【6年5月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 東海東京フィナンシャル・グループの取組みについて~挑戦の軌跡、そして異次元への挑戦~ 』

  • 日  時:令和6年5月8日(水) 12時00分~14時00分
  • 場  所:東海東京証券オルクドール・サロンホール
  • 参加者:36名
スピーカー:
佐藤 昌孝(さとう まさたか)
東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社
社長
※スピーカーの肩書は講演当時のもの
写真:佐藤 昌孝氏

自己紹介

 神奈川県川崎市生まれ。中学生時代は悩み深い少年であり、地球上の貧困を無くすことに関心を持ち将来はユニセフで働きたいと考えていた。しかし、高校に入ると日本文学、特に太宰治の影響を受け、物書きに興味を持つ。好きなことを仕事にしていいのか悩んでいた時に、ドラマ「男たちの旅路」を見て脚本家になりたいという気持が高じ、脚本家の山田太一先生に私の書いた脚本を添えて弟子入り懇願の手紙を書いたが返事がなく諦めた。大学時代はほとんど大学へ行かず、方向性が見えないまま東海銀行(現 三菱UFJ銀行)へ入行し、高田馬場支店へ配属される。当時の支店長が海外赴任から戻られた方で、「これからは海外の時代だ」という助言を受け、自分なりに方向性が固まった。1年半の間、受験勉強並みに英語を猛勉強し、社会人3年目の夏に米国MBA留学を実現。英語には苦戦したが何とか修了した。東海東京証券 現会長の藤井は同窓である。帰国後3年間の国内勤務を経て、ロンドンの欧州東海銀行で7年間勤務。銀行業務ではなく証券業務が中心であった。30歳代・40歳代は「24時間働けますか」という時代、そして、金融危機の時代であり、企業戦士としてとにかく仕事にのめりこみ、寝る暇もなく仕事をし、困難を乗り越えることに大きな喜びを覚えた。支社長として赴任した小牧支社で、リーマンショックが起き、取引先の売上が3割になることもざらであったが、当時の副頭取より「今、お客様のお役に立たないで、いつお役に立つんだ!」と言われたことが、その後の仕事観に大きく影響している。その後、2010年に当社に入社し14年になるが、東海東京証券と東海東京フィナンシャル・ホールディングスを2~3年おきに往復し、現在に至る。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの生い立ち

 東海東京フィナンシャル・ホールディングスは中核子会社である東海東京証券を含む、子会社24社、関連会社16社を傘下に持つ。2000年に日興証券系列の東京証券と東海銀行グループの東海丸万証券が合併して誕生し、その後、いくつかの合併を重ね、現在に至る。早くからコーポレートガバナンスに取り組み、2007年から取締役会議長を社外取締役から選任、2013年からは取締役の過半数が社外取締役である。
 2017年4月、私が企画担当役員時代に会長の石田のもとで、経営理念を制定した。「私たちの行動指針」と5つの「キャッチフレーズ」が特徴的で、従業員が分かりやすいものとした。
 また、経営計画のテーマは、常に「挑戦」「チャレンジ」であり、初期の「Innovation Jump Up 5」から、現在の「”Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」へと発展している。今、証券業界は、5大証券やネット証券など群雄割拠の時代であるが、その中で埋もれることなく独自のポジションを築いていくために、現状に甘んじることなく果敢に挑戦し続けている。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスの主な取組み~挑戦の軌跡~

