【6年6月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 「 リソルでウェルビーイング! 」

  • 日  時:令和6年6月6日 (木) 12時00分~14時00分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
  • 参加者:23名
スピーカー:
行方 里司(なめかた さとし)
リソルライフサポート株式会社
取締役営業統括 名古屋支店長兼大阪支店長
写真:行方 里司氏

これまでの経歴

 私は1990年のバブル期に東海銀行へ入行し、2回の合併と3回の改名を経験してきた。三菱UFJ銀行はテレビドラマ「半沢直樹」のモデルとなったことはよく知られており、主人公である半沢は作家の池井戸潤の同期であった三菱UFJ銀行の半沢頭取がモデルとなっている。
 新宿支店時代に鹿児島のマグロ漁船の船長から土木建設会社の社長となった方から学んだことが大変印象深く残っている。種子島の近くに馬毛島という小さな無人島があり、平和相互銀行が買収しレジャー施設の建設を計画したが頓挫し、その後放置されていた。この島を社長が買収し開発を始めた。騒音問題を抱える厚木基地に代わる空母の離着陸訓練基地として米軍が使用することを見込んだのである。最終的にこの島は防衛省に160億円で買い取られた。「長期の展望は米国を見ればわかる」と言われたことが印象的であった。
 銀行の支社長時代に資産継承について自分なりに整理し、顧客の皆様に喜ばれた内容を紹介する。贈与の定義は「渡す」「貰う」「使う」の3つの行為で成立する。名義預金は問題になっている割には、世の中でもご存じない方が多い。相続税は、2015年に基礎控除額が5,000万円から3,000万円に引き下げられ、2024年には「3年ルール」から「7年ルール」に変更され、7年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続財産に加算されることとなり規制が厳しくなっている。相続人には最低限受け取る権利がある遺留分があり、相続人同士の協議が進まず、銀行口座に残るケースがあるが、銀行ではどうにもできない。こうならないために専門家と相談しながら遺言書を作成することをおすすめする。

私のウェルビーイング

 私は旅行が趣味で、国内47都道府県と海外49カ国を訪れている。銀行から紹介頂き、転籍した東洋熱工業(株)で勤務した後、半年間バックパッカーとして世界中を周った。国内のおすすめは、広島の宮島である。夜の夜景は美しく、干潮時には、海に降りて社に触ることもできる。弥山はロープウェーで上がり、歩いて1時間ほどで豊国神社などを散策できる。是非宿泊して満喫頂きたい。登山も趣味であり、黒部峡谷の絶壁を「コ」の字にくりぬいて作られた水平歩道にも行った。標高1,000mを水平に歩く歩道であり、ダム建設のために関西電力によって作られた。現在も巡視路として使用されているため、整備はされているが柵はない。
 ダイビングも趣味であるが、パラオへ行った際に、美しい海の中に、ゼロ戦やタンカーなどが海底に残っており、太平洋戦争の激戦地であったことが分かる。ペルーでは、マチュピチュの他、標高5,000mを超えるレインボーマウンテンにも行ったが、強風でかつ酸素が薄いため、ヘロヘロの状態であった。クスコの地上絵も専用機で周遊したが、ナスカの地上絵の上を道路が通っていることには驚いた。経済破綻したジンバブエではネブライオン(ホワイトライオン)を間近に見ることができ、腰が引けながらも触ったことは良い思い出である。社会主義国であるキューバも意外に簡単に行けるため、クラシックカー好きにはおすすめである。ジブラルタルはスペインの端にあるイギリス領であり形式的なもので使用はされていないが、イミグレーションがある。ポルトガルは干し鱈が名物であらゆる料理に使われるがどれも美味しくおすすめの観光地である。
 たくさんの国々を巡ってきたが、英語は話せない。お酒が飲めない方が、「お酒は飲めません」と言うのと同じように「日本語しか話せません。」というスタンスで誤解が生じないように中途半端な英語は話さないようにしている。ポケトークは日本人的で外国人には受けが良く、またGoogleレンズは、メニュー選びや美術館鑑賞で大いに有能である。
 カメラも趣味であり、少しのコツで良い写真が撮れる。まずは、目線を変えることで、地面スレスレや自撮り棒で上から撮影するなど、人は自分の目線以外の角度から見ると感動する。動画については速度を変えると良い。カメラの手ブレは絶対にNGであり、特に光量の少ない夜は慎重に撮影しなければならない。Insta360カメラを愛用しており、画期的なおもちゃであると思っている。

リソルライフサポートのウェルビーイング

 リソルホールディングスはもともとミサワリゾートであったが、バブル崩壊により破綻し、現在は三井不動産とコナミが大株主であるプライム上場企業であり、ホテル・ゴルフ場の運営事業、福利厚生事業、再生エネルギー事業などを行う。その中で福利厚生事業を担うのがリソルライフサポートである。当社が保有する「リソルの森」は東京ドーム70個分の広大な土地にゴルフ場やキャンプ場、グランピング施設、プール、乗馬場など様々なアクティビティが楽しめる。ライフサポート倶楽部は、宿泊・レジャーから介護や育児のサポートを会員向けに提供するサービスで、基本料金月350円から使用できる。業界初の精算方式で、会社の補助部分は従業員が使用しなければお返ししている。
 近年は従業員の健康への投資を経営戦略として位置づけ「健康経営」に取り組む企業が増えている。経済産業省は企業の健康経営の取組みを促進するため健康経営優良法人認定制度を設けており、当社は認定取得も含めて健康支援サービスを行っている。
 従業員とその家族まで明るく元気に過ごせるかが重要なポイントであり、仕事もプライベートも充実できる環境を提供する必要がある。社員の満足度は仕事のパフォーマンスに大きく影響する。満足度が低ければ退職リスクもあり、社員の考えや思いを吸い上げる仕組みが必要である。リーダーは社員の幸せと会社の方向性を合わせるための相互理解に努め、風通しの良い職場環境づくりに努めなければならない。そのためには率先垂範、言動行動一致、公明正大を心掛け人望を集めなければならない。私自身も戒めながら日々業務に取り組んでいる。

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【6年6月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 「『顧客の創造』から未来を拓く
~『アムール・デュ・ショコラ』の取り組みを題材に」

