産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】第96号 2010.5.28発行

 メールマガジン■産懇宅配便■

平成22年5月度(第96号) 目次
産懇宅配便
【22年5月度産業懇談会(木曜G)模様】 5月6日(木) 12時00分〜14時00分
【22年5月度産業懇談会(火曜G)模様】 5月11日(火) 12時00分〜14時00分
【22年5月度産業懇談会(水曜第2G)模様】 5月12日(水) 12時00分〜14時00分
【22年5月度産業懇談会(水曜第1G)模様】 5月19日(水) 12時00分〜14時00分
【名古屋いちばん物語】 No.2
【新会員自己紹介】
栗原 和浩氏

株式会社日立製作所 中部支社 支社長 執行役員

高橋 秀明氏 サンデン株式会社 東海支社 支社長
戸田 智之氏 株式会社 一光 取締役副社長
松原 秀式氏 東邦ガステクノ株式会社 取締役社長
【6月度産業懇談会開催日程】
【7月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【アートコーナー】    からくりアート点描 No.14
【コラム】
コラム1 【花ちゃんからの健康だより】 No.74
コラム2 【和】 No.2
コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.19
コラム4 【苗字随想】 No.96
【22年5月度産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ『 景気は既に拡張局面にあり 』

日  時:平成22年5月6日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 伊吹の間
参加者:21名

スピーカー:
向 博(むかい ひろし
株式会社三豊ビル 取締役会長

向 博氏

1.日本の経済状況
 会社四季報(東洋経済新報社)のデータによれば、2010年3月期決算では上場企業3728社のうち523社が約30%以上、656社が5〜30%未満の増益となり合計1179社、上場企業の約32%を占めるに至っている。更に、創業来の最高益となった会社は448社に上り、そのうち388社が11年の3月期も最高益を更新することに加え、最高益となる企業が新たに60社程度誕生することも見込まれており、現段階では2期連続で好決算が続く見通しとなっている。日本企業の業績はリーマンショック前の80%程度に戻ったとみられており、二番底の懸念からも脱したと考えられる。

2.米国の経済状況
  米国の主要500社は新興国の需要増などで売上、利益ともに急激に伸長しており、業種別の増益率は、素材、一般消費財、ハイテク、エネルギーで見た場合、エネルギーのみが前年同期比でマイナス24%であるほかは総じてプラスに転じており、10年1〜3月期の米国の最終利益はプラス53%、4〜6月期も更に上昇傾向の予測となっている。一方、売上高も昨年10〜12月は実績ベースでプラス7%、10年の1〜3月が11%、4〜6月期の見通しは5〜10%となっており、3期連続のプラス成長が予測されている。
 また、米国では住宅バブルが崩壊したことで、昨年7〜9月まで27ヶ月間連続で減益が続き、米国国内総生産(GDP)の1.4年分が失われたが、住宅部門でも昨年10〜12月期で前年同期比3倍、10年1月〜3月期も2.9倍の増益率となり、ここからも米国経済が確実に復調していることが見て取れる。

3.中国の経済状況
  成長著しい中国の今年の実質成長率は10%と予測されており、2010年1〜3月期には11.9%の成長を遂げた。また、GDPは95年から08年までの13年間で約3.2倍に伸び、この間、中国人の年収は日本円で約50万円から5.5倍増加し、300万円近い収入になった。北京五輪が終わり、上海万博が開催されている現在、15年前の貧困層が今ではビールを飲み、自動車を購入し、マンションに暮らしている。これが今の中国の姿なのである。今、日本企業がすべきことは中国に進出し、市場と需要のある中国に商品を売ることであろう。なぜなら、内需不振で日本の消費市場は日々刻々と小さくなっている一方、中国、ベトナム、インドネシア、インドの消費市場は、日々大きく成長しているのである。しかし、中国国内では消費者物価指数(CPI)が2月は2.7%、3月は2.4%となっており、今後、インフレには十分な警戒をしなくてはならないであろう。

4.今後の世界と日本経済
  世界経済のGDPは、10年は4.2%、11年は4.3%となり、世界で成長率がマイナスになる地域はないとの予測がされており、日本についても10年は1.7〜2.0%、11年は2.0%以上の数字が予測されているが、世界経済の不安要因として、マネーゲームの再来が懸念されている。その理由はアメリカの失業率にある。09年9月は9.3%、10月には10.1%。11月・12月は10%、今年の1〜3月は9.7%であった。失業率が平均して10%前後にもかかわらず、株価だけが回復することは通常では考えられず、アメリカがマネーゲームに再び火を付ける危険性には常に注意を払わなくてはならないであろう。仮にオバマ大統領が金融規制を行い、株価が大暴落した場合には、そのマネーが資源やエネルギー、食料などに流れ、原油価格は再びピーク時に迫る可能性もあり、実体経済と金融経済との乖離が懸念される。また、今後、中国をはじめとし、新興国の存在感はより強まり、世界経済の発展には先進国と新興国の協調は欠かすことができないであろう。日本については、人口の減少に加え、莫大な公的借金という2つの大きなハンデを相殺する高い経済成長率、生産性が求められる。政府は、日本の将来設計の絵を描き、国民に示すことが必要である。一方、国民は一丸となり、ひとり一人が頑張るという意識改革が必要ではなかろうか。

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【22年5月度産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ『 いのちと保険 』

日  時:平成22年5月11日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 伊吹の間
参加者:16名

あいおい損害保険(株) 常務執行役員
末永 氏のご紹介

スピーカー:
跡部 浩一(あとべ こういち
元 あいおい損害保険株式会社 取締役
現 愛知淑徳大学 非常勤講師

跡部 浩一氏

1.急性前骨髄球性白血病
 2005年1月5日、私は自覚症状が全くないまま、突然に急性前骨髄球性白血病を宣告され、その日から私の203日に渡る完全隔離病棟での治療、入院生活が始まることとなった。この闘病生活を通じて命の大切さ、健康のありがたさ、普通でいられることの素晴らしさを痛感した。私の経験を踏まえた今日のお話が皆さんのお役に立てればと願っている。
 白血病は血液のガンとされ、発症率は約6/10万人の確率といわれている。現在では症状のレベルごとに対処療法が確立されてきたものの、原因は未だ解明されていない。治療方法は主に科学療法と呼ばれる抗がん剤の使用、骨髄移植、臍帯血移植の3つの方法があるが、2005年当時、50歳以上の骨髄移植は危険が伴い、不可能であったため、私は抗がん剤のみで治療を行ったのだが、幸いにして命をつなぎとめることができたのである。

