【5年5月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 十勝農業の現状と和牛肉について 』

  • 日  時:令和5年5月9日(火) 12時30分~14時30分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
  • 参加者:34名
キャリオ技研株式会社 代表取締役 富田茂氏のご紹介
スピーカー:
由佐 哲朗(ゆさ てつろう)
十勝農業協同組合連合会 畜産事業部
湧洞牧場 場長
写真:由佐 哲朗氏

十勝の畜産農家の抱える課題

 畜産農家にとって、エゾシカは害獣である。苦労して育てた牧草を美味しい時期に食べてしまい、牛の成長の邪魔をする。八方手を尽くして駆除しても繁殖力が高く、増えていく。エゾシカの被害は十勝管内で6億円、そのうち牧草の被害は1億円を超え、最も大きい。

湧洞牧場の事業について

 十勝農業協同組合連合会(以下、十勝農協連)は、農畜産の生産指導による農業振興を行っており、常日頃農家の皆さんが如何に利益を出すかを考え実行している。管内の19市町村の23農協を会員とし、十勝が一体となったネットワーク化により、事業の強化を進めている。湧洞牧場は十勝農協連の畜産事業部に所属し、北海道の南東部で1,400haの土地を活用し、酪農家の育成牛(雌子牛)を預かり、乳のでる状態(妊娠)にして、酪農家にお返しする「乳用牛預託育成事業」を行っている。預託期間は概ね9~15カ月で預託料金は季節によって異なる。夏期は270円/日、冬期は600円/日であり、利益は追っていない。

十勝の農畜産の現状

 十勝管内の農畜産物の取扱高は3,735億円で、十勝管内だけで全国第4位の千葉県と同等の売上規模だ。参考に愛知県は第8位である。十勝には農業しかないと言っても過言ではない。取扱高の60%が酪農・畜産でその半分以上が生乳という構成で、農畜産物全体の取扱高は年々増加している。農家の経営規模は離農する農家が増え、2012年から800戸ほど減少し、4,945戸になったが、経営面積や飼養頭数は増加し、メガファーム、ギガファームが増えている。1,000戸程の酪農家が年間で平均1戸当たり1,300トンの生乳を生産している。1戸が飼育する牛は平均133頭なので、乳牛1頭当たり年間約1万キロが搾乳されている。十勝の酪農家1戸当たりの出荷乳量や経産牛1頭当たりの乳量は年々増加しており、自動化やロボット化が寄与している。また、付加価値の高い放牧酪農牛乳を生産している農家もいる。

牛の飼育とは

 牛のライフサイクルは出生から14~15カ月間で人工授精を行い、人間と同じ280日の妊娠期間を経て分娩となる。この分娩期間を挟んで300日間が搾乳期間である。人工授精は、専門業者で種牛から採精することで始まる。雄の牛は、多く搾乳できる子牛が生まれる遺伝子を持つエリートでなければならない。そうでない雄牛は種牛にはなれず、去勢され、肉牛となる。種牛から採取された精液は採精後直ちに希釈され、ストローにて液体窒素で凍結保管される。1回の採精で100~200本のストローが作られる。これを用いて人工授精師(国家資格)が雌牛へ授精を行っている。最近では、フローサイトメトリーという装置を用いて、雌になる精子を分離する性判別精液が使われており、これにより、90%が雌牛となり、後継乳牛の計画的な生産に役立っている。ただし、ストローの値段が高い、受胎率が低下するなどのデメリットもあるが、性判別精液の利用は増加している。

搾乳牛(経産牛)と酪農家の仕事

 年間1万キロの生乳が搾乳できる雌牛は、体重が約650キロあり、1日に60キロの餌と100リットルの水を摂取し、52キロの糞と15リットルの尿を排出する。牛から排出される糞尿が課題で、解決のためにバイオガスプラントにより売電する酪農家も増えている。酪農家の1日は2回の搾乳だけでなく、エサの給与や子牛への哺乳等の仕事もしなければならない。1年を通じては、春に畑を耕し、肥料や糞尿を散布し、牧草地を耕し、飼料用のトウモロコシ(デントコーン)の種付けをする。夏には放牧と共に、牧草を収穫し、乾草または栄養価の高いサイレージ(牧草の漬物)化し、冬に備える。秋には、デントコーンを収穫しサイレージ化し、冬に備える。冬はマイナス20℃の中、牛が風邪などをひかないように注意しながら育てる。春から秋に収穫した粗飼料以外に栄養価の高い配合飼料も与えている。配合飼料原料はほとんどが輸入であり、1キロ30円だったものが100円まで値上がりし、酪農家の経営を圧迫している。

牛乳と十勝農協連の関り

 飲み物としての牛乳は生乳を殺菌処理したのもので、牛乳から加工乳や様々な乳製品が作られる。生乳は各農家が所有する冷蔵タンク(バルククーラー)に貯蔵され、大型のミルクタンクローリーが毎日集荷し、乳業工場のストレージタンクに集められる。バルククーラーからサンプリングし、品質検査するのも十勝農協連の仕事である。

牛肉の値段と十勝和牛

 十勝和牛は地域団体商標登録されており、レストランやホテル、ギフト等いろいろな場所で販売されている。牛肉の流通は、消費者側から見ると屠場から買参人が大きな枝肉を購入し、加工業者を経て消費者の口に入る。生産者側から見ると、繁殖農家で生まれ約300キロになった子牛を子牛市場で1頭70万円程度で肥育農家に販売する。肥育農家では20カ月程度で約850キロの肥育牛になる。肥育期間にエサ代が総計で45万円程度かかる。850キロの牛を枝肉にすると約520キロになり、肥育農家は110万円以上で枝肉を売らないと採算が合わない。枝肉から精肉業者で骨や無駄な脂肪を落とすと7割程度の364キロ位になる。これが小売業者に渡り更に加工されると、280キロ程度にしかならない。和牛肉が高くなる理由を是非ご理解いただきたい。このように十勝の1次産業は生産から販売まで、安全安心で高品質な農畜産物の安定供給に努めている事を知っていただくとともに、是非十勝という素晴らしい土地を訪れていただければと思っている。

目次へ

【5年5月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 ビジネスと子どもの人権・企業と子どもの課題の接点~名古屋キワニスの活動を交えて~ 』

  • 日  時:令和5年5月10日(水) 12時30分~14時30分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
  • 参加者:29名
認定NPO法人ささえあい 理事 片桐清志氏のご紹介
スピーカー:
池田 桂子(いけだ けいこ)
池田総合法律事務所・池田特許事務所 弁護士・弁理士
名古屋キワニスクラブ 会長
写真:池田 桂子氏

