【5年9月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 経営者が知っておくべきIT最新トレンド-AIの活用からサイバー攻撃対策まで- 』

  • 日  時:令和5年9月7日(木) 12時00分~14時00分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
  • 参加者:40名

スピーカー:

写真:甲田 展子氏
甲田 展子(こうだ のぶこ)
株式会社アエルプランニング
代表取締役
*ナビゲーター
写真:久保 統義氏
久保 統義(くぼ のりよし)
株式会社ディー・ディー・エス
取締役社長執行役員

<リモート参加>
鎌田 光一郎(かまた こういちろう) Librus株式会社 代表取締役
翁 駿暁(おう しゅんぎょう) Librus株式会社 取締役COO 

自己紹介・会社紹介

(甲田氏)
 キユーピー株式会社に入社した後、NECに転職、コンピュータのセールスエンジニアとして全国の家電量販店を回った。ある時これからはソフトウェアの時代となると言われたことをきっかけに、自分の知見の活かせる会社を設立した。
 アエルプランニングは東京に本社があり、主たる事業は企業のIT資産管理の診断やコンサルティングを行う会社である。中部地区は、トヨタ自動車をはじめ、グローバルに活躍する企業が多く、近年サイバー攻撃を受ける事が多い地区となっているため、名古屋で多くの仕事をいただけるようになっている。

(久保氏)
 ディー・ディー・エスは名古屋工業大学と提携し、研究成果を事業にしている会社で、名古屋工業大学の学生が採用しやすいなどの事情もあり、名古屋に本社がある。指紋認証のシステムでは11年連続業界トップである。名古屋市に多く認証システムを納めており、県政150周年に感謝状をいただいた。

(鎌田氏)
 大学を卒業し、SMBC日興証券に入社し、リスク管理を担当した。その後PWCコンサルティングで企業向けのリスクコンサルティングの仕事をした後、Librus株式会社を起業し、サイバーセキュリティ等のシステムの人間ドック的な事業を行っている。

サイバー攻撃とは

(甲田氏)
 ウクライナの戦争以外に、ネットの世界でも戦争が起っていることを、先ずは知っていただきたい。14分野の重要インフラは国家間のサイバー攻撃の対象となる可能性が高く、国民の生活基盤に与える影響が大きいため、国の指定を受けている。一方、中部を支える自動車等の産業は、サイバー攻撃により経済基盤に与える影響が甚大であるため、サイバー攻撃の標的になりやすい。

(鎌田氏、翁氏)
 サイバー攻撃の目的を理解することが予防の第一歩である。サイバー攻撃は海外の反社会的勢力によって行われている。ある国家においては外貨獲得の過半数がサイバー攻撃によるもので、一般市民の平均年収が22万円と言われるなかで、ハッカーは5億円とも言われる。その他、愉快犯や個人的な動機による嫌がらせによるものもあるが、サイバー攻撃の被害件数の5%未満と少ない。日本における被害状況は2021年までの5年で2倍になっており、上場企業においては約4,000社のうち68社が標的となっている。サイバー攻撃により、株価の10%~15%程度の影響がある。平均で21%程度の収益減少や個人情報の流出などで信頼が失墜するなど、企業は大きなダメージが被ることになる。近年のサイバー攻撃において、代表的なものはランサムウェアである。ランサムウェアによる攻撃はシステム停止や情報流出により、企業のサプライチェーンを止め、身代金を要求するものである。早期復旧のため、やむを得ず身代金の支払いに応じる企業もある。ECサイトなどが攻撃を受けると、流出したクレジットカード情報の信頼性の確認等を含めると復旧に280日程度を要する。身代金を払うまで、システムは動かない。身代金を払ったとしても、要求は続き、公表によりハッカーの手柄として知れ渡ることになるため、企業は毅然とした態度をとるしかない。原因究明や初動対応を行い、警察と連携しながら復旧・対策し、スピーディーに情報開示をしていく必要がある。
 ハッカーはダークウェブと呼ばれるサイトで情報の授受を行っている。ダークウェブはGoogle等で一般人が検索してもアクセスできないようなインターネットの深部にある。閲覧には特殊なソフトウェアが必要となり、多様なコンピューターウィルスに溢れている。また、アクセスの追跡ができないようになっているため、武器、麻薬、人身売買等に使われている。一部には、専制国家の政府より弾圧を受けている集団が使うこともあるが、99%は犯罪目的である。

ユーザーIDについて

(甲田氏)
 セキュリティと関連するテーマとして、ユーザーIDについてお聞かせいただきたい。

(久保氏)
 ユーザーIDは個人を特定するための記号のことで、マイナンバーや銀行の口座番号、健康保険証番号などがそれに当たり、コードの桁がそれぞれ意味を持って付与されている。IDは個人の特定(Identification:識別子)と属性の特定(Identity:アイデンティティ)という2つの意味を持つ。属性について例示すると、健康保険証番号の頭2桁は健康保険の団体を示すものである。
 ユーザーIDはあらゆるところで発行される。同じ企業グループにおいてもサービス毎に割り当てられるため、一人が10個以上のIDを保有するということもある。多くの方は100個程度のIDをお持ちであるはずだ。