 これまでの経営計画を通じて、当社は様々な挑戦を行っているが、1つ目の挑戦は、地方銀行との提携合弁事業であり、地元で多くの顧客を抱える地方銀行との提携を始めた。山口フィナンシャルグループ、横浜銀行と提携していくなかで注目を集め、先方からも提案を受けるようになった。提携する際には支店を現物出資とするなど大胆に取り組んだ。また、証券会社の合併も行い、トヨタファイナンシャルサービス証券、高木証券、エース証券の3社を合併している。
 今回の講演を開催している「オルクドール・サロン」の開設も挑戦の一つである。「オルクドール」は、フランス語で「金鯱」を意味する造語であり、「高い信頼性」と「最高のご満足」を提供するサービスブランドである。名古屋に2016年3月に開業したが、当時は企画担当役員として設計から細かな企画まで苦労しながら、清水の舞台から飛び降りる覚悟で取り組んだ。結果としては想定以上に好評であったことから、名古屋とは趣向の異なるサロンを2019年4月東京・日本橋に開設。今年2月には、東京・青山に3つ目のサロンを開設した。
 また、デジタルの波が押し寄せる中で、先行投資をしていかねば生き残れないという経営判断のもと、東海東京デジタルワールドに向けた取組みも始めた。当社が筆頭株主となった「お金のデザイン」はロボアドバイザーを活用した資産運用サービスを得意としている。その他、ワンコイン投資ができる「CHEER証券」や、デジタル地域通貨を提供する「TTデジタル・プラットフォーム」など、様々な子会社や出資先があり、2021年から3年連続で、経済産業省および東京証券取引所等からDX銘柄に選定されている。先行投資によるトライ&エラーの姿勢が評価されたと理解している。
 スタートアップとの関わりは、会長の石田が2014年度に中部経済同友会の筆頭代表幹事を務めた際に、オープンイノベーションをテーマの一つに掲げていたことから始まっている。当時も中部経済は好調であったが、更なる高みを目指すには壁を取っ払い、新たな風を吹かせる必要があると考え、2016年に中部オープンイノベーションカレッジを開設。名古屋大学の宇治原教授を始めとするコアメンバーよりご意見を頂戴し運営している。2022年には東京オープンイノベーションカレッジも開設し、定期的にスタートアップピッチを開催する他、中部地区の「ものづくり」ネットワークとの交流を行っている。また、3つ目のサロンとしてオープンしたオルクドール青山では、「Sustainable・Unique・Technology」の3つのテーマに挑み、日本を変える熱意を持ったスタートアップ経営者が集まっており、東京大学の松尾研究所出身者のスタートアップ企業などに入会頂いている。当社グループのスタートアップ支援活動に賛同されたオルクドールメンバーと共に、当社グループ全体でスタートアップ企業を支援している。なお、日本一の預貯金額を有するゆうちょ銀行とのスタートアップ支援における協働は、同行の1兆円ファンド設立報道を見て、当社より提案し、交渉の上、実現したものである。
 人事制度での挑戦の一つが、2019年から年功序列を撤廃し、ジョブ型の人事制度へ移行したことである。若くても能力に応じて役職のあるポジションに就くことができ、30歳半ばの支店長・部長も出てきている。また、人材育成のキーワードは「人間性」と「専門性」であり、社員の人間性を高めるために、芸能・音楽・スポーツなどオフの活動の支援や複業留学、社内インターン、社内副業、メンター・メンティなど様々な取り組みを行っている。上位ポジションや異分野の管理職などにチャレンジできる「ポジションチャレンジ」を今年度から実施し2名を登用。一人当たりの教育研修費は証券業界では最も高く、海外トレーニーや国内・海外MBAへの派遣、コース別のリーダー育成研修等を実施している。結果が出るまでには時間を要するが、証券業界は人材が勝負である。また、アスリート社員の雇用にも積極的であり、JOC主催のアスナビにて8名のアスリートを採用し、五輪に出場した冨田るき選手(スノーボード・ハーフパイプ)や柳澤明希選手(アーティスティックスイミング)も所属している。引退後も社員として勤務しているアスリートもおり、採用担当として会社説明会を実施するほか、従業員向けの講演なども行っている。
 社会貢献の観点では、2016年には東海東京FGの15周年事業として「東海東京財団」を設立したが、これは、2014年2月に世界トップクラスのシンクタンク英国王立国際問題研究所(通称チャタムハウス)にて石田会長が基調講演を行ったことをきっかけに、同年8月に名古屋大学豊田講堂にてチャタムハウス主催の国際シンポジウムを実施し、その後、「東海東京フィナンシャル・ホールディングス・グローバル事業」を開始したことから始まっている。
 地方創生にも取り組み、棋士 藤井聡太竜王・名人を始めとする愛知県出身の若い方を応援したいという思いから、将棋タイトル戦「王座戦」への特別協賛のほか、スポーツチームやジブリパーク等への支援も行っている。また広告活動にも力を入れており、中期経営計画「”Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」のイメージに合わせて、棋士 藤井聡太竜王・名人とヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんの二人をCMに起用している。

経営計画「”Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」

 当社の目指す姿は、メジャーリーガー大谷翔平選手のような「誇り」と「憧れ」を感じる企業グループであり、証券サービスだけではなく銀行機能を含めて総合金融グループとして、お客様、そして世の中のお役に立つことが第一義であると考えている。
 ビジネス環境は、劇的に変化しており、今まで以上に厳しく、難しい環境になっている。現状維持では生き残れず、アニマルスピリッツを持って戦っていく必要がある。と同時に、易きに流れず王道を歩みながら、明るく、厳しく、笑顔と温もりがある組織とし、全員が誇りを持って成長できる会社にすることで、お客様そして社会にお役に立てる会社にしたいと考えている。そのためにも、当社も私も挑戦をしていきたい。

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【6年5月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 食×ワイン×観光―官民連携による地方創生― 』

  • 日  時:令和6年5月14日(火) 12時00分~13時30分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
  • 参加者:40名
スピーカー:
長瀬電気工業株式会社 代表取締役 屬ゆみ子氏のご紹介
小松田 清(こまつだ きよし) [リモート参加]
北海道中富良野町長
写真:小松田 清氏