経歴と現在の職務

 1983年に弁護士登録。2017年女性初の愛知県弁護士会の会長となり、併せて、日本弁護士連合会の副会長に就任して最高裁や国政関係の仕事などいろいろな経験をさせていただいた。また、本年は名古屋キワニスクラブの会長、加えて、少し前から愛知県および名古屋の家事調停協会の会長を務めている。他にも企業の社外取締役等に就任している。

名古屋キワニスの活動について

 皆さんにキワニスの活動を知っていただきたい。キワニスクラブはロータリークラブ、ライオンズクラブと並ぶ日本3大社会奉仕団体の一角である。名古屋キワニスクラブは、国際キワニスの加盟クラブとして、1966年に発足し、「幼い子ども達のための活動」という点で他の社会奉仕団体と異なる色合いを持ち、地域に根差した活動を展開している。キワニスクラブは1915年に米国ミシガン州デトロイト市に設立された民間の奉仕団体で、名称はデトロイト市周辺の先住民の言葉「Nun-Kee-wan-is(みんな一緒に集まる)」に由来している。「ものより心を重んじる」をはじめとする6つの目的を持ち、「世界の子ども達に奉仕をする」「子ども達を第一に」をスローガンに、85ヶ国7,400のクラブに所属する約20万人の会員が活動している。日本では1964年1月にアジア太平洋地区に初の東京キワニスクラブが設立され、現在全国41クラブで約2,000名のメンバーが活動している。東京の次に名古屋キワニスクラブが設立され、チャーターメンバーには故豊田章一朗氏をはじめ錚々たるメンバーが名を連ねる。女性会員15名を含む131名が在籍し、毎週金曜に例会が開催されている。2004年にはアジア太平洋地区大会(ISPAC)が名古屋で開催され、愛知万博のPRにもつながり、大きく活動を広げた。
 名古屋キワニスの主な活動を紹介したい。1つ目は1968年より開始した社会公益賞である。社会で長年献身的なご活動をされている方々に贈呈されるもので、当クラブ最大の社会奉仕事業と位置付けられている。2022年度は2つの団体に贈呈した。2つ目は1975年に創設されたキワニス文庫で、地域の福祉施設や病院に図書を提供している。寄贈した図書が児童に読んでもらえるよう、本棚の有無や児童の希望に沿っているか、リサーチのうえ寄贈される地道な活動である。昨年は3団体に寄贈している。3つ目はキワニスドールの製作と寄贈である。身長40センチ、重さ50グラム程度の白い人形で、子ども達の入院生活等の癒しや医師とのコミュニケーションのツールとして活用されている。会員と会員の家族の手作りの人形である。その他にも、名古屋市教育委員会主催の講演会への協賛、名古屋キワニスクラブ奨学金制度、キワニスの森のキッズインタープリター(子どもの森の案内人)養成事業への支援などを行っている。また、名古屋市と名古屋市立大学と共催で「ようこそ大学へ」プロジェクトのプログラムの一つ、「キワニスルーム」を開催し、児童養護施設の子ども達に対して、仕事のイメージを持ってもらう体験の場を設営している。
 その他、最近では、コロナ禍で経済的な打撃を受けている大学生への奨学金提供や養護施設への食糧支援を行なった。毎週の金曜日に開催される例会では、多種多様な講演を通じて研鑽を図っている。

子ども達の現状

 人口に占める15歳未満の割合は、日本が11.5%で、経済成長の著しいインドは25.3%である。子どもが育っていく国は元気だ。日本は毎年出生率が低下する深刻な状況である。にも拘わらず、自殺や虐待による死者数や児童虐待の相談件数、いじめや不登校、ヤングケアラーの数は多い。高校進学率は83.5%と高いが住民税非課税世帯では47.6%と半数以下である。児童虐待の相談件数の中でも、子どもの前で家族が暴力をふるう面前DVの相談件数は全体の6割を占めており、深刻に受けとめなければならない。こうした背景には経済以外の部分を含めた社会の分断と経済的な貧困がある。
 法律的な面では、積極的な社会参加を目的に2016年から選挙権が2020年より成人年齢が18歳に引き下げられた。本年度の子ども家庭庁の発足とともに、異次元の子ども関連予算の捻出が掲げられたが、脱・縦割り、幼保一元化、財源が依然として課題として残っている。世界に目を向けると18歳未満の子どもは世界人口の約3分の1(22億人)で、このうち1億人が初等教育を受ける状況になく、2億人が児童労働に従事し、5千万人は出生登録をされていない。問題は深刻である。18歳未満の子どもは「子ども権利条約」においては、権利の主体と位置付けられ、条約において、「子どもの最善の利益」がキーワードとなっている。また、子どもの権利として「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」が挙げられ、その他の国際条約等にも子どもの権利が記載されている。子どもの人権への関心について、内閣府の調査では34%しかなく、企業活力研究所の調査では、重要と認識しているが対応していない企業が17%近くになっている。認識をしていない企業も多いのでは、と懸念している。

ビジネスと人権~子どもの人権を中心にして~

 子どもの権利がクローズアップされてきた経緯は、1991年のダボス会議で国連のアナン事務総長が人権保護などを含む4分野での取り組みを提唱したことに始まる。1997年のスポーツ用品メーカーの調達先での強制労働発覚により意識が高まり、2011年以降国連とユニセフがそれぞれ子どもに関する原則を打ち出した。日本では2016年に子供服メーカーの子会社がミャンマーで重大な児童労働をさせていることが公表され、大きな波紋を呼んだ。
 企業が子どもの権利とビジネスに取り組むにあたり、ユニセフの子どもの権利とビジネスの原則「全ての企業が取り組むべきこと」にヒントが記載されているので是非読んで欲しい。この中で子供の権利を尊重するための行動は「企業が子どもの権利を侵害しない」「子どもの権利を積極的に推進する」という2つの考え方と「職場」「市場」「地域社会・環境」という3つの子どもとの接点を提示している。
 政府にも積極的に推進する動きがあり、2013年に公布された子どもの貧困対策推進法以来、虐待防止法などの法整備が進んでいる。社会の動きも加速しており、政府としても外務省、法務省、経済産業省が連携して取り組んでいる。SDGsの取組みに子どもの視点で企業がやるべき旨が記載されている。経団連においても、企業行動憲章とともに、Society5.0の中でもこれに触れている。
 各企業においては、改めて人権デューデリジェンス(人権への「負の影響」)への配慮を検討し、ステークホルダーとの対話を続けてほしい。また、経済産業省も企業に人権尊重を促す取り組みをしており、事業分野、製品、地域、企業固有のリスクの4つの視点から人権侵害の有無を点検するよう、企業に要求している。これらを背景に日本航空やLIXILなどいくつかの企業が参考になる取組みを実施しているので参考にして欲しい。日弁連等弁護士会としては、少年法に関する取組をはじめ子どものための多くの取組みを実施しており、「人権デューデリジェンスのためのガイダンス」を発表している。

