1. はじめに
各社、及び自治体で取組んでおられるBCPを取り上げたので、皆さんと議論したり指導いただきたいと思う。まず、名古屋市の水位に関するインターネットサイトによれば、水位0mは名古屋市の西側、木曽三川を中心とした地域であり、水位7mの津波が来た場合は、それに加えてより広範な地域となり、水位20mの場合は名古屋市全域、及びみよし市近辺まで冠水する予測である。当社としては、今回の東日本大震災を受け、改めて津波という危機を取り入れどこまでを想定して準備すべきか、模索中である。また、初めにお断り事項がある。(1)広報情報等について正式な情報確認を経ていない、(2)富士ゼロックスGとしての公式ステートメントではない、(3)BCPの専門家ではない。
2. 当社の紹介
当社は、1962年に富士フィルム(株)と英国ランク・ゼロックス社との合弁会社として設立され、富士フィルムホールディングスで約4万人、当社は約1万人の規模である。2001年に富士フィルムホールディングス75%出資の連結子会社となった。生産拠点は国内に加え、中国、アジアを中心とした海外拠点、及び販売会社は各県1社の体制である。また、国内の販売は地域カバー体制とし、「北日本、関東、東京、中部、関西中四国、九州」の各ブロックがある。中部ブロックは、愛知、愛知東、岐阜、三重、静岡、北陸の6つの販売会社である。
3. 当社の経営理念
私たちが目指すものは、(1)知の創造と活用を進める環境の構築、(2)世界の相互信頼と文化の発展への貢献、(3)一人ひとりの成長の実感と喜びの実現、である。また、私たちが大切にすることは、お客様の満足、環境、高い倫理観、科学的思考、プロフェッショナリズム、連携、多様性の尊重、信頼と思いやり、楽しむ心、冒険心、である。
4. 当社の考えるCSR
CSRは、経営課題としての成長戦略と体質強化戦略があり、その延長線上に顧客に対する説明責任、ディスクロージャー、透明性に着目している。また、当社のBCPの定義は、自然災害・人為災害等により、ヒト・モノ・カネ等の制約条件の中で、優先順位業務を、目標期間内に、速やかの継続・復旧させるため、手続き・方法等を明確化し、可視化し訓練を行い、持続的に評価・改定管理を行う活動である。BCPの一環として、当社の環境経営は、商品と事業活動を通じて、地球温暖化の抑制、天然資源の保全、有害化学物質の環境リスク低減に取り組んでいる。
5. 東日本大震災での対応と教訓
当社は、まず統合対策本部を設置し、復旧・復興に向けた4つのステップ、(1)安否/救済、(2)救援、
(3)復旧、(4)復興を策定した。第1に、従業員・家族の人命尊重の観点から、安否確認を徹底し、物資の配送、被災従業員へのケアを行った。第2に、地域社会への責任の観点から、被災地区への物資の配送、町内会のサポートを行った。第3に、お客様へのサポートの観点から、緊急初期対応として、消耗品、用紙、パーツの確保を行い、役員・部門長が訪問し、お見舞い物資を贈呈した。この教訓としては、(1)地震発生後の24時間管理職の常駐体制を取り、「非常事態宣言」など瞬時の判断を要するリーダーシップの発揮である。(2)情報の一元化を図るための「統合対策本部」の設置である。(3)従業員・家族の安否確認と救援物資の配布のための「安否確認本部」の設置である。
6. 当社のBCP展開
当社のBCPのキーワードは、(1)従業員の命を守る、(2)企業としての社会的責任を果たす、(3)お客様の事業継続に資する、であり、従業員とお客様あっての事業存続と考えている。例えば、お客様に設置した機械の復旧対応ガイドラインや従業員の「サバイバルカード」(生き残るための初期動作、家族との連絡方法、会社への連絡要領、帰宅困難者への対応、地震関連情報への対応など)を配布している。
7. 当社の取組み
将来、起こりうる東南海地震に対して、東日本大震災の被害に基づき、BCPの想定レベルを引き上げた。現状の対策の強化と新規の検討事項を追加した。例えば、原子力発電所の所在地の確認や無線配備による緊急連絡体制の強化、お客様の使用機械の正常稼働に向けての保守連携体制の強化、などである。 |