 今回は、屬世話人よりご提供いただいた北海道ワインと中富良野町が誇る安井農園のホワイトアスパラを堪能しながら開催。五感を使って中富良野を学ぶ贅沢な例会となった。

<長瀬電気工業株式会社 代表取締役 屬ゆみ子氏>
 中富良野町長小松田様には、日頃からワイナリー作りなどでお世話になっている。皆様が「富良野」と認識している地域は富良野市であり、中富良野町は富良野市から旭川へ向かう途中にある。周辺には青い池で有名な美瑛町や自衛隊駐屯地がある上富良野町があるが、中富良野町は通り道で滞留する人が少ない。いつか観光名所になればという思いで今回、町長をお招きした。

<北海道中富良野町長 小松田清氏>

中富良野町について

 中富良野町は北海道の真ん中に位置する人口4,580人、面積108.65km2の北海道でも小さな町である。旭川空港から車で45分、札幌市からは2時間の立地であり、現在建設中の高速道路が開通すれば、旭川空港から30分で移動できる。気候は、以前はクーラーが不要なほど冷涼であったが、近年は温暖化が進み公共施設へのエアコン設置を進めている。農業が基幹産業であり、以前は米作中心であったが、近年は寒暖差を活かした野菜(玉ねぎ、ミニトマト、メロン、スイカなど)の占める割合が増えている。年間の観光客は117万人であり、9割がラベンダー畑「ファーム富田」へ訪れている。北海道は開拓地であるという土地柄、移住者が多く北陸や四国など様々な地域の方が移住している。

北海道のワインについて

 北海道ワインの歴史は古く、山梨、長野に次ぐ第3の生産量を誇る。道内最初のワインは池田町で誕生し、セイコーマートの丸谷智保会長の父丸谷金保氏(元池田町町長)が産みの親である。富良野ワインが道内2番目に誕生し、先日50周年を迎えた。2000年以降、酒税法の最低製造数量基準(年間6kl)が緩和され、2klとなったことを追い風にワイナリーは53軒まで急増し、ドメーヌ・タカヒコや山崎ワイナリーなど有名なワイナリーがある。ドメーヌ・ド・モンティーユ は、フランスのブルゴーニュにある300年の歴史を持つ家族経営のワイナリーで、日本初の外国のワイン生産者として、2016年に北海道で自社ブドウ園を始め、ワインの生産を行っている。
 中富良野町の山間地は傾斜地でぶどう作りに最適であり、2015年からブドウの栽培を開始し、2018年より6次産業化交付金を申請し醸造所の建設に着手。まるき葡萄酒は町内の30haの農地を所有しワインの製造を行っている。ワイナリーには販売店とレストランを併設しワインの試飲会なども行っている。また、富良野地域は土壌が豊かで十勝岳の水が使用でき、無農薬食材を生産している。

地方創生に向けた新しい町づくり

 中富良野町では、地域活性化のために様々な制度を活用した地方創生に取り組んでいる。「地域おこし協力隊」は最大で1人520万円の活動費を活用でき、現在22名が町の活性化に取り組んでいる。2泊3日の「おためし地域おこし協力隊」や2週間から3カ月の「地域おこし協力隊インターン」などのお試し制度もある。また、「地域活性化企業人」や「企業版ふるさと納税(人材派遣型)」は民間企業の人材を活用することにより地域活性化を目指す制度である。出向元企業は人件費負担を抑えて人材育成ができ、地方公共団体にとっては、専門知識・ノウハウを持つ人材を受け入れられる双方にとってプラスとなる。さらには、地域商社も立ち上げ、オンライン販売や道の駅の運営などを行っている。町内には働きながら滞在できるテレワーク施設を2か所設置しており、安定した通信速度が確保され、オンライン会議可能な防音個室となっている。
 関係人口の創出や街の課題解決のために、官民連携・官学連携も進めている。ホンダとは「地域協働事業に関する包括連携協定」を締結し、民間企業の技術力やノウハウを活用して町の課題解決や地域活性化を進める。また、東京都豊島区とは「ナカフライフ&としまぐらし相互交流宣言」を締結した。自然豊かな中富良野町とSDGs未来都市である豊島区が連携し、お互いの魅力や価値の向上させる取り組みを行っている。
 北星山の美しい景観と豊かな資源を生かしたワインや食を活用し、観光地としてのブランドを確立するため、JALとの連携協力協定も締結しており、レストランを中心とした宿泊施設「オーベルジュ」を建設する構想がある。
 新しい街づくりに向けては課題もある。エッセンシャルワーカーの不足については、水道のメーター検針の自動化やマイナンバーカードの活用、ドローン、自動灌水システムなどDXを推進し、人手不足の解消を進める。また、都市から地方への物流の偏りを解消し、脱炭素化を進めるためにも農産物を生産地で加工し流通させる取組みも必要である。小さな町であるが、コンパクト化を図りながら持続可能な街づくりを進め、関係人口を増やしていくことが重要である。北海道は夏だけでなく紅葉など季節ごとの楽しみが豊富である。多くの方に食とワインを楽しみながら、ゆったりとした時間をお過ごしいただきたい。