まとめ~次世代のへの支援は未来への投資~

 子ども達のための活動は、私たちの地球・社会など未来への投資である。このような視点で、企業価値やブランドの向上などグローバルな競争力に繋がるよう企業は仕掛けていかなければならない。これが将来の顧客やステークホルダーに繋がっていくことを心に留めてほしい。

目次へ

【5年5月度 産業懇談会(木曜G)模様】

テーマ: 『 企業経営に資するファシリティマネジメント 』

  • 日  時:令和5年5月11日(木) 12時30分~14時30分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 桂の間
  • 参加者:31名
スピーカー:
木下 学(きした まなぶ)
株式会社NTTファシリティーズ 西日本事業本部 東海支店
東海支店長
写真:木下 学氏

会社の概要と自己紹介

 株式会社NTTファシリティーズは1992年12月に設立された会社で、従業員数は約2,500名である。東海支店は熱田区にあり、従業員は約250名、静岡県と三重県に出張所を持つ。当社の主な事業内容はNTTグループが所有する建物の一元管理であり、施設全般に関わるコンサルティング、企画、設計や維持管理を行っている。また、日本で2番目規模の設計事務所として多くの施設設計に携わっている。
 私は1992年に当時の日本電信電話株式会社建築部に入社し、19年ほど通信機械室やデータセンターの空調方式の研究に携わり、その間に工学博士の学位も取得した。主な研究テーマは通信機械室やデータセンターの空調設備の構築であり、2006年に日本建築学会賞技術賞を受賞した。その後セールスエンジニアを経て、多様な職場を経験し、現職に至っている。

災害対応の実績とBCPの重要性

 東日本大震災は観測史上最大の規模の地震で、死者2万人に及ぶ被害をもたらした。また長周期地震動や津波により、通信建物の被害も広範囲となった。インフラは電気、水道、ガスがダメージを受け、広域停電により1400の通信ビルが停電し、余震の影響もあり、復旧作業は4月下旬まで継続した。NTTファシリティーズとして、通信を守る使命があるという意識のもと、関係会社や取引先と復旧にあたった。災害復旧への取り組みとしては、本社が発生の4分後に、東北支部が同日の16時までに災害対策本部を立上げ、本社と東北支部が情報共有を図りながら、復興に尽力した。電力や建物ともに緊急点検を実施し、安全を確保しながら復旧作業を進め、例えばNTT関係の岩手三陸、大船渡、七ヶ浜のそれぞれのビルでは、被災状況に応じた復旧作業が実行された。東日本大震災から、低リスクな高台への建物の移転、データバックアップ体制の整備、電力不足補完のための太陽光、蓄電設備の整備が必要であることを学ぶとともに、BCP対策として取り組むべきこととして、ファシリティマネジメント、データセンターをどう持つか、全体での街づくりの必要性が明確になった。

企業経営に資するファシリティマネジメント

<ファシリティマネジメント(以下FMと記載)>
 FMとは、企業が保有または使用する全施設資産およびそれらの利用環境を経営戦略的視点から総合的かつ統括的に企画・管理・活用する経営活動である。これを実行することで、施設にかかるコストやリスクを最小にしながらも、収益性や生産性を向上させ、パフォーマンスの最大化を図ることができる。多数の建物を所有することでランニングコストが増大するため、FMの考えが重要になる。建物はビジネス継続を阻害する多くのリスクに囲まれており、どうマネジメントをするかが大切である。これらのリスクには、情報の把握や対策提案の目利きが難しいため、対策の実行が進まないことが課題となっている。建物リスクとしてどのような情報を集め、どう評価するかは、劣化度、EOL、経過年数とそれぞれの影響度により評価し、どの項目から整理するかを検討することが重要である。それぞれの評価のポイントについて説明したい。劣化度は評価者ごとに目線がぶれないようにすることが肝要である。EOLはメーカーの部品やサービス等の供給期限などから判断する。経過年数は、経験値や法令に準拠した評価をするとよい。影響度は各項目に対して、人身、人命、業務運営の影響度により評価する。建物を多く所有する企業ほど建物リスク対策に着手する優先順位が難題となる。劣化度の評価だけでは、着手順が確定しない場合、劣化発見後経年、影響度などとの組み合わせにより、対策の着手順を決定する。また、建物整備計画策定には改修工法選定のフロー化と工事費の単金化により、各年度の対策費用額を検討する必要がある。FMをしっかりと進めるためには、整備計画を立て、対策を実施し、データベースを更新するというマネジメントサイクルを回すことが肝要である。FMはランニングコストの抑制だけでなく、安心・安全・快適に過ごすために重要である。
<データセンター>
 私たちがスマートフォン等を操作した時にも必ずデータセンターを経由し、サービスを受けている。データセンターは世界中に存在している。Googleが千葉県印西市に建設したデータセンターに対し、当社はプロジェクトマネジメントとして貢献している。AmazonやGoogle等のサービス提供者は、NTT等のデータセンター事業者や各種ベンダーのデータセンターを利用しており、当社はデータセンターの設計や保守を行っている。クラウドサービスやIoT等の運用もデータセンターが支えており、社会を支える重要なインフラである。1990年以降インターネットの普及により、データセンターは増加している。2026年に日本のデータセンター市場は3.2兆円の規模になると予想されており、クラウドサービスが成長の鍵となる。国内のデータセンターの80%は接続ポイントが集中する東京・大阪圏に集中している。東海4県には30のセンターがあり、名古屋周辺に集中している。政府の補助金事業により東海エリアのデータセンター事業が活発になるという期待もあるが、接続ポイントの増設、南海トラフ地震への不安の払拭などの課題も残っている。近年、地震や豪雨などの災害が多発しており、データ保管の重要性が増加している。データを自社で持つかクラウドで持つか、コストや障害対応の様々な面で検討が必要であるが、最近は2つをハイブリッドで利用する事も選択肢となっている。ハイブリッドの場合、システムの構成が複雑化するデメリットもあるため、検討はプロに任せる必要がある。ファシリティの構築も同様である。当社は2022年から2024年までに日本で開設予定のデータセンター36か所のうち、23か所に関与しており、通信事業のノウハウを活かす事ができる。当社のサービスには最適な停電対策、給電訓練等に特徴がある。
<街づくり>
 当社は陸前高田市において、災害に強く利用者が親しみ易い庁舎を建設し、市の掲げる新たな街づくりの拠点を目指している。これ以外にも、名古屋市東桜エリアのまちづくり推進におけるアーバンネット名古屋ネクスタビルでは、都市の再生とバリュー向上を進めており、災害時にも安心して滞在できる工夫がされている。被災時を想定し、先の名古屋や東京の大手町で体験型のワークショップも実施している。