  • 日  時:令和6年6月11日(火) 12時00分~14時00分
  • 場  所:若宮の杜 迎賓館 1階 橘の間
  • 参加者:41名
スピーカー:
小林 創(こばやし はじめ)
株式会社ジェイアール東海髙島屋
代表取締役会長(ご講演当時)
写真:小林 創氏

ジェイアール名古屋タカシマヤについて

 当社は地元企業等の出資を受け、2000年「ジェイアール名古屋タカシマヤ」として開業。現在の株主はJR東海、髙島屋、中部電力など6社である。2017年4月に開業した「タカシマヤ ゲートタワーモール」とともに2館一体で経営している。大名古屋ビルヂングの1・2階では日本最大級の売場面積を誇る「ウォッチメゾン」を2021年オープンした。また2022年イオンモール岡崎1階フロア(旧西武百貨店)を借り、「フードメゾン 岡崎店」を出店し、人気グルメやスウィーツなどを販売している。西武百貨店の撤退によりテナントを募集していたイオンモールとタイミングが合致したためである。食品の物販は利益率が高くはないが、三河地区の顧客獲得のための拠点が必要であり、三河地区の組織顧客(ハウスカードに入会し、定期的に購入していただける顧客)を増やすためハウスカード開拓に努力をした。
 ジェイアール東海髙島屋の売上高は開業初年度の600億円強から右肩上がりに増え、リーマンショックやコロナ禍を経てリベンジ消費や富裕層ビジネスを伸ばすことができ2023年度の売上はタカシマヤゲートタワーモールと合わせて過去最高の1940億円を達成。全国の百貨店売上では全国第3位(※注 2024年5月28日WWD掲載の2023年度百貨店店舗売上高ランキングより)であり、東京・大阪と比較してインバウンド比率が低いことを考慮すると健闘している。
 当社の経営理念は「ここが好き」であり、良くできた経営理念であると思っている。お客様、地域社会、お取引先、私たちとあらゆるステークホルダーに価値のある場所にしたいという思いが込められている。行動指針は、「お客さまが笑顔に、私たちも笑顔に。想いをひとつに、みんなが動く。挑戦と変化を、何度でもくり返す」である。当社はJR東海や髙島屋などから出向等で来ている社員も多いが、あらゆるステークホルダーと笑顔で思いを一つに進めていきたい。
 当社の社員構成は男1:女3と女性比率が高い。課題は女性の幹部がいないことであり、来年25周年を迎える当社としては、当社採用社員1期生が40代後半に差し掛かるこれから、ラインの部長さらには幹部として育てていかなければならない。DE&Iが重要な時代であり、会社経営においては女性の活躍が期待される。

アムール・デュ・ショコラの取組み

 名古屋は当社の開業当時4Mといわれる百貨店が地域に根付いており、新参者である当社は新しいチャレンジをしなければ存在を認められない。後発である当社が名古屋で顧客を創造するには、(1)他店との「差別化」を図ることと、(2)新たな「価値」を提供することで集客し、顧客化を図ることが必要である。その新しい取組みの一つが、「アムール・デュ・ショコラ」である。当社が開業初年度から実施しているバレンタインの催事であり、国内外から選りすぐりのチョコレートを集めた“ショコラの祭典”である。当初はフロアが埋まらず、他の商品との抱き合わせで開催していたが、2024年は内覧会を含め29日間開催し、過去最大の会場規模で過去最多の150ブランド2,500種類の品揃えで過去最高の41億円超の売上を記録した。モデルによるトークイベントやバレンタイン意識調査、テレビCM、オープニングセレモニーなどパブリシティによる認知機会を創出してきた結果である。“今・ここでしか”手に入らない「限定商品の充実」を図り、地域と連携した商品開発を強化している。他店に先駆けてシェフのブランド化にも成功し、マスコミ向けのセレモニー開催やシェフの来場日程をHPで告知し、人気シェフとの写真撮影やサインなどでお客様との積極的なコミュニケーションを図っている。また、売上ランキング(現:アムールアワード)でブランド競争を加速させ、顧客参加型の投票キャンペーンを通じてタッチポイントを持っている。
 出店者にも売上だけでなく、顧客との交流、知名度の向上、他のシェフとの交流やアイディア創出のヒントを得られるなど多大なメリットがあり、新たな顧客の創出に向けてプラスのスパイラルが継続している。シェ・シバタのシェフである柴田氏は「1年間でどれだけの支持を得られたかの『通知表』のようなもの」とコメントしている。
 催事会場以外への波及効果もあり、ハッピーレシートキャンペーンという買上レシートを用いた施策で他売場でも特典を受けられるようにし、買い回りを促進している。また、カード保有率の低い若い顧客が多いため新規会員獲得のチャンスでもある。人気の限定商品をオンライン予約できるサービスを会員向けに提供することでマイページ会員を増やし、直接情報告知することなど新たな販売チャネルを創出している。

催事を活用した挑戦

 「営業力強化プロジェクト」を発足し、Z世代の社員を中心とした部門横断チームを組成し新発想の催事を企画立案している。出店交渉から会場運営までをメンバーで完遂することで、若い世代の集客と若手の人材育成を目指している。
 これまでに「LIFE with ペット」「レトロ喫茶に恋して」「LOVEサウナ」「東海オンエアミュージアム」等を実施した。人気YouTuber「東海オンエア」の企画展はこれまでに来店しなかった層を呼び込むことができた。
 また昨今は学生がゼミやサークル活動を通してSDGsに取り組んでおり、地元ブランドと学生が一緒に、海洋プラスチックのごみ拾いからアクセサリー完成まで取り組んだところ、想定以上の反響があった。タカシマヤゲートタワーモールのプロモーションイベントは、若年層と早めに接点を持ち、ライフステージの変化に応じた提案をできるようにすることで生涯顧客になることを目指す。
 「東海地区で最も人が訪れ・楽しまれるショッピングコンプレックス」として挑戦と変化を繰り返し、名駅エリアを中心とした地域の持続的発展に貢献したい。

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【6年6月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 三菱商事の人材育成・活用ビジョンについて

  • 日  時:令和6年6月12日(水) 12時00分~14時00分
  • 場  所:若宮の杜 迎賓館 1階 橘の間
  • 参加者:34名
スピーカー:
相澤 基(あいざわ もとい)
三菱商事株式会社
中部支社 支社長代理 兼 総務部長
写真:相澤 基氏

自己紹介(その1)