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【6年5月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 人口減少社会における人財戦略~ご出席者の皆様同士の意見交換も交えながら~ 』

  • 日  時:令和6年5月15日(水) 12時00分~14時00分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 18階 IBUKI
  • 参加者:20名
スピーカー:
大森 真一(おおもり しんいち)
株式会社ジェイエイシーリクルートメント
東海拠点 統括部長 兼 名古屋支店長
写真:大森 真一氏

 大森氏より人口減少時代の現状をご説明いただいた後に、グループ討議を行う新しい形式で開催され、各社の現状や今後の戦略に関する熱心な議論が交わされた。

自己紹介・会社紹介

 奈良県生駒市出身。京都の大学を卒業後、新卒でJAC Japan(現JAC Recruitment)へ入社。主な業務は中堅・中小企業の経営者に対する人材採用に関するアドバイスである。大阪、京都そして現在の名古屋で勤務し、単身赴任生活6年目である。
 当社は外資系企業ではなく日系企業で1975年にイギリス・ロンドンで創業。名古屋支店は2004年の万博開催を見越して設立された国内4拠点目。取引先企業の7割程度は従業員500名未満の企業であり、紹介する人材の約8割が35歳以上の幹部あるいは幹部候補である。

人口減少時代の現状について

 日本の総人口は、2025年以降顕著に減少していく。求人倍率は、コロナショックで一時下がったが、1倍を割っておらず、2000年代前半やリーマンショック時と比べれば良い水準である。現状は1.4倍程度であるが、数字以上に人手が不足している印象である。
 転職求人数は大幅に伸びているものの転職希望者数は変わっておらず、希望者の多くがホワイトワーカーである。近年は、ミッションやタスクを重視して転職する方が多く、外国籍の方など多種多様な人材を受け入れる傾向がある。

グループ討議

写真:全体会議の様子

(討議内容)

  • 人材戦略において準備していること。
  • 活用できる余地がある人材の属性と、その活用のために行っていること。

(ご意見抜粋)

  • 現在の専門分野だけでなく、教育を通じて他分野の業務ができる人材を増やす。
  • 採用難のため、専業主婦のパート社員を就業日・就業時間を決めずにフレキシブルな働き方で活用。
  • シニア人材活用のため、定年を超えても給与水準が下がらない制度を採用。
  • 人口減少先進国である日本は率先してデジタル技術を活用した省人化を進めるべき。

人口減少時代の人材戦略

 1つ目は、シニア活躍の推進である。高齢化が急速に進み、15歳から64歳までの生産年齢人口が減少していく中においては65歳以上のシニア人材の活用は不可欠である。70歳以降も働くことを希望する割合は39%であり、過去最高の水準である。
 2つ目は女性活躍の推進である。近年は、仕事と家庭の両立や働きやすい環境だけではなく、キャリア形成について考える女性が増えている。男女間の賃金格差は約21%とまだまだ大きいが、スキルと経験を活かした転職支援を行うことで格差は大幅に縮小する。
 3つ目は退職防止である。今では新卒者の3割が転職サイトに登録をしており、転職理由は「仕事にやりがいを感じない」が最も多い。一方で転職にはリスクがあると考え、同じ会社で働き続ける方もいる。どの会社も行っている施策は同じであるが、効果がある会社とない会社があり、特に中堅・中小企業においては、経営者の想いがあるかどうかが大きい。年収アップを目的とした転職は1,2割であり、大多数が会社やキャリアへの不安によるものである。
 今の会社を創ってきたのは経営者であり今後も経営者の皆様が未来に向けて幹部の採用や育成を行っていくべきと考える。中堅・中小企業の労働分配率は現状でも高く、高年収での採用は難しい。しかし、30代は転職により年収が増加するケースが多いものの、40歳以上は現状の75%以上であれば許容範囲と考え、転職先でのキャリアやミッションを動機とするケースが多く賃金以外の魅力が重要である。未来へ向けた時間投資のため、これまでとは異なる手法での幹部の採用や育成も一つの手である。今後も皆様の会社の人材戦略についてご支援をさせて頂き、会社の発展に貢献していきたい。

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【6年5月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 リーダーに必要な相手の心を開くすごい話し方 』

  • 日  時:令和6年5月16日(木) 12時00分~14時00分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 3階 桂の間
  • 参加者:30名
スピーカー:
丸菱工業株式会社 取締役会長 河村嘉男氏のご紹介
生田 サリー(いくた さりー)
フリーアナウンサー/話し方・コミュニケーションコンサルタント
株式会社インスパイア 代表取締役
写真:生田 サリー氏

