1. 三恵エンジニアリングの紹介
当社は1995年設立以来、情報通信サービスの基盤整備を行なってきた。経営理念は「良い製品こそ最大の営業なり。お客様の笑顔を最大の喜びとし未来につなげよう」である。事業の柱は3つある。(1)TECHNICAL SOLUTION:電柱の維持管理から電線共同溝の埋設設計までの対応、及び次世代の高速通信ネットワーク網、光ケーブルの敷設設計、(2)MOBILE SOLUTION:携帯電話用基地局の設置をトータルサポート、(3)GIS(Geographic Information System) SOLUTION:正確な地理空間情報の一元管理と共有化である。
2. 情報通信インフラ管理の現状
NTT、電力、CATVなどのインフラ業者が同一設備(例:電柱)にもかかわらず、個別に管理し情報共有がなされていない。また、縦割り行政のため、行政との共有もなされていない。
3. 情報通信インフラの発展(地デジから家デジへ)
このように管理に問題を抱えながらも通信インフラ技術は発展を続け、近年では通信端末1つで家中の情報を制御するスマートハウスが普及しつつある。
4. 経営環境の大きな変化
(1)防災対策:東日本大震災、タイの洪水等により、従来以上の防災対策が必要になってきている。(2)国債残高の増大:国債残高が対GDP比210%を超え、公共工事の予算は今後も減少する。(3)世代交代:団塊世代の大量退職により技術の継承が急務である。(4)少子化の進行:人口減少に伴い内需の縮小し、在宅での仕事の創出が急務である。(5)環境対策:京都議定書によるCO2削減目標があり企業もより効果的な環境対策が求められる。
5.地理情報システム(GIS)技術の発展
地理情報システム(GIS)は、様々な情報が位置情報をもとに整理され、空間的な関係を視覚的にわかりやすい形で表現できる、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術である。具体的には、地域の安全を守るための環境基盤の管理、事故・災害に対する環境基盤、地域のマーケティング検索、カーナビなどの位置情報システムなどに活用されている。また、政府は平成7年の阪神・淡路大震災の反省などをきっかけに、GISの取組みを本格化した。その中心は国土空間データ基盤の整備及び活用である。平成19年「地理空間情報活用推進基本法(NSDI法)が施行された。このようにGIS事業の浸透により、「様々な情報の可視化・共有化」が急速に進んでいる。
6.高精度三次元移動体計測車両について
GPS/IMU(オートジャイロを用いて走行距離と自己位置を算出する装置)複合による車両の位置/姿勢計算と、搭載したセンサで計測したレーザデータ・カメラ画像により、車体動揺や路面傾斜によらず、正確な道路地物の三次元位置計測が可能となる装置が開発されている。この車両は、GPSアンテナ、IMU/慣性走行装置、カメラ、オドメトリ、レーザースキャナ、を搭載している。これにより道路周辺地物の位置などを三次元画像で見られる。
7.GISを利用したインフラ管理とその利点
例えば、電柱などの設備について、正確なGPS座標をKey項目として一括管理ができる。それによりNTT、電力、CATVなどについて、行政、インフラ会社同士の情報の共有化が可能になる。
また、道路周辺の設備について、音声、映像、注釈により図面にない情報を三次元図面としシステム化が可能になり、技術の継承ができ世代交代も容易になる。さらに、都市空間情報が三次元化されることにより、インフラ設備の効率化、適正化が図られ、GIS技術による電柱情報のデータベース化の仕事が在宅で可能となり雇用創出にも貢献できる。実例として、群馬県太田市において母子家庭の方々に在宅での仕事を創出することに成功している。
8.GIS技術による社会変革(地デジから家デジそして街デジへ)
GIS技術により高度なスマートグリッドの構築、観光、都市の問題点の可視化など幅広く利用できる。さらに、地デジ、家デジの技術に、GIS技術、3Dデータベースを加えて都市情報を高度に可視化、すなわち「街デジ」が実現できる。街中の情報を共有できるスマートシティとも言える。
こうした街デジを進めることによって、再生可能エネルギーの効率的利用、送電エネルギーの効率化が可能となり、1つの社会変革と言える。
9.まとめ
(1)GIS技術は従来のインフラ管理方法を抜本的に変える可能性がある。(2)GIS技術の導入によって新たな業種と雇用が創出される。(3)GIS技術と従来の通信技術を組み合わせることにより、社会が大きく変革される。 |