 1991年に三菱商事に入社し、約4年間人事部にて新卒採用を担当。その後、上司に異動希望について聞かれ、商社に入社したからには、資源の乏しいわが国に必要なものを供給することで日本の役に立ちたいという思いから、エネルギーや食料に興味があることを伝えたところ、食品原料部のコーヒー・飲料チームに配属され、約10年間、東京の本店やニューヨークの米国三菱商事本店でコーヒーのトレーディングを担当した。2005年には再び人事部で採用を担当し、2007年からは採用・人材開発チームリーダーとして、全社の採用と研修の責任者を務めた。2009年に食料部門も属する生活産業グループに戻り、担当役員のスタッフ組織であるグループCEOオフィスや食品本部戦略企画室で、グループや本部の経営計画・事業投資などを担当したほか、人事部長としてスーパーマーケットのオーケー(株)やエム・シー・ヘルスケア(株)への出向も経験した。直近では2020年から秘書室長を3年間務めたあと、昨年7月に中部支社に異動し、今に至る。

MC HR Vision「DEAR-多彩・多才な人材を活かし、育て、報いる-」

 三菱商事の企業理念「三綱領」は、岩崎小彌太の訓諭をもとに制定された。三綱領は、「所期奉公」「処事光明」「立業貿易」の3つであり、企業活動を行う上での行動や判断の拠り所として社員一人一人が大切にしているものである。三菱商事にとって人材は最大の資産であり、様々な価値創造の源泉であるとの認識のもと様々な人材育成・活用に注力してきた。事業環境が急速かつ急激に変化する中でも、共創価値を創出し続ける会社・組織であるために10年後を見据えたMC HR Vision「DEAR」を定めた。現在はX世代が半数近くを占めるが、10年後はミレニアル世代(Y世代)が半数を占め、Z世代が組織の中心となっていく。世代ごとに特徴があるが、今後も魅力ある会社として優秀な人材を獲得し次世代のリーダーを輩出し続けることで、MCSV(中期経営戦略で標榜する「MC Shared Value」)を創出し続けることを目指している。MC HR Vision「DEAR」は、「Diversity(多彩・多才な人材)」「Energize(活かす)」「Accelerate(育てる)」「Reward(報いる)」の4つの頭文字である。
 私はこれまでに2度(合計約9年)採用を担当したが、採用状況は大きく変化している。当社としては、社内外の環境変化に伴い、人材の流動化の進展を見据えながら、様々な採用手法を通じて、多様なバックグラウンドを持つ人材を獲得する方針。キャリア採用は、自身が1回目の採用担当時代は極めて限定的に行っていたが、近年では毎年70~80名程度を採用しており、今年も現場からの採用ニーズがさらに拡大するなど活況を呈している。2023年度にはバックオフィス職のキャリア採用も実施するなど、新卒中心の文化から脱却し、キャリア採用等を通したダイバーシティの進展が組織の活性化につながっている。入社したキャリア採用者に対しては、オンボーディング研修として実施している三綱領セッションや、三菱ゆかりの地である三菱史料館や旧岩崎邸の訪問などを通して、三菱の歴史や三綱領についての理解を深める機会を設けている。
 エンゲージメント強化に向けては、社長とのタウンホールミーティングを定期的に開催し、幅広く意見交換を行っている。DE&Iの推進にも取り組んでおり、多様な事情に対応し、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織に向けて、社長直轄の「DE&Iワーキンググループ」を組成し、多様な意見を取り入れ、活力を持って業務に取り組めるよう努めている。その中でも女性活躍推進については特に注力しており、数値目標を定めることには賛否はあるが、マイルストーンを定めて「あらゆる階層で女性比率30%以上」を目指している。
 組織風土調査や業務プロセス改革にも力を入れており、人材の多様性を受容する組織風土の醸成に向けて、社員エンゲージメントは特に重要テーマと認識し、KPIを定義し目標値を設定して取り組んでいる。四半期ごとに実施しているパルスサーベイは、設問数が少なく簡便な調査であるが、結果については組織ごとに集計し、対応策をみんなで議論する。自由記述欄もあり、無記名であるため率直な意見が出る。結果を外部コンサルの協力を得て分析し、全役職員が実践すべき「5つの変革ポイント(任せる、自律的に判断する、オープン・コミュニケーション、早めに目線・期待値を合わせる、コスト・時間意識を持つ)」を導き出した。過度な配慮等により必要以上に時間を掛けていた作業を減らすなど、変革ポイントの実践・浸透を図ることで改革を推進している。
 三菱商事は、目指す人材像を4つの要素(高い志・構想力・実行力・倫理観)で定義し、「経営マインドを持って事業価値向上にコミットする人材」を輩出し続けるためにキャリアステージに応じてOJT・Off-JT両面から段階的に様々な経験を積む機会を提供している。キャリアステージは、3ステージあり、第1ステージの「現場のプロ育成」では、新入社員インストラクター制度があり、入社後3年から10年程度の社員が新入社員を指導する。マネージャーになる前に学べる良い機会であり、私は3度経験し、考え方の異なる新入社員との付き合い方や指導方法などについて大いに学んだ。第2ステージの「経営実践」では、経営人材になるために、事業会社への出向や海外駐在などで、現場のマネジメント経験を積む。第3ステージの「経営人材活用」では、幹部人材育成のためのOff-JT研修を行っている。その代表格の「MC経営塾」は、自身が研修の担当者・責任者を務めていた2000年代からすでに実施しており、当時から、日々現場の最前線で陣頭指揮をとっている多忙な部長クラスの人材が週末を中心に集まって、経営陣への発表会に向けて熱心にグループワークに取り組んでいた姿が今も目に焼き付いている。グループワークのメンバーは、「苦労をともにした仲間」として、研修終了後も交流が続いているケースが多いようで、事務局スタッフであった私も仲間に入れて頂いている2005年度経営塾のあるチームは、コロナ期間を除いて現在でも3ヶ月に1度、欠かさず会合(食事会)を開くなど、20年近く濃密な関係が続いている。
 事業環境の変化への対応力強化として、DX関連のスキルを具備した人材の育成にも取り組んでいる。DX推進に必要なスキルセットを定義し、スキルレベルに合わせた知識・概念の理解と技能取得に向けて研修制度を設計している。
 人材育成と評価については、単年度の成果創出を評価する貢献度評価の面談と中長期の能力開発・キャリア開発にフォーカスした成長対話を行い、目的・位置づけが混同しないよう時期を分けて実施している。成長対話では、直近1年間の成長の振り返り、今後の能力開発のテーマや将来の希望などについて対話し、面談結果をもとに複数の目で各社員の能力評価、今後のキャリアパスなどについて議論する。キャリアの自律を支援するために社員に選択のチャンスを与える施策として、他組織への異動を実現する「Career Choice制度」の他、異動を伴わずに他組織の業務を兼務できる社内複業制度「Dual Career制度」や、業務では習得できないスキルや経験を獲得するために自律的に休職する「サバティカル休職制度」がある。