私のプロフィール

 大阪府吹田市生まれ。レコード会社勤務を経て、タレント、フリーアナウンサーに転身。朝日放送で、3時間の生放送のテレビ番組、音楽番組、スポーツ番組など、週に6本の番組に司会で出演するなどした後、渡米。ニューヨークに10年滞在し、アメリカ各地のリポートやドキュメンタリー番組のナレーションを行い、ハリウッド俳優をはじめ、3000人以上のインタビューを日本語、英語で行ってきた。現在は、国際イベントの司会、講演のほか、(株)インスパイア代表取締役としてグローバル・コミュニケーション事業、イベント事業、人材育成事業を手掛ける。
 私のキャリアは、作詞に携わりたいという思いからレコード会社ポニーキャニオンへ入社するところから始まる。学生時代、就職が決まった1か月後に、タレントにスカウトされ、入社までの半年間、アナウンススクールへ通ったことが話し方を仕事にする第一歩となり、人前でのパフォーマンスはトレーニングにより向上できることを身をもって体験した。また、マイケルジョーダンの密着取材やジョニーデップのワールドプレミアでの取材などを通して相手の輝く瞬間を引き出すことを学んだ。
 2001年ハワイで開催された、映画「Pearl Harbor」のワールドプレミア取材を通じて、日本人として真珠湾攻撃を描いたこの映画についてどう思うかと海外メディアから意見を求められ、自分なりの考えを持つ必要があることを実感する。同年にアメリカ同時多発テロを経験し、自分が置かれた場所で幸せな人間関係を築くことの大切さを痛感した。
 日本へ帰国後は、政治家やリーダー向けに話し方や声の出し方を指導。コロナ禍で司会や通訳の仕事が9割減となる中、オンラインでの司会や通訳に取り組み、名古屋米国領事館首席領事のゲーリー・シェイファー氏と日本語・英語バイリンガルでFacebook、YouTubeでライブを開催するなど活動を継続した。
 「日本と世界を笑顔でつなぐ」をミッションとし、「愛のある活動を通じて世界の平和に貢献し、自分らしく輝く人が満ちあふれる社会を創ります」というビジョンを掲げて事業を行っている。

愛されるリーダーの条件

 人は役割やステージが変わると緊張する。私の場合は、司会であればメインではなく、自分の内面をすべて表に出す必要がないため緊張しない。話し方を自然に身につけている人もいるが、トレーニングする場はなかなかない。リーダーの皆様にはどんな場所でも、自信を持って話せるよう訓練してほしい。
 メラビアンの法則によれば、人の印象のうち55%が表情や身振り、目線などのVisual(視覚情報)、38%が声のトーンや質などのVocal(聴覚)、残りの7%がVerbal(言語情報)である。コミュニケーションの大部分が非言語コミュニケーションであり、ボディーランゲージにもたくさんのサインがある。たとえば、座る位置を向かい合いではなく斜めや横に座るだけでも、エネルギーの対立がなくなり、リラックスできる。
 コミュニケーションにはオープンハートが必要である。相手の心を開くためには、(1)Smile!(笑顔)(2)Take action!(自分から話しかける)(3)Open-mind!(オープンマインド)の3つが必要である。自分から心を開き、相手に興味を持つことでコミュニケーションは深まる。また、挨拶だけでなくプラスアルファーの会話を加え、声のトーンは一段階高く大きめのトーンで自然体、そしてうなずくことも重要である。極端な話、言葉が通じなくても目でコミュニケーションできる。
 一般的に男性は1日7,000語、女性は21,000語話すとコミュニケーションがとれたと満足すると言われている。会社から帰宅して疲れていても、奥さんの会話を10分間、興味を持って耳を傾けるだけで、家族関係は改善される。部下に対しても、一言の声掛けでやる気が変わることがある。
 自信を持って話せるようになるには、(1)声を磨く(ボイストレーニング)(2)話し方を磨く(活舌、表現力)(3)話す内容を磨く(ストーリー、コンテンツ)の3つが必要である。声帯はトレーニングしなければ筋肉が衰え高いトーンが出なくなる。正しい姿勢(肩の力を抜いて、背筋を伸ばす)、呼吸(腹式呼吸)、声の出し方(喉をあけ、声帯を緩める)を訓練すれば必ず改善するので是非続けてほしい。
 人前であがらないようにするためには、出来るだけ深い呼吸で体をリラックスさせ緊張を楽しみ、ありのままの自分を表現すること、そして伝える内容にフォーカスし、なりたい自分のイメージになりきって話すとよい。大切なことは伝わることであり、一人ひとりに話しかけるようにアイコンタクトをして、相手に合わせたボキャブラリーで伝えたいことを最後にもう一度伝える。多少オーバーでも全身で情熱を持って話すことを心掛けてほしい。信頼を得るためには良い聞き手になることも必要である。
 今日行った「目の前の相手をほめるワーク」を、ぜひリーダーである皆様には日々実践していただきたい。大切なことは「自分から心を開くこと」である。また、目ですべての感情が伝わる。「目に愛の光を」と心掛けて、仕事でもプライベートでも幸せな人間関係をたくさん築いていただきたい。