(甲田氏)
 インターネット上のIDについて解説いただきたい。

(久保氏)
 マイナンバーや保険証のように、インターネット上では本人の特定ができないので、パスワードが設定されている。パスワードを「password」としたり、キーボードの配列を使って「qwer」としたりするとすぐに他者から特定されてしまう。パスワードが漏洩した場合、先述のダークウェブで取引され拡散するので、パスワードを使い回している場合、漏洩したサイト以外のパスワードも変更が必要だ。本人確認を強化するため、ショートメッセージ等の2段階認証や生体認証が併用されている。銀行では生体認証が使われている。企業でZoomやBoxなどを使う場合は多要素認証がセキュリティ確保の最善策となる。知識(暗証番号)と所持(現物)を組み合わせて使用することで、セキュリティ性を保つことが必要である。

AIについて

(甲田氏)
 もしこのままAIが進化していくと私たちの仕事はどうなるか、生成AIの実演を通じて感じて欲しい。

(鎌田氏、翁氏)
 生成AIとは人工知能が自ら生み出す仕組みであり、文章、画像、プログラミングの生成や翻訳、要約も行う。その他にも医療画像の分析や投資のアドバイス等にも活用の幅を広げている。一方で、サイバー犯罪や著作権侵害などリスクもある。生成AIは事実とは異なるデータを生成することもあり、結果を鵜呑みにしてはいけない。生成AIのリスクに関して、海外では既に規制が始まっているが、日本ではまだ十分な規制は設けられていない。
 ここで、画像生成AIを使って2050年の名古屋の街並みを生成してみる。単語を入れるだけで作成可能で、修正の指示をしながらイメージに近づけていくため、漫画、絵本、ロゴマークの生成への活用が既に始まっている。生成AIを活用すると人件費等のコストカットにもなるので、今後は一定割合で増加する見込みだ。デザイナーには更に顧客とのコミュニケーションの力が求められるようになる。

まとめ

(甲田氏)
 ITについて、日本は技術的には進んでいるが、法的には遅れている。ITは決して人に優しいものではなく、今後はITリテラシーがないと飛行機に乗る事すらできなくなる。この視点で企業もITをどう取り扱っていくかを検討いただきたい。AIが活用される社会ではヒューマンリテラシーが高い仕事が残っていくと考えている。IT企業として、中部経済同友会の会員の皆様に情報を提供していきたい。

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【5年9月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 サーキュラーエコノミーの時代を迎えて マテリアルプラスチックリサイクルの現状と課題 』

  • 日  時:令和5年9月12日(火) 12時00分~14時00分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
  • 参加者:46名
スピーカー:
磯野 正幸(いその まさゆき)
いその株式会社
取締役社長
写真:磯野 正幸氏

会社紹介・自己紹介

 いその株式会社は「今こそ地球に恩返し」を合言葉に高品質なマテリアルリサイクル樹脂を提供する会社である。培ったリサイクル技術を活用し、環境への負担が少ない持続可能な社会の発展を目指している。1957年に創業し、名古屋市東区の本社の他に、稲沢市や北九州市などに拠点を持っている。年商は100億円で、販売先には自動車関連、家電関連、事務機器関連の会社がある。リサイクルプラスチック事業は1958年に創業者である父・磯野俊雄がビニールと出会い、1961年にエクストラルーダー初号機を導入したことから始まる。1965年には自動車部品の成形メーカーと取引を開始した。毎月100トンほどの廃材を回収し、リサイクル材としてお返ししている。1988年に大手材料メーカーと共同したリサイクル材に色々な添加剤などを混合するコンパウンドと言われる技術により、新材と再生材の技術が融合され、今も当社の技術の基盤になっている。2012年には愛知環境賞優秀賞を受賞し、翌年トヨタ自動車のSAIにリサイクル材を使った部品が搭載された。以降、環境省の低炭素型3R技術・システム実証実験や革新的プラスチック資源循環プロセス技術開発事業に携わっている。
 当社の特徴は、強化材や機能材等を配合し、お客様のニーズに合った特性のエコプラスチックを生み出す事にある。エコプラスチックは年間15,000トンを販売しており、その6割が自動車用で、建材や住宅設備、文具、家電にも使われている。生産は回収素材を均一混合化したのちに、他の材料と混合調整を行い、お客様からの要望に応える素材にして納入している。自動車用のバッテリーケースがOA 用椅子材になり、発泡トレーがボールペンケースになるなど活用方法は様々である。トヨタ自動車のSAIに搭載されたリサイクル材はトレーサビリティー重視で生産され、バージン材と同等の物性を持つ再生プラスチックの認定グレードを自動車メーカーから取得し、年間9,000トンを納入している。今後はPIR材(工場廃棄品)ではなく、PCR材(使用済み製品)の調達が重要になってくる。車から車へのマテリアルリサイクルの拡大に向けて、いかに多くのPCR材を解体業者と連携しながら回収するかが課題であり、今後のELV(使用済自動車)プラスチック活用に向けてASR(自動車のシュレッダーダスト)削減を目的とした開発が急加速している。
 2030年にELVプラスチックの取扱量を年間4万トンとする目標を掲げ、ELV開発チームを組織化した。バンパーは塗膜剥離をしなければ、自動車部品への再利用は難しいため、当社では、建材等に活用している。将来的には塗膜があるものの自動車部品への再利用を目指しており、自動車メーカーと開発に取り組んでいる。