最後に

 企業経営に資するファシリティマネジメントは事業を継続していくうえで、重要な取り組みである。FM、データセンター、街づくりなどBCP対策に関する困りごとがあれば、是非NTTファシリティーズにご相談いただきたい。

目次へ

【5年5月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ: 『 創業66年 3代目経営者が吠える。~ただ運ぶだけではない。1.3億→12.5億へ。V字回復の実践とは~ 』

  • 日  時:令和5年5月17日(水) 12時30分~14時30分
  • 場  所:名古屋観光ホテル 曙東の間
  • 参加者:25名
スピーカー:
橋本 憲佳(はしもと のりよし)
ミライノ株式会社
代表取締役社長
写真:橋本 憲佳氏

自己紹介と会社の概要

 清須生まれの42歳、名城大学を卒業し、名古屋にある上場企業の運送会社に内定をいただいたが、運送会社の息子である事が発覚し、内定が取り消しとなった。結果、名古屋の製薬会社に就職し、東京で病院周りの営業等を経験した。その後、スノーボードで身体を鍛えるために渡米。プロ資格取得を目指しながら、国内で多数の大会に出場。スキー場でインストラクターを経験した。帰国後の2006年ミライノの前身である三和梱包運輸にトラックドライバーとして就職した。2018年以降は愛知淑徳大学や愛知みずほ大学でインターンの講師をしている。物流経営士などいくつかの資格も取得している。社名変更前の三和梱包運輸株式会社の創業は佐川急便と同じ昭和32年、創業66年で私は3代目である。事業所は清須市に3つ、北名古屋市に2つの物流センターがあり、埼玉県戸田市に営業所兼倉庫がある。年商は12.5億円で、M&Aをした輸送会社と合わせると14億円になる。従業員はグループ全体で正社員を含む60名、トラックは47台保有している。事業内容は貨物事業だけでなく、倉庫・荷扱いや産業廃棄物の収集運搬輸送など幅広く行っており、ドライバーが付加価値を付けられるような物流に付随する業務全般を請け負っている。中部経済同友会の他にも経済団体や業界団体にも加盟している。
 2022年4月の代表就任と同時に「ミライノ株式会社」に社名変更した。ミライノの社名の由来は、未来(ミライ)+Innovation(イノベーション)であり、既成概念にとらわれない未来を革新・創造していきたいと願い、名付けた。社名は商標登録もしている。ミッションは「MIRAI INNOVATION LOGISTICS」で、物流を通じて未来の価値を創造し社会に貢献していきたいという意味が込められている。ミッションを全社員に浸透させるべくトラックの運転席側にデザインした。ビジョンは「物流が社会の血液。我々が優れたサービスを提供して、人々の暮らしの向上と地域経済の反映を目指す。社会と共に成長できる企業づくりを目指す。」である。社員と一緒に、ビジョンに向けて地域貢献企業から社会貢献企業を目指せるようにという意味を込めた。スローガンは「All-Participation type Management 全員参加型経営 最高の仲間と最高の未来を創る」という事でトラックの助手席側にデザインされている。全員経営者の意識を持って取り組んで欲しいという思いである。行動指針は社内に掲示されており、「未来は今の延長線」「挑戦変革がカッコイイ」などの6つが掲げられている。

運送業界の現実

 トラック運送業界は全国に約63,000社があり、99.9%が中小企業である。また、トラック業務従事者の7割が40歳を超えている。29歳以下の人は業界に1割で高齢化が進んでいる。半数の会社のトラック保有台数は10台以下であり、80%が20台以下である。1990年以降、毎年運送会社は増加しているが、全体の6割が赤字経営で地方によっては8割にもなる。仕事はあるので採用ができれば、会社は成長するが、仕事は大手運送会社頼みの下請けが現状である。私が2006年に入社した時、前職との処遇のギャップに驚嘆した。

会社の変革が始まった

 リーマンショックの時に運ぶ荷物がなく、毎月赤字が続いた。苦しい状況から脱却するため、どうせやるなら会社を変えよう、と奮起した。そこで2008年に社員のやりがいを上げようとドライバー全員に名刺と名刺入れを渡し、セールスドライバーコンテストを実施した。自分一人ではなく社員に任せれば、成果を上げる事が社員のやりがいとなり、業績が向上すると考えたからである。その結果、見積りや業務の依頼が殺到し、下請けから脱却する機会になった。疲弊していたドライバーも自分の仕事は自分で取るという意識になり、大手企業との取引もできるようになった。更に厳しい経営状況から脱却するため、2009年に差別化戦略を始めた。産業廃棄物収集運搬免許を取得するとともに、大手企業が断るような赤字の案件や営業時間外の仕事にも積極的に対応した。その成果として閑散期でも安定して仕事がもらえるようになり、2009年に赤字から脱却できた。ドライバーと一緒に経営を考えることが、会社の成長につながったのだ。

経営改革への取り組み

 全員参加型経営のレクリエーションも実施しており、近所の子供たちを招待できるようになりたいと思っている。2011年に業務の拡大に伴い仕事がハードになり、半数の社員が退社した。業務が忙しくなるとコミュニケーション不足が生じるため、このようなイベントを実施しようと思った。バーベキュー大会には多くの社員と家族が集まるようになった。このようなイベントには、責任者を任命しており、成功が責任者の士気を高め、社内の一体感の醸成ができる。売上20億円を目標として、毎年昇給する仕組みを作っていくために、組織面でも2013年に部門ごとの責任者を配置した。責任者は自分自身をブランド化し、売り込み、部門ごとの決算が見え、結果が分かる。一人ひとりが経営者となる事で社員が楽しんで働き、満足度を上げることで顧客満足度が向上し、会社も成長するのである。2016年に経営革新の一環として国道22号線に新社屋を完成させた。12年の返済計画を立て、将来の投資還元を社員とその家族にコミットしている。東日本大震災以降の多様な災害に対する物流業者の使命として救援物資の受け入れと輸送も、社員が率先して行い、被災地の人から感謝され、社員は物流が人のためになっている事を実感している。東日本大震災で被災した子供たちがなりたい職業の2位はトラックドライバーである事が我々の誇りである。その他にもインターンシップの受け入れを通じて、新卒者の採用をしている。物流の2024年問題に対し、女性や高齢者、新卒者でも働ける組織作りを行っている。名古屋市と連携し、おしごと体験への出展もし、地域貢献企業としての地位を確立し、認知度の向上を図っている。地域貢献企業から社会貢献企業への変革に向けて、2019年に清須市と災害協定を結ぶ事が出来た。また、万一の事態に備え、ドライバーが迅速に救命できるようトラックにAEDを搭載したことは東海エリア初である。2021年に物流会社とのM&Aを実施し、若手社員を社長にした。これにより、M&A先の会社の後継者問題と若手社員の経営者としての育成を図る事が出来た。