2.死と向き合うなかで生きる喜び
  この闘病生活を支えてくれたのは、まず家族であった。妻は医師から私の治療同意書を渡され、そこには2年後の生存率は46.5%と記されていた。このとき、私は患者の半分は死ぬということを実感したのだが、妻は「悪性でも半分は生きられるのね。半分の人が生きられるなら頑張りなさい。」と私を励ましてくれた。この言葉によって私は病気や治療を前向きに考えることができるようになったのである。また、入院中には延べ500人近い同僚や仲間が見舞いに来てくれた。この時、私は人と人の間で生きていることを実感したのである。
 入院中には、白血病の治療をしていた歌手の本田美奈子さんと知り合った。彼女は不幸にしてお亡くなりになったが、彼女とは病気の原因究明にこだわるのではなく、病気と闘い、退院後は難病で苦しむ人達を励まそうという話を何度もした。彼女と一致した想いは、どのように生き、生き抜こうとしたのかという生き様こそを大事にしようということであった。そのような思いで、いまも白血病患者さんを励ますボランティア活動に参加している。

3.医療費負担の現実と保険
 私の入院は203日、約7ヶ月間に及び、総治療費は1400万円にのぼった。幸い、日本の健康保険は皆保険のため、自己負担額は3割(高齢者は1割)である。したがって、私の実際の負担額は400万円強であった。それに加え、白血病は高額療養費が適用されるため、最終の自己負担額は約100万円であった。また、私はガン保険に入っていたため、結果的にみると自己負担額は全くなかったのである。健康保険を通じての色々な補助があるため、それらを活用すれば、保険はそれほど高額なものに入る必要はないものの、病気によっては先進医療や保険適用外の治療が必要になることもある。かつての生命保険は死んだときの遺族保障というイメージであったが、自分の体験からも皆さんには、自分が死なないために、「生きるための保険活用」という視点で保険を考えられることをお勧めしたい。

4.日常の「健康管理」への助言
  健康管理は食事と運動が重要である。現代人は食事で栄養を摂り過ぎており、食事は7割食べて3割残す程度にし、これを我慢ではなく自分の意思と勇気であると考え、入るものを制限することが大切であろう。運動も新陳代謝するための基礎体力が付けばよいのである。週2日、1時間程度、ゆっくりと有酸素運動やストレッチで汗を流すことを心がけることが大切である。しかし、最高の抗がん剤は、喋ること、笑うこと、歌うことである。人間の活力を上げるうえで、これは大変に重要なことである。笑いの無い会社、職場では社員の士気も上がらない。笑いは、職場の健康バロメーターであり、体の抗がん剤、会社の抗がん剤、人生の抗がん剤なのである。
  病院での私の仲間は13人のうち、既に7人が亡くなった。結局、生存率46.5%は実証されているのである。私は8年目の生存率30%という数字に向かい「いのち」ある限り、意味のある生き方をし、少しでも世のため、人のためになることに協力し、1日でも長く、いのちをつなぎたいと願っている。

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【22年5月度産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ『 NTTデータの企業変革活動 』

日  時:平成22年5月12日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 伊吹の間
参加者:29名

スピーカー:
中村 充孝(なかむら みつたか)
株式会社NTTデータ東海 取締役社長

中村 充孝氏

1. 株式会社NTTデータ
  現在、社員は単体で約9000名、連結では約36000名にのぼる。業務内容はシステムインテグレーションといわれる、お客様のコンピュータシステムの構築を主な事業としている。我々の事業は楽天やyahooなどのインターネットを通じて行う一般コンシューマー向けとは違い、一般企業や金融機関、官公庁などをお客様とし、システム構築だけでなくIT戦略の立案から保守運用まで、IT関係のサポートをトータルで行っている。
具体的には、一般企業の財務会計、販売管理、生産管理、人事給与などのシステムから、金融機関では、勘定系・情報系システム、全銀システム等の決済システム、公共機関では、中央官庁、自治体、医療機関のシステム構築などを行っている。

2. 企業変革活動のはじまり
 NTTデータは、電電公社からNTTになった直後の1988年に分社化し、その後、売上は順調に推移していたものの、2000年頃から成長が横ばいとなった。2004年に中期計画を立てるにあたり更に高い成長を目指すため、(1)お客様満足度No.1を目指す、(2)さまざまな施策を行い更なる成長を目指す、(3)売上高1兆円を目指すという目標を掲げた。しかし、当時の問題点は数字面のみならず内的課題も大きかった。我々の問題意識として、(1)ノウハウの横展開ができていない、(2)社員が抱える自社に対する閉塞感、(3)トラブルが減らない、などがあった。このような状況を打開するため、企業変革活動に取組むことになった。

3. 変革のための具体策
  まず、現状を把握するために社員にアンケートをとり、問題点を可視化することから始めた。そして、会社として目指すものを明確にするために、社員から有志を募ってワーキンググループを作り、役員を含めた議論を繰り返した結果、10年後のあるべき姿を「Global IT Innovator」とし、「グローバル化」、「生活者起点」、「ワークスタイルイノベーション」をビジョンとして掲げた。同時に、「社会的責任と顧客志向」「自発性」「挑戦、スピード」「チームワーク」などを行動ガイドラインとして明確にした。その後、ビジョンを浸透させるために管理職を対象にしたセッションや、幹部と現場との対話会などの活動を繰り返した。このような地道な浸透活動とは別に、目に見える成果がなければ継続性が保てないということで、再度社員有志を募り、行動改革ワーキンググループとして、ビジョンを実現する具体策を検討した。