自己紹介(その2)

 ここからは、会社に入ってから印象に残った出来事をいくつか紹介する。入社1年目からの採用担当時代は、6月に理科系、7月に文科系の採用を行っていた。当時はインターネットなど無く、選考の受付も電話が手段であり、また翌日の面接予定者の資料のコピーやセットなど、来る日も来る日も深夜まで準備を行っていた。新人でも面接官を務めることがあり、会社について語れるよう準備はしていたが、入社3カ月目で、学生からこれまでの会社人生で最も苦労したことや記憶に残っていることは何かと聞かれたときには回答に窮した。
 まさに、「若い時から責任と裁量のある仕事を任せ、育てる」を地で行くような仕事の与えられ方ではあったが、自らが主体となってやりとげる意識で密度の濃い時間を過ごせたことは自信にもなった。
 2回目の採用担当時代では、採用・人材開発チームリーダーと選考合格者との意思確認の面談のことが忘れられない。選考合格者との1人約15分の面談では、本人に評価ポイント(どのようなところが評価されて合格という結果となったのか)を伝え、そのうえで本人の三菱商事への入社意思を確認し、意思確認ができれば晴れて内々定の握手を交わす、という一連の流れとなるが、選考のピーク時には、この面談を1日に30~40名と行うことがあった。本人に伝える評価ポイントは、もちろん各人の面接での実際の評価を伝えることになる(1人1人まったく内容が異なる)ので、面談と面談の合間に資料(面接での評価)の読み込みと面談内容(会ってみての内々定者の印象)の記録でまったく息つく暇もなくヘトヘトになったが、面談での(採用責任者としての)自身の印象とやりとりの内容次第で学生の三菱商事入社へのモチベーションに多大な影響を与えるので、ただの1人にも手を抜くことなく、まさに全身全霊で面談に臨めたことは大きな充実感と達成感があった。
 採用担当者時代と並んで、会社人生で一番楽しかったともいえる時期が、コーヒーのトレーディングを担当した10年間である。コーヒー生豆(アラビカ種)の価格は、ニューヨーク先物取引所の価格が指標となるが、コーヒーの実物取引でも相場変動リスクをヘッジするためにニューヨーク市場で売買(実物の反対取引)を行うが、米国三菱商事勤務時には、この取引のオーダー(東京本店や海外の輸出業者からの売買注文)を先物取引所のフロアブローカーに連絡するのが主な仕事であった。当時は英語に不慣れで、ニューヨークへ赴任してから日々実践で学んでいるような状況であったため、とにかく注文の内容を間違えて伝えることがないよう細心の注意を払った。また、コーヒー豆の産地である南米や中米へ出張する際には、取引先の方と2~3週間程度の期間、朝から晩まで一緒に過ごすこともあり、商売の関係を超えて何でも言い合える関係になった。コーヒー担当時代の忘れられない出来事の一つが、ホンジュラスの山奥のコーヒー農園での経験(事件)である。農園のゲストハウスに宿泊し、朝起きると左足に激痛があり、歩行困難な状況となっていた。現地社員の肩を借りてやっとの思いでホンジュラスからグアテマラに空路移動し、グアテマラの空港から病院へ直行したところ、病院のドクターにスペイン語で捲し立てられ何を言っているか理解できなかったが、要は「痛風」ということであった。注射を打ってもらい翌日には奇跡的に回復し、なんとか無事に出張を終えることができた。のちに日本で痛風が再発した際に、グアテマラでの経験から医師に注射を求めたが、日本ではそんな治療はしない(できない)と断られた。
 スーパーマーケットのオーケー(株)に出向した時のことであるが、当時の本社の立地は京浜急行蒲田駅の隣の雑色駅というところにあり、自宅から遠く、当社の所定の就業時間は7時半から16時半であったため、毎朝5時に起きて6時過ぎに家を出て、3回乗り換えて出社するという生活であった(この生活に最後まで慣れないまま帰任した)。また、本社の建屋は元ボーリング場で窓が無く、柱が少ないため中心に重量のあるものが置けないといったことや、このほかにもこの場ではお話ししづらいようなことも含めて、1年数カ月の勤務期間で多くの経験をした。
 中部支社へ赴任する前の2020年4月に秘書室に着任したが、コロナ禍と重なり、役員が関わる会合やOB・OGを招いてのパーティーなどの開催可否や開催形式(飲食の有無など)を担当役員と都度相談して進めるという、通常の秘書室長の業務とは異なる経験をした。3年間の秘書室長在任中の大きな出来事の1つが当社の元社長・会長の逝去と「お別れの会」の開催である。葬儀が密葬で行われるため葬儀終了まで対外公表を行わない一方、生前勲章(旭日大綬章)を受章しており、死去後30日以内に叙位(従三位)手続きを完了(閣議決定)する必要があるため、ご逝去の情報が漏れないように細心の注意を払いつつ、日本貿易会、経済産業省、内閣府などと連携し、水面下で叙位申請を行った。新型コロナウィルスの感染状況をにらみつつ慎重に検討のうえ都内ホテルで開催した「お別れの会」では、飲食なしで、生前の写真や取材記事などを展示して故人を偲んだ。もう一つの大きなイベントが、現社長の社長就任の対応であり、対外発表や社長就任までの諸準備などを人事部や広報部などと連携して取り進めた。

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【6年6月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 高速道路の進化に向けた取り組み

  • 日  時:令和6年6月19日(水) 12時00分~14時00分
  • 場  所:若宮の杜 迎賓館 1階 橘の間
  • 参加者:30名
スピーカー:
近藤 清久(こんどう きよひさ)
中日本高速道路株式会社
取締役 常務執行役員(経営企画本部長)
写真:近藤 清久氏