最後に

 3つのメッセージを伝えたい。第1に対等な労使関係を構築し、社員と一緒に働きがいのある職場を作る事は、会社を維持、継続、発展させる上で重要である。第2は社員に会社の存在意義を明確に伝える事である。社員と家族と一緒に夢を達成する事ができれば、会社はもっと成長する事ができる。第3に全員参加型経営を通じて、社員のやりがいと経営者意識を向上させる事である。これにより、大きなトラブルがあっても会社は維持・継続・発展する事ができる。本日お話したことが1つでも皆さんのお役に立てれば大変うれしい。

目次へ

【名古屋いちばん物語】 No.128

テーマ: 『 「住吉の語り部になりたい」シリーズ第105回 』

料亭つたも 会長・深田正雄

歴史と今が共存するまちー久屋大通界隈

パンフレット1
画像拡大

 名古屋の中心・栄を南北に貫く久屋大通には、多様な歴史や物語が残っています。
 戦国時代は藤野という山と森に囲まれた台地、清須越しで碁盤割の東側に豊富な水源(紅葉川・小袖川)を活用し、平地として開発された尾張徳川のニュータウン、豊かな商人たちと中級武士が共存した街です。
 多くの商人、文人が住んでいた「江戸時代」の歴史、官庁街となった「明治・大正」、名古屋テレビ塔が誕生した「終戦後」の歴史、そして、現在の「久屋大通の再開発」という切り口から今年3月17日中部経済同友会文化の街づくり委員会主催の「ステキ・小粋・まち歩き」のガイドをつとめさせていただきました。
 事務局作成のパンフレットを活用しながらご一緒にツアーをお楽しみください。

写真:ツアーの参加者
(写真はミライタワーでの参加者一行)
藩祖徳川義直の家来・御普請奉行松井武兵衛:

 武兵衛は家康の命により清須越しを所轄、豊臣恩顧の大名の資金と労役を駆使して、バラバラであった清州の町衆を町名もそのまま中央部の碁盤割に移転、寺社仏閣は宗派にわけて南寺町、東寺町を形成、万が一の外部からの攻撃に備えて松平の頃からの家老の菩提寺を碁盤割南に移設しております。そして、大木戸と各所木戸による城郭形成と町の自治を庶民に委託して世界に類ない見事な都市移転開発をしております。また、豊富な木曽の伏流水から紫川、小袖川の流れと各ブロックに20~30本掘削した井戸を生活用水とし、ゴミゼロ社会、そして、糞尿を汲み取って近隣の田畑に下肥として活用、素晴らしい環境循環社会はSDGs社会を目指す現代人が見習うポイントが多くあります。そして、武兵衛は碁盤割の東側に住み、通りは武平町と呼ばれるようになりました。

明治の街づくり・吉田禄在の功績:
パンフレット2

 禄在は明治16年初代名古屋区長として東海道線ルートを起案し名古屋誘致させ、そして、広小路を長者町筋から西に拡幅、笹島の名古屋駅まで整備し街の開発に寄与しています。その後、中央線の千種駅開設に伴い、広小路を東に延長、さらには碁盤割の東南の武家住居跡地に公官庁、警察、学校などを集約して栄町とするなど、武兵衛と並ぶ名古屋街づくりの功労者といえます。また、現在の中区役所西に位置した禄在宅は、南に5mほど低くなり高低差を活かした野趣にあふれる庭園から、山田才吉が開発した東陽町通りをへて堀留となり、精進川の源流となっていました。この精進川を改修して現在の新堀川建設、そして、浚渫土を活用して鶴舞公園埋め立てに貢献しています。

田淵寿郎・戦後の都市計画と区画整理:

 名古屋市を大文化産業都市に再構築するという大陸的な俯瞰と強い信念のもと、ひたすら道路を造り続ける。田淵の計画は幅員の広い道路を何本も東西南北に通し、市内各所に有った279の墓所をまとめて一カ所に集中させるというもので、当時の交通事情(車が主要な交通手段ではなかった)を考えると非常に大胆なものでした。

パンフレット3

 現在、名古屋名物ともなっている100m道路は、田淵の都市計画構想の代名詞ですが当初は猛烈な反対に遭いました。さらに政府、寺社からも100m道路予定地の上にあった名古屋刑務所、墓所の移転に対して大変な抵抗があったがねばり強く交渉を続け、また市民から「大ぶろしき」と揶揄されながらも鉄の信念を貫き通した結果、ついにこれを実現。全市の20%を超える土地を道路・公園用地にするという大改造を行いました。これらは後年、日本の大都市で最もモータリゼーションに適した交通インフラの礎となりました。

 私は名古屋都市づくりの三恩人として、武兵衛、禄在、そして、空襲で焼け野原となった名古屋の復興計画を実行した田淵寿郎の3氏を挙げており、私たちの街づくりの原点として久屋大通周辺に3人の思いが集約されているように感じています。

 まち歩きツアーは外堀通りから、南下しながらご案内、江戸時代の豊かな商人たちが芭蕉のスポンサー、識字率が高く庶民が文化を嗜むきっかけが「俳句」といえましょう。句碑は(株)三晃社の創立25周年を記念して創業者の松波金彌氏が昭和44年に寄贈、その後移設されました。若き貴公子 藤原師長と井戸田の土豪の娘「かい」との琵琶にまつわるラブストーリーにも涙を誘いました。

パンフレット4:久屋小学校跡、瑠璃光寺跡、蕉風発祥の地、小袖塚の解説

 鍛治屋町の武家牧墨僊宅(今のラシック)に北斎が逗留して西本願寺で「だるま絵」イベント、そして、芭蕉とともに出版印刷を活用してデビューしたお話、お武家さんもゆとりあった江戸の頃を回顧いただきました。
 豊かな小袖川の流れと高低差のある土地には豪邸が多く、月見を楽しみ茶会を催し、美味しいお酒や芸人で経済界の交流も盛んでした。成田山萬福院を中心に名鉄の神野金之助、タキヒヨーの瀧兵右衛門、名商の上遠野富之助、米商会所の吉田禄在、トヨタの豊田佐吉、治水の黒川治愿などの邸宅も明治大正の地図に記載されています。

パンフレット5:「北斎漫画」誕生地、南久屋小学校跡、久屋大通庭園「フラリエ」の解説

 そして、現在、中部電力MIRAI TOWERを中心にレイヤードヒサヤオオドオリパークがオープンしお洒落な街なみに変革、錦通り以南の公園開発のユニークなプラン、7月開業のホテルTIAD、来年オープンの中日ビル、26年夏オープン予定の錦三丁目二五番街区ビル(栄広場)、回遊性の豊かな新オリエンタルビルなど、久屋大通を中心軸に活力ある名古屋が楽しみになってきました。