4. 社内SNS(ソーシャルネットワーキングシステム)
  ワーキンググループでの検討結果の一つとして、「セクショナリズムを排して、仲間の知恵と力を合せる」ことを目的とする社内SNS(「Nexti」)の導入が提案された。Nextiは社員有志のボランティアで運営されているが、現在ではグループ会社にも広がり、約10,000人が登録している。その1割は週に1回は利用しており、1日100件ほどの投稿が寄せられている。Nextiの導入により、思っていることを自由にネットに書き込むことで、普段、顔を合わせない社員間でも情報交換やコミュニケーションが容易となり、自分の担当以外のところが何をやっているのか、他の社員がどんなことを思っているのかが判るようになった。結果として社員が組織や役割を越えて助け合い、強制せずとも情報が流通する風通しの良い社風作りに役立っている。

5. 企業変革活動が目指すもの
  当初は電電公社で主に全国的、公共的なオンラインシステムを中心とした事業を始め、次に、大規模開発が得意なシステムインテグレーターとして金融機関、官公庁、企業のシステム開発を生業としてきた。しかし、オープン化、インターネット、オフショア開発、クラウドコンピューティングなどの技術進歩、グローバル化でITサービス業界は大きな変革期を迎えている。生き残るためには、自分達の思考や行動パターン、企業風土を変えなくてはならない。それができなければ、このような激しい環境変化についてはいけない。我々は、新たな企業文化を作るため、社員一人ひとり、職場・組織単位で意識を変え、組織の壁を越えて連携しつつ、それぞれが自律的な行動をするための行動改革に努力している。

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【22年5月度産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ『 数字で浮世を生きる 』

日  時:平成22年5月19日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
参加者:25名

スピーカー:
山本 卓(やまもと たかし)
株式会社アルデバラン 代表取締役会長

山本 卓氏

1. 数字で浮世を生きる
 私が18歳の頃に、葛飾北斎が60歳で富嶽三十六景を描いたことを知り、彼は素晴らしい画家であるのと同時に、幾何学の天才ではないかと感じた。なぜならば、彼の多くの絵の構図は幾何学が利用されたり、三角形の相関関係のうえに描かれていたりするのである。2009年にNHKテレビの「名画百選」でこのことが紹介された際、私は18歳の頃の感動が蘇るのと同時に、ドビュッシーの交響曲「海」が、北斎の「神奈川沖波裏」に影響を受けて作曲されたことを知り、画家と音楽家、数学家が一体となって人生を歩んでいることを感じたのである。このような想いから、本日の演題を「数字で浮世を生きる」とさせていただいている。
 葛飾北斎は1760年に生まれ、1849年に亡くなったが、生涯で引越しを93回繰り返し、名前を三十数回変えるなど、非常にバイタリティがあり、亡くなる直前まで絵を描いていたそうである。私もこのように生きることが夢であり、彼は画家であるものの、私にとっては目標とする幾何学者なのである。

2. 数の性質(数字の意味)
 ゼロは心を「無」にするという意味を持ち、6世紀にインドでこれを数字として使うようになり、ここから数学が大きく発展した。ものを数えるときは必ず1から数える。1は自然数の始まりの数であり、数の体系は全て1が基本となっている。一で始まる熟語や名前は非常に多く、日常で最も使われている数である。「男と女」「天と地」「生と死」などは自然界で2として用いられ、それ以外の数にはならない。自然もしくは神がそのように設定しているのであろう。現実の世界は3次元であり、人間はその中で生活している。最小の正多面体(正三角形4つで作る多面体)の面の数と頂点の数は4である。また、我々が快適な生活を送るために使用しているベッド、布団、本、ファイルなどは四角形である。5は存在する正多面体(正四面、六面、八面、十二面、二十面体)の数であり、5というのは片手の指の数である。6はサイコロ(立方体)の面の数である。7は我々にとって神秘的な数である。定規とコンパスでは作図できない正多角形の辺の数であり、ラッキーセブン、世界の七不思議など数字として非常に魅力的且つ神秘的な数である。8は末広がりなど縁起のよい意味を持つ数字である。9は野球のグラウンドにいる選手が代表的であろう。指の数は10本であり、十進法に関しては非常に大事なことで、1〜10も0〜9も同じ10であるが、この違いを理解すると算数が面白くなり、奥が深いことを実感していただけるはずである。

3.日常生活と数字(麻雀 数え歌)
  麻雀については、色々と勝つ方法や負けない打ち方などの書籍が出ているが、30年前に口ずさんだ数え歌をご紹介したい。この歌は戦前に、日本麻雀連盟の小島英文氏によって作られたもので、今日のために友人から原文を送ってもらったものである。

一つとや ひとひとツーモが第一よ 第一よ 食わずによくなるお手のうち お手のうち
二つとや ふしだら姿勢に手はつかぬ 手はつかぬ 唇一文字 胸五寸 胸五寸
三つとや みにくい三味線ひくよりは ひくよりは 負けて気高い勝負ごと 勝負ごと
四つとや 横から覗いた顔色で 顔色で 聴牌読めるぞ 見せあうな 見せ合うな
五つとや 急ぐばかりが能じゃない 能じゃない あがれぬ聴牌負けのもと 負けのもと
六つとや 無理なチイポイ手を詰める 手を詰める 末は打上げ 泣き面ぞ 泣き面ぞ
七つとや 嘆きとあせりは身の毒よ 身の毒よ いつも朗らかにニコニコと ニコニコと
八つとや 病み上がりや憂いごと 憂いごと 睡眠不足にゃ心せよ 心せよ
      (打たんとよ 打たんとよ 家に帰って寝とかんと)
九つとや 心一つで運開く 運開く 虚心坦懐 安らかに 安らかに
十とや とことん腐ったその時も その時も 笑って日を待て 春の日を 春の日を

 この数え歌は、我慢することや、仕事に対する姿勢、コツコツと地道に事を成し遂げるひたむきさ、負けても気高くいることの美しさ、状況が悪くても前向きな気持ちを忘れないことなど、麻雀に人間の生き方を重ね合わせているものである。今、改めてこの歌詞を読んでみると、昔は感じることがなかったが、非常に奥深い意味があることを実感する。