高速道路の生い立ち・会社概要

 私は岐阜県出身で、新卒で日本道路公団に入社し、建設省などでの経験を経て、現在に至る。日本の高速道路建設に向けた最初の動きは、1956年に日本政府が招いた世界銀行のワトキンス調査団が日本を視察したことがきっかけであり、同年に日本道路公団は発足している。ワトキンスレポートでは、「日本の道路は信じ難い程悪い。工業国にしてこれ程完全にその道路網を無視してきた国は日本の他にない。」と痛烈に批判している。1938年頃から日本でもドイツのアウトバーンに刺激され、高速道路を整備する計画があったが、計画は頓挫していた。敗戦後、世界銀行は、高速道路の有料制と道路特定財源制度の制定などを条件に日本政府へ貸し付けを行い、日本の高速道路整備をサポートした。名神高速道路の建設が始まる際には、外国から大型機械を導入したことで効率的な建設が可能となり、日本の高速道路整備が本格化した。戦前に内務省が構想した「自動車国道構想」に代わる「国土開発縦貫自動車道路構想」が、戦後の整備計画の基礎となり、政治家田中清一氏がマッカーサー元師に直訴し、この構想を推進した。田中清一氏の銅像は現在、東名高速道路沼津インターチェンジの入り口にある。もう一人の功労者である田中角栄氏は、日本列島改造論を打ち出し、道路特定財源の法制化を推進し高速道路の整備を進めた。昭和30年代の日本経済の成長期には、自動車の生産が急増し、昭和36年には生産台数が100万台を超えていた。経済成長とともに貨物輸送も活発化し、道路整備の要請が高まり、全体計画14,000キロに達し、8割の約11,880キロの高速道路が整備され、新東名や新名神、東海環状道の整備が進んでいる。
 当社は、グループ会社を含めると約11,000名が働いており、高速道路の建設・維持管理のほか、サービスエリアの運用や一部海外事業も行っている。NEXCOは、小泉政権時代に行われた道路公団民営化により、東日本、中日本、西日本の3社に分かれているが、分割にあたっては、交通量や売上のバランスが均等になるよう考慮された。

利便性向上とリニューアルプロジェクトについて

 当社は、新設事業として名古屋都市圏の幹線道路を整備しており、岐阜県の山県-大野神戸間は2024年度、養老から三重県方面へ抜ける養老-北勢間は2026年度開通予定である。首都圏では、新秦野-御殿場間の25キロが新東名で残る最後の区間であり、2027年度の開通予定である。神奈川県と静岡県にまたがるこの区間では、自動運転の実証実験も行っている。また、車線の拡幅工事も進めており、新名神高速道路では、NEXCO西日本と共同で亀山-大津間で6車線化を進めている。渋滞対策としては、首都圏や中京圏での車線増設工事を進めている。中央道の小仏トンネルや海老名JCTでは、付加車線を設置し名神高速道路の一宮インター付近では車線幅を調整し、3車線化を進め、東名三好から日進の区間でも付加車線の設置を予定している。スマートICの設置も進め、高速道路の利便性を高めている。
 高速道路は、開通から30年を超える区間が全体の63%、50年以上の区間は30%に達しており、リニューアルプロジェクトも進めている。高速道路は、橋・トンネル・付帯構造物の大きく3つで出来ている。橋の場合は道路の舗装の下に床版があり、冬になると凍結防止剤として塩化ナトリウムを撒くが、雨が降ると塩が床版の下に浸透することで、鉄筋が腐食し膨張することでコンクリートが破壊されることがある。また、大型車両による過積載の影響でも、橋が老朽化するため、床版を取り換える工事がリニューアルプロジェクトの中心的な工事である。また、トンネルでもコンクリートが膨張し、舗装面が歪むことがあり、土構造物でも年月とともに風雨にさらされて崩れやすくなるため、補強が必要である。
 橋の床版を取り換える場合、交通量が少ない場所では、片側2車線のうち1車線ずつ工事を行うが、交通量の多い都市部では、車線数を保ちながら工事を行う必要がある。都心に近い部分では、コストはかさむが、工事箇所を切り替えながら、片側2車線を確保する形で工事を進める。今年度に予定しているリニューアル工事は、東名阪の弥冨-名古屋西間や東名の蒲郡付近などで計画されている。周辺も順次工事を行うため、長期間に亘ることが多いが、高速道路のネットワークが整備できてきているため、迂回ルートを推奨している。昨年の国会で決議された高速道路有料化継続の法改正により、料金を徴収する期間が延長されたが、この背景には、高速道路のリニューアルプロジェクトが進行し、調査を進める中で新たな修繕箇所が見つかったことが挙げられる。

物流の効率化と労働環境の改善に向けて

 次に、物流の効率化と労働環境の改善に向けた取り組みについてであるが、高速道路を深夜に走行するドライバーが少ない一方で、サービスエリアやパーキングエリアの駐車場は満車になることが多く、トラックの停車スペースが不足している。これに対し、駐車マスのレイアウト変更やテクノロジーの活用による駐車スペースの拡大を図っているが、需要に追いつかない状況である。2024年問題として、労働時間短縮や労働負担軽減の課題がある中で、ドライバーが日帰りで自宅に戻れる勤務形態が求められるため、東京と大阪の中間にある浜松に中継輸送拠点を設置した。この拠点では、東京から来るトラックと大阪から来るトラックのドライバーを交代し、それぞれの目的地へ向かう方式を採用することで、ドライバーは当日に自宅に戻れるようになった。また、連結トラックの専用駐車マスも整備し、労働環境の改善を図っている。一部の駐車場では混雑時に有料化する実験も行っている。