目次へ

【新会員自己紹介】

写真:中村 琴姫氏
火曜グループ
中村 琴姫(なかむら ことひ)
株式会社GUTS PLUS 代表取締役
心理相談室こころの保健室 メンタルケア心理士

【株式会社GUTS PLUS】
〒464-0802 名古屋市千種区星が丘元町15-21第二ことひらビル4F
URL:https://www.kokoro-psychology.com/

【自己紹介】
 この度、深田会長様の推薦をいただき、火曜グループに参加させていただくことになりました。このご縁を大切に、皆様と交流しながら多くの学びを得たいと思っております。ご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。

【資格】

  • メンタルケア学術学会認定メンタルケア心理士
  • 日本産婦人科医会 母と子のメンタルケア研修心理士
  • 精神分析的心理療法、認知行動療法、スキーマ療法心理療法士
  • 2000セッション以上のカウンセリング・セラピー実績

【心理職経歴】

  • 精神科・心療内科、心理相談所にて心理カウンセリング・セラピー
  • 子どもの科学教室にて心理カウンセリング・コンサルテーション
  • 児童発達支援施設にて幼児指導員
  • 企業メンタルケアサポート・心理学セミナー
  • 小中学校にて発達心理学セミナーなど

【やってみたいこと】
 健康のためにも、ゴルフを始めたいと思っています!

心理相談室 こころの保健室 紹介
 アメリカでは心が疲れたり、ストレスや不安があるときは心理カウンセリングを受けることが当たり前となっていますが、日本では「怠けている、甘えている、根性が足りない」といった根性論が根深いため、諸外国と比べて精神面におけるケアが非常に遅れています。しかし精神疾患は脳の病気で、重症な場合は社会復帰が非常に難しく、最悪の場合は自死を選んでしまうという大変怖い病気です。

 『こころの保健室』は公認心理士・臨床心理士が在籍する名古屋市内の心理カウンセリング・心理療法専門の心理相談室です。主に精神科医からの紹介の精神疾患の患者様を心理療法でケアしております。そんな中、患者様の多くが職場での悩みやストレスが一因となって発症しているという事実に企業におけるメンタルケアの重要性を感じ、【企業メンタルケア】として産業医(精神科医)と心理士によるサポートをおこなっております。社員様の健全なこころは企業の生産性に直結する重要なファクターです。
 心身が健全なときほど、予防をすることが大変重要で、大切な皆さまの社員様のこころをサポートして参ります。

 メンタルの問題の多くは、環境的要因と個人の心理的問題の複合作用により起こります。企業内での環境を整えることは簡単にできるものではありませんが、それらの改善なしにはメンタル疾患の改善は困難です。このような問題を会社内外から客観的に、そして個人を尊重しながら取り組んでいくのが企業メンタルケアです。

目次へ

写真:佐藤 昌孝氏
水曜第2グループ
佐藤 昌孝(さとう まさたか)
東海東京証券株式会社
代表取締役会長

【東海東京証券株式会社】
〒450-6212 愛知県名古屋市中村区名駅4-7-1
URL:東海東京証券(tokaitokyo.co.jp)

■会社紹介

  • 総合金融グループである東海東京フィナンシャル・グループの中核子会社として、中部・首都圏・関西を中心に店舗網を展開し、また、グループでは7つの地方銀行と合弁証券会社を設立し、全国に営業基盤を拡大しております。
  • 名古屋・東京では、富裕層のお客様向けブランド「Orque d'or(オルクドール)」を展開しています。
  • FinTech機能を活用したビジネスモデル「東海東京デジタルNewワールド」をグループ一体で展開し、経済産業省・東京証券取引所などによる「DX銘柄」に3年連続で選んで頂いております。
  • スタートアップ支援にも注力し、名古屋・東京でオープンイノベーションカレッジを運営しています
  • 2022年4月より中期経営計画「“Beyond Our Limits”~異次元への挑戦」をスタートし、「金融力の強化」に加え日本を代表する大手事業法人などのPowerful Partnersとの協業や、デジタル等の新たな機能を備え、今までにない独自の金融ビジネスモデルを目指しています。
  • 当社グループの経営理念として、「わくわくする会社」「学び続ける会社」「仲間を大切にする会社」「誠実な会社」「強くたくましい会社」の5つのキャッチフレーズを大切にしています。

■自己紹介
 この度、産業懇談会水曜第2グループに入会させていただきました佐藤です。
 1961年川崎市生まれ、大学卒業まで川崎市にいましたが、ご縁あって1983年東海銀行に入行。入行から2年高田馬場支店、2年米国留学、そして30歳代の7年のロンドン勤務、40歳代の2年の小牧支社長以外は、3つの銀行を通じて、14年の東京本部勤務で、古き時代の企業戦士としての日々を過しました。
 その後、東海東京フィナンシャル・グループにお世話になり、13年になります。東海東京フィナンシャル・グループでは、持株会社5年(総合企画、戦略企画、デジタル戦略)、現場8年(投資銀行、リテール、社長)、今年の4月に東海東京証券の会長に就任いたしました。
 娘1人、孫1人が近所に住んでいて、たまに会うのが楽しみですが、ゴルフに精を出しつつ、これまで支えてくれた妻との時間を大切にしながら、社会のお役に立てるよう頑張りたいと思います。
 ご指導のほど、宜しくお願いいたします。

目次へ

写真:田野岡 篤氏
水曜第2グループ
田野岡 篤(たのおか あつし)
積水化学工業株式会社 環境・ライフラインカンパニー中部支店
支店長

【積水化学工業株式会社】
〒450-6642 名古屋市中村区名駅一丁目1番3(JRゲートタワー42階)
URL:https://www.sekisui.co.jp/

■会社紹介
 樹脂加工を中心とする会社で、4つの事業領域に展開しています。

  1. セキスイハイムの製造・販売を行う「住宅カンパニー」
  2. 自動車やIT分野の機能樹脂製品を扱う「高機能プラスチックスカンパニー」
  3. 塩ビ管を中心に社会インフラ資材を扱う「環境・ライフラインカンパニー」
  4. 真空採血管や検査・診断薬を扱う「メディカル事業」、の4分野です。

 私の所属する環境・ライフラインカンパニー中部支店では、建築設備や土木分野のプラスチック管材や鉄道用の樹脂マクラギの販売などを行っています。

■自己紹介
 和歌山県出身です。大阪市立大学を卒業後に当社入社、福岡県・滋賀県などの勤務を経験しましたが、名古屋勤務が一番長く第2の故郷です。
 趣味はゴルフ・音楽鑑賞です。昭和歌謡・クラシック・吹奏楽などを聴いています。
 対外的にも社内的にも変化の激しい時代で、色々と考えさせられる事も多いですが皆様と交流させて頂く事で、学び成長できればと思っています。
 どうぞ宜しくお願い申し上げます。

