今回は、リコーエレメックスの沢社長のご案内により、岡崎事業所を見学させていただいた。一行は、バスで午前10時40分に商工会議所ビルを出発して、昼前、現地に到着。事業所内のプレゼンルームにて昼食後、鈴木事業所長より、岡崎事業所の概要をご説明いただいた。その後、2班に分かれて、事業所内の3工場(計量・計測:ガスメータ組立、特機:部品加工、精機:難削・難形状部品加工)を見学させていただいた。
●リコーエレメックスの概要
リコーエレメックスは、1938年に設立された高野精密工業株式会社がその前身であり、昨年、創立70周年を迎えた。高野精密工業の当時は、主に時計を製造しており、1957年に米国ハミルトン社と腕時計の技術提携をし、1960年には世界一の薄型腕時計を発売した。こうした時計の製造で培った精密加工技術がリコーエレメックスの原点となっている。
今は、リコーのグループ会社として時計事業に加え、複写機・情報機器事業、計量・計測事業、精密機器・部品事業など、事業分野を拡大し、海外をあわせて従業員2500名の会社にまで成長した。
岡崎事業所では計量・計測機器、精密加工部品、防衛関連機器などを製造しており、465名の従業員が働いている。また、事業所内のショールームでは創業以来培ってきた「精密加工技術」を駆使して製造された腕時計を始め、最新の複写機、「QREX」の愛称で呼ばれる品質の高いガスメータ等を展示するとともに、リコーグループが力を入れて取り組んでいる環境保全活動についても紹介している。
沢社長は冒頭「リコーエレメックスではリコーグループを創立した市村清の言葉「三愛精神(人を愛し、国を愛し、勤めを愛す)」を創業の精神に事業活動を展開しています。最後に「勤めを愛す」がありますが、その前に、先ずは「人を愛し」「日本を愛す」ことが大切で、リコーグループの皆がこの精神のもとに働いています。そして、リコーエレメックスの目指すべき姿として「世界一のもの作り企業」を掲げています。本日の見学でその一端を皆さんに見ていただければと考えています。」とお話された。
●工場見学
<計量・ガスメータ組立>
計量・計測機器の生産を行う第1工場では、07年5月よりガスメータ「QREX(※)」を生産している。この組立ラインでは、品質や効率の向上を目指して生産方式を改革。これまでの考え方を改め、間締めや自社製造設備の投入などによる生産ラインのコンパクト化、部品1点1点の品質保証体制の構築など、改善を積み重ねていった。一目で、異常の有無が判るようにラインの配置も変え、さらに人と人との間隔を60cmにして、「12秒」をキーワードに、ライン全工程の割り振りを行うことにより、無駄な動きを省き、工程間の同期化を実現して品質・作業効率を向上させた。
※QREXの「Q」はクオリティのQ、「REX」はリコーエレメックスの略称
<特機・部品加工>
特機・部品加工を行う第2工場では、歯切加工部品や切削工具となるホブカッター等の部品生産を行っている。効率化のため、一台の機械でさまざまな加工が可能となる複合加工機を導入して自動化を進めるとともに、これまで外部に委託して手作業で行っていた「バリ取り(※)」を機械化し、自社内で行うことで作業の効率化・コスト削減を図った。
岡崎事業所では「品質KAIZENで直行率99%」を目標に、全従業員が「99活動」に取り組んでおり、バリ取りの機械化も「99活動」の取り組みの成果の一つとなっている。
※バリ取りとは、材料を切ったり、削ったりすると材料の角に出来る出っ張りのことで、この出っ張りを取る作業
<難削・難形状部品加工>
難削・難形状部品の加工を行う第3工場は「精密加工技術」を活かして、航空機・宇宙産業機器・原子炉などの部品、精密測定装置などを生産している。これらの部品は1ミクロン(1/1000ミリメートル)単位の精度が求められるため、工場内の室温をコントロールするとともに、高度な職人技が必要になる。こうした職人の技能継承は大きな課題であり、現在は「匠制度」を設けて、熟練者から若手技能者への技能伝承を積極的に進めている。
参加者は、普段は見学できない工場内の生産工程にとても興味を持った様子で、部品のサンプルなどを手に取り、担当者の話に熱心に耳を傾けていた。各工場ではそれぞれの製造工程に合わせた効率的な管理がされており、効率化に向けた全社的な取り組みがとても印象的であった。
最後に、プレゼンルームで参加者からの質問にお答えいただき、片桐世話人の挨拶により、閉会となった。
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