【5年3月度 産業懇談会(木曜G)模様】
テーマ: 『 東急ホテルズのご紹介及び賢い宿泊予約 』
- 日 時:令和5年3月2日(木) 12時30分~14時30分
- 場 所:名古屋観光ホテル 桂の間
- 参加者:35名
自己紹介
私の役職は、中部エリア統括として名古屋東急ホテルや金沢東急ホテル、富山エクセルホテル東急の1002室を管理している。ホテル業界は外部環境に大きく左右をされやすい業界で、コロナ禍で大きなダメージを負った。今後はインバウンドの波に乗って営業をしていきたい。ホテル総支配人とは、24時間365日稼働するホテルの経営・管理・運営を行い、日々リスクと戦う。ホテルにとって一番大事なことは、お客様の生命や財産を預かっているため、味やサービス、火事、食中毒には気をつけなければならない。サイレントクレームによってお客様がホテルを去ってしまうことがあり、何を望んでいるのか、コロナ禍によってお客様と接する距離感が難しくなる中、サービスレベルの低下の立て直しが急務となっている。
ホテル業界について
ホテルや観光業界は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた業界の一つで、特に訪日外国人は、コロナ後に大きく減少した。しかし水際対策が見直され、外国人観光客の受け入れが再開された。国内旅行の需要も回復し、昨年8・9月の稼働状況はコロナ前に近い状態まで戻った。観光産業の一つであるホテル業界の特徴や魅力について紹介したい。
ホテル業界の特徴・魅力は主に3点あり、(1)お客様の滞在時間が長いこと、(2)多種多様なお客様に合うサービスを提供すること、(3)対価は時間と空間に対して支払うということである。接客という直接的なサービスの他にも、除菌作業や香りの演出といった間接的なサービスによって時間と空間の価値を高めている。価値に上限がないことが難しさであり、面白さ・やりがいでもある。ホテルの格付評価は「フォーブス」と「ミシュラン」が有名である。フォーブストラベルガイドは、5つ星の格付けシステムを世界で初めて導入した権威あるトラベルガイドで、「ザ・キャピトルホテル東急」が2年連続で5つ星を獲得した。
東急ホテルズについて
全国の東急ホテルズで働く社員の数は約3,500人で、コロナ前は約4,000人が働いていた。東急ホテルズは全国に46のホテルを展開、それぞれが3つのブランドに分かれて属している。1つめのブランドである「ホテルブランド」はラグジュアリータイプのホテルで、広い客室とレストラン、結婚式を挙げられるような大きな宴会場を持つ。名古屋東急ホテル、ザ・キャピトルホテル東急、宮古島にあるリゾートなどがこのカテゴリーに当てはまる。
2つめは「エクセルブランド」で、シティーホテルのカテゴリーとなる。アクセスの良さが特徴で、渋谷エクセルホテル東急、羽田エクセルホテル東急などがある。3つめは「REIブランド」で、ミドルクラスというビジネスクラスの少し上のカテゴリーとなる。客室とレストランだけでなく、一部のホテルでは宴会場も備えている。3つのブランドに分けて展開するメリットは、「幅広い顧客層と接点を持てる」ということで、家族との旅行や出張など様々なシーンによって使い分けることができる。
東急グループは、東急株式会社を主軸に、東急電鉄や109シネマなど224社5法人で構成されている。東急グループは「交通」「不動産」「生活サービス」「ホテル・リゾート」の4つの事業領域を持ち、事業の垣根を越えて連携している。コロナ禍で生まれた新しいライフスタイルに対応した新サービスとして、ホテルの客室をリモートワーク用の個室として提供することや、「ツギツギ」という全国をツギツギと巡る旅するような暮らし方を実現するサービスの提供を開始した。東急グループの施設から好きな場所を選び宿泊できる。昨今ホテルの利用の仕方は多様化し、東急グループとして様々な業種で構成されているからこそ、新サービスを生み出すことができる。ピンチの時はお互い支え合うこともできる。
新規出店のホテルは、2022年10月28日に開業した吉祥寺エクセルホテル東急と、2023年5月19日開業予定の東急歌舞伎町タワー内に「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」と、「HOTEL GROOVE SHINJUKU, A PARKROYAL Hotel」の2つがある。東急歌舞伎町タワーは高さが約225mで、新宿に日本初の大型エンターテインメントとの複合ホテルが誕生する。エンターテインメント施設では、映画館やライブエンターテインメントシアター、ライブホールなどがオープンする予定である。「食」も重要で「祭り」をテーマとした食祭街を展開し、この他にもアミューズメント施設など様々な施設が東急歌舞伎町タワーに集結する。
東急ホテルズでは、便利な会員サービスも充実しており、「東急ホテルズコンフォートメンバーズカード」を発行し全国の東急ホテルズの宿泊やレストランの利用でポイントを貯めることができる。会員特典は、基本宿泊料金が10%以上割引で利用できるなど様々あり、ポイントを貯めるとカードがグレードアップし、より良い特典を受けられる仕組みとなる。
賢いホテルの予約の仕方
ホテルの予約経路は、OTA(Online Travel Agent)が支流となっており、コロナ禍で一気に加速した。どこで予約をすればお得なのか判断が難しくなっている。通常は手数料のない自社サイトがベストレートで、他の宿泊サイトより5%程度の料金差はあるが、OTAの方がお得に予約出来ることがある。OTA各社が様々なクーポンやポイント施策を行っており、他の付加価値が付いてホテルのベストレートよりも結果的に価格が下回る事が有る。各社のサービスと自分自身の好みを総合的に考えて選ぶのがベストである。
