1. 地球規模でのサスティナビリティー
ひとつの地球が生み出す資源で養っていける人口は80億人という試算もあるなか、国連では、世界人口は今後40年で、約90億人に達する見込みで、我々はひとつの地球資源ではやっていけなくなる。これは、ひとつの見方であり、人間が知恵を働かせることにより、そのような状況にはならないと思われるが、今後、我々は世界人口の急激な増加と新興国を中心とした世界経済の拡大による、資源需給の逼迫感が強まることを覚悟しなければならない。そこで、いかにしてそのバランスを取っていくのかが「サスティナビリティー」にとって重要な課題だろう。
2. わが国のかかえる資源問題
資源問題におけるわが国の一番の弱点は、様々な資源を輸入に依存している自給率の低さにある。資源を安定的に確保するためには、自給率を高めることに加え、輸入先を多様化し、リスクを分散することや新たな資源、代替資源の開発が重要な鍵となる。
エネルギー資源に関しては、在来型の化石エネルギーの枯渇懸念から、非在来型の化石エネルギーである、シェールガスや炭層メタンガス、オイルサンド、オリノコタール、更には、わが国の近海に多く埋蔵されている、メタンハイドレードなどの開発が進んでいる。
また、資源が乏しいわが国にとって、再生可能なエネルギーである、太陽光や風力発電、原子力発電の利用拡大は大きな課題である。現段階では、自然エネルギーは、天候任せで発電量が不安定なことや送電距離の長さの故、送電ロスが多く、これらを克服する技術開発の成否が自然エネルギーの本格利用につながるだろう。また、原子力の利用拡大については、世界の潮流になりつつあり、安全性には万全の対策が必要であるが、わが国においても欠かすことはできない。
わが国のハイテク産業に不可欠な鉱物資源である、レアアースについては、現在の中国による生産の寡占状態から脱却し、安定的な確保の必要がある。現在、世界各地でレアアースの鉱山プロジェクトが活発に開発されている。加えて、廃棄されるハイテク機器に含まれるレアアースのリサイクルシステムの確立や、代替材料も技術開発されているところである。
21世紀は水の時代ともいわれる。我々が使用する水については、地球規模での微妙な循環バランス上で成り立っており、この循環バランスが崩れると、水不足や洪水被害など、いろいろな歪みが発生する。世界の一部地域における水不足は深刻で「海水の淡水化」や「下水の再利用」などを実践している国もある。
食糧の安定確保は国家の至上命題である。わが国の食糧自給率は、40%(カロリーベース)であり、先進国中、最低レベルである。今後、食糧不足時代を迎えるなか、わが国では、食糧自給率の向上と同時に、いかにムダを無くすかという、両面の取り組みが求められている。
3. サスティナビリティーを保つためには
地球のサスティナビリティー、資源循環型社会の構築は、「創」「省」「再」の三文字に尽きるだろう。
「創」は、エネルギーでは、自然エネルギー、原子力の利用拡大、非在来型の化石エネルギーなどの新しいエネルギーを創り出す。鉱物では、例えば、レアアースに代替可能な新素材を創り出す。水では、海水の淡水化など、新しい水を創り出す。食糧では、食糧の増産に取り組む。「省」は、資源消費の効率利用。「再」は、リサイクルなど、「再利用」の徹底。これらの「漢字三文字」は今、我々に一番問われていることへの「答え」ではないだろうか。
引き続き、水野、滝、箕浦代表幹事を交えて、恒例の合同新年会が開催された。年のはじめにグループを超えて親睦を深める良い機会となり、盛会のうちに終了した。 |