高速道路の進化に向けた新たな取り組み

 新しいAI技術やその他の最新技術を活用して、高速道路管理や情報提供の高度化を実現する「i-MOVEMENT」の取組みも行っている。これはNEXCO中日本が進める、次世代の高速道路空間の創造に向けたプロジェクトである。
 料金サービス改革では、お客様情報の分析を基にしたマーケティング情報を活用し、宿泊施設や割引情報などを提供することで、旅行支援アプリにより最適な旅行プランを提案できる。また、ICTを活用した視覚的な情報収集と道路状態の監視により、精度の高い予測を行い、維持修繕工事を効率化している。
 老朽化した高速道路や少子高齢化による労働人口の減少といった課題に対応するため、最新技術を活用したインフラマネジメントを構築している。ドローンや自動操縦機能付き点検ロボットを用いて効率的な点検作業を行い、劣化予測やメンテナンスの計画を自動的に蓄積することで、コストを考慮した効率的な維持修繕工事を実現する。
 自動運転の実現に向けたインフラ支援に関する実証実験を新東名高速道路の一部建設中区間で実施している。車両が検知した障害情報を道路脇に設置されたアンテナで受信し、後続車にできるだけ迅速に提供する仕組み等を検討している。今年度末には、経済産業省が主体となる「デジタルライフライン全国総合整備実現会議」のアーリーハーベストプロジェクトの一環として、駿河湾沼津サービスエリアから浜松サービスエリアまでの約100キロ区間で、自動運転レーンの実証実験を行う予定である。
 さらに、高速道路上のトラックの台数を減らし、渋滞や事故を減少させるため、専用の自動物流道路の設置も検討されている。国の「自動物流道路に関する検討会」では、物流危機への対応や温室効果ガス削減に向けた新たな物流形態として、道路空間を活用した「自動物流道路」の構築に向けた検討を実施している。
 スイスでは、主要都市を結ぶ地下トンネルに自動運転カートを走行させる物流システムが計画されており、トンネル内を倉庫代わりにし、荷物を自動運転カートで運ぶシステムである。また、イギリスでは低コストのリニアモーターを使用した完全自動運転による物流システムが計画中である。日本でも、専用の自動物流道路を作ることで、高速道路上のトラックの台数を大幅に減らし、渋滞や事故を減らすことが期待される。これにより、高速道路の快適性が向上し、定時性が確保された物流が実現できる。政府も今年に入ってから検討会を立ち上げており、当社の社員も参加している。高速道路の中央分離帯や路肩部分を活用する提案もあるが、道路の構造がトンネル部や橋、土構造物など多様であるため、一律に空間を確保することは難しい。そのため、地下や高速道路の下に専用の物流道路を設けることが現実的ではないかと考えられる。特に高速道路の下であれば、用地取得費が不要となり、手間が省けるが、東京から大阪を結ぶとなると、時間とコストがかかるため、即座に実現することは難しいが、将来的な展望として、こうしたプロジェクトを推進していくことは重要である。
 次に電気自動車の充電設備についてであるが、高速道路のサービスエリアには多くの数の充電設備が設置されている。今後、電気自動車の普及が進むにつれて、充電待ちの車が増える懸念もあり、充電設備の増設や、8台同時に充電できる設備への置換えを進めている。昨年3月には整備計画が発表され、来年度までに全国1100か所にEV充電設備を設置する予定であるが、昨年度末時点で、約半分の640か所が完成しており、残りの部分を今後1年半で整備していく予定である。これらの設備を設置するためには、駐車スペースの確保が課題となっている。高速道路のサービスエリアだけでなく、インターチェンジから一旦出た先に休憩施設や充電設備を設置することも検討されており、インターチェンジを出ても料金が発生しないように調整することで、利便性を高める試みも今後実証実験として実施する予定である。
 最後に、水素ステーションについてであるが、昨年9月、全国で初めて東名高速の足柄サービスエリアに水素ステーションが開業し、水素ステーションは高い安全基準を満たすために整備コストがかかるが、これを皮切りに他の場所でも整備を進めていきたい。

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【新会員自己紹介】

写真:川田 啓貴氏
火曜グループ
川田 啓貴(かわだ ひろたか)
株式会社ジェイアール東海髙島屋
代表取締役会長

【株式会社ジェイアール東海髙島屋】
〒450-6001 名古屋市中村区名駅一丁目1番4号
URL:
<ジェイアール名古屋タカシマヤ>https://www.jr-takashimaya.co.jp/
<タカシマヤ ゲートタワーモール>https://www.jr-tgm.com/

 当社は、名古屋駅直結の「JRセントラルタワーズ」「JRゲートタワー」において、商業施設を運営しています。百貨店「ジェイアール名古屋タカシマヤ」とショッピングモール「タカシマヤ ゲートタワーモール」は地域の皆様に支えていただき、今では東海地区にお住まいの方はもとより、遠方から名古屋を訪れる多くの方にもご利用いただけるようになりました。
 これからもお客様の多様なニーズやトレンドを的確に捉え、お客様に新たな価値をご提案できるような店づくりに不断に取り組むとともに、地域の玄関口である名古屋駅に立地する商業施設として、地域の活性化とイメージの向上に貢献できるように精進をしてまいります。
 どうぞよろしくお願いいたします。

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写真:石村 彰啓氏
木曜グループ
石村 彰啓(いしむら あきひろ)
株式会社愛知国際アリーナ
代表取締役副社長

【株式会社愛知国際アリーナ】
〒462-0846 名古屋市北区名城1-4-1
URL:https://ig-arena.jp/

 2025年7月に名城公園にオープンする「IGアリーナ」の開業準備に携わっております。NTTドコモからの出向で2023年の7月に現職に着任しました。内外の様々なスポーツ・エンターテインメントを招致して、愛知・名古屋に新たな人の流れを創り、いらっしゃる方皆様が笑顔で家路に着けるような施設を目指します。東京以外の地で勤務するのは初めてですが、歴史と未来が併存する名古屋のまちが大好きです。趣味はあまり上手くならないゴルフ、食べ歩き、鉄旅、スポーツ観戦・ライブ鑑賞。この地域の知人が少ないので、お集まり等ありましたらお誘いいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

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【産業懇談会4グループ合同懇親ゴルフ会
のご案内】

 4グループ合同の懇親ゴルフ会を下記のとおり開催いたします。

日時
令和6年8月24日(土) 9:00スタート
(東→中・中→西・西→東コースの3コースいずれかでラウンド)
場所
明智ゴルフ倶楽部 ひるかわゴルフ場
岐阜県中津川市蛭川5735-3 Tel:0573-45-3311
会費
16,000円内外(食事付)
集合時間等
  • 現地集合としますので、8:30までにお越しください。
    ※8:45より開会式を開催します。
  • 競技方法は、ダブルペリア方式とします。
出欠のご連絡
  • プレーのキャンセルは、8月16日(金)までに事務局までご連絡ください。8月17日(土)以降キャンセル料が発生いたします。
  • ご参加の方には、組み合わせ等の詳細を後日ご案内いたします。
ご案内先
代表幹事、直前代表幹事、常任幹事、監事、産業懇談会会員
お問合わせ先
中部経済同友会事務局 担当:廣瀬・菱川 Tel:052-221-8901