これからの東急ホテルズは、時代に即し、お客様の求めるサービスを考えることに加え、ライフスタイルや地域の特性にあった新しいカタチのホテルを企画し、ホテルが建つ地域の活性化にも繋げていきたい。ホテルの根幹となる「安心安全」を大切にしつつ、東急ホテルズは「革新的」なホテル・サービスに挑戦していきたい。
【5年3月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】
テーマ: 『 我が社の人材戦略 』
- 日 時:令和5年3月8日(水) 12時30分~14時30分
- 場 所:若宮の杜 迎賓館 橘の間
- 参加者:27名
自己紹介・会社紹介
三重県松阪市で生まれ、大阪府立大学(現・大阪公立大学)を卒業後、当社に入社し名古屋支社へ配属となった。入社後は鉄の営業に従事し、東京本社へ転勤、その後人事部や総務・経理・財務等も経験した。そして2022年に名古屋支社へ再度赴任することになった。
当社は1947年に設立された独立系の商社で、従業員は約1,500名である。主に鉄鋼を扱う商社として認知頂いている。その他にも、非鉄金属(ニッケル・コバルト)、石油(バイオマス燃料の材料含む)、化成品(プラスチック製品)、木材(住宅)、食品、機械(テーマパークの遊戯機械)等、幅広く取り扱う。国内拠点は、東京・大阪・名古屋など日本各地に構え、海外拠点においても、アジアや欧米、中東、アフリカに進出している。
人材獲得難の時代
日本の人口減少や少子高齢化による労働人口の減少は、日本が抱える中長期的な課題となっている。加えて、新型コロナウイルスや円安によって、外国人労働者も減少している。日本人においても、優秀な人材は海外へ流出している状況である。そして、若者世代には就業意識の変化が起こり、当社のような重厚長大型産業への関心は薄く、アニメやゲーム業界などソフトな産業が注目を集めている。労働力不足を補うため、ゆとり・ミレニアル・Z世代が働きやすい環境の整備が求められている。このような状況下、当社の人材戦略は、(1)採用(新卒採用・キャリア採用)、(2)育成(研修制度・ジョブローテーション・OJT)、(3)人材活用(シニア活用、ダイバーシティ推進)の大きく3つに分けて実践している。
我が社の人材戦略(新卒採用、キャリア採用)
学歴のみで能力を判断することが難しくなっており、情報化社会においては、物を知っていることの価値の優位性は低下してきている。一方で、一般常識の重要性を非常に感じている。採用ビジネスの台頭によって、エントリーシートの画一化やアドリブに弱い学生が多くなっているという印象を持っている。
一方で、キャリア採用は転職市場の活性化によって、転職が当たり前の時代になった。しかし、失敗も多く、当社では出戻りが自由な仕組みを構築している。事業が拡大する中で、会社における人材のニーズは多様化し、新卒一括採用では限界を迎えており、各分野におけるプロフェッショナル人材の育成や獲得が今後の企業の発展を支えていくためには重要となる。また、「リファラル採用」という社員が会社に合った友人を紹介する制度も整備した。最近では、ローカル社員の重要性を痛切に感じており、地域採用によって地元で長年働けるローカル社員を確保することも会社の安定成長には必要である。
我が社の人材戦略(研修制度、ジョブローテーション、OJT)
これまで構築してきた社内の研修制度を体系化し、新たに社内大学「HKBS」を昨年4月に創設した。最新テクノロジーであるメタバースを活用している。一方で、社員が一堂に会する集合研修は人脈作りという意味でも大切で、リアルとオンラインのハイブリッドを組み合わせて研修を実施していきたい。
社内大学の研修内容は、テーマ毎に学部を創設し、例えば、外国学部では英語、中国語などを学び、理工学部では最新のITスキルを学ぶ。教養学部では、若手社員のために宴会やゴルフ接待の作法、コンペの幹事のやり方なども学ぶことができる。文学部はまだ検討中の段階であるが、会社の哲学や歴史、DNAを学び、次世代に継承していきたい。現役役員やOBへのインタビューを行い、ある事業のなれそめ等、社員へ共有できるようなコンテンツを取り入れていきたい。
ジョブローテーションについては、ゼネラリストの必要性を考えなければならない。語学研修・海外トレーニー制度・出向などを組み合わせて、短い期間異なった仕事を経験することで、現在の仕事の良さを改めて気付く機会にもなる。人事部直轄の自己申告書の制度や、人財会議という執行役員全員が集まり、幹部社員の人事異動を決める会議を実施している。一番のポイントは、異動できなかった人材へのケアが重要になってくる。ダイバーシティの進展によって、管理職はハラスメントなども含め様々な人材への柔軟な対応が求められており、悩める管理職が多いため、管理職向けのOJTが必要になってきている。
我が社の人材戦略(シニア活用、ダイバーシティ推進)
シニア人材の活用は重要で、シニア人事制度によって定年退職後も再雇用を行い、仕事内容や責任に応じて3段階程度に報酬を分けて雇用している。65歳を超えても人脈や専門性、影響力のあるレジェンド人材には引き続き活躍して頂いている。また、人材不足によって関連会社や取引先へシニア世代の人材供給などニーズは拡大している。
