冒頭、田中相談役からお話しいただいた。
本日は、正確に話ができるよう当社の専門家も出席させた。当社のCSRレポートを配布したが、好評なのでご覧いただきたい。当社の事業は、総合ファイナンスカンパニーとして、リース・レンタルに加え、不動産関連サービス、環境関連サービス、国際関連サービス、中古機器販売など、思いのほか幅広い。今年3月期の業績は、売上げ7,200億円、営業利益1,200億円、経常利益560億円、資産3.4兆円であった。
引き続き、竹内部長から説明いただいた。
1. 当社の環境関連ビジネスの概要
風力発電事業向けファイナンス、バイオマス事業向けファイナンスなどの「新エネ」、ESCO事業、環境サポートサービスなどの「省エネ」、オフセットパートナーサービスなどの「排出量取引」、廃棄物処理施設向けファイナンスなどの「資源分野」の4つに分かれている。
この中で、ESCO事業について説明する。ESCO(Energy Service Company)事業とは、欧米で普及している省エネ事業である。工場・ビルを対象に省エネ化をプランニングし改修工事を行い、これによるエネルギーの削減効果をESCO事業者が保証する。お客様は、それまでの環境を損なうことなく、省エネに関する包括的なサービスを受けることができ、確実に省エネが実現できる。導入フローは、当社が対象企業を調査、診断し、省エネ対策を提案し、お客様が実施計画書を提出し、ESCO契約を締結し、省エネを実施し削減効果を検証するプロセスとなる。このように企業の施設を丸ごとで請負い、技術、設備、ファイナンスに加え、省エネ化の実現をパッケージでサポートするESCO事業は、順調に実績を伸ばし、累計取扱件数は約380件、すべてのESCO事業者の中でもトップクラスの実績をあげている。
次に、環境サポートサービスについて説明する。当社がESCO事業で培った環境投資におけるノウハウと各種企業とのネットワークを活用して、お客様の環境方針に沿った最適な設備計画、資金調達をトータルにサポートするサービスである。具体例としては、熱源システム、蒸気ボイラの高効率化や太陽光・風力発電システムの導入などの「省エネ・新エネのソリューション」、有機溶剤のVOC対策、乾燥炉の省エネ、排水処理工程の改善などの「環境改善ソリューション」、エネルギー使用量の集計・モニタリングなどの「改正省エネ法対策ソリューション」がある。
排出権関連ビジネスは、(1)カーボンナチュラルリース、(2)オフセットパートナーリースがある。(1)は排出権の仕組みを利用し、お客様にリースする物件に当社が保有・調達した排出権を割り当て、リース期間を通じて物件から生じるCO2の全部または一部を相殺するリーススキームである。(2)は、排出権の利用を検討されているお客様に対し、当社がお客様に代わって排出権の調達から管理、政府口座への償却までの手続きを一括で受託するサービスである。グリーンリースは、機械設備のリースと併せて自然エネルギーなどのグリーン電力を使用しているとみなされる「グリーン電力証書」を提供し、当該物件が使用する電力の一部は“環境に優しいグリーン電力”を使用していることになる。その他に、風力発電設備リースや環境関連のファイナンスを行なっている。
引き続き、永野課長から説明いただいた。
2. 省エネがうまく進まない理由とどうしたらうまく進むか
1)日本製造業のエネルギー消費と省エネ余地
産業部門は、日本のエネルギー消費全体の45%を占め、その9割を製造業で消費している。製造業の内、鉄鋼、化学、セメント、紙パルプの4業種だけで全体の7割を消費している。省エネ投資は、エネルギー使用量が大きく、投資回収年数が短いほど既に済んでいる。また、エネルギー使用量が極めて大きく、投資回収年数が長い一部の環境先進企業も投資が済んでいる。それ以外の場合は、未投資であり、省エネの余地がまだまだある。その理由は3点が考えられる。(1)省エネによって大きなメリットを得られる企業が少ないため、(2)自分たちがどのくらい省エネが進んでいるか判断できないため、(3)現場の個別事情、である。
2)省エネによって大きなメリットを得られる企業が少ない理由
一部のエネルギー多消費企業や環境先進企業は省エネ意欲が高いが、普通の企業は投資回収年数を考え、それ以外の企業は意欲が非常に低い。したがって、投資回収年数でしか投資判断できない企業へは、省エネ投資への補助金、税額控除、金利優遇制度、信用保証制度など金融面での政策を充実させる必要がある。
3)自分たちがどのくらい省エネが進んでいるか判断できればどうなるか?
同じ業種でも省エネの進捗度は大きく違うケースがあるが、問題は経営者自身がわからない場合がある。したがって、省エネの大きなメリットがなくても、進捗度がわかり評価ができれば省エネに積極的になれる。これにより、全体の中での自分たちのポジションがわかる、数値目標が設定できる、競争意識が生まれる、新たな投資判断基準ができる。
4)現場にも事情がある
工場固有の事情があり、徹底的にコスト把握をしている工場、防爆工場、稼働を止められない工場である。また、省エネが人事評価の対象になっていない場合や、組織のカベがあり製造部門が強い場合、ライン毎に独立した組織である場合が考えられる。また、中小企業では特定の個人の意見が強い場合や長い経験があり蓄積されたノウハウが邪魔をする場合などが考えられる。 |