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【新会員自己紹介】

写真:藤井 幹雄氏
火曜グループ
藤井 幹雄(ふじい みきお)
東海東京証券株式会社
取締役会長

【東海東京証券株式会社】
〒450-6212 愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1
URL:東海東京証券(tokaitokyo.co.jp)

■会社紹介
 当地区を地盤とする東海丸万証券と東京証券が合併して20年余りとなりますが、過去も現在もそして未来も、中部地区のお客様のお役に立ち、ご愛顧頂ける証券会社であり続けたいと、役社員一同が精一杯の努力を重ねております。
 デジタルをフル活用した利便性の高いサ-ビスの展開を図る一方で、直接にお目にかかりお客様それぞれのご事情やご要望をお聞ききしてこそ適切なご助言やご提案が可能と考えており、対面でのサ-ビス力を更にレベルアップして参りますので、宜しくお願い申し上げます。

■自己紹介
 1958年兵庫県生まれ、大学卒業まで関西で育ち野村證券に入社しました。営業店勤務や米国留学もありましたが、債券や資金及び外為関連の企画業務が主なキャリアです。20年弱の野村での勤務の後に、トヨタ自動車に転じて名古屋に住み、トヨタフィナンシャルサ-ビスの創設メンバ-としてトヨタFS証券の立ち上げや運営を担いました。2008年から日本では当時数少ない独立系運用会社で上場会社でもあるスパ-クス・グル-プで約8年間、副社長として番頭のような役割を担っておりました。2016年から東海東京フィナンシャル・グル-プにお世話になって現在に至ります。
 特に誇れるような業績もありませんが、四つの会社で様々な経験をさせて頂きましたので、その恩返しの意味も含め今後は地域や若い人たちの成長に向けて何がしかの貢献に繋がるよう努めて参りたいと考えています。
 ゴルフ以外は何であれ喜んでお付き合い致しますので、どうぞ気軽に声を掛けて下されば幸いです。宜しくお願い申し上げます。

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【7月度産業懇談会のご案内】

 7月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

屬ゆみ子
富田 茂
広井幹康

7月9日(火)
12:00~14:00

『貯蓄から投資へ~元為替ディーラーによる”相場との付き合い方”~』
東栄株式会社
取締役社長 九鬼 史英 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

7月17日(水)
12:00~14:00

『日本の製造業との共創により、サステナブルな社会を実現する』(仮)
株式会社ワイ・ディ・シー
取締役社長 田中 剛 氏

若宮の杜
迎賓館
2階 桜の間

水曜第2グループ

香川裕子
高見祐次
名倉昌孝

7月10日(水)
12:00~14:00

『営業DXは、何からはじめるべきか』
Sansan株式会社 中部支店
支店長 竹内 大輝 氏

若宮の杜
迎賓館
1階 橘の間

木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

7月4日(木)
12:00~14:00

『SDGs取組事例のご紹介『フードロス削減BOX ZERO』』
三菱HCキャピタル株式会社 常務執行役員 鈴木裕之氏のご紹介
ZERO株式会社
代表取締役 沖杉 大地 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

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【産業懇談会4グループ合同懇親ゴルフ会
のご案内】

 4グループ合同の懇親ゴルフ会を下記のとおり開催いたします。

日時
令和6年8月24日(土) 9:00スタート
(東→中・中→西・西→東コースの3コースいずれかでラウンド)
場所
明智ゴルフ倶楽部 ひるかわゴルフ場
岐阜県中津川市蛭川5735-3 Tel:0573-45-3311
会費
16,000円内外(食事付)
集合時間等
  • 現地集合としますので、8:30までにお越しください。
    ※8:45より開会式を開催します。
  • 競技方法は、ダブルペリア方式とします。
出欠のご連絡
  • ご参加を希望される方のみ、7月25日(木)までに「会員専用ページ」からご登録をお願いいたします。
    (参加者は会員限りとし、代理出席はお断りさせていただきます)
  • 定員40名に達し次第、申込みを締切させていただきます。
  • プレーのキャンセルは、8月16日(金)までに事務局までご連絡ください。8月17日(土)以降キャンセル料が発生いたします。
  • ご参加の方には、組み合わせ等の詳細を後日ご案内いたします。
ご案内先
代表幹事、直前代表幹事、常任幹事、監事、産業懇談会会員
お問合わせ先
中部経済同友会事務局 担当:廣瀬・藤原 Tel:052-221-8901

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.72

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 未知の世界 』

 梅雨前というのにすでに真夏の暑さ。
 ひと昔前なら、お昼のワイドショーでおどろおどろしく「あなたの知らない世界~」が始まる時期だ。心霊写真から心霊スポット、お決まりの稲川淳二恐怖の怪談など、背筋の凍る涼がテレビを賑わせる。嘘か誠か、人の目に見えるものは限られていて、そもそも心霊とか言われるものの質量が空気以下なら当然見えないし、同様に小さすぎるものも、肉眼では見られない。涼しさはさておき、一方の小さすぎる「あなたの知らない世界」はとても身近にあって、どうせ見るならそんなラブリーなものの方が断然楽しいので、その世界を垣間見に行かせていただくことにした。