ダイバーシティ推進では、女性管理職の登用を積極的に進めている。また、海外で採用した人材は活発に転職を行うことから、海外現地法人で実績を上げた社員に対して、日本で研修を受けられるというインセンティブの付与を行っている。障がい者雇用では、リモートワークを活用するなど個性を活かした人材活用を行っており、生きがいを持って働けるよう試行錯誤している。
今後の労働力問題とは
働き方改革関連法の施行に伴い、長時間労働の規制によって、特に物流や建設業界で人材確保が難しくなると言われている(「2024年問題」)。解決には、労働生産性の向上と、人材への教育が重要になる。人件費は未来への投資だと考え、人材にかけるお金を大事にしていかなければならない。人的資源を活用し戦力化させることは永遠のテーマで、答えのない時代に大切なものは、やはり「人」ではないか。
【5年3月度 産業懇談会(火曜G)模様】
テーマ: 『 agleaf クルマから農業へ 新規事業への挑戦 』
- 日 時:令和5年3月14日(火) 12時30分~14時30分
- 場 所:名古屋観光ホテル 桂の間
- 参加者:30名
スピーカー:
「agleaf」挑戦の想い(吉貴氏)
2015年にトヨタ自動車から当社に社長として着任し、2017年に「agleaf」を正式にスタートさせた。本格展開するために「agleaf」という名前やロゴはデザイン事務所に制作を依頼した。新規事業は簡単に成功するものではなく、長期間にわたる調査や研究などが重要である。しかし、実際にやってみると幾多の課題が露呈し、当初の計画通りには進まなかった。「agleaf」はCO2削減に貢献できる製品であるため、試行錯誤しながら続けている。将来に向けて、この技術を活かしてカーボンニュートラルに貢献していきたい。
会社概要
当社は1945年に設立され、本社は愛知県岡崎市にある。事業内容は、主にトヨタ自動車向けの自動車等車両部品の製造販売を行っている。具体的には、ボデー内外装・熱マネ・足回り・排気系・燃料系の部品などを製造している。
新規事業への取り組みの背景
2008年に米国で発生したリーマンショックにより、自動車業界は大きな打撃を受けた。自動車事業に依存していた当社も、工場の稼働を停止するなど、経営に対して大きな打撃を受けた。そこで、2011年より非自動車分野での新規事業を開発するために、専任チーム(4名)の組織を作り活動を開始した。自動車分野で培ったコア技術を活かせる事業の探索と、同時に非自動車分野で当社を認知してもらう活動を行った。年間100社訪問することを目標に設定して活動した結果、様々な情報を収集でき、新規事業に関するヒントを頂いた。入手した情報を基に、当社が目指す環境経営や事業内容、また保有技術との整合性を分野マップに落とし込み、絞り込みを行いながら月に1度のペースで事業化提案を実施した。
単にコア技術を活かすだけではなく、世の中の困りごとを解決できるビジネスを念頭に置いて企画することや、企画提案に対して役員が素直な気持ちを示せるように工夫を行った。新たに設備投資の必要性がないことなど総合的に勘案し、検討案の中から農業分野に絞り込み、活動を本格化させていった。新規事業は、既存の枠組みや自分たちが慣れ親しんだ世界から脱却することが重要である。
農業分野の現状と課題、解決策
農業のハウス栽培では、冬期や夜間にハウス内の温度を低下させないために、燃焼式暖房機で加温し、排気ガスは煙突から大気に排出している。一方、昼間は作物の光合成を促進する目的で、燃焼式CO2発生機を用いCO2が含まれる排気ガスを作物に施用している。どちらも化石燃料を使っており、夜間に排出される排気ガスを浄化し、CO2のみを取り出して一旦貯留し、昼間の光合成に再利用できれば無駄がなくなる。つまり、暖房機から排出されるCO2と燃焼式CO2発生機から排出されるCO2の両方を削減することができる。これによって燃焼式CO2発生機が不要となるため、化石燃料も削減が可能になる。
当社のコア技術の活用
解決策を具体化するために、当社が自動車業界で培ったコア技術である、(1)排ガス浄化、(2)ガス吸着、(3)熱マネージメントを応用したシステムを開発した。具体的には、(1)排気ガスの浄化によって、排気ガスに含まれる有害物質の除去が可能となる。また、(2)ガス吸着技術は、夜間回収したCO2を昼間に供給し、光合成が必要な時にCO2を使うことができるようになる。最後に、(3)熱マネージメント技術によって、熱い排ガスから取り出したCO2を冷えた状態で使用でき、作物の株元に直接CO2を施用できるようになる。
社内では本業が忙しいため新規事業への協力は得られにくく、企画者自らが情熱を持って開発から商品化までを推進することが不可欠であった。会社の中での認知度が高ければ、もっと効率的に活動できたという反省があり、現在の新規事業の企画部署は、社長直下の部署で行っている。また、異業種(農業製品)の試験や評価方法がわからなかったが、100社訪問して人脈を得たことで、農研機構からの紹介で補助金を貰いながら農業試験場で試験ができるようになった。農林水産省委託プロジェクト研究に採択され、全国6ヶ所で実証試験を行った。「agleaf」の導入によって、いちごやトマトの収穫量は40%増加し、シクラメンの観賞日数は30%向上した。また、排気ガスから取り出したCO2が、作物に害を与えないことも確認することができた。
「agleaf」の誕生