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【9月度産業懇談会のご案内】

 9月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

屬ゆみ子
富田 茂
広井幹康

9月10日(火)
12:00~14:00

『水素利活用社会実現に向けた取り組み』
明治電機工業株式会社
取締役社長 杉脇 弘基 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

9月18日(水)
12:00~14:00

『56歳、これからが本番!!』
株式会社ヨコタエンタープライズ
代表取締役 横田 成人 氏

若宮の杜
迎賓館
1階 橘の間

水曜第2グループ

香川裕子
高見祐次
名倉昌孝

9月11日(水)
12:00~14:00

『18歳で建設会社を創業し31年。売上70億までの軌跡』
株式会社キョウエイ
代表取締役 河野 誠二 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

9月5日(木)
12:00~14:00

『スポーツビジネス最前線』
株式会社新東通信 執行役員
名古屋統括 営業本部長 梅田 政隆 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.73

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 ツインホークス 』

 朝、ヒグマの活動時間をやりすごしてから畑に到着する。
薄曇りの空の下、カッコウの声を聞きながら長靴に履き替えていると、頭上そんなに高くないところで風が舞った。見上げると、畑の用心棒、オオタカが弧を描いている。
 「おはよー」と声をかけると、返事した?のかピーピーと鳴き返す。
 「ゆみ子さん、前世は鳥ですか?」と驚く管理人のK女史。

写真:中富良野の畑
一番高い樹がオオタカの指定席

 中富良野の畑は、観光客の足すら向かない、森に囲われた一角だ。グーグルマップの検索数もインスタのアクセス数も日に日に伸びてはいるものの、現地はいたって静かで、風の音と鳥の鳴き声しか聞こえない。そんな場所だから、地元の野生動物たちも畑に来る人間の匂いはちゃんと嗅ぎ分けている。毎日手入れをしてくれているK女史でさえ、何日に一回しか遭遇しないオオタカが、私がやってきたとたん挨拶に来た、と感動している。
 「あの鳴き声は、仲間を呼んでるんじゃないの?」と畑の隅の木のてっぺんでこちらを見ているオオタカを観察していると、ふっと枝を離れる~そこにもう一羽のオオタカがやってきて、二羽で大きな弧を描きながら畑の上を舞い上がってゆく。
 「つがいだね、恋の季節か、子育て中か、用心棒が増えるのは頼もしい限り」
麓の畑ではカラスが悪行三昧、野鼠が根菜を食い散らかし、小鹿が新芽を完食していて大変だとは聞いていたが、おかげさまで我が畑は被害なし。タカにとっても、森の中で視界が開けている分、獲物の捕獲がしやすいようで、お互いウインウインな関係が出来上がっている。そんな用心棒のためにも、手入れは欠かさずと、草むしり、幼木の畝外し、支柱建てに汗をかく。

 前回、梅雨の名古屋を脱出したいと、妹一家が母を伴い北海道の家へ初めてやってくるというので、私は新千歳から、妹は札幌丘珠空港からそれぞれ車で向かい、家の近くの後藤美術館にあるサロンで落ち合うことにした。空港から、レンタカー会社の送迎バスで車のピックアップに向かう道すがら、カードなどの準備をする。まずはETCカード、会員カード、そして免許証…免許証????なんとも目立つスカイブルーのカードケースに入っているはずの免許証が、それこそカードケースごと見当たらない。どういうこと??と自問自答しながらカバンの中を探しまくるも一向に見当たらない。お、落とした??心臓が止まるかと思うくらい息をのんだ。そうこうしているうちにバスはレンタカー会社に到着。
 「ごめん予約していたんだけど、免許証が見当たらないの(汗wwww)」「お連れ様の免許証がお使いいただけますよ」「ん~連れは別行動で今富良野に向かっているの、現地集合だから。つまり私一人。いつも借りてるから何とかならない?」「残念ですけど、免許証不携帯とわかっていて貸し出すことは法令違反です」そりゃそうだ。でもどんどん血の気が下がっていく。「そのお連れ様にこちらに来ていただくことは?」「今丘珠から高速に乗ってると思うんだけど」で、とにかく電車でもなんでも現地に行かなきゃいけないので、事情を説明せねばと、妹に電話する。「いまどのあたり?実は免許証がなくて車借りられない!!」「はあ~??今ねえ、もうすぐ岩見沢」スピーカー会話が功をなした。すかさずカウンターのお姉さんが「岩見沢に弊社の営業所がありますよ。そちらで借りていただいたらどうですか?」ナイ~ス!アシスト。「じゃあさ、岩見沢で高速降りて、甥っ子の免許で車借りて!会員番号は…」とだけ伝えて、急ぎ岩見沢に向かうも、空港まで戻っての電車移動のため、乗りたかった特急はギリギリ乗れず、一時間待って電車に飛び乗る。
 順当なら、今頃サロンでランチしているはず。年老いた母に要らぬ時間を消費させてしまったと反省しきりだったのは私だけで、妹家族は岩見沢から美唄と楽しく観光していたらしい。まあ、よいけど、これから芦別峠を超えるのに1時間半、家に着くころにはすっかり日も傾くだろう。後部座席で転寝する母の姿に心の中で詫びた。

写真:ラベンダー畑
ラベンダーも咲きそろう

 あれから一カ月、オオタカ舞う北海道はすっかり夏の行楽シーズンに突入した。飛行機はどの便もほぼ満席。道内のレンタカーの8割がたは新千歳空港に集められ、そのナンバーも札幌・函館・旭川・室蘭・釧路・帯広etc、高速道路と国道は「わ」と「れ」が溢れかえり、そこに大型観光バス。対向片側一車線だったはずの道路は、三角コーンで中央線をずらして、路肩を使い、むりやり3車線になっている。近くの観光スポットへの、駐車場渋滞回避のための苦肉の策だ。それを横目に見ながら、勝手知りたる裏道を走行するも、ナビ頼りのドライバーが挙動不審な運転をしている。障害物も信号もないので、知らないうちにスピードは出るし、一旦停止を忘れるし、わき見と写真撮影で減速するし。やっぱり熊より人間の方が危なっかしい。そういう私も「れ」ナンバー、景色を見慣れているとはいえ、毎回その雄大さに見とれるのだから、いわんや観光客。

写真:ラーメン
なんとネギが♡

 渋滞の車を縫って近くのラーメン屋で昼食をとる。農作業でしこたまかいた汗の分もしっかり塩分補給をしなければ、午後まで体がもたない。と、運ばれてきた醤油ラーメンのスープを蓮華ですくうと、珍しいかなネギがハートマーク。K女史すかさず「茶柱よりご利益ありそうですやん(京都人)」これで午後も頑張れそうだ。

 この地にいると、目に見えない尊いものに守られ、育まれていることを実感する。前世が鳥だったかどうかは分からないけど、用心棒のオオタカたちに敬意を表し、今年植えたリースリングの銘柄を「ツインホークス」にしようと決める。名前に負けない葡萄が育ちますよう!