樹脂リサイクルの課題と対応

 樹脂リサイクルには、自動車部品解体時の部品の効率的な分解と解体時間の短縮によるコスト改善という課題がある。プラスチック部品に付いている紙、スポンジ、ゴムなどを取り除き、純度の高いプラスチックにしなければ、自動車部品には使えない。バンパー等の成形品の低積載効率の課題もある。積載効率の向上に向けては、解体業者との混載物流(ついで物流)により、解体される車の間にバンパー等の樹脂部品を挟み込んで運搬している。さらに、自動車解体業者と協力し、集荷拠点となる解体業者での集積破砕を実施している。
 過去からの商流のしがらみや解体業者の採算性の面から、当社では廃プラスチック回収の新規開拓ができず、回収量が頭打ちになっていた。省庁も諸外国の廃プラ規制の強化により、再資源化施設への廃プラの流入が増え、処理能力は逼迫し、トラブルが頻発していた。また、サーキュラーエコノミー政策により、再生プラスチックの使用が義務化されたが、供給が追い付かないという課題があった。両者の課題がマッチした事で、自動車リサイクル法での解体業者へのインセンティブの検討が開始された。2023年7月に欧州委員会が公表したELV指定では2031年までに全体の25%にポストコンシューマー材を使い、そのうち25%(全体の6.25%)を自動車リサイクル材の使用を義務付けており、各自動車メーカーには困難な課題であるが、13年前から取り組んできた当社はこれに貢献でき、チャンスでもある。自動車分野以外では、弁当会社の使い捨て弁当箱を回収し、電子レンジトレーとして成形したり、東ソー(株)と連携して、再生不可能な端材に相溶加剤を配合し、高品質で成形しやすい再生プラスチックにしたりしている。

福岡県大木町における家庭使用済プラスチックの再生利用プロジェクト

 2022年のプラスチック資源循環促進法の制定により、これまで焼却していたバケツ等の製品プラスチックを自治体が回収し、再利用することが義務化された。これを機に、当社は福岡県大木町においてプロジェクトを進めている。大木町は全国で2番目に「もったいない宣言」を公表するとともに、周辺自治体を巻き込んだプラスチックの一括回収と広域循環に取り組む自治体である。当社の技術を用いて回収されたプラスチックを成形し、生ごみ処理用のシールストッカーにして、半年で1,000個程度自治体に還元している。シールストッカー以外にも回収樹脂の純度により、多くの用途があり、純度が高いものは、自動車部品にも活用される。

東京都における衣装ケースのリサイクル事例

 プラスチック資源循環促進法では50cm以上のプラスチック製品は回収対象にならないが、当社ではそれらにも目を向け東京都と連携してリサイクルの実証実験を進めている。東京都には粗大ごみとして焼却される衣装ケースが年間43万個ある。そこでリサイクル体制を確立し、プラスチック資源の循環利用と環境負荷低減を図るべく東京23区と話し合い、私が会長を務める全日本プラスチックリサイクル工業会を活用し、4区と実証を進めている。取り組みの主なポイントとしては、衣装ケースの排出状況を把握し課題を抽出し、集荷基準やルートを検討、物性評価や採算性を検討し報告書にしていることが挙げられる。運搬に使われるパッカー車への積載と輸送ルートの効率化の検討という課題はあるが、回収された衣装ケースからは良質な再生樹脂を得られ、高付加価値分野への展開が可能である。また、焼却に伴って発生しているCO2を削減することもできる。
 本実証事業により、衣装ケースの回収~リサイクルの体制が確立されれば、他の都道府県にも水平展開されることが想定され、日本のプラスチックリサイクルの新たな進展に繋がり、プラ資源の循環利用と環境負荷低減が期待できる。

最後に

 世界中でカーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーが叫ばれており、CO2削減のため再生材には大きな期待が寄せられている。再生材原料の安定的かつ安価な調達は課題となっており、製品プラスチックへの期待は大きい。地域を越えて、リサイクルプロセス全体での効率化が必要で、いかに物流効率を最大化するかが焦点であり、今後は多くの業者が広くアライアンスを組む必要性を感じている。