2017年11月より農業ブランド「agleaf」と命名し販売を開始した。しかし、我々が立てた仮説と異なる現実を目の当たりにすることになった。統計数字から、一番需要が高いのは900坪用と発売前に仮説を立てたが、実際はもっと小型で安価な製品を望む声が多かった。そこで、600坪用や150~300坪用を順次開発していった。農家の声をしっかりと聞き、事実確認すること、やはりここでも現地現物が重要。そして、ニーズに合う仮説を練り直しつつ、スピード感ある改良が必要であることを体感した。その結果、「2020愛知環境賞 優秀賞」を受賞することができた。また、2022年には、岡崎市・幸田町やJAあいち三河、当社で連携協定を締結することができ、少しずつ追い風も吹いてきた。
展示会や対面営業などからメディアに取り上げてもらい、知名度向上を図った。また、 SNS活用の社内運用ルールがなかったため一から構築した。スタート時に事業継続の条件として設定した3年以内に単年黒字化の条件は達成できていないが、世の中の風潮はCO2削減へ大きく変化しており、引き続き諦めずに事業を推進していく。
【5年3月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】
テーマ: 『 DX時代を生き抜くための人材育成の取り組みについて 』
- 日 時:令和5年3月15日(水) 12時30分~14時30分
- 場 所:若宮の杜 迎賓館 橘の間
- 参加者:14名
自己紹介
2005年に映像製作会社に就職し、ブライダル広告会社への転職を経て、2015年から当社に入社し、クラウド名刺管理サービスという新しい市場の創出に従事してきた。2016年に名古屋支店立ち上げのために転勤し、トヨタグループを中心に東海のエンタープライズ企業を担当している。
会社紹介
当社は、何かが始まるときは全て出会いがきっかけであり、出会いからイノベーションを生み出すことをコンセプトに経営を行っている。全ての出会いを偶然ではなく必然にしていきたい。名刺管理サービス以外にも、DXを促進する大規模ビジネスイベントの開催や、SDGsの観点で植樹活動の実施、そして、徳島県神山町に高専を開校(2023年4月)して人材育成に取り組む。また、当社は名刺管理のイメージが強いが、文字をデジタル化させる技術が向上し、請求書や契約書の電子化や、セミナー管理をするシステムなども販売している。名刺管理のシェアは83%で、約8,000社に利用頂いている。
世界のテクノロジーの進化
世界ではいま、エクスポネンシャルテクノロジー&コンバージェンス(凄い技術の融合)が起こっている。ローカルで直線的な成長からグローバルで加速度的な成長がトレンドになってきている。エクスポネンシャルテクノロジーとは、量子コンピューティングやAI、輸送ネットワーク(ラストワンマイル)、ロボット、VR、AR、3Dプリンティング、ブロックチェーン(暗号資産)、材料科学などである。3Dプリンティングでは、もはや人工の腎臓や血管、家までも作ることができる。さらには、これらのエクスポネンシャルテクノロジーが複数組み合わさる革命が起こっている。
例えば、交通革命では、1900年から1910年の10年間で馬車から車の時代へ大きく進化した。このように、10年後には空飛ぶライドシェアが実現しているかもしれない。日本は規制が多いが、世界では規制緩和が進み、テクノロジーが加速度的に進化している。空飛ぶライドシェアは、騒音・安全性・価格に課題があるが、AIや材料科学、3Dプリンティング、電池の進化が揃えば実現に近づくだろう。米国では既に空の規制をNASAなどが管理している。一方で日本は、自動運転のライドシェアが注目を集め、車は所有からシェアの時代になっている。ロケットを移動手段として活用し、上海からニューヨーク間を39分で移動可能にすることや、Eコマースの世界では、注文にあたってAIアシスタントやリコメンド機能が搭載され、3Dプリンティングで簡単に製造することができるようになるだろう。また、広告業界では、ユーザーの消費行動の変化に伴い、広告はマスからよりパーソナライズされることになる。
デジタル化を引き起こすイノベーションの変遷は、まず潜伏期(知られていない状態)から破壊期(業界がなくなる)が起こり、そして、非収益化(コストがゼロ)や非物質化(もの自体がなくなる)へと移り変わり、イノベーションが日常に浸透していく。代表的な例として、イノベーションによるカメラやVHSなどの衰退が有名である。
DX人材の育成(神山まるごと高専開校)
DX人材を会社で育成することには、コストや時間、経験など様々な点で課題がある。そこで当社は、イノベーションを起こす人材を育成するために、徳島県神山町に「神山まるごと高専」を2023年4月に開校する。起業家マインドを持つ学生を育てていくことが目的である。設立にあたって、コアメンバーは当社社長を中心に起業家やデザイナーに参画頂いた。我々の想いは「神山から未来のシリコンバレーを生み出す」ことである。現在の日本人を取り巻く製品は、iPhoneやAmazonを代表に海外製が多い。そこで、日本からこのような製品を生み出したいとの思いから、この学校を開校させる。コンセプトは「テクノロジー×デザイン」と掲げ、人間の未来を変える学校にしていきたい。育てる学生像は、「モノをつくる力で、コトを起こす人」で、自ら課題を発見し、モノをつくる力で解決し、社会に変化を生み出すこができる人材の育成を目指している。「テクノロジー×デザイン」に加えて、「起業家精神」も育んでいきたい。カリキュラムは、有名なエンジニアやデザイナーを採用して教えていく。さらに起業家の講師として毎週2名、企業経営者に講演を頂くことを企画している。高専卒業後のキャリアパスは、就職や大学編入に加えて、起業サポートも行い、起業の道を選択できるようにしている。