目次へ

【7月度産業懇談会のご案内】

 7月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。
 定員は引き続き、先着40名を目安に運営します。
 何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 会合にご参加いただける際は、手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

7月11日(火)
12:00~14:00

『どうした家康~サザエさんちの御用聞きサブちゃんのお店はなぜ三河屋か?』
山眞産業株式会社花びら舎
代表取締役 平出 眞 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

7月19日(水)
12:00~13:30

『こども家庭庁と少子化対策の今後のゆくえ』
参議院議員
自見 英子 氏

若宮の杜
迎賓館
2階 桜の間

水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

7月12日(水)
12:00~14:00

『名古屋観光ホテルの伝統とエスパシオエンタープライズ革新への挑戦』
エスパシオエンタープライズ株式会社
執行役員 名古屋観光ホテル総支配人
中神 章裕 氏

名古屋観光
ホテル
2階 曙西の間

木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

7月6日(木)
12:00~14:00

『中部地域の電気事業の歴史と当社事業について』(仮題)
古庄電機産業株式会社
取締役社長 佐藤 彰芳 氏

名古屋観光
ホテル
3階 桂の間

目次へ

【産業懇談会4グループ合同懇親ゴルフ会
のご案内】

 恒例となっております4グループ合同の懇親ゴルフ会を下記のとおり開催いたします。

日時
令和5年8月26日(土) 8:03スタート
場所
明智ゴルフ倶楽部荘川ゴルフ場
岐阜県高山市荘川町野々俣957-1 Tel:05769-2-3111
会費
後日、ご請求申し上げます。
集合場所等
  • 現地集合(7:45クラブハウス前の練習グリーン前)です。
    ご希望の方には、前日宿泊の手配をさせていただきます。詳細は別途ご送付いたします
  • プレー終了後、クラブハウスにて表彰式を兼ねた懇親会の開催を予定しております。
  • 競技方法は、ダブルペリア方式とします。
出欠のご連絡
  • プレーのキャンセルは、8月18日(金)までに事務局までご連絡ください。8月20日(日)以降キャンセル料が発生いたします
  • ご参加の方には、前泊先および前日の夕食懇親会、組み合わせ等の詳細を後日ご案内いたします。
ご案内先
代表幹事、直前代表幹事、産業懇談会会員
お問合わせ先
中部経済同友会事務局 担当:山本・廣瀬・藤原 Tel:052-221-8901

目次へ

【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.60

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 悟りの解釈 』

 還暦を過ぎてから、“終活”っていうと皆さんが「まだ早い!」と仰るが、身の周りをできるだけシンプルにすることはずっと続けている。メルカリにもかなりお世話になっているし、こちらで使わなくなったものを北海道の部屋に運び込むのも結構楽しんでいる。もちろん物だけでなく、携帯のアドレス帳の削除も折に触れしているのだが、この頃は仕事の営業担当が、直で携帯に電話をしてくるので、「誰ですか?」も失礼かと、新たに登録せざるを得ないこともあって、軽くカオス状態だ。
 そのうえ、新しい営業担当はどこも20代そこそこの社員たちで、これはこれで困りものなのだ。きっと前任者は、女性経営者だから、ひよっこたちには優しくしてくれるに違いないと思っているのだろうが、仕舞いかけている私にとってそれはとっても気疲れするので、挨拶など来なくても、今時メールや携帯で事足りる、と断っているにも関わらず上司命令なのかご苦労にも足を運んでくださる。
 それはいわゆる「悟り世代」と総じられている若者たちなのだが、弊社にも何人かいて、コーチングスタッフとの世代間乖離があまり無いよう、20代後半の社員とペアにしているのだが、それでも「最近の子はわかりにくいっす」「って、君も若モンでしょうが」「全然違います」と相談される始末。君たちもそうやって育ててもらったんだけどね…と心の中で思うのだが、ほんの数歳違いでこうも違うのかと、思い知らされることも度々ある。

写真:ワイナリー「ドメーヌ ベベルイ」

 先日、畑の植樹を皆さんのお力を借りて終了し、何とか我がワイナリー「ドメーヌ ベベルイ」は産声を上げたのだが、そこにも「悟り世代」は参加してくれていて、かなり頑張って働いてくれた。そう、労働に関してはお願いすればその通りになんとかこなしてくれるのだが、問題はコミュニケーションだ。会話が続かない。それは単に世代間ギャップからくるものではなく、自分に関係のないもの、興味のない話題はさっさと終わらしてしまう一方で、自身の興味のあるものに関しても、誰かと共有することはせず、自分のことは話さない。
 畑の作業中、私が何故ここでワイナリーを開こうと思ったのかと聞かれたので「初めて来たとき、ここがCote d'or(ブルゴーニュの黄金丘陵のこと)に見えたから」と答えると「そうなんですね」と言うので「Cote d'or知ってるの?」と聞くと「知りません」「なんか日本語おかしくない?知らないことに同意するって」「そうですか?」―この会話、どう軌道修正したらよいのかと思い、おせっかいながら諸々説明させてもらった。

 悟り世代は欲がないのでつつましやかに生きているから、そんなネーミングになったのだろうが、「悟る」とは開眼し、メタな視線で世の中を見られるようになったときに到達する境地のことだと思うので、この世代の悟りとは全く違うものだ。生まれた時から何もかも周りにあって、贅沢さえしなければ普通に暮らせる環境で育ってきたとはいえ、また「ハングリー精神」が死語となった今とはいえ、何にも興味を持たず、ただ毎日携帯を片手にSNSの世界で生きることとは異なる世界の話。そういう世代とどうやってコミュニケーションをとったらよいのか…。例えば前出の若き営業マン。一応上司から、お客様には敬意を払っていろいろお話しを聞いてきなさいと指示されているだろうから、あれこれ質問攻めにあうのだが、その世代に私という人間のことをゼロから話す必要はあるのだろうか?ただでさえ、知り合い減らしをしているのに、明日担当が変わってしまうかもしれない営業マンだ。畑の会話のように、本人が興味がないであろう、またあったとしてもだ、私の話にいちいち「そうなんですね」「なるほど」と相槌されて気分が悪くなることも分かりきっている。本人が三日三晩私の話を聞く気があるならこちらも腹くくってお話しましょうと思うのだが。確かに私の60年は普通の履歴書には記入する欄のない「その他」項目がたくさんあって、おそらく日本の社会では「おかしな奴」に該当するし、それをいちいち説明するのも面倒くさくー大体珍しい苗字だと言われ、毎回説明することすら正直面倒になってきたのにー今更若い子に対する承認欲求もないので、「詳しくはググってください」で済ませたい。と、そんな話を数少ない友人の女性経営者にすると「それはね、お互い年を取ったってことよ、いろんなことが面倒になるって。私たちも正しくバアさんになってるってこと、いくら若作りしてもね(爆笑)」おお、これこそが悟りの境地だ。そう肝に銘じて面倒なイライラを沈め、孤独なバアさんへの道を歩いて行こう。