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【5年9月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 東急建設の環境への取り組み 』

  • 日  時:令和5年9月13日(水) 12時00分~14時00分
  • 場  所:若宮の杜 迎賓館 橘の間
  • 参加者:34名
スピーカー:
佐藤 順一(さとう じゅんいち)
東急建設株式会社
執行役員支店長
写真:佐藤 順一氏

自己紹介・会社紹介

 1989年に事務の総合職として東急建設に入社し、40歳を過ぎて営業部門に異動となり、主に大手総合デベロッパーを担当することとなった。首都圏の営業統括部長を担当した後、執行役員支店長として単身で名古屋に赴任した。東京では2人の息子と共に空手(黒帯)やラグビー(コーチ)を楽しんでいた。
 当社は、1946年に東京建設工業として創業し、1959年に現在の東急建設となった。会社再建を行い新生東急建設となった2003年を会社設立の年としている。日本全国に支店を展開し、東南アジアを中心に7つの海外拠点があり、8つの関連会社を持っている。名古屋支店は創業と同時期に設立された2番目に歴史のある支店である。
 東急グループは、1922年に五島慶太氏により設立された「目黒蒲田電鉄株式会社」を嚆矢とする。その前身は1918年渋沢栄一氏が発起人として誕生した「田園都市株式会社」の鉄道部門である。現在は、東急株式会社を中核企業として222社5法人で構成されている。
 社会課題の解決を目的に戦後復興のために創設された当社は、創業時から困難な事業に対し、松明を掲げ、誰もやっていないことを成すべく駆け出す勇ましさといった東急魂の精神を受け継ぎ、2021年に「0へ挑み、0から挑み、環境と感動を未来へ建て続ける」という”VISION2030”を掲げ取り組んでいる。

VISION2030と環境目標

 当社は存在理念を「私たちは安心で快適な生活環境づくりを通じて一人ひとりの夢を実現する」とし、気候変動リスクの低減を中心にSDGsを起点とした社会課題の解決に向け、「脱炭素」「廃棄物ゼロ」「防災・減災」を提供価値と定め「To zero ,from zero」のサスティナビリティ戦略を実践し、それぞれの提供価値にKPIを設定し強力に推進している。当社は温室効果ガス削減目標のSBTの認証を取得しており、2018年度を基準年に2030年度までにScope1~3において30%削減、2050年度にはScope1・2において100%削減を目指している。この目標は2022年度まで順調に達成しており、2024年度中に2030年度の削減目標を2018年度比▲41%に変更する予定である。削減活動の対象はScope1を重機等に使用される「軽油」、Scope2を作業所等で使用される「電気」、Scope3を「主要材料」や引き渡した建物で使われる「電気・ガス」としている。Scope1と2においてCO2排出のほとんどが燃料であり、Scope3がScope1~3全体の95%になる。
 環境先進企業として、環境大臣より「エコファースト企業」の認定を受けている。

脱炭素への取り組み

 脱炭素に向けて、Scope1における燃料の種類と用途について具体的に説明したい。
 当社は国内の建設現場でCO2排出量の少なく煤のでないGTL燃料を使用している。GTL燃料はコストも軽油と同等であり、エンジンの改造は不要というメリットがある。
 日本国内の廃食油で精製されるバイオディーゼル燃料を建設現場の発電機に使用しているが、重機はこの燃料の使用を想定しておらず、メーカー保証の対象外という課題がある。
 リニューアブルディーゼルは国内現場の重機への使用が開始されており、廃食油や植物油を原料に作られ、LCAベースで90%の排出量の削減が可能である。酸化せず、重機の改造が不要となる点でメリットはあるが、コストが軽油の3倍強となる。
 水素燃料電池式発電機は、他社と連携し可搬型発電機を開発し、有効性を実証中である。
 土砂運搬シミュレータにより、積載/運搬/積降効率の向上も行っている。
 Scope2における電気の使用に関する取り組みも紹介したい。
 当社はRE100に加盟し、2030年までに事業活動で使用する全電力の再生可能エネルギー化を進めている。この取り組みが2021年4月より着工する全工事より始まっている。
 当社とクリーンエナジーコネクト社でバーチャルPPAサービス契約を締結し、年間CO2排出量の20%低減を進めている。また、太陽光発電企業に出資し、脱炭素を加速している。
 再生可能エネルギーの活用に向け、蓄電池事業にも参入。2024年より運転を予定している。
 一方で、太陽光オンサイトPPAサービスの提供を開始し、お客様への再エネ電力の供給を進めている。
 Scope3の中でも、上流においては、低炭素コンクリートの共同開発、副産物の有効利用率90%となる先送りモルタル代替材の開発と適用、積み上げ式CO2排出量測定ツールの開発による精度の高い数値の設計者との共有やお客様への迅速な提供を行っている。また、下流においても、お客様への概算ZEB/省エネシミュレーションツールの公開による環境負荷削減の検討の機会の提供や木造・木質化によるCO2削減の提案を行っている。