開校資金として20億円を集めることに大変苦労したが、今後の日本の人材育成のために、31社、個人投資家26名のファンディングパートナーに寄付を頂き24億円を調達することができた。「DX人材育成」という共通の想いを持っていたため、同業他社からも協力してもらうことができた。認知度を上げるために、オープンキャンパスの実施やサマースクールの開講などを行っている。受験者は優秀な学生が多いが、どんなビジネスをやりたいか、これまで熱中していたことを動画でまとめるなど、クリエイティブな試験に挑戦してもらい、学生を選抜している。他の高専との違いは、起業家を志す15歳にとって唯一無二の教育機関となっていることである。また、学費など全額無償化を発表し、全国の天才の卵たちが家庭環境に左右されずに志すことができる学校を目指している。
なぜ神山町なのか。神山町は「奇跡の田舎」と称され、地域創生を目的に、30年におよぶ住民主導の取組みによって、自然豊かな町の中に企業のサテライトオフィスが集積している町である。クリエイティブな人材の交流が日々行われ、イノベーションが生まれる土壌がある。行政だけではなく、市民も一緒になって参加しているなど、新しいプロジェクトが受け入れやすい環境が整備されているため、神山町しか選択肢はなかった。神山町に興味を持って頂いた方はぜひお声がけ下さい。
【新会員自己紹介】
【日鉄エンジニアリング株式会社】
〒450-0003 名古屋市中村区名駅南2-13-18 NSビル
URL:https://www.eng.nipponsteel.com/
弊社は、環境・エネルギー関連施設、パイプライン、都市・海洋インフラ、製鉄プラント等の設計・建設・運営・維持管理等を行うエンジニアリング会社です(製鉄プラントについては23年10月に親会社である日本製鉄との間で再編成を予定しております)。カーボンニュートラルの実現、循環社会の構築、国土強靭化などの大きな課題に挑戦してまいります。
■自己紹介
昭和39年生まれの59歳で、出身は茨城県日立市です。銅山の鉱害対策に企業が積極的に取り組んだ先進事例といえる新田次郎の『ある町の高い煙突』の舞台であり、日立製作所の発祥の地でもあります。工場のサイレンが時報がわりとなるような、大きな工場のすぐそばで育ちました。会社では、建築、再エネなどの営業・企画、一時派遣先のお客様の企業でLNG基地建設、ガス営業、発電所企画などに携わらせていただきました(事務系です)。東京に20年以上、大阪には11年おりましたが、名古屋はすべてが初めての地でして、日々勉強させていただいております。どうぞ宜しくお願いいたします。
【半田重工業株式会社】
〒475-0034 愛知県半田市東億田町161番地
URL:https://hanju.co.jp/
■会社紹介
1937年12月に愛知県半田市にて創業し、産業車両向けの油圧シリンダーをはじめとする各種機能部品の開発・製造と画像検査装置やFactorX「製造業特化のコミュニティサイト」などの新規事業に取り組む会社です。
■事業紹介
- 油圧シリンダー事業
フォークリフト、高所作業車等の産業車両用の油圧シリンダーやその他各種機能製品を 試作品から量産品、特注品まで設計製作をしております。 - 画像検査装置事業(新規事業)
画像検査装置は生産現場の人手不足を補い、且つ作業を簡素化するソリューションです。
光沢、透明、鏡面の製品、曲面の製品のキズ検査から誤欠品等の目視検査の代替はもちろん、寸法違いなど目視検査では判定できない領域まで画像検査装置を構想設計から開発、条件設定、機械設計、製作し、インライン化まで一貫してオーダーメイドで請け負います。 - Factor X「製造業特化のコミュニティサイト」事業(新規事業)「https://lp.factorx.jp/」
製造業の様々な業界の垣根を越えて、技術やノウハウを寄せ集め、新たな付加価値を創造し、日本の製造業を活性化することを目的に開発しました。
日本のほとんどの中小企業は、顧客や自社製品の市場の開拓や市場競争力をもった開発に四苦八苦しています。
Factor Xは、人材、企業、企業のビジネスパートナーをマッチングするだけでなく、新しいITスキルを導入して、中小企業が製品をより広範囲に宣伝し、エンドユーザーを開拓することに役立つものです。
■自己紹介
出身は三重県で、大学卒業後、結婚を機に愛知県半田市で暮らし始めて、46年が経ちました。
半田市は江戸時代から醸造業や海運業などで栄え、商業や製造業を中心に発展してきた町です。
現在、半田運河沿いに日本酒や酢の醸造蔵が並び黒壁の風景が散歩道として、人気になっています。
また毎年春に開催される祭礼で、「山車まつり」が行われ、5年に一度はすべての山車が勢ぞろいするイベントもあり、多くの人で賑わいます。
そして「ごんぎつね」「手袋を買いに」という童話で知られている童話文学者 新美南吉のふるさとでもあります。
この町で専業主婦として暮らしていた私ですが、9年前、当時社長であった夫が病死したため、私が社長を引き継ぐことになりました。
すべてが未経験で不安との戦いでしたが、今までの人生で中身の濃い経験を積んだ9年間でありました。
趣味は旅行で、時々2~3日の国内旅行を楽しんでいます。
この度、三幸電子株式会社の香川監査役様のご紹介で入会させて頂くことになりました。
よろしくお願いいたします。
【リソルライフサポート株式会社】