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【名古屋いちばん物語】 No.2

テーマ『 依佐美送信所〜欧州向け通信発祥の地〜 』

シーキューブ株式会社
代表取締役社長 片桐 清志

  昔、刈谷付近を通過する車窓から通称「お化け鉄塔」が見えた。名古屋テレビ塔(高さ180m)よりも高い250mの棒状鉄塔8基が田んぼの中に立つ姿は異様だったし、ランドマークではあるが一般の人には用途も知られていないため適当な呼び名もなかった。列車の進行と共に重なり合って本数が変化するため、誰言うとなく「お化け鉄塔」の名前が定着したのだろう。
  実はこの鉄塔の当初の役目はヨーロッパ向けの無線通信で、1929年にポーランドのワルシャワへ送信を開始している。それまでは大陸向け通信(電信)は長崎〜上海間の海底ケーブル経由のみだったため、国際通信は外国に依存しなければならず緊急性に乏しかった。これを補うため、無線によるヨーロッパとの直接通信を実現する手段として大出力(700kW)の超長波(17.4kHz)方式送信所が依佐美に建設された。つまり「お化け鉄塔」は日本で最初の大陸向け無線通信施設だ。(因みに受信所は三重県三重郡海蔵村(現四日市市)に建設された)
  その後、ヨーロッパ向け通信は省電力化が可能な短波方式が主流になり、依佐美にも短波方式が導入され、「お化け鉄塔」はバックアップ用となった。超長波通信は1941年には潜水艦用の通信手段として日本海軍が使用している。戦後、一旦はGHQにより解体命令が出されたが、その後解体中止命令が出され1950年には通信設備を米軍が接収し、対潜水艦通信用に1993年まで使用された。
  「お化け鉄塔」は1997年に撤去され、2004年に跡地は刈谷市によって整備され「フローラルガーデンよさみ」として市民の憩いの場所に生まれ変わった。その公園の片隅に「お化け鉄塔」の1基の基礎台と鉄塔の一部が25mのモニュメントとして保存され、その横にはヨーロッパ通信で活躍した送信機を保存した依佐美送信所記念館がある。
  名古屋周辺にはこうした産業遺産が数多く残されていて、地元企業や地元のボランティアによって研究や運営されているものが多い。依佐美送信所記念館も2007年に結成された「依佐美送信所記念館ボランティアの会」によって今も運営されている。
 こうした地元の産業遺産研究会の活動が実って、ヨーロッパ向け通信の開始から80周年の2009年にはIEEE(アイトリプルイー:アメリカに本部を置く世界最大の電気電子学会)のマイルストーン(電気電子分野の世界産業遺産:日本では8件目)に認定された。2009年5月19日にはIEEEの代表が来日し、依佐美送信所記念館でマイルストーンの贈呈式が行われた。また今年4月20日には無線通信関係者を始め、保存に尽力した関係者が集まって記念碑の建立式が晴天の下で開催された。

依佐美送信所記念館(外観)
依佐美送信所記念館(外観)

依佐美送信所記念館(内部)
依佐美送信所記念館(内部)
依佐美送信所「お化け鉄塔」モニュメント
依佐美送信所「お化け鉄塔」モニュメント
依佐美送信所 IEEEマイルストーン記念碑
依佐美送信所 IEEEマイルストーン記念碑


【名古屋いちばん物語】:番外編

株式会社ポッカコーポレーション 創業者
NPO法人食・尾張プロジェクト  理事長
谷田 利景氏

 先月号で「名古屋いちばん物語」の記念すべき第一稿に「きしめん」について書かせていただきました。名古屋ならではの歴史ある食文化の衰退に危機感を抱き、「名古屋めし」のトップブランドの一つとして蘇ることを目指し、まだ道半ばではありますが一生懸命取り組んでいるところです。
  そこで、先月号では申し上げきれなかった、「地域の魅力」と「やる気」という観点から追加させていただきます。

 ――――貴方の地域の魅力は何ですか?