廃棄物ゼロへの取り組み

 当社は廃棄物削減目標を2030年度に3%以下、2050年度にゼロに設定し、取り組んでいる。具体的な取り組みを紹介する。
 Refuse、Reduce、Reuse、Recycleの4Rを推進しており、作業所に廃プラスチックの圧縮機を設置し、分別と減容化を実施しリサイクル化を進めている。
 廃棄物の分別効率化のため、廃棄物選別ロボットを他社と共同開発し、試験的に導入している。産業廃棄物となる建設現場の作業服も法令にあわせてリサイクルしている。
 当社の所有する竹林の有効活用のため、生物多様性保全と循環経済の観点から竹を原料とした竹紙を作る会社と連携し、竹紙カレンダーを作成している。

防災・減災への取り組み

 防災・減災に対する取り組みを紹介する。
 平常時から大震災時まで建物の状況を見える化したモニタリングシステム「4Dドクター」を共同開発し、建物の安全性の自動判定と災害時の避難要否の自動判断を可能にした。
 同様にトンネルについても、全断面点検・診断システム「iTOREL」を開発し、トンネル点検の省力化や維持管理の高度化を実現した。河川においても気象庁のオープンデータを用いて都市型水害から現場を守る「河川監視システム」を開発した。
 自然環境が有する防災・減災・生物多様性の保護などの機能を活用し、持続可能な地域を作るグリーンインフラの一環として、その実証施設の設置、クラピア(イワダレ草の改良種)工法を緑地や堤防、公園などに適用している。
 プラスチック製の充填体を用い雨水貯留槽を地下に構築するアクアプラ工法は、雨水の有効利用に活用されている。

3つの提供価値のモニタリング

 社内では長期計画の達成状況を確認するため、環境関連数値は中央環境委員会で承認され、サスティナビリティ委員会を通じ経営陣や取締役会に報告されており、達成に向けて順調に推移している。子ども達に地球を良い環境でバトンタッチできるように、今後も環境への取り組みを継続していく。

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【新会員自己紹介】

写真:鈴木 富雄氏
水曜第1グループ
鈴木 富雄(すずき とみお)
アイホン株式会社
取締役社長

【アイホン株式会社】
〒460-0004 名古屋市中区新栄町一丁目1番 明治安田生命名古屋ビル10階
URL:https://www.aiphone.co.jp/

【会社紹介】
 1948年に創業いたしましたアイホンは、70年以上にわたってインターホン一筋に事業に邁進してまいりました。愛知県名古屋市に本社を置き、世界約70か国以上に、商品・サービスを提供しております。まだインターホンの存在が認知されていない時代から普及に努め、いまや、暮らしにかけがえのないものとなりました。これまでアイホンが培ってきたコミュニケーションとセキュリティの技術は、いま、住宅をはじめ、病院・介護施設、オフィスビルなど人が活動するさまざまなシーンに活躍のフィールドを拡げています。

【個人紹介】
 この度、産業懇談会水曜第1グループへ入会させていただきました、鈴木です。
 出身は、愛知県名古屋市です。趣味は、家族とテーマパークへ行くことや、史跡・お城めぐりに行くことです。自分好みの日本酒を探すことも好きで、旅行へ行く際は、必ず地場の日本酒を探しています。最近の休日は、家族と買い物へ行くなど、家族と過ごす時間を大切にしています。

 皆様どうぞよろしくお願いいたします。

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写真:小山 靖仁氏
水曜第2グループ
小山 靖仁(こやま やすひと)
日本貨物鉄道株式会社
執行役員東海支社長

【日本貨物鉄道株式会社】
〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦三丁目1-1 十六銀行名古屋ビル10階
URL:JR貨物 日本貨物鉄道株式会社(jrfreight.co.jp)

 この度、東海支社長として着任しました。名古屋勤務は初めてになります。
 日本貨物鉄道株式会社(通称「JR貨物」)は鉄道による貨物輸送を行っており、環境にやさしい輸送モードを提供している会社です。(踏切が開くまでとても長い時間がかかる列車を走らせてます)
 これから、皆様とお近づきになれればと思います。よろしくお願いいたします。

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写真:竹内 大輝氏
水曜第2グループ
竹内 大輝(たけうち だいき)
Sansan株式会社
中部支店 支店長

【Sansan株式会社 中部支店】
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3-13-20 栄センタービル3F
URL:https://jp.corp-sansan.com/

【会社概要】
 Sansan株式会社は2007年に創業し、名刺管理から始まった会社です。
 名刺というアナログ情報をデジタル化してデータとして活⽤できるようにすることで、企業の課題解決を⽀援してきました。
 現在は営業DXサービス「Sansan」に限らず、インボイス管理サービス「Bill One」、契約データベース「Contract One」といった幅広い領域でサービスを展開していくことで、DXを推進し、働き⽅を変えていくことを目指しています。
 Sansanの働き⽅を変えるDXサービスが、企業とビジネスパーソンの課題解決を後押しできるよう尽力して参ります。