 過日、前筆頭幹事の天野さんにお招きいただき(というか、ほぼ得意の突撃なのだが)天野エンザイムの各務原イノベーションセンターにお邪魔した。
 今回の訪問は、同友会福井大会の2次会で、加藤代表幹事と「天野さんのところに見学に行こう!!」と盛りあがっての流れ。

写真:モニュメント

天野エンザイムとノリタケは、共同研究もされているそうで、社員の行き来もあり、加藤さん自身も是非足を運んでみたかったということで、この日の訪問が叶った。
 当日は、朝から遅れている梅雨入りを予感させるような雨降りだったのだが、昼過ぎから天気も回復し、心地よい新緑の風が吹くラボに到着。出迎えてくれたのは、ブロンズのモニュメント。どこかで見覚えが…と思っていたら、やはり大理石彫刻家の安田侃作。安田侃といえば、北海道美唄市の出身で、美唄のアルテピアッツァはもちろんのこと、道内各地に彼の作品を見つけることができる。北海道ゆかりのものが見つかるとすっかり気分が良くなるこの頃、いつの間にか道民気分のようだ。

写真:ラボ

 弧を描くガラス張りの建物に入ると、森の中にいるかのように緑が飛び込んでくる。通常ラボというと閉鎖された建物の中で、無表情な研究員が働いているイメージなのだが、ここはまるでオープンテラスの研究室。人工物を扱う場所でないということを改めて感じる。
 酵素は培養した微生物から精製分離する。そのため天野さんの微生物ライブラリーにはおよそ2万株の異なる微生物があるそうで、今なお地球上の、というか成層圏にまで新たな微生物を求めて探索中なのだそうだ。当然肉眼観察などできないマイクロメートル=1mmの1000分の1をどこかから見つけてくるわけで、よく例えに出る「砂漠の中でコンタクトレンズを探す」よりはるかに大変な作業だ。そうして集まった微生物の中から、いま、私たちの生活を支える酵素が精製されている。そう考えるだけで、ラボ見学はワクワクする。

写真:培養液撹拌の様子
微生物と培養液撹拌中

 建物の紹介から中央研究棟に入ると、酵母の香りが漂う。若い白ワインを抜栓したときの、瓶内熟成香だ。この建物にも様々な微生物が漂っている。培養室など見せていただき、あれもこれもと写真に撮りたかったけれど、何かいけない物が映ってしまうと問題なので、お許しの出たところだけ撮影させていただき、出来れば電子顕微鏡で、活躍する酵素君をみてみたいな~なんて我儘を言わないようにして、雑菌まみれの部外者は大人しく見学を終えた。

写真:集合写真

 そもそも人類の発生は微生物とウイルスと酵素の恩恵があってこそ。小さな世界の発見に役立つ顕微鏡が発明されたのが1600年ころだから、ちいさなヒーロー達に光が当たったのは400年そこそこの話。そしてそれから200年後にジアスターゼ(大根に入ってるやつ)や消化酵素のペプシンが発見される。そして今現在も、人類が発見できているのは全微生物のうちの0.01%しかないというのだから、これから先の200年後、新たなる酵素の発見で人生100年どころか200年、もっと言えば北極海に住むサメのように寿命400年なんて時代が来ているかもしれない。そうなるともう魔女かスターウォーズのヨーダの世界だ。

 思えば私たちも宇宙の微生物みたいなもの。だからと言って酵素のように何か役に立っているのかと言えば悩ましい。地球にとってはデストロイヤーでありがん細胞のようなものだし。とはいえ、破壊と再生を繰り返す営みの中で、少しは賢くなってるのかしら?否、ニュースを見るたび決して胸を張ってYESとは言えない悲しい時代。とはいえ、新しい時代は新しい発見とともに必ずやってくる。それは、100年前にアイザック・アシモフが描いた世界が、今まさに始まらんとしているように…或いは月で、また或いは火星で。

 知なる扉はそこかしこで誰かが開けるのを待っているのかもしれない。
 我がワイナリーも、あんなところで葡萄ができるのか、まったくのチャレンジだ。でもそんな環境で美味しいワインが出来たとしたらこれもまた新たな発見(多分それを助けてくれる沢山の微生物と酵素が畑に居てくれるということ)だ。
 天野さんのラボで、ちいさな世界から大きな夢を見ることの楽しさを再認識した。

 スタッフの皆さん、御忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。
 次回伺う機会があったら、もう少し勉強して、沢山質問させていただきます。