写真:旭川から富良野のラベンダー街道

 春からインバウンドで盛り上がる旭川~富良野のラベンダー街道。絶対的に現地の宿泊施設が足りないようで、アパートは借りたけど友人皆で遊びに来られる古民家はないかと不動産情報を見ていると、びっくりするようなお値段で中古住宅を発見。何度も足を運んでいるおかげで立地条件やら建物の状態も大体察しが付く、これは何とかなるかもと思い早速来週内見のお願いをした。畑にロッジを作るより、こちらのリノベーションのほうが手っ取り早そうだ。条件にこだわらなければ100万円前後のお得な物件が結構あるので、そのうち異国の人たちが買い漁るかもなあ~。近くに富裕層向けのコンドミニアムもできるようだし…でも美しい景観だけはちゃんと残していてほしいと願うばかり。

目次へ

コラム2 【師、曰く】 No.25

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。

『 目に見えない資本 』

 前号の要旨。西洋占星術でいう今から200年つづく新たな「風の時代」は、「目に見えないもの」が重視される時代。そして、田坂先生も同じようなことを語られていた。『これからは、「知性」が大切な時代、「目に見えない資本」が、より重要な時代。』

 師、曰く、『資金も組織もない社会起業家が、なぜ困難な事業を立ち上げられるのか?それは、「志」を抱いて歩むと、五つの『目に見えない資本』が集まってくるから。』

 志を抱いて歩む人の周りには、五つの目に見えない資本が集まってくるという。周りの人々が知識や知恵を貸してくれる「知識資本」。知識や知恵を持った人を紹介してくれる「関係資本」。信頼を得られるように保証してくれる「信頼資本」。世の中に良い評判を広げてくれる「評判資本」。互いに励まし合い支え合う人々の集まりに招かれる「文化資本」。志があれば、これらが無償で集まるという。だから、資金も組織もない社会起業家が、困難な事業を立ち上げることも、可能なのだと。

 私も似たような体験をした。2011年の3.11を受け、2012年から東北大学と共に取り組んだスマホdeリレー®は、私が魂を注ぎ込んだプロジェクトだった。インターネットも携帯電話網も途絶しても、スマホからスマホへバケツリレーのようにメッセージを受け渡し、伝言できるのがスマホdeリレー®だ。3.11の日、仕事で都内の私は、神奈川に住む中学の息子と、育ててくれている同居の母と、携帯が繋がらず不安の中に居た。被災者の不安は想像を超える。その思いが、通信途絶時に連絡を取る手段を、せめて言葉を残せる手段をと、魂を注ぎ込んだ。学会等で評価を受けた後、社会実装の荷を背負い、南海トラフ地震対策として高知市への導入を試みた。言うまでもなく、数多くの試練があった。乗り越えられたのは、数々の見えない資本に恵まれたから。東北大学、docomoの方々とのご縁、弊社メンバも含め、知識資本、関係資本に恵まれた。ビジネスモデルが不透明な中、役員の方の信頼資本で見守って頂いた。2016年より導入に向け高知市で実験を繰り返し、我々の志と本気さをご理解頂き、我田引水のようで恐縮だが、「僕は妹尾さんにベタ惚れしとるきに、今度来ゆうときは是非飲みたいがや。」とまで言って頂いた部長の方の有難い信頼資本。人事異動で交代され、実績なき新技術導入などあり得ない当然の立場の部長の方も、最後は信じ見守って頂いた有難い信頼資本。住民の方々との訓練で、100%伝達しないことに懐疑的な議員の方に、議員会館まで説明に行き、納得して頂いた後は応援して頂いたことも、有難い信頼資本。感謝に堪えない。新聞やTVに紹介されたことは評判資本であるし、数々の講演会の場に立たせて頂いたことも文化資本であった。有難い五つの資本、「目に見えない資本」に助けられ、2018年仮運用、2019年4月「高知市津波SOSアプリ」として導入、正式運用された。

 「目に見えない資本」、これからも大切にしたい。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:薔薇
(三河一宮、砥鹿神社の薔薇)

目次へ

コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.176 最終回

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 植物は〈知性〉をもっている 』
ステファノ・マンクーゾ+アレッサンドラ・ヴィオラ著・NHK出版刊

 「植物に知性はあるのか?」この問いをめぐっては、はるか昔から論争がくり広げられてきたそうです。知性を「問題を解決する能力」と定義すると、植物は人間よりもはるかに優れた知性をもっているということをこの本は教えてくれます。脳がなければ知性がないと考えること自体、動物の発想に囚われています。太陽のエネルギーを、光合成により地球に取り込み循環させることで、食物連鎖の起点になっているのが植物です。悪しき人間中心主義を見直すための貴重な一冊です。

 この連載も今回が最後です。2008年10月から14年9ヶ月お世話になりました。できる限り幅広いジャンルの本を紹介しようと努力したつもりですが、振り返ると理数系が弱かったことは否めません。
 このような機会を与えてくださったシーキューブ株式会社元社長の片桐清志様、事務局の皆様、そしてお付き合いくださった方々に、心より御礼申し上げます。これからも本物(=紙)の本が読まれ続けられますように。

「ほん」のひとこと 最終回によせて

産懇宅配便 元編集長
片桐清志

 谷口さんは「縁」や「出会い」をとても大切にされている。人との「ご縁」は勿論だが、「本」との出会いも半端ではない。その谷口さんが多くの縁の中から産懇メンバー向けの良書を一冊だけ選ぶのは容易ではない筈だ。しかも谷口さんはコラム執筆当初から(1)同じ著者は避ける、(2)分野も偏らないの二大方針を掲げ、これを貫いた。
 おかげで私の読書の幅が広がった。実にコンパクトに作品の魅力が紹介されていて、きらりと光る良書を手にする道しるべとなった。特に、初めての著者とのめぐり逢いはこのコラムに拠るところが大きい。
 過日、谷口さんから諸般の事情で連載を終えたいとの申し出があった。毎月の産懇宅配便の楽しみが一つ消えることは寂しいが、いつまでも彼の好意に甘え続けることも憚られる。この連載で書籍捜しの横着癖がついてしまったが、これからは自分で書店に足を運ぶ回数を増やすことにしよう。
 困った時の谷口頼みで、産業懇談会の世話人を引き受けて戴いたこともある。同友会を退会された後も、このコラムは引き続き担当していただいた。あれやこれやの無理難題を快く引き受けて戴いた谷口さんの懐の広さに改めて感謝する次第だ。本当にありがとうございました。

目次へ