【自己紹介】
 私は1990年生まれ、神奈川県出身です。
 前職は株式会社リクルートにて、不動産広告の営業として主に大手ハウスメーカーを担当しておりました。
 2018年にSansan株式会社へ入社しまして、東京本社での営業を経験後、2019年9月に中部支店に転勤して参りました。
 現在は中部支店長として、東海・北陸エリアの中小企業から大手企業まで全領域のお客様を担当させていただいております。
 名古屋にきて4年が経ちますが、地元に戻りたくないくらい大好きです。
 週末はサウナにいって、のんびりしております。

どうぞよろしくお願いします。

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写真:片岡 昇氏
木曜グループ
片岡 昇(かたおか のぼる)
双日株式会社
中部地区管掌 兼 名古屋支店長

【双日株式会社】
〒460-0003 名古屋市中区錦1-10-20 アーバンネット伏見ビル2F
URL:https://www.sojitz.com/jp/

■会社紹介
 双日株式会社は、旧ニチメンと旧日商岩井が合併し2004年に発足した総合商社です。国内131社、海外312社の連結対象会社と併せ、双日グループは、自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業・アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービスの7つの本部体制で、国内外での多様な製品の製造・販売や輸出入、サービスの提供、各種事業投資などをグローバル且つ多角的に行っています。
 名古屋支店では、中部経済同友会産業懇談会の皆さまとの交流の機会を頂きながら、中部・名古屋地区でのグループ連携も強化して参ります。

■自己紹介
 今夏名古屋に着任致しました。以前より名古屋は出張で幾度も訪れてきましたが勤務は初めて。数ヵ月経過し名古屋の伝統・文化・歴史・食、等々、様々な面での良さがジワジワと自分の頭と体に浸透しつつあるのを感じます。
 趣味は主にロードバイクやトライアスロンなど“有酸素運動系”です(写真はレース参加中)。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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【11月度産業懇談会のご案内】

 11月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。
 定員は引き続き、先着40名を目安に運営します。
 何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 会合にご参加いただける際は、手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

11月7日(火)
12:00~14:00

『Create fan & fun~10年先のヴィジョンに向けての人材育成を考える』
株式会社Beスタッフィング
代表取締役 筧 惠理 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

11月15日(水)
12:00~14:00

『私・三機工業と南極昭和基地における活動報告』
三機工業株式会社中部支社
常務執行役員 支社長 波多野 宏行 氏
環境システム課 課長 門田 展明 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

11月8日(水)
12:00~14:00

『コロナをきっかけとして変化した経営者マインドと新業態』
株式会社イークリエイト
代表取締役 今津 智弘 氏

名古屋観光
ホテル
18階 伊吹の間

木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

11月9日(木)
10:30~16:00
申込受付終了

青山高原ウインドファーム視察会

  • 当日は、名古屋商工会議所からバスにて移動いたします。
  • ご参加いただく方には、後日詳細をE-mailにてご案内いたします。
  • 参加費用は、後日実費をご請求いたします。

名古屋
商工会議所
玄関

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.64

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 振出しに戻る 』

 先月末、北海道で一人しくしく泣いていた。
 夏にあんなに元気だったブドウの木たちが、病気で葉を落としてしまっていたのだ。現地管理をお願いしていた若者は、プライベート優先で、木たちの異変に気付くのが遅れ、放置してしまったようだ。今年は雨が多かったから心配していたが、一向に報告がなかったので、元気なものだと思い込んでいた。発病時にすぐ薬液散布ができていればこんなことにはならなかっただろう…ここまで頑張って育ってくれた木たちに申し訳なく、とはいえこのまま枯れさせてしまうわけにもいかず、泣く泣く今年伸びた枝葉をすべて刈り取り、植樹の時の状態に戻した。冬も近く、いずれ剪定しなければいけなかったので予定より2か月早い枝打ちだ。病気で刈った枝葉は畑に放置すると、そのまま菌が越冬するので処分しなければいけない。特大の袋を引きずりながら、刈った枝を投げ入れてゆく。なんとつらい作業…。
 刈り終わった袋を持って、畑のオーナーのところに行く。半泣き顔で
「お父さ~ん、これ焼却してください」
事情を話すと、「農業なんてそんなもんだ」という。天地自然には逆らえない。この辺りの畑はみな多雨にやられ、葉物に病気は出たし、玉ねぎも生育不良のまま小玉で収穫せざるを得ず、麦に至っては、長雨で秋の種まきすらままならなかったそうだ。
 でもね、自分が畑にいれば、もう少し被害は最小に出来たはずと後悔しきりの私に「いや、お試し植でよかったべ、これが5ha全部だったら目も当てられないっしょ」と励ましてくれた。少しずつやればいい~そう、始めに自分でそう決めたのだから、これもまた勉強。とりあえず山形の苗屋さんに行って、これからの冬越えについて相談することにした。

