【7年1月度 「代表幹事講話」ならびに「新年合同懇親会」】
テーマ: 『 企業におけるウェルビーイングとは 』
- 日 時:令和7年1月23日(木) 17時30分~20時00分
- 講 話:17時30分~18時40分
- 懇親会:19時00分~20時00分
- 場 所:名古屋マリオットアソシアホテル 16階 アゼリア
- 参加者:85名
宮﨑 直樹(みやざき なおき)氏
中部経済同友会 代表幹事
豊田合成株式会社 取締役会長

自己紹介
大阪府池田市出身。トヨタ自動車へ入社し、人事、法務、渉外などを経験。同社の常務役員、専務役員を歴任。特技は、剣道三段、居合抜き二段、歴史研究、音楽、スポーツ観戦(特に阪神ファン)など。好きな言葉は、「明日は味方」「朝の来ない夜はない」「願わくば、我太平洋の架け橋とならん」など。
会社紹介
トヨタ自動車(株)は、豊田市に本社を置く自動車メーカーである。国内11拠点、世界26カ国に51の生産拠点を持つ。グループの従業員数は380,793人。
豊田合成(株)は、清須市に本社を置く、合成樹脂・ゴムを中心とする自動車部品メーカーである。国内12拠点、世界16カ国に45の生産拠点を持つ。グループの従業員数は38,951人。
ウェルビーイングを取り上げた背景と社会の動向
ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に満たされていると実感する状態を指す。世界保健機関(WHO)は健康を「単に病気ではない状態ではなく、ウェルビーイングな状態」と定義している。近年、国際社会では物質的な豊かさだけでなく、「生活の豊かさ」「身体の豊かさ」「心の豊かさ」が重視されている。ウェルビーイングには客観的指標(GDPなど)と主観的指標(幸福度)があるが、特に主観的ウェルビーイングが重要視されている。
ウェルビーイングを今年度の活動テーマとして掲げた背景には、若手社員の離職、転職市場の活性化、企業の業績への影響、国際的な動向など様々な要素がある。昨今の若手社員の離職理由として、キャリア成長が望めないこと、企業方針や社風とのミスマッチが増えている。特に20代の若者は仕事に対してネガティブな感情を抱きやすく、パフォーマンスの低下や早期離職に繋がる可能性がある。さらに人材紹介会社の増加により、転職市場が活性化したことも、注視すべき点であり、企業には大きな損失となっている。企業業績とウェルビーイングには相関関係があり、ウェルビーイングの高い企業は業績も良い傾向があり、幸福感の高い社員は生産性や創造性が高いとされている。
世界的に、GDP以外にも環境問題や人権問題を考慮した持続可能な開発目標(SDGs)が重視されており、国連では次の目標として持続可能なウェルビーイング目標(SWGs)に向けた取り組みが始まっている。日本政府も各国と同様に骨太方針などにウェルビーイングを反映させており、上川元外務大臣は国会内で講演を行いウェルビーイングの重要性を強調している。
企業のウェルビーイング施策
従業員のウェルビーイングを考える上で、企業が持続的成長を続け、従業員の雇用・生活を守ること、社会性の高い企業となることで「誇りの持てる会社」となること、適切な就業管理が行われているが前提となる。豊田合成の社長就任時に、企業の基本として、誠実、活力・一体感、戦略性の3つを定めた。
ウェルビーイングを実践するためのキーワードとして、「居場所と舞台」(福井県立大学 高野翔准教授)、「適切な数の選択肢と自己決定」(予防医学研究者 石川善樹氏)がある。また、慶應義塾大学 前野教授が提唱する「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのままに」という幸せの4つの因子や、米国マーティン・セリグマン教授による PERMA 理論(ポジティブ感情、エンゲージメント、人間関係、意味、達成感)は、ウェルビーイングを高めるための具体的なヒントとなる。こうした考え方を基に、私が考えた一人ひとりに求められるキーワードは、(1)寛容、(2)感謝、(3)尊敬、(4)共感・一体感、(5)信頼、(6)繊細、(7)自主性・積極性・前向き、(8)没頭、(9)努力、(10)人への興味・関心である。
企業における具体的なウェルビーイング施策としては以下の内容が挙げられる。
- 心身の健康の充実
(心:保健師による全員面談、定期的なストレスチェックやメンタルヘルス研修の実施など)
(体:定期的な人間ドック、健康増進プランの提供、イベント開催などを通じた運動の習慣化など) - 人材の確保・人材育成
(確保:日本国内外の教育機関と連携、縁故採用やインターンシップの充実など)
(育成:育成のための社員のキャリアプラン作成、社外研修の推奨など) - 双方向コミュニケーションの活性化
- 会社イベント
(駅伝大会、夏祭り、ボーリング大会、スポーツ応援、ボランティア活動など家族や取引先を巻き込んだ企画実施。目立たないが会社を支えてくれている社員の表彰) - 他に自慢できる福利厚生など
(美味しい社員食堂、清潔な執務環境、資格取得支援、大学院進学支援、独自の休暇制度など) - 尊敬できるトップ、リーダーの存在
- 会社の露出度が高い(新聞紙面の活用など)
終わりに
ウェルビーイングは伝染し、周りの人もウェルビーイングにする。ウェルビーイングは単なる福利厚生の充実に留まらず、人間の尊厳に関わる重要なテーマであり、日本国憲法でもその権利は保障されている。企業は、社員が心身ともに健康で、自己成長を実感し、会社に誇りを持てる環境を目指すべきである。
講演会終了後は、4グループ新年合同懇親会を開催。懇親を深める有意義な場となった。
【新会員自己紹介】