 そう問いかけられたとき、瞬時に「これです」とはっきり口にできる地域はいくつあるだろうか。それが答えられた地域は、名所・名物・生活環境などが活性化されている証拠である。
  私が居を構える名古屋市を例にとってみよう。みなさんは名古屋といえば、何を思いつかれるだろうか。金のシャチホコ、小倉トースト、どて煮…どれも「帯に短し、たすきに長し」という感が否めない。そもそも、八丁味噌の産地は正確には岡崎市であって、名古屋ではないのだ。
  そこで、私は考えた。経済に元気のなくなっている名古屋の魅力づけをするために必要なこと、それは名古屋生粋の名物の認知度を高めることではないかと。そうしなければ、名古屋の活力がいつしか失われてしまうような危機感があった。
 その最たる救世主がきしめんなのである。「きしめんという名古屋が誇る食文化をきっかけに、観光客に足を運んでもらい、地域の活性化につなげよう」、このようなコンセプトのもと、さっそく2004年にNPO法人「食・尾張プロジェクト」を立ち上げ、行動を起こした。しかし、当初の反応はひどいものだった。
 「ひとりで動いたところで、何が変わるの?」
 「そんな利益にならないこと、誰かにやらせておけばいいじゃないか」
 「そもそも、なんできしめんなんだ?」
 日本中どこでも見られそうな典型的な光景である。状況の悪化が露呈した際、なにかを変えなければダメになってしまうと頭では理解しているのだが、その実行を他人に任せにしてしまう悪しき風習といえよう。
  これは、幕末の黒船騒動にも通じるところで、諸外国の文明力を認識しながら幕府首脳部は思い切ったチェンジに踏み切れなかった。そんななか、「日本を外国の植民地化にはさせない」と、志士たちが手を挙げたことによって維新が実行されたのである。もし、かれらのやる気がなければ、日本は諸外国に蹂躙されていただろう。
  では、みなさん、現在の日本も幕末と同じような状況であることを認識しているだろうか。もはや日本の経済神話は過去のもの。いつ外国資本の参入を許すかわからない。つまり、自分がやる気をだして実行していかない限り、将来は不安定な要素で満ちているのである。
  それでは、やる気とはなんであろうか。
  例えば、日本相撲協会の理事選で、貴乃花親方が二所ノ関一門を破門されてまでも、このままでは相撲が衰退するという危機感をもって出馬したのが、やる気の好例である。落選するかもしれない。そんな貴乃花親方の心意気に大いに共感し、「日本もまだまだ捨てたものではない」とうれしくなったのは記憶に新しい。
先述のきしめんに話を戻すと、3年かかったが、ようやく麺類業界をはじめ、官民が一体となって協力体制が構築できるようになってきた。私が動いたことで、やる気が名古屋地域の人たちに伝わり、きしめんを名物にしようというムーブメントが起きたのだ。
  こうした、状況を変えようとする勇往邁進の気概は、実は誰にでも簡単に身につけることができる。要は会社でも組織でも個人でも、そこにオンリーワンの魅力を見いだそうとすればいいのだ。
  2008年に1冊の本を上梓してから、講演会に呼ばれることが多くなった。その際、いつもなにを話そうか頭を悩ませる。そこで問いかけるようにしているのが、冒頭の「貴方の地域の魅力は何ですか?」「貴方の会社の魅力は何ですか?」ということだ。地域や会社の部分を組織・個人などに置き換えれば、すべてに応用できる。魅力というからには、人の心をひきつけるものがなければならず、特徴とは似て非なるものである。それは世のため人のためという信条がにじみでているかどうかであり、私利私欲の部分が垣間見えれば人の魅力を感じず、単に特徴として距離を置くようになる。
  私は、日本に産しないレモンやコーヒーを持ち込むことで、会社の魅力づけをはかってきた。とくにポッカレモンはビタミンCの摂取が健康にいいという観念を世の中に浸透させ、人々に与えてきた。あれから半世紀。83歳を迎え、今度は私自らがビタミン剤となって、活字によって皆さんに元気をお届けしたい。本稿によって「やる気があれば、なんでもできる」という元気のエキスが伝われば望外の喜びである。


 「名古屋いちばん物語」の連載にあたって

 名古屋開府400年に因んで、4月号から「名古屋いちばん物語」を連載しています。名古屋で始まった文化や名古屋名物、名古屋圏にある日本一などの「名古屋自慢」を会員諸氏にご紹介いただくコーナーです。
  今後も題材を変えながら毎号ご紹介する予定です。募集は随時行っています。下記投稿要領をご参考に奮ってご投稿ください。


投稿要領

  1. 分野
    • 文化、産業、歴史等幅広い分野を対象とします。
    • 名古屋にゆかりのある日本初や日本一をご紹介ください。
  2. 様式・分量
    • 様式は自由です。
    • 写真や表の使用も構いません。
    • 分量も特に制限はありませんが、メールマガジンの性格上、A4で1〜2枚を目安にしていただければ幸いです。(分量により「その1」「その2」等に分割掲載とさせていただく場合があります)
  3. 投稿方法
    • 「Word」等でのメール投稿を歓迎しますが、手書き等でも構いません。
  4. 原稿締め切り
    • 毎月15日までに投稿いただいたものは当月号に掲載します。(投稿多数の場合は翌月号掲載となる場合があります)
  5. 投稿先
    中部経済同友会事務局
    • e-Mail:cace@cace.jp
    •  
    • FAX:052-221-8925
    • 〒460-0008 名古屋市中区栄2-10-19 商工会議所ビル8階

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【新会員自己紹介】

栗原 和浩氏
水曜第2グループ

栗原 和浩(くりはら かずひろ)
株式会社日立製作所 中部支社 支社長 執行役員

【株式会社日立製作所 中部支社】
〒460-8435 名古屋市中区栄3-17-12
tel:052-259-1110 fax:052-259-1088
URL:http://www.hitachi.co.jp/

日立製作所の栗原でございます。
産業懇談会水曜第2グループに参加させて戴く事になりました。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 水戸生まれの東京育ちとよく自己紹介させて戴きます。実は仕事の面でも2年間の北京駐在を除けば、全て東京での仕事が長く、名古屋に参りましたのが初めての国内転勤という『希少生物』です。赴任し、1ヶ月強が過ぎましたが、意外に環境適合性にも優れていそうだと勝手に自信を深めております。綺麗な街並み、緑豊かな公園、そして美味しい食事と、今の所、いい事だらけです。

 日立は、本年創業100周年を迎えました。創業の精神『和』『誠』『開拓者精神』を基に、次の100年に向けて、中部圏の一層の発展に貢献すべく、挑戦して参ります。皆様のご指導・ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

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高橋 秀明氏
水曜第2グループ

高橋 秀明(たかはし ひであき)
サンデン株式会社 東海支社 支社長

【サンデン株式会社東海支社】
〒466-0064 名古屋市昭和区鶴舞2-17-17 ベルビル4F
TEL:052-884-7221 FAX:052-881-8448
URL:http://www.sanden.co.jp

 サンデン株式会社の高橋でございます。
産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。
前任者同様、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

弊社は、東京に本社を置き、カークーラー、業務用ショーケース、自動販売機及び住宅関連機器を製造、販売する会社で、東海支社は東海三県を担当し、常に技術開発とモノづくりに基づいた、魅力のある製品、システム、サービスをお客様に提供することに取り組んでおります。
  ちょっと街中を歩いていただけたら、コンビニエンスストアの中、街角の自動販売機等、「サンデン」のブランドのついたものがありますので、もう少し身近さを感じ取っていただけるのでは、と思っています。

 私は、今回で9回目の転勤、名古屋は2度目の赴任となり、第二の故郷とも言えるこの地で、東海地区に少しでも貢献できるように邁進してまいりますので、皆様のご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

