今回の産業懇談会視察会では、中部電力浜岡原子力発電所を見学した。
8時50分に地下鉄上社駅に集合し、バスで目的地である浜岡原子力発電所に向けて出発した。道中、中部電力鰹ャ牧営業所所長 東澤悦雄氏から浜岡原子力発電所の津波対策工事に関する資料とこの夏の電力需給見通しに関する資料等が配布され、DVDによる事前レクチャーが行われた。
◆浜岡原子力発電所概要説明(説明者:浜岡原子力館館長 柴垣年伸氏)
浜岡原子力発電所には、1号機から5号機までの原子力発電施設があり、現在すべての原子炉が停止中である(1、2号機は廃止措置中)。
耐震安全性については、想定東海地震はもとより、1707年宝永地震、1854年安政東海地震にさらに余裕を考慮した安全性を確保している。津波対策についても、「浸水防止対策」として、(1)防波壁の設置等による発電所敷地内浸水防止対策、(2)建屋内浸水防止対策を講じている。さらに、福島第一原子力発電所で発生した「全交流電源喪失」および「海水冷却機能喪失」を仮定した場合にも、確実かつ安全に冷温停止に導くことができるよう、多重化・多様化の観点から冷却機能を確保する対策とし、「緊急時対策の強化」を図っている。
内閣府から「南海トラフの巨大地震モデル検討会」最終とりまとめが公表され、御前崎市の最大の津波高は21mとなっているが、現在建設中の防波壁(18m)を越えたとしても、建屋内への浸水防止対策や緊急時対策の強化を目的として、対策工事を実施している。今後、公表されたモデルの詳細データを内閣府から入手し、詳細を確認した上で、詳細検討を進め適切に対応していく。
◆浜岡原子力館
浜岡原子力発電所併設の浜岡原子力館を見学した。原子力館には、実物大の原子炉模型があり、原子力発電の仕組みや5重の壁に守られた構造が映像と模型で紹介されている。また、現在建設中の高さ18mの防波壁の模型が実物大で設置されており、その高さと頑強さに見学者は圧倒されていた。
また、海抜62mの展望台からは、1号機から5号機までの原子力発電所や取水塔に加えて、遠州灘、御前崎市の景色が一望できた。
◆浜岡原子力発電所
厳重なセキュリティチェックを受けた上で、浜岡原子力発電所内を見学した。敷地内をバスで移動した後、5号機と防波壁建設現場を実際に見学した。5号機建屋内においては、今まさに業務をしている中央制御室を目の当たりにし、発電量がゼロであることを確認した。また、原子炉建屋内においては、使用済み燃料プール、機器仮置プール、そして原子炉圧力容器の上部を見ることができた。
防波壁建設現場においては、鉄筋コンクリート造りの地中壁を地中の岩盤部まで根入れする作業が行われており、防波壁かと見間違えるほどの大きさに驚くとともに、津波に対して十分な強度を持っていることに安心感を覚えた。そして、防波壁を超えても防水構造を要した海水取水ポンプが設置されているなど、幾重にも安全対策が施されていた。
参加者は、福島第一原子力発電所の事故の教訓を十分に取り入れた、浜岡原子力発電所の徹底した安全対策を現地現物で確認することができ、中部地域のエネルギーのあり方について考えるにあたって、非常に参考となった。
浜岡原子力発電所視察会
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