミヤロ)、宮町(ミヤマチ)などが見つかった。
 「室」で始まる苗字も74種見つかった。「宮」姓には及ばないが結構多い。一字姓の「室」もあり、ムロ・ムロヤとお呼びする。ランキングでは室井の1289位を筆頭に室田の1423位、室谷(ムロタニ・ムロヤ)の1968位が2000番内に登場する。
 ユニークな苗字では室内(ムロウチ)、室家(ムロヤ)、室室(ムロヤ)、室殿(ムロドノ)、室住(ムロズミ)、室作(ムロサク)、室戸(ムロト)、室門(ムロカド)、室館(ムロダテ)、室神(ムロカミ・ヤガミ)などが見つかった。
 宮と室が一緒になった室宮(ムロミヤ)も見つかった。

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【平成24年7月号編集後記】

 7月20日(金)、21(土)に敦賀で「関西地区経済同友会会員合同懇談会」が開催され、約450名が参加した。本会は例年この時期に中部以西の各同友会の交流の場として企画され、今回が110回目になる。昨年、松江での開催時に福井経済同友会が名乗りを上げ、1年間かけて準備をしていただいた。福井県は東日本大震災後、定期試験で休止した原子力発電が運転再開をした最初の県であり、現時点日本で稼働している唯一の原子力発電の「大飯原発」は開催会場から直線距離で50kmほどしか離れていない。このため今回のテーマも「進化する地域とエネルギー〜福井からの発信〜」と、今日本が抱える問題を正面から捉えたものとなっている。
 基調講演では中部経済同友会でも何度もご講演戴いている日本総合研究所理事長の寺島実郎氏が「世界のエネルギー動向と日本の戦略」と題してお話しいただいた。また後半のパネルディスカッションではメインテーマを、若狭湾エネルギー研究センター理事長の旭氏、福井大学学長の福田氏、財務総合政策研究所客員研究員の瀧波氏の3氏がパネリストとして、コメンテーターとして寺島氏も加わり、福井経済同友会代表幹事の田中氏のコーディネーターで進められた。そして討論の最後に「電力の安定供給に関するアピール」の声明が西日本経済同友会代表幹事会名で発表された。来年の開催は京都経済同友会が担当される。
 また第二部の交流会では北陸の山海の幸を味わいながら参加者の交流を深めた。随所に「地域の活性化と自然保護・伝統保持」の取組みが感じられた。
 翌日は豊かな自然の恵みと歴史を体感する2コースのエクスカーションもご用意いただき、あいにくのお天気ではあったが若狭路の見聞を広めることができた。

 梅雨も明け、本格的な夏の到来だ。「大飯原発」の再稼働で電力事情の最悪シナリオは回避されたが、猛暑時の綱渡り状態は依然として続く。省エネの取り組みと多様なエネルギー源の検討は永遠のテーマだ。当会でも引き続き取り上げていきたい。

 「産懇宅配便」では例会模様や新会員の紹介のほか、創刊号から会員投稿のコラムも掲載している。その中で「保健師からの健康だより」が今月「100回」の節目を迎えた。現在の執筆者はスタート時とは異なるが、専門家の見地からその時期にふさわしいワンポイントアドバイスを毎回いただいてきた。本業でお忙しいにも拘わらず、会員のために毎月寄稿戴いていることにこの場を借りて深く感謝したい。

(片桐)