写真:ブドウが実っている様子
近くのワイナリーに実るブドウ
写真:ブドウの木
山形の薬液処理した葡萄の木
写真:屬氏の畑
振出しに戻ったうちの畑ww

 「ま、一年収穫が遅れる感覚で、冬越えにチャレンジしてみたら?」
山形の苗屋さんを訪ねるとそんな答えが返ってきた。果樹には秋植えがあって、そのまま越冬させる植樹の仕方があるのだそうだ。特にうちの畑のような厳しい冬を越えたことのないところでは逆に早めの冬支度をしてみたらどうかと言われた。「今年は初植樹で収穫もないから、その分木を強く育ててみては」ということだ。今年、山形は逆に雨不足で畑がひび割れ収量も落ちたとのこと。「でも暑かったから葡萄の状態はいいけどね」地域によってこんなに違うということを実感する。
 忙しい時期に時間を作ってもらったので恐縮すると、話に来てくれてありがたいという。よくよく聞くと、昨今のワイナリーブームで、にわか知識で手を出す人も多いらしく(私もだ(-_-;))、芽が出ないだの、根がつかんだの、実が成らんだの…とクレームが絶えないのだそうだ。育て方を間違えてるにもかかわらず。そういえば長野辺りでは、そんな状態に困り果て廃業する苗屋さんもあるとか言ってたっけ。いろんな意味で農業は一朝一夕にはいかない。農業を始めてみて、大地は何物にも代えがたい人類の宝だと実感している。

 10月、畑に取って返す。千歳からとっぷり暮れた雨の峠超えは、さすがに走り慣れた道とはいえ慎重になる。後ろから大型バスがつかず離れず追ってくるので、さっさと追い越しをしていけばよいのに全くその気配がない。(もしや動物避けに使われてる?)そうこうしているうちに路上でヘッドライトに照らされていくつもの光がうごめく…鹿の群れだ!!激突されると廃車になる。こんな山奥でJAFなど待っていると熊に襲われるし、で減速すると後ろのバスは車間を詰める。この分では前鹿、後ろバスでつぶれるな…そんなことを考えつつ何度も鹿の群れに遭遇しながら、キタキツネの飛び出しにヒヤヒヤしながら、畑に向かう。
 翌日、小雨の中ビニール合羽2枚重ね着で、苗を秋植え状態にしにいく。まっすぐ伸びた枝にテンションをかけ、斜めに倒しつつ土をかけてゆく。肉体的にはスクワッド数百回といったところだ。黙々作業するも、熊の目撃情報が相次ぐので無理はできない。せめて月末再び霜よけシートを掛けに戻るまでは何とか持ちこたえてほしいと祈りながら(あ、現地の管理人は解雇しました)。そんな姿を地元のお母さんが見ていてくださって、温かいお茶で労ってくださった。どちらかと言えば排他的な地域ではあるが、畑同様少しづつ地元になじんで行けたら、また来年も頑張れるかな。とりあえず温泉にゆっくり浸かって明日の英気を養おう。
 名古屋に戻り、一息ついて気が付く「あ、自分誕生日だった、還暦プラス1歳」
 畑もだけれど自分もある意味振出しに戻っての一年目だ。これから先何回やり直しがきくか分からないけど、とりあえず再び始めてみよう、来年もまた200本植樹予定だし。この一年でおぼろげながら畑の管理方法が分かってきたので、来年はこの経験を生かしてゆこう

イラスト:かに

 さて、週末からまた北海道だ。カニがおいしい季節になった!!
 雪だよりが届く前に悔いのないよう農婦すっぺ!

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コラム2 【師、曰く】 No.29

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。

『 エゴマネジメント 』

 10月1日、日本科学未来館で開催された「MED Japan 2023」に、初めて参加した。2009年に始まった、社会の一隅を照らすプレゼンイベントで、昨年から田坂先生も共催されている。災害支援、介護問題等々、9つの素晴らしいプレゼンが聴講でき、最後の締めは、田坂先生の基調講演。やはり素晴らしい講演だった。新たに21世紀アカデメイア学長となられてからの取り組みに、私まで胸が熱くなった。品川にある多摩大の社会人大学院MBAコースで、一期一会の真剣勝負で正対されていた講義と、社会に出る前の学生へのご指導は異なろうが、田坂流儀を学ぶことができる学生は幸せ者だと羨ましく思った。