太田 邦治(おおた くにはる)氏
ダイキョーオータ株式会社
代表取締役社長
【ダイキョーオータ株式会社】
〒454−0839 名古屋市中川区篠原橋通3−31
URL:https://www.daikyo-ohta.co.jp/
木曜グループに入会させて頂きましたダイキョーオータ株式会社の太田邦治と申します。
昭和44年生まれ満55歳。趣味は、上手くもないのに年間100ラウンド目指しているゴルフと、妻同行のドライブ。うるさい車が大好きです。最近では、絵画に目覚めてしまい、絵画展があると気に入った作品を探すため足繁く通っています。
生産拠点がベトナムにある関係で、2国間の二重生活を14年間継続しており、ベトナム語も少々話せるようになりました。
「縫製力と寄り添う心で、理想を仕立てる帽子メーカー」
弊社の業務内容は、企業向けの帽子と衣料品の製造・販売です。
多彩な商品をデザインから企画して、ホーチミン・ダナンの自社縫製工場2拠点で製造し日本国内にて販売しています。
ベトナムにお越しの際には、是非弊社工場までお立ち寄りください。ゴルフ場も工場近くにございます。
諸先輩方から様々な学びを得て自己研鑽に努めて参りたいと存じます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
【3月度産業懇談会のご案内】
日頃は産業懇談会活動につき多大なるご支援をいただき誠にありがとうございます。
3月度例会を下記の通り開催いたしますので、ご案内申し上げます。各グループ興味深いお話が伺えるものと存じますので、ぜひともご出席くださいますようお願い申し上げます。
グループ名 | 世話人 | 開催日時 | テーマ・スピーカー | 集合場所 |
---|---|---|---|---|
火曜グループ |
屬ゆみ子 |
3月11日(火) |
『ヨコタエンタープライズで実現するDX人材・ITセキュリティ人材へのリスキリング~トレンドマイクロ、シスコシステムズでのキャリア活かし、中部産業会に貢献~』 |
若宮の杜 |
水曜第1グループ |
淺井博司 |
3月19日(水) |
『Return to ZERO |
名古屋観光 |
水曜第2グループ |
香川裕子 |
3月12日(水) |
『インフラの課題解決とペロブスカイト太陽電池』 |
名古屋観光 |
木曜グループ |
河村嘉男 |
3月6日(木) |
『すい臓がん早期発見の最前線「尿がんリスク検査マイシグナル」~名大発ベンチャーの挑戦~』 |
名古屋観光 |
【4月度産業懇談会のご案内】
日頃は産業懇談会活動につき多大なるご支援をいただき誠にありがとうございます。
4月度例会を下記の通り開催いたしますので、ご案内申し上げます。各グループ興味深いお話が伺えるものと存じますので、ぜひともご出席くださいますようお願い申し上げます。
グループ名 | 世話人 | 開催日時 | テーマ・スピーカー | 集合場所 |
---|---|---|---|---|
火曜グループ |
屬ゆみ子 |
4月8日(火) |
山眞産業株式会社花びら舎 |
名古屋観光 |
水曜第1グループ |
淺井博司 |
4月16日(水) |
『人事トピックスの動向 |
名古屋観光 |
水曜第2グループ |
香川裕子 |
4月9日(水) |
『桜の多様な楽しみ~ソメイヨシノだけが桜じゃない!これから咲く桜たちを楽しもう!』 |
若宮の杜 |
木曜グループ |
河村嘉男 |
4月3日(木) |
『30年続くアジアNo1アリーナの幕開け |
名古屋観光 |
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.80
長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子
『 冬を過ごす 』
北国は、雪に閉ざされる。
農閑期の過ごし方は、その地域の特色があって、その中から生まれた伝統や文化も多く見受けられる。例えば木彫りのクマ。これは明治維新で尾張を追われた徳川藩士が、北海道の八雲町に辿り着き、農閑期の内職として始めたものだった。

