株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三
【
理念人事制度 】
A社という商社にBという経営者がいました。Bは理念経営を実践しようと日々努力していました。しかし、その考え方はなかなか組織全体に浸透せず悩んでいました。そんなある日、BがC人事部長でと話をしていた時のことです。CはBに言いました。「社長、理念という理想が現実のものとして実践されるには、社員の意識だけを啓蒙してもなかなか現実的な日々の仕事の中で実践されません。思い切って人事制度の中に理念実践という項目を入れてみてはどうでしょうか?」と。その言葉に対しBは「制度にしなくても自然に浸透し実践されるのが本来理念というものだと考えてきたが、それこそ理想論で終ってしまったら意味がない。C部長、一度その人事制度について考えて提案をしてくれ!」と指示をしました。その後Cは提案書という形で、新人事制度=「A社理念人事制度」というタイトルでBに提出し、内容説明をしました。大きくは2つの新制度提案で、まず一つ目は「新人事考課制度」二つ目は「新表彰制度」でした。新人事考課制度の内容は、評価項目の中に「理念実践」という項目を入れ、自己採点と直属の上司や部門長による採点、その直属の上司や部門長の採点に対する役員・幹部による採点を行うことにより、採点される部下も採点する上司も部門長も理念をしっかりと意識しなければならないような採点方式となり、上司や部門長自身の理念実践評価も部下以上に厳しい採点となっていました。次に新表彰制度ですが、日々の業務の中で、理念実践したことをまとめ、レポート提出し、月次単位で表彰を行うという方法でしたが、この評価結果については全社にオープンにし、全社員の理念理解力を向上させるという方法でした。この提案に対しBは大変喜び、早速採用しました。A社の企業理念は「価値の創造と提供」ですが、この新人事制度導入後は、過去に無かったような本質的価値を考えた商材集めや、顧客の潜在的ニーズを引き出すような営業が出来るようになり、Bが求めてきた理想に一歩一歩近づいて行きました。
理想を言えば評価など関係なく理念行動をするべきですが、理念という大変難しいものを短期間で理解してもらうのは困難であると言えます。だからこそ自分自身に直面することに置き換えることも重要なのです。
理念経営論とは、
根本にある理念に基づき、ビジョンに向かい、
木(企業組織)は成長していく。それが理念経営論です。
根をしっかりと伸ばすことで、木は成長します。
理念経営論は、
(1)本質的経営=理念創造・実現経営
(2)夢実現経営=ビジョン創造・実現経営
(3)実践的経営=全社員自立・実行経営
以上、3つの柱から出来ています。
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