 基調講演で、面白いエピソードに触れられた。ある芸人が、芸人仲間とゴルフの約束をしていた。が、当日、急に妻が産気づいてしまった。急ぎ、仲間に電話で、産気づいた妻と病院に行くと伝えた。すると、驚いた相手が思わず口にした。「そりゃお前、大変じゃないか!うぅむ、一人足りないじゃないか。」電話した当人は、呆気にとられたそうだ。200名の聴衆と共に、私も声をあげ笑った。そう、相手が「大変」と言ったのは、仲間の奥さんを気遣ってではなく、自分達のゴルフ仲間が一人欠けてしまうことだった。相手のことを考えず、あまりにエゴな自分勝手な考え。呆れて、笑ってしまうエピソードだった。

 エゴマネジメント。これは、田坂塾生が徹底的に教えられることの一つ。懇親会でのこと。田坂先生の前は、挨拶を交わしたい人の長蛇の列。多摩大MBA仲間達とビールを飲み語らい、盛り上がった勢いのまま、私も長蛇の列に加わった。数年振りに田坂先生にお会いした高揚で、言葉が溢れ出した。しばらく先生との会話が続いていたが、突然、田坂先生からの言葉。「次の人も居られるのだから」一瞬で、顔から火が出るほど恥じ入った。高揚感に飲まれ、後ろに続く方々への、全員と挨拶を交わす田坂先生への、配慮が及ばなかった。田坂先生と話したい無邪気に高揚した自分のエゴで、周りが見えなくなっていた。エゴマネジメントが出来ていない。田坂塾生として恥ずべき行為。芸人エピソードで自戒すべきは、私自身だった。

 師、曰く『エゴは消えることは無い。エゴを消そうとするのではなく、それを否定も肯定もせず、ただ静かに見つめなさい。その賢明なるもう一人の自分を育てなさい。やがてエゴは鎮まってゆく。』エゴの叫びを鎮めることこそ、田坂塾生に求められることである。エゴが出てくるのは、決して挫折や失敗のときだけではない。成功の有頂天や絶好調、歓喜の興奮のときにも、それは顔を出す。周りが見えなくなってしまう。武道の世界では、勝っても負けても静かに礼を尽くす、残心。相手の姿が、周りが見えている。11日、将棋の王座戦にて、史上最年少で八冠を達成した藤井聡太氏もまた、歴史的な逆転勝利にも静かに落ち着いた態度で、相手への敬意を忘れなかった。“賢明なるもう一人の自分”が、いつも自分と周りを見ているのだ。猛省の気づき。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:紅葉と赤い橋
 (祝!八冠 瀬戸の岩屋堂)

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コラム3 【げんき通信】 No.2

学校法人佑愛学園
愛知医療学院短期大学
リハビリテーション学科理学療法学専攻
准教授 松村 仁実

『 四十肩、五十肩の予防 』

 「四十肩」、「五十肩」は、40~50歳前後に特に思い当たる節がなく起こる「肩関節の痛みと可動域制限」を主な症状とする肩関節疾患の総称です。原因は諸説ありますが、関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して、肩関節の周囲の組織に炎症が起きると考えられています。

 肩痛から始まり、徐々に運動時の痛みが強くなります。夜間に痛みが生じることがありますが、およそ6ヶ月で治まります。動かす際の痛みは持続するため日常生活では「頭が洗えない」、「着替えにくい」などの制限が生じます。また、痛みの出ない範囲しか動かさないため、肩の動きが悪くなります。
 発症から1年以上すると痛みが軽減し、2年くらいで日常生活に困らない程度にまで回復します。

 肩関節は非常に動かしやすい構造ゆえ、逆に負担がかかるような動かし方でも動かせてしまいます。日頃から「使いすぎない」、「重たいものを繰り返し持たない」「無理な動かし方をしない」、「肩を冷やさない」といった注意が必要です。
 予防として、肩を動かす際に肩甲骨の動きも意識するといいでしょう。肩甲骨を一緒に動かすことで、肩への負担を少なくできます。
 肩甲骨の動きを意識するための運動として、左右の手をそれぞれの肩に置いた状態で以下の1. ~3. を行ってみましょう。(目安はそれぞれ5~10回ほど)

  1. 肘を上げ下げし、肩甲骨を上下に動かす。
  2. 肘を体の前でくっつけたり、肘を後に引き、肩甲骨を寄せたり離したりします。
  3. 肘で大きな円を描き(前・後回し)、肩甲骨を一緒に動かす。
    ※ポイントは、肩甲骨の動きを意識して、<軽く>、<ゆっくり>、<徐々に大きく>動かします。

 五十肩になった場合には、どの時期か見極めが大切です。初期は痛みのない範囲で動かすにとどめます。夜間痛がある場合は、楽な肩の位置を探します。(肩の下に枕などを置くと楽になる場合もあります。)痛みが軽減してからは、痛みのない範囲で運動を行いましょう。痛みが強い場合は、医療機関の受診をしましょう。

イラスト:肩に痛みを感じている女性

-学校法人佑愛学園は2024(令和6)年4月、愛知医療学院大学を開学いたします。-

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