1. なぜ、日本浮上のためにグローバル人材の育成が必要か?
1991年に冷戦体制が崩壊し、人間の歴史上初めて"世界市場"が出現した。結果、80年代までの"国単位"のモノの見方が"地球単位"となり、"海外拡張"というビジネスモデルが"フェアなルールに基づいた世界市場におけるスピードある競争"に変化した。日本はちょうど91年にバブル経済がはじけ、目が国内に向いていたため、4年後にWTOが出現し、ルールの一元化が始まったことで、世界の価値観が180度変わるという90年代の"グローバル化の波"に乗り遅れた。そればかりか日本人のDNAにはグローバルビジネスに有利な要素が少ない。したがって、いま遅れてグローバル化をするにあたり、(1)80年代のモデルをグローバルモデルにしっかりと転換すること、(2)グローバル時代の原理原則をはっきり理解した研修をトップダウン主導で行うこと、(3)日本人が個をグローバル化することによって、次世代モデルを創ったり、世界の新しいルール作りに参画できる"オリジナリテイ"を発揮できるようになることが、今の日本を浮上させるカギである。
2. なぜ、愛知県をグローバル教育のメッカにしたいのか。
(1)新しい知的モデルの多くが米欧発、東京経由で地方に伝わるというパターンを破り、このハードパワー(重工業、自動車関連産業)中心の地域に最先端を行くソフトパワ―を導入することによって更に女性(的)パワーを開放し、この地を、21世紀をリードするクリエイテイブな"みらい地帯"にする。(2)世界的にビジネスがシフトしているアジアとこの地帯を中部国際空港(セントレア)を窓口にしてつなぎ、グローバル教育に関することなら優れた人材が国内、アジア、世界から集まって会議をしたりたがいに学んだりできるようにする。(3)下部組織を支えうる子ども時代から一貫したグローバル教育を行えるようにする。これらビジョンのもとに、4月からセントレアを舞台にグローバル人材育成の道場「グローバル教育@セントレア」を開講した。私立学校の教育変革、関連テーマの講演や講習、リトルワールドに楽しみながら<地球村>の住民として成長できるテーマパークをつくる、といったことができれば素晴らしい。
出発にあたって日本人が持つ3つの誤解を解くことが必要である。(1)グローバル=海外ではなく、"グローバル=日本を含む全世界"である。また、(2)日本のことをまず勉強するのではなく、世界の急速な変化を合わせ鏡にして日本人のDNAを理解し、オリジナルなモノの発信を行う、(3)人材育成を行う人事担当者がグローバル人材で あること。この3つを同時進行させることが重要である。グローバル人材は特殊な人材ではない。知識産業時代の経済を推進させる主流となる人材なのである。
3. グローバルマインドの設定と<文化の世界地図>TM
私は日本の大学の助教授からハーバード大学の研究員となり、米国企業の幹部に異文化マネジメントという新しい分野を紹介するため起業した。1991年にグローバリゼーションと出会い、90年代半ばにいち早く80年代モデルをグローバルモデルに転換、各業界で世界のトップといわれる企業や政府機関を対象に、必要に応じて30ケ国出身の講師とチームを組んで世界市場戦略や世界市場で競争できるグローバル人材の育成についてセミナーやコーチングをおこなってきた。3年前に帰国してからは経済産業省からの非公式な依頼や企業の会長、相談役様の個人的なご支援を得て、主に日本を代表する企業に対して、全社レベルで企業と人材のグローバル化、オリジナル化を支援することに尽力している。重工業の世界市場における受注、IT産業の次世代モデル創り、物流における日本型グローバルモデルの追及、企業別テストの開発など、顧客の目的に合わせたデザインをする中で、あらゆるケースに共通する土台になる部分がある。
(1)グローバルマインドの設定:
日本で生まれ育ち教育を受けビジネスをしていると、無意識に日本社会の現状に合ったマインドを作り上げている。これを買ってきたコンピューターを設定するように世界市場に合わせてきちんと設定し直すことが出発点で必須となる。当社では、27ケ国の多様な人たちに研修することで5つの"国内では不要、世界市場では最重要"の能力を特定、さらに日本人にとくに必要な2つの能力をあわせて身につける訓練をおこなっている。
(2)<文化の世界地図>TM:
世界市場を俯瞰するとき、68億の多様な潜在的顧客、現地社員の"心の構図"を読み解き、効率よく動機付けを戦略や戦術に組み込めるようなグローバル時代の地図(本体と俯瞰図)を6年かけて制作した。日本企業にとってのメリットは、文化コードを理解してから海外に赴任することによってこれまでの海外における大失敗や勘違いを一掃する、現地社員のマネジメントを向上させ、生産性をあげる、世界市場を巨大な碁盤とみたて総合能力としての戦略性を身につける、など。
個と企業のグローバル化はいずれにしても必要なので、これ以上後手に回らないためにもトップがまず学び、"目利き"になり、グローバル時代の新しいリーダーとなり、適切な行動を早く取ることが望ましい。
◆ご意見・ご質問等ございましたら、下記メールアドレスにご連絡下さい。
渥美 育子氏ご連絡先 iatsumi@global-kyoiku.com
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