(名古屋支店)
〒460-0003愛知県名古屋市中区錦3-7-9 太陽生命第2ビル4階
(大阪支店)
〒530-0005大阪府大阪市北区中之島3-3-3 中之島三井ビルディング11階
リソルホールディングス オフィシャルサイト (resol.jp)
福利厚生|リソルライフサポート株式会社 (fukuri-resol.jp)
■自己紹介(経歴)
昭和43年名古屋市生。平成2年東海銀行入行。平成25年三菱東京UFJ銀行内田橋支社長、平成28年三菱UFJ銀行東支社長、令和3年東洋熱工業執行役員名古屋支店営業部長、令和5年リソルホールディングス(株)入社、同日付100%子会社リソルライフサポート(株)出向、中京ゴルフ倶楽部(株)営業顧問兼務(現職)
■会社紹介
東証プライム上場リソルホールディングス(株)(三井不動産41%出資)の100%子会社。
業務は福利厚生代行及び人事サービス。特徴は直営ホテル22、滞在型ステイホテル50、三井不動産系ホテル(ガーデンホテル他)41の系列100を超えるホテルとゴルフ場15(中京GC含む)を有し会員企業従業員様向けにお値打ちな利用価格でご提供。その他も豊富な福利厚生メニューをご用意。特に会員企業様が利用促進されない場合、会費の一部を返金するシステムを導入し明朗会計をとっております(清算型システム)。
■趣味(リソル就職の経緯)
ゴルフ、旅行(海外40ケ国周遊)。
三菱UFJ銀行を卒業後、東洋熱工業(サブコン)3年勤務。昨年6月退職し暫く時間を頂き、自分探しの旅と称し、国内外周遊。国内は自身の行きたい場所(47都道府県、小笠原諸島をはじめ主要な島々も)は踏破。コロナが落ち着いた昨年9月からは海外周遊(オーストラリア、ヨルダン、イスラエル、キューバ、モロッコ、イベリア半島周遊バックパッカー)。
そうした中、リソルから声が掛かり、旅行好きの自分にあった仕事(旅行、ホテル、ゴルフ)で、且つ会費清算型システムというお客様が利用促進できなかった場合、会費の一部をお返しする明朗会計の経営スタンスに心を打たれ、1月より従事することになった経緯。
【5月度産業懇談会のご案内】
5月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。
定員は引き続き、先着30名を目安に運営します。
何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
会合にご参加いただける際は、手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。
グループ名 | 世話人 | 開催日時 | テーマ・スピーカー | 集合場所 |
---|---|---|---|---|
火曜グループ |
富田 茂 |
5月9日(火) |
『十勝農業の現状と和牛肉について』(仮題) |
名古屋観光 |
水曜第1グループ |
淺井博司 |
5月17日(水) |
『創業66年:3代目経営者が吠える。~ただ運ぶだけではない。1.3億→12.5億へ。V字回復の実践とは~』 |
名古屋観光 |
水曜第2グループ |
大倉偉作 |
5月10日(水) |
『ビジネスと子どもの人権・企業と子どもの課題の接点~名古屋キワニスの活動を交えて~』 |
名古屋観光 |
木曜グループ |
河村嘉男 |
5月11日(木) |
『企業経営に資するファシリティマネジメント』 |
名古屋観光 |
【6月度産業懇談会のご案内】
6月度産業懇談会は、下記のとおり開催いたします。
6月度例会より開催時間を12:00~14:00、定員を40名に変更いたします。
何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。
会合にご参加いただける際は、手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。
グループ名 | 世話人 | 開催日時 | テーマ・スピーカー | 集合場所 |
---|---|---|---|---|
火曜グループ |
富田 茂 |
6月13日(火) |
『NSK(名古屋ステーション開発)10大ニュースについて』 |
名古屋観光 |
水曜第1グループ |
淺井博司 |
6月21日(水) |
『「他人の喜びを我が喜びとせよ」をモットーに中部産業界の発展に貢献し続ける中産連 |
若宮の杜 |
水曜第2グループ |
大倉偉作 |
6月14日(水) |
『物流の24年問題』 |
名古屋観光 |
木曜グループ |
河村嘉男 |
6月1日(木) |
『ANA コロナ禍 1000日の取り組み』 |
名古屋観光 |
【産業懇談会4グループ合同懇親ゴルフ会
のご案内】
平素は中部経済同友会・産業懇談会の活動にご支援を賜り、誠にありがとうございます。
恒例となっております4グループ合同の懇親ゴルフ会を下記のとおり開催いたします。
- 日時
- 令和5年8月26日(土) 8:03スタート
(アウトスタート5組、インスタート5組を予定しております) - 場所
- 明智ゴルフ倶楽部荘川ゴルフ場
岐阜県高山市荘川町野々俣957-1 Tel:05769-2-3111 - 会費
- 後日、ご請求申し上げます。
- 集合場所等
- 現地集合(7:45クラブハウス前の練習グリーン前)です。
(ご希望の方には、前日宿泊の手配をさせていただきます。詳細は別途ご送付いたします) - プレー終了後、クラブハウスにて表彰式を兼ねた懇親会の開催を予定しております。