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コラム2 【師、曰く】 No.37

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。

『 死生観 』

 師、曰く『一、人は必ず死ぬ 二、人生は一度しかない 三、人生はいつ終わるかわからない』

 これはNo.3『人生の三つの真実の死生観。「過去もない。未来もない。あるのは永遠につづく「今」だけだ。今を生きよ。今を生き切れ。」後戻りのできない過去を悔いて後悔するのではなく、未だ来てもいない未来を怖れ不安がるのではなく、限りある命の「今」を精一杯生き切る覚悟、信念の教えだ。No.15『一期一会』は、今、目の前にいる人とのご縁に正対することが、人生を大切にすることという教え。No.32『メメント・モリ』(死を想え)は、生きていること自体が奇跡、偶々生かされていることに感謝し、今居る場所で為すべきことを為せという教え。田坂先生との4年半の真剣勝負で、心に摺り込まれたこれらの教えのお蔭で、未熟者ながら人とのご縁を大切にし、心が穏やかになった。職場も無論、母や息子達との関係も良好となった。しかし、死生観の教えを目の前に突き付けられると、まだまだ未熟な自分を痛感する。

 先月、年の離れた親しい友、カフェのオーナーのOさんが、突然逝かれた。87歳だった。半年前に出逢い、モーツァルトが流れる素晴らしい眺望のカフェに毎週通い、珈琲を飲みながら、よく2時間近くも色々な話をした。戦後の電力事業に貢献した元GHQエアーズ大佐とも親しく、若い頃は世界を飛び回ったり、棒体操を指導したりもしていた。まだまだ夢も持っていた。焼き牡蠣の美味しい店を伝えると、翌週には(親友の)Mと食べたぞと、食欲も旺盛で元気だった。少し前に、外で側溝を跨いだ拍子に転んで側溝にはまり、後頭部にたん瘤と右下半身に大痣をつくり、「歳なんだから無理は駄目!怪我せず、健康第一!気を付けてよ!」と注意したばかりだった。お客さんへ飲み物を運ぶのを手伝う私に、Oさんは、「無理はいかんなぁ」と自戒した。帰りに「来週は出張で来れないから、また再来週!」と言うと、洗い物をするMさんの横でスマホをいじるOさんが、「はい、またね!」といつものように言った。水曜夜、出張先から私が送った他愛無いLINEに、木曜未明、「ありがとう」とOさんから返信が来たが、翌日以降Oさんに送ったLINEの未読が続き、心配で月曜朝に知人に連絡を入れた。色々聞いてくれ返事がきた。木曜夜、Oさんは自宅の階段から落ち、Mさんが駆けつけ救急車で運ばれたが亡くなられた、と。絶句した。

 数日、数週間経っても、思ったより心が重い。手向けた花は天に届いているだろうか。もっと、正対して話を聞けば良かった。もっと、色々な話を聞きたかった。もう、話をすることができない。声色だけが耳に残る。『人生の三つの真実』が、『一期一会』が、『メメント・モリ』が、今の私には大きな言葉として、胸に迫ってくる。人はいつ死ぬかわからない。だから、一期一会なのだ。だから、日々、メメント・モリなのだ。心より合掌。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:空
(モーツァルト流れるカフェHILL TOPからの眺望)

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コラム3 【げんき通信】 No.10

学校法人佑愛学園
愛知医療学院大学
リハビリテーション学部
リハビリテーション学科理学療法学専攻
講師 宮津 真寿美

『 暑い日のバーベキューと体内の水の話 』

 外でバーベキューするのは気持ち良いですね。食材を焼きながらの食事やお酒は格別です。今回は、ちょっとだけ知っていてほしい体の中の水の話をします。
 私たちの体は多量の水が含まれていて、体内に含まれる水の量は若い方で体重の約60%を占めます。つまり、60kgの人なら、36kgは水です。この水の2/3は細胞内、残り1/3は細胞の外にあり、血液の液体成分である血漿も細胞外の水です。この体内の水の量が多すぎ、少なすぎにならないよう、また、細胞外と細胞内の水の割合も、厳密に調節されています。
 単純に言うと、体内に水を摂取する量と、体外に排出する量は同じです。摂取する水には、食べ物に含まれている水や飲む水がありますし、排出されるのは、尿や汗などがあります。たくさん水を飲むと、尿の量が増えることは皆さんも経験があると思います。多量に発汗する暑い夏は、脱水にならないよう、意識して水を飲む必要があります。
 お酒を飲むと、この調節が少し乱れて、尿の量が増えます。尿量を増加させる作用のことを利尿と言い、アルコールには利尿作用があります。
 バーベキューは、直火の近くの暑い環境で食材を焼き、また、楽しくて、お酒が進みます。お酒を飲んで、尿量が増えているにも関わらず、気温以上の暑さで通常より汗量が増えるため、真夏に外でバーベキューをして飲酒すると、思いもよらず、脱水症状になることがあります。たくさん、お酒(水)を口から摂取していたのに、どうして??となりますが、お酒の利尿作用による多尿と、多量の発汗で、排出される水の量が増えたためです。
 楽しいバーベキューで、体調が悪くなってしまっては、元も子もありません。同友会のみなさま、脱水に気をつけて、気の置けない人とのバーベキューを楽しんでください。

「イラスト:ビール

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