北海道土産の定番となって久しいが、最近はあまり見かけないなあと思っていたら、形を変えて…鮭を咥えている場合じゃなくなった?!可愛いポーズのクマがあちこちで売られていた、に、してもいいお値段する。旭川もまた木工の街だ。市内にできたデザインセンターには旭川のアトリエの作品が、海外の展示場よろしく、センス良く展示、販売されていて、財布の紐が緩みがちな危険地帯なので、なるべく近寄らないようにしているが、家の中には何やかんや小物が増えているのは否めない。
そんな大人の冬仕事と違って、子供たちははつらつと冬を楽しむ。スキーやスケートなど、ウインタースポーツは勿論のこと、意外に多いのが音楽、特に吹奏楽だ。本州の東北地方もさることながら、北海道の小、中、高校でも部活動としての人気は高い。

展示のセンスも光る!
そのバンド数、合計で600強。毎年開催されているブラスバンドのコンクールには、決勝大会の常連校も多々見受けられる。
昨年11月、畑の冬支度で一汗かいて、近くの温泉に出かけた所、掲示板に大きく張り出された手作りポスターに目が止まった。
「祝、上富良野中学校吹奏部、銅賞受賞!記念演奏会のお知らせ」
上富良野中学校といえば町内会も同然。しかも演奏会は翌日体育館で行われると書いてあったので、これは是非拝聴しようとマイスリッパを持って出かけることにした。


当日、体育館にはジャージ姿の中学生とそのご家族、ご近所さん、商店街の皆さんで賑わっていた。MCは初々しいバンドメンバー。受賞曲を元気に演奏し始める。かなりレベルは高いのだが、残念なのは体育館の音響に加えて、使いまわしている楽器の、ちょっとくたびれた残響音。これもまた味のうち、とプログラム開くと、大会遠征の生徒たちの費用を、町内皆さんでカンパして大会に臨んだという。生徒引率合わせて30人。北海道から本州に遠征に行くには、飛行機代と宿泊費で何かと物入りだろう。街の皆さんがこぞって応援するからこそ生徒たちも恩返しとばかりに良い音を出す。微笑ましいな〜なんて感動のお話で終わらせてはいけないと思った。北の皆さんがこんなに苦労して全国大会に行くんだから、せめて5年に一回は札幌あたりで開催したらどうなのよ、キタラというとても素晴らしいコンサートホールがあるのだから。