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戸田 智之氏
水曜第2グループ

戸田 智之(とだ ともゆき)
株式会社 一光 取締役副社長

【株式会社 一光】
〒461-0005 名古屋市東区東桜一丁目9番26号 一光パーク栄ビル4階
tel:052-962-3071 fax:052-971-5226
URL:http://www.ikko-group.co.jp

 株式会社 一光の戸田智之でございます。
  このたび産業懇談会水曜第2グループに加えて頂き、光栄至極でございます。
  当社はお陰さまで本年創業60周年を迎えます。市内瑞穂区にて産声をあげ、皆様のご愛顧のもと、石油製品を提供する全国約220店舗の自社サービスステーション網にまで成長いたしました。各店舗等では自動車整備・保険・リース・レンタカーなどのトータルなカーケアサポートも提供させて頂いております。グループ各社では、石油製品卸売、航空機給油、船舶用・工業用潤滑油供給、ローリー運送はじめ、名駅・伏見・栄・新栄等の自社ビル賃貸、マンション管理業、OA機器・OA用品等販売、太陽光発電システム販売などを手掛けております。
  環境問題、次世代自動車などで話題の多い業界に身を置いておりますが、今後はグループの力を結集して様々なエネルギーやサービスを皆様に供給できる総合エネルギー商社に脱皮していきたいと存じます。
  小生は関西出身で、縁あって3年半前に名古屋に参りました。名古屋には知己もまだ少ないため、皆様には公私にわたりご指導ご鞭撻賜れば幸甚でございます。よろしくお願い申し上げます。

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松原 秀式氏
水曜第2グループ

松原 秀式(まつばら ひでのり)
東邦ガステクノ株式会社 取締役社長 

【東邦ガステクノ株式会社】
〒456-0004 名古屋市熱田区桜田町19番18号
tel:052-872-3757 fax:052-872-3720
URL:http://www.tohogas-techno.co.jp

東邦ガステクノ株式会社の松原でございます。
この度、産業懇談会水曜第2グループに参加させていただくことになりました。
当社は東邦ガスの子会社で、主にガスエネルギーをお届けするための設計・販売・施工を行っています。
家庭用においては、厨房、給湯、暖房分野に加えて、ガス発電・給湯冷暖房システムであるエコウィルの販売・施工。業務用においては、経済性向上、環境負荷低減、省エネルギーに資するコージェネレーション、ガス空調設備の販売・施工。また、先端技術である家庭用燃料電池や都市ガス改質水素ステーションなどの工事にも取り組んでいます。
この他にも道路掘削工事で掘り起こした残土やアスファルト塊をプラントで再処理するリサイクル事業を展開し、環境保全、省資源にも貢献しています。
お客さま第一主義を基本理念に、環境調和型社会の実現に貢献してまいりたいと思いますので、皆様のご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

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【6月度産業懇談会開催日程】

6月3日(木)以外の場所は、名古屋観光ホテルです。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
6月 8日(火)
12:00〜14:00
(株)名古屋証券取引所 取締役副社長
竹田 正樹氏
「株式会社と証券市場
     〜株は儲かる?公開はお得?〜」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
6月 16日(水)
12:00〜14:00
宝和工業(株) 取締役社長 落合 肇氏のご紹介
(株)間組 名古屋支店 執行役員 支店長
木下 壽昌氏
「本丸御殿復元への思い」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
見祐次
6月 9日(水)
12:00〜14:00
(株)アイチコーポレーション 名古屋支店
名古屋支店長 遠藤 俊也氏
「ちょっとユニークな会社
   アイチコーポレーションのご紹介」
18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助
6月 3日 (木)
11:00〜17:00
企業・商業施設見学会
(株)ソトーmozoワンダーシティ
一宮市篭屋町5-1-1
名古屋市西区二方町40

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【7月度産業懇談会開催日程】

場所は、名古屋観光ホテルです。
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
7月13日(火)
12:00〜14:00

(株)モリシマ 取締役会長 深田正雄氏のご紹介

一般社団法人グローバルみらい塾 会長
(株)グローバル教育ドットコム 代表
渥美 育子氏
「グローバル教育@セントレアの開講
 〜日本浮上のためにもっと
           グローバル人材の育成を!〜」

18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
7月21日(水)
12:00〜14:00
ニューライトサービス(株) 代表取締役
淺井 博司氏
「ご提案し続けたコミュニケーションツール
(2008年同時不況からの成果)」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
見祐次
7月14日(水)
12:00〜14:00
日本コムシス(株)東海支店 執行役員支店長
小野 隆夫氏
「通信・放送の融合時代に思うこと
              −歴史を辿って−」
18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助
7月 1日 (木)
12:00〜14:00

名古屋中小企業投資育成(株) 取締役社長
池田芳原氏のご紹介

名古屋中小企業投資育成(株)
業務第六部長 取締役 磯部 隆英氏
「事業承継問題の深刻化と
         投資育成会社に対する期待」

18階
伊吹の間

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【お知らせ】

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【アートコーナー】
からくりアート点描 No.14

=「旧制浪高生の像(友よ我らぞ光よと)」の竣工式=


 来る5月27日に大阪大学石橋正門に、阪大の前身「旧制浪速高等学校」より寄贈のブロンズ・モニュメント2体の設置・除幕式を迎えます。これは浪高85年、阪大80年を迎える記念として制作したものです。
 浪速高等学校は当時、大阪府下の一番手の成績優秀者を集めて創立された学校です。
  毎年8月に名古屋・国際ホテルで開かれる「旧制寮歌祭」では浪高出身者から「恩師のお嬢さん」と足の裏がむず痒くなるほどのお言葉を頂き、父の縁で20年以上ご招待をうけ出席してきました。3年前の寮歌祭のとき、同窓会長・池口金太郎氏に呼び出され、モニュメント制作の依頼を受けました。長年、同窓会の方たちとお目にかかっていましたがまさか、作品制作とは 思いもよらないことでした。
  世話人さんの言によれば「一番若手で79歳、同窓会費の残ったお金で弊衣破帽、青春の像を建立したい。是非とも、爺さんたちの熱い想いを実現して欲しい」というものでした。

旧制浪高生の像

旧制浪高生の像

 