- 競技方法は、ダブルペリア方式とします。
- 現地集合(7:45クラブハウス前の練習グリーン前)です。
- 出欠のご連絡
- ご参加を希望される方のみ、5月31日(水)までに「会員専用ページ」からご登録をお願いいたします。(参加者は会員限りとし、代理出席はお断りさせていただきます)
- 定員に達し次第、申込みを締切させていただきます。
- プレーのキャンセルは、8月18日(金)までに事務局までご連絡ください。8月20日(日)以降キャンセル料が発生いたします
- ご参加の方には、前泊先および前日の夕食懇親会、組み合わせ等の詳細を後日ご案内いたします。
- 本状ご案内先
- 代表幹事、直前代表幹事、産業懇談会会員
- お問合わせ先
- 中部経済同友会事務局 担当:山本・廣瀬・藤原 Tel:052-221-8901
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.58
長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子
『 ドライバーと六角レンチ 』
過日、ドライバーと六角レンチのセットを持って、新入社員のために借りた社宅用マンションに出向いた。こんな小さな会社なのに遠方から就職してくれる若い子が結構いる。寮や親元を離れて初めての一人暮らしをする少年たちが、不自由なく暮らせるよう、最低限の備品を揃えるのだが、この準備が思いのほか楽しい。自身が引っ越し魔だったこともあるが、何もない新しい部屋の窓を開け、風が流れ込むと、まるで自分が新生活を始めるかのような楽しみが湧いてくる。最近はIKEAやニトリのおかげで、備品もかなり安価に手に入る。のだが、これらはほとんどが組み立て家具。別料金で組み立てまでしてくれるのを断り、そこはケチってというより、自分で組み立てるのが意外に好きなので、配達される段ボールを心待ちに、ドライバーと六角レンチを握りしめ、トラックの到着を待つ。「社長がやらなくても僕らでやりますよ」と社員たちは申し出てくれるのだが、いかんせんこの忙しい時期、みな出張続きで体を休める暇もない。暇なのは私くらいだし、物好きも相まっての社宅設定だ。
物心ついたころから、私の遊び場は自宅の隣にある工場だった。ここには子供専用のカラフルなおもちゃは一切ないが、私にとっては宝島。そこらへんにあるねじやパイプ、電線の切れ端など遊ぶには事欠かないラインナップ。たまに電線のビニール剥きを勝手にやって怒られたりしたこともあったが、工場でチョロチョロする私に、社員の皆さんは怪我をしないようにと、正しい工具の使い方を教えてくれた(当時若かった社員さんは今でも弊社で働いてくれている。あの跳ねっ返り娘が社長ねえ~と目を細めてくれている)。ドライバーが使えるようになった時には、制御盤のあまり重要でない部品の取り付けを手伝わせてくれたり、ペンチで断線したり、チューブにマーキングさせてもらったり…流行のリカちゃん人形で遊ぶよりなんだか楽しかった。そんな女の子らしからぬ遊びを覚えたせいで、諸々分解したい衝動にも駆られ、怒られない程度の物は、とにかくねじを回しまくっていた~「女の子なんだから!」と何度言われたことか。今のご時世ならジェンダーギャップだのなんだのうるさかったことだろう。
そんな幼少時代が功を奏すことが度々ある。昨年畑用に買った30メートルの高速巻取り尺が、草刈りの最中マックス引っ張った途端、奥でブチっと切れてしまい「結構高かったのに!!」と意気消沈。高価なものだったし、とりあえず捨てずにぐるぐる巻きにして名古屋に送り返した。数日して巻き尺の切れた部分をよく見てみると、「これ、修理可能じゃない?」と、思ったときにはすでにドライバーでケースの解体を始めていた。問題は高速巻取りのからくり、そこだけ気を付けてメジャー部分を接着すれば多分直る。と確信し、おおよそ5分で修理完了。と心の中で万歳するもそこからが大変だった。写真を見ていただけばお分かりの通り、くしゃくしゃになった巻き尺を、正しく巻き取らなくてはいけない…30メートル分!!絡まった糸をほぐすよりはるかに労力を要する。オフィスで黙々と戦いながら、今日は社員が全員出払っていてよかったと気の遠くなる作業を延々40分ほど。1メートル1分かぁ。もう今日は働かない、でも修理できてよかった。と、さっさと店じまいして早退することにした。その巻き尺、今ではご機嫌な活躍ぶりで、この月末から連休にかけて大活躍してくれそうだ。
トラックがバック音を鳴らしながら、マンションの駐車場に入ってきた。配達員が、大きな段ボールを1つずつ下ろし、社宅部屋まで運ぶ。
「ありがとう、エレベーター無くてごめんね」
「いえ、2階ですから。で、組み立てなくてもいいんですか?」
右手でドライバーをかざし、ドヤ顔をして見せる。
「あ、頑張ってください」同情と、本当にできるの?な表情を浮かべて去っていった。
段ボールを手慣れた要領で開ける。組み立て家具は、中身の梱包方法にも法則があって、取り出しにも手間どらない。組み立て方法の印刷物を一通り見て、さっそく作業に取り掛かる。大概の家具にはそのねじ専用のおもちゃのような六角レンチが、申し訳程度についているが、私の場合はマイ道具。組み立て時間10分とあるけど、ごめん、1台5分で行ける。ストップウォッチかけてみるか…。携帯電話のストップウォッチをセットし、いざ組み立て開始。