などと吹奏楽連盟に進言したくなった。ともあれ、私もご近所のよしみ、何か協力できることがあれば…、差し当たって実家で遊んでいるクラビノーバでも寄贈しようか…、安物だから要らないかな。
演奏を聴いて外に出ると、晩秋の澄んだ風が、夕日に染まる十勝岳の麓を吹き向ける。清々しい1日となった。そうして冬が足早にやってくる。
やがて町は白一色に…なんて風雅なことを言っていた年末。年明け寒波で、うちの庭に溜まった雪かきの雪は3メートルを超えた!!
排雪しないとゴールデンウィークまで庭に雪山が残りそうだ(;^_^A。
コラム2 【師、曰く】 No.45
妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)
ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。
『 成長を支えるもの 』
経営者やマネージャの究極の目的は、何か。経営未経験な私がそれを論じるのは憚られるが、最近、その問いを考える機会を頂いた。会社を維持すること、売上を達成させること、無論、それを否定するつもりはない。会社が存続しなければ、従業員の家族は路頭に迷う。その為に、売上等の数値目標を達成することは、大切だ。しかし、部下や社員に対し、兵隊の駒として権力を執行したり、上辺の操作主義で傀儡の如く扱い、数字を達成し、会社を存続させたとしても、それは、経営者やマネージャの真の目的と言えるだろうか。時代は螺旋階段を登るように進化するから、多少行き過ぎた振り子の感はあるが、最近では暴言や傀儡の如き扱いをすれば、パワハラだブラック企業だと叩かれる。今の働く環境は、昭和の頃とは比べ物にならない位、恵まれている。では、経営者やマネージャの究極の目的は何か。それは、社員や部下の「成長」だろう。人としての「成長」があればこそ、売上の大切さ、会社の大切さを知り、目標に向かって邁進するし、社会の為に貢献する存在となる。
では、如何にして、部下や社員を「成長」させることが出来るのだろうか。かつて私は、失敗をした。十数年前、十年連続で業績が落ち込む営業部門長になった。当時の私は、部員の成長を考えるより、業績回復と数字の達成が目標だった。トップ営業ノウハウを知識として伝授し、各人のデータを分析して数値目標を課し、毎週、「管理」した。2年で辛うじて数字をクリアさせたものの、大切なものを見失っていた。部員一人ひとりの「成長」だった。仕事に対する誇りや価値を感じなければ、高い頂きを目指す山登りの努力は、長続きすることはない。その後、私は他部門を担当することになるが、その時の後悔で部下の「成長」というものを、より考えるようになっていった。では、如何にすれば、部下は成長するのだろうか?
師、曰く『経営者やマネージャは、部下や社員の「成長」を支えなければならない。しかし、決して忘れてはならないことがある。それは、自分が「成長」すること。』
田坂先生は、部下や社員を「成長させる」とは言わない。「成長を支える」と言われる。成長とは自動詞であり、他動詞ではない。誰かが、誰かを、成長させることはできないという信念からだ。では、「成長したい」という意欲は、何によって湧くのだろか。上司が「成長しろ」と説教したところで、反発心が湧くのがオチだ。素直に従ったように見えても、それは面従腹背。では、何によって人は「成長したい」と思うのか。それは、「後姿」。上司である自身の「後姿」だと言われる。子が親の後姿で育つように、部下は上司の後姿で育つ。その後姿が、人間としての成長の喜びを伝えて来るならば、部下や社員は自ずと変わる。そして怖いのは、上司の「成長の限界」が、部下の「成長の限界」となる。経営者やマネージャの「器の大きさ」が、部下や社員の「器の大きさ」を定めてしまう。だからこそ、経営者やマネージャの責任は、重い。マネージャとして、親であるように人生を預かる思いで、私は後姿を見せているだろうか。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

コラム3 【げんき通信】 No.18
学校法人佑愛学園
愛知医療学院短期大学
リハビリテーション学科 理学療法学専攻
講師 齊藤 誠
『 健康のためにどれくらい運動するの? 』
運動することは健康な生活を送る上で非常に重要です。定期的な運動は生活習慣病の発症を予防することや、長時間の座位行動(座りっぱなし)をできる限り中断することが、心臓病や糖尿病などを発症する危険性を低下させることが知られています。
運動が健康に良いことはご存知の方も多いかと思いますが、どのくらい運動すれば良いか、ご存じでしょうか?実は平成元年より厚生労働省から、どのくらい運動すべきかの目安が発表されています。一昨年度に改訂されました「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」よりご紹介します。
運動量の目安は下の表にお示しする通りであり、高齢者や成人の方は1日6000歩〜8000歩くらいの身体活動が目安として示されています。また、なるべく座りっぱなしの時間を減らすこと、例えば30分程度座っていたら短時間でも立ち上がるなど姿勢を変えることも提案されています。ただし、適切な運動量には個人差がありますので、それぞれで強度や量を調整し可能な範囲で取り組むことが重要です。あくまでも目安であり、運動量が不足していても効果が全くなくなるわけではありません。無理のない範囲で取り組んでみてください。
ご興味のある方は厚生労働省のホームページをご参照いただきますようお願いいたします。
(参考,引用:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html)