制作のテーマは、

  • 青春を謳歌せずに逝った人たちへの鎮魂の像。
  • かって英明な人たちをはぐくんだ、旧制高等学校の意気やよし。
  • 卒業後夫々、日本の中枢で官僚や社長というリーダーになった人々への像。
  • 次世代の若者へ信頼と期待の像。
  • 今の阪大生へ先輩たちの「立志の想い」を受け継いで欲しい

というメッセージでもあり、という様々な気持ちで制作。

 今の人たちのあっさり、とかクールとか、やる気なさとか、なげやりとか、(誰でもいいから殺したかったなんていう事は論外ですが)熱い魂を発信する若者が減ってきてるような昨今です。切ない人間賛歌のほとばしりは、何処の時点から止まってしまってるのかと思う位ですが、「浪校健児、ここにあり」の気持ちを表せたとしたら望外の喜びです。

タイトルは寮歌「浪速の友よ」の1節から取ったものです。
素材:ブロンズ
「友よ我らぞ光よと」像 
   大きさ:
1m61cm、石台座:1m90cm
「待ちかね童子」像
    大きさ:
60cm、石台座:1m20cm
場所:大阪大学 豊中キャンパス石橋正門 待兼山庭園
依頼主:旧制浪速高等学校同窓会
2010年5月27日 竣工

まちかね童子
まちかね童子 旧制浪高生の像
  5月27日に鷲尾清一大阪大学総長はじめ約70人くらいで、竣工・除幕式が行われます。今、「爺さんたちの青春」に花を添えるべく、像の周辺に低花木を植えて修景の真っ只中です。

旧制浪高生の像

竣工・除幕式>
旧制浪高生の像


制作
夢童由里子
〒459-0024 名古屋市名東区本郷2-150
電話:052-774-6891 携帯電話: 090-2610-5925
E-mail:mudo@r9.dion.ne.jp
夢童アートHP:http://mudou-art.com/

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【コラム】

コラム1 【花ちゃんからの健康だより】 No.74
花ちゃんからの健康だより

株式会社 スズケン
保健師 佐藤 花子

『 マイナスイオン効果でリフレッシュを! 』

 初夏から暑い夏を迎えようとするこの季節、心や体が疲れたとき、疲労回復やリラックスをどのようにしていますか?
 かなり昔から、滝の轟音や雄大さ、清清しさにひかれてきました。気持ちがすっきりするのは滝から出るマイナスイオンの効果が大きいそうです。ドイツの物理学者のフィリップ・レナードは、この滝を研究して、水滴が飛び散るときにでるマイナスイオンについて物理的に解明しました。そのためマイナスイオンの効果をレナード効果とも言います。(フィリップ・レナードは1905年に陰極線の実験的研究によってノーベル物理学賞を受賞。)
 一般的な空気には1立方センチメートル当たり、1000〜2000個のイオンがあると言われ、体に良いのは、マイナスイオン対プラスイオンが3対1または4対1と言われています。しかし、自宅や職場では電磁波や煙や紫外線など多くの物からプラスイオンが発生し、体に害を及ぼし疲れやすい環境になっています。
  マイナスイオンは、酸性化した血液をアルカリ傾向に改善したり、呼吸数や血圧を安定させたりして、体の興奮を鎮めて疲労を軽減してくれます。また、免疫力向上など多岐にわたる効果のため、マイナスイオンが出る家電製品がつくられ、それを意識して購入している人が多くなっています。皆様の自宅にも2つ以上はあるのではないでしょうか?

 スポーツ派、アウトドア派の方は、汗をかいてシャワーでさっぱりすることも多くなってきますね。シャワーには体を清潔にする以外に、気分をもさっぱりさせてくれるのはマイナスイオンのレナード効果です。湿度が高く水滴の多い森や人工的な噴水もマイナスイオンが多く発生していますので、積極的に近づきましょう。

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コラム2 【理念経営物語】
コラム【理念経営物語】

株式会社御園座 特別顧問
     理念経営研究所 理事長
             窪田 貞三

和

『その2 和とは』

禾=軍門の象 口=盟誓(載書と言われる文書を収める器)つまり「軍門の前で盟約し、講和を行なう意」「和平を原義とする字」であり、下記の意味がある。
(1)やわらぐ。講和する。友好関係となる。むつまじい。やすらか。たのしむ。なごむ。
(2)かなう。こたえる。あう。したがう。
(3)声が合う。音がととのう。味がととのう。ひとしい。おなじ。あわせる。

和という字の意味は、大変良い意味ばかりが出てきますが、一方で、この和という字は「日本」を意味する文化的概念でもあり、衣食住においても「和服」「和食」「和室」など、日本の文化は「和風文化」であり、この和風文化こそが日本人の個性なのに、いつの間にか我々日本人はこの「和風文化」をどこかに忘れて来ているように思えてなりません。もちろん、衣食住の中に「和風文化」は残されて来ていますが、根本的な「心の文化」ではなく、表面的な「和風文化」ばかりが残されて来ているように思えます。和という字の意味にもあるように、「友好関係になること」が和なのですが、本来、友好関係を築くために必要なことは、人と人が触れ合うことですが、例えば、仮に和食をしていたとしても、家族団欒の食事ではなく、一人一人がそれぞれバラバラに自分の部屋で食事をしている家庭が増えてきています。もちろん、この厳しい時代になかなか家族が揃って食事をすることが難しいと言えるかもしれませんが、そういった家族団欒の場において、お互いを知り、思いやりや尊重といった日本人の心が育ってきたはずなのですが、そういった場がなくなって来て、我々日本人の大切なものが壊れているように思えます。話は変わりますが、私の友人であり、ある食品会社の社長であるN氏は、社員との「和」を大切にするために、いつも社員食堂で社員達と一緒に食事をしています。社長として、社員の声を聴くことは重要なことですが、「意見や提案を出せ!」などというより、自ら歩み寄り、話がしやすい「場」を提供しているのです。食品会社として、食による「和」を行なっているのです。