ベッドなだけに歪や緩みは大敵。頑張って働いてくれる若者たちが、ゆっくり休めるよう頑丈に作らなければ。ある意味親心なのだが、どちらかというと、子供のために日曜大工を頑張るお父さんモード。普通の女子はこういう時男性に「できな~い、おねがぁ~い」と言うのだろうけど、実は主婦時代、当時の旦那に組み立てしてもらったら、ひどい出来で、というのも、どうやら男性って格好つけたいときは説明書も読まずに勝手に突っ走るようで、本当は「下手ねぇ~!お貸し!(※誤解無きよう、旦那は10歳年下だった)」とドライバーを取り上げたかったのだが、結局私が後でこっそり作り直したことがあった。
長く働いてもらうために、少しでも寝心地の良いベッドを作ろうと、無心にレンチを回して1台完成、ストップウォッチは6分少し過ぎている。まあ、出来は良いし、マットレスを置いて座り心地を確かめる…いい感じ。
来週には小型トラック一杯分の荷物を載せた、若者たちがやってくる。窓を開けて、心地よい春風を思いっきり吸い込んで(花粉症でないといいけど( ̄▽ ̄;))新しい生活をスタートしてほしい。
コラム2 【師、曰く】 No.23
妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)
ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメント、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を今回も一筆。
『 解釈力~その弐~ 』
田坂講義を共に受けたご同行、某社部長さんがお薦めの『運転者』(喜多川泰著)を拝読した。二日で読了した読み易い物語に、久々に心洗われる思いだった。毎号、田坂先生の言霊を反芻し、日々実践しているつもりでも、まだまだ未熟な修行の身。小説、フィクションなのに、この物語は素晴らしい説得力で、私の理解をさらに深めてくれた。
師、曰く『何が起こったのか。それが、私たちの人生を分けるのではない。起こったことを、どう解釈するのか。そのことこそが、私たちの人生を分けるのだ。』人生において、『解釈力』がとても大事だと言われる。
「師、曰く」No.05『解釈力』でも、同テーマを取り上げたが、再度語りたくなったのは、この物語によって、さらに心洗われたからだ。若い頃は、この解釈力の無さで実に多く苦しんだがゆえに、既述の言霊の意味をわかっていたつもりで、実践していることでもあった。しかし、心の奥底では、澱みが少しあったことも否めない。自身が努力して努力して、それでも結果として報われることなく、他の誰かが難なくその結果を得ている姿に、理不尽さを感じることはないか? そう問われたら、なんと答えていただろう。以前、理不尽と思えることが重なり、心乱れたことがあった。それを乗り越え、今では、「あのことがあったから、今の自分が在るのだな」と、素直に思っている。それでは、今は、努力が形として報われない時でも、ネガティブな感情に苛まれないか? と問われれば、疑問符がつく。田坂先生の言霊を、消化し切れていない。
そりゃ、努力したらその分だけ見返りが欲しい。人は誰しも、成功したいし、報われたい。努力したのに報われねば口惜しいし、失敗や挫折をしたとき、心乱れるのも自然なことだろう。しかし、この本を読んでいくうちに、消化し切れていなかった心の澱みが消えてゆき、視界が明るくなった感覚を覚えた。自分が今ここに生きているだけでも、先人のお蔭なのだと、改めて思えた。仮に、費やした努力の見返りが無いように見えても、例え、それで命尽きたとしても、その分、次の世代が少し幸せになる何かを残せたら、それで良いのだ。心底、そう思えた。田坂先生の前著『死は存在しない』で述べられていた、「私」とは何か?それと同じ視座で、人生や命を見つめたなら、報われない努力など、無いのだ。小説の内容の種明かしはできないが、この物語は、そんな大切な解釈力を改めて再認識させてくれたのだった。
「人生で起こること すべて良きこと」、「人生で起こること、すべて、深い意味がある」、「志とは、己一代では成し遂げることができない、素晴らしき何かを次の世代に託す祈り」数々の田坂先生の言霊を、心底納得させてくれる『解釈力』の物語に出逢えたことに、心から感謝。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.174
株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明
『 世界で最初に飢えるのは日本 』
鈴木宣弘著・講談社+α新書
我が国の食料自給率は三七パーセントと報道されています。しかし、種と肥料の海外依存度を考慮すると一〇パーセントに届かないのだそうです。「日本では野菜の種の九割を輸入に頼っている。野菜自体の自給率は八〇パーセントあるが、種を計算に入れると、真の自給率は八パーセントしかない」ことになります。
アメリカの思惑、GAFAMやアリババ、アグリビジネス大手などの目論見などが渦巻く中、「不測の事態に国民の命を守ることが『国防』とすれば、国内の食料・農業を守ることこそが防衛の要、それこそが安全保障だ」と警告を発します。そして、「食の安全や食料安全保障を取り戻すためには、日々の買い物の中で安くても危ない食品を避け、少しだけ高い地元の安心・安全な食品を買うこと、それだけでいい。そして、学校給食で子どもたちにリスクのある食品が提供されないようにしよう」と呼びかけています。
現代の食の問題を考えるには、ベストセラー『デジタル・ファシズム』の著者・堤未果氏の新刊『ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?』も必読です。