イラスト:オオタカ
AI君に描いてもらいました、上手いなぁ

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コラム2 【師、曰く】 No.38

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。

『 真の強さ 』

 何か思い通りにならないことが起こった時、それを環境のせい、誰かのせいにして、暗に自分は悪くないと言い訳してしまう。良くあることだ。他人事のように言っているが、自分自身が散々してきたことだ。若かりし頃、逆境を環境のせいに、人のせいにしてきた。歳を重ねて大分少なくなったとはいえ、今も時折、「しまった、人のせいにしてしまった」と、内省することがある。つい最近も、腹立たしいこの思いは、相手の発言に原因があるのだと、心底思った。田坂先生は、何かを他の誰かのせいにするのは、自分の中の『小さなエゴ』が、「自分は間違っていない!」と叫んでいるのだと言う。民間企業に居た若かりし頃の田坂先生が、上司から食事に誘われ、食後の珈琲を飲みながら、こんなことを独り言のように言われたそうだ。「毎日、会社で色々な問題にぶつかって、苦労するよね。その時は組織に問題があったり、周りにいる誰かの責任だと思って、腹を立てたりもするのだけれども、家に帰り独り考えていると、いつも一つの結論に辿り着くのだね。すべては自分に原因がある。そのことに気が付くのだね。」これは、プロジェクト運営を任されていた未熟な自分へ語っているのだと、悟られたという。

 師、曰く『すべてを自分自身の責任として、引き受ける。この“引き受け”の覚悟を定め、道を歩むとき、静かな強さ、真の強さが身につくのですね。』

 成長の壁に突き当たる時というのは、自分以外の何かに原因がある、責任は他にある、自分は悪くないと小さなエゴが蠢き叫んでいて、この『引き受け』ができていないときなのだと言われる。では、どうすれば『引き受け』が出来るようになるのか。その方法論は、既にコラムNo.5に述べているが、そこでも自分自身にそれが出来ていると述べてはいない。言うは易し、行うは難し。それは、思い通りにならないことが起こった時、そのことを運が悪かったと嘆くのではなく、挫折したことを深く解釈する力のことなのだ。自分に与えられた苦労や困難、失敗や敗北、挫折や喪失は、自分自身の成長の為に天が与えたものと信じること。そして、今この出来事から自分は何を学ぶべきか、いかなる成長をするべきか、それを考える力、それが『解釈力』なのだ。否定的に見える出来事を、肯定的に解釈する力、絶対肯定の『解釈力』を身に着けた時、自然に『引き受け』ができるようになる。『解釈力』を身につけ、『引き受け』の覚悟を定め道を歩むとき、勝敗を越えた静かな強さ、真の強さが身につくのですね。静かに微笑を浮かべながら、やさしい口調でそう語られた先生の声や表情は、今でも忘れられない。

 未熟な私は、解釈力が身についたような錯覚に陥っていた。慢心の自分が恥ずかしい。絶対肯定の解釈力もまだまだ、引き受けなどまだ序の口に過ぎない。改めて自戒。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:手筒花火
(蒲郡 三谷夏祭りの手筒花火)

(参考:コラム「師、曰く」No.05『解釈力』は、産懇宅配便 第233号 2021.10.29発行に掲載)

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コラム3 【げんき通信】 No.11

学校法人佑愛学園
愛知医療学院短期大学
リハビリテーション学科作業療法学専攻
准教授 加藤 真夕美

『 「自助具」を取り入れて自分らしい生活を継続させるしなやかさ 』

 自助具(じじょぐ)という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。自助具は福祉用具の一種で、心身機能の障害のためにうまくできなくなった日常生活行為を再び自分で行おうとするときに、補助してくれる便利道具です。握力が低下した人のために握りやすい太柄がついたスプーンや、箸操作がうまくできない人のために2本が上の方で繋がった箸は、福祉用具展などでよく紹介されているでしょう。あるいは手に変形がある人でも力の入れやすい包丁や、片手でも干しやすいハンガーをご覧になった方がおられるかもしれません。
 「今までは自分には関係ないと思っていたけれど…」と興奮気味に話されるのはAさんです。Aさんは、元気に高齢者施設で働いておられるさ中、腰部脊柱管狭窄症と診断されて外科手術を受け、コルセットで腰部をしっかり固定されています。術後の経過は良く、慣れない杖を片手に日常生活を再開させましたが、思いがけず困ったのが床に落ちたものを拾うことと、靴下を履く動作です。「腰が曲がらないだけでこんなことができなくなるなんて」と困惑を隠せません。そこで、少しの恥じらいと抵抗感を押しのけてリーチャー(マジックハンド)を使ってみたところ、あまりの便利さに手放せなくなったそうです。靴下は、担当の作業療法士が作ってくれたというソックスエイドに感激し、楽しんで使いこなしています。クリアファイルを切り抜いた型に紐を通しただけのソックスエイドは、身近にある材料だけで手軽に作成できます。
 病気にならないように食事や運動に気を付けるということは、とても大切です。しかしどれだけ気を付けていても、病気やけがによって、一時的にでも日常生活がままならなくなることは、いつ誰にでも起きる可能性があります。そのような時に、ふさぎ込んで「動かない選択」をして更に体力を低下させるのか(これを廃用症候群と言います)、どうにかして日常生活を継続させられる方法を試してみるのか、長い目で見た時にどちらが望ましいかは明白です。自分らしい生活を継続させるために目新しい自助具を取り入れて生活を楽しむAさんは、しなやかでとても健康的な人だと思います。

イラスト:ソックスエイド

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