☆ 皆様へのお知らせ
いつも私の連載記事をお読みいただきありがとうございます。今まで数々のシリーズを皆様にお読みいただきてきましたが、もっともっと内容のある記事を書きたいと言う私のわがままで、しばらくの間お休みさせていただくことになりました。また勉強し直し、戻ってまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

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コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.19
コラム【理念経営物語】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『秘密諜報員ベートーヴェン』
古山和男著・新潮新書

 1827年3月26日、雷鳴轟く中、ベートーヴェンは、56年と3ヶ月にわたるその劇的な生涯の幕を閉じた。遺品の中から、3通の〈不滅の恋人〉にあてた手紙が見つかったが、宛名が記されていないために、その手紙の存在が公表されてのち今日に至るまで150年以上の間、世界中の研究者は、〈恋人〉探しに奔走している。
  今年の5月14日に刊行されたばかりのこの本で、著者の古山和男氏は、すべての先入観を排し、素直に論理を構築することで、画期的な「結論」を導き出した。それは、単に〈不滅の恋人〉問題に答を与えるだけではなく、新しいベートーヴェン像を描き出すことにも成功している。
  手紙が書かれた1812年当時のヨーロッパの政治体制と経済変動との関わりの中で推論するという、政治経済学部出身の異色の音楽学者ならではの、推理小説顔負けの面白さ!

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コラム4 【苗字随想】 No.96
コラム【理念経営物語】

片桐清志

「御」と「殿」

 先月の本丸に続き、今月号は御殿に因んで、「御」と「殿」に関する苗字に着目したい。
 「御」は品格が感じられるためか特に人気が高く、「御」で始まる苗字は260種余見つかった。「殿」で始まる苗字も52種見つかった。一字姓では「御」は見つからなかったが、「殿」は居て、トノのほかにトノモリという呼び方が見つかった。
 ランキング(佐久間 英氏)では上位を占める苗字は少ない。「御」姓では御園の2514位がトップで以下御園生(ミソノウ・ミソノオ・ミソノフ)、御厨(ミクリヤ・ミズ)、御子柴(ミコシバ)が4000番内に入っている。「殿」姓でも殿村の3064位がトップで殿岡が6000番内にやっと出てくる。
 「御」姓には3文字姓が非常に多い。約3割の76種が見つかった。上記以外で比較的よく見かける3文字姓では御手洗(ミタライ・ミタラシ)、御代川(ミヨカワ)、御代田(ミヨダ)、御供田(オクダ・ゴクデン他)、御器所(ゴキソ・オキソ)、御堂丸(ミドウマル)、御子神(ミコガミ)、御宮司(ミグウジ・オミヤジ)、御射山(ミサシヤマ・ミサヤマ)、御厩屋(オウマヤ)、御徒町(オカチマチ)、御手代(ミテシロ)、御手水(オチョウズ・オテミズ)、御旅屋(オタビヤ)、御望郷(ミホウゴウ・ミモウゴウ)、御木本、御殿谷(ミトノヤ)、御母衣(ミホロ・ミホイ)、御田村(ミタムラ)、御矢川(ミヤガワ)、御祓如(ヤゴウラ)、御神体(ミカモト)、御茶屋(オチャヤ)、御返事(ゴヘンジ・オツヘジ・オッペジ)、御領園(ゴリョウゾノ)、御馬屋(ミウマヤ)などが見つかった。因みに4文字姓もあり、御堂河内(ミドウコウチ)、御木具屋(ミキグヤ)、御菩薩木(ミボサキ・ミゾロギ)、御菩薩池(ミボサチ・ミボサイケ・ミゾロケ)・御麻生園(ミョウゾノ)が見つかった。さらに5文字姓の御塔使河原(ミダイガワラ)も見つかった。
 「御」姓は読み方も多様だ。「御前」はオマエ・ゴゼン・ミサキ・ミマエ・ミゼンが、「御宿」はオヤド・オンジュク・ミシュク・ミジュク・ミジク・トノイの7とおりが見つかった。
 ユニークな苗字では御供(オトモ・ミトモ)、御輿(ミコシ・オコシ)、御国(ミクニ)、御墓(オハカ)、御宅(ミヤケ)、御室(ミムロ・オムロ)、御守(オンモリ・ミモリ)、御幸(ミユキ)、御座(ゴザ・ミマシ・オマシ)、御所(ゴショ・ゴゼ・ミトコロ)、御袋(ミフクロ)、御酒(ミキ)、御酢(ミス)、御陵(ゴリョウ)、御霊(ミタマ・ミカナジ)などがある。御名(オナ・ミナ)、御姓(ミセイ・ミショウ)などが苗字愛好家なら面白い。
 「殿」では殿下(デンカ・トノシタ)、殿前(トノマエ)、殿城(トノシロ・トノキ)、殿所(トンドコロ)、殿納屋(トノヤ)、殿守(トノモリ)、殿待(トノマチ)などだろう。

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【平成22年5月号編集後記】

 2010年は周年当たり年だ。名古屋開府400年、奈良遷都1300年などはご存知のとおりだ。実は「産業懇談会」も、昭和56年に異業種交流の場として誕生して30年の節目を迎える。今では他地区経済同友会に例のない、中部経済同友会の特色となっている。
 この機会に当会の一層の発展を期して、新規入会の増強キャンペーンが予定されている。近々、事務局からの呼びかけが会員各位の手元に届く手筈になっている。すでに中部経済同友会には入会しているが、産業懇談会には未加入の会員が身近に居たら産業懇談会への登録を勧誘していただきたい。また、すでに産業懇談会に登録はしてあるが、諸般の事情でいわゆる「休眠状態」となっている会員には、例会への参加を呼びかけていただきたい。30年の節目を機に、本誌も内容の充実に努めていく所存だ。会員各位の更なるご支援をお願いする。

 本号でも4名の新会員をご紹介できた。新会員を歓迎すると共に、本会を有意義にご活用いただきたい。例会模様も4グループ分を一挙掲載できた。年度始めで、ご多忙にも拘わらず会員のために貴重なスピーチを戴いた諸兄に感謝する。

(片桐)