コラム2 【師、曰く】 No.9
妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)
ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメントの応用、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を、今回も一筆。
『 感性 』
職場の人間関係に悩む「人間関係の問題」、リーダーとして力を発揮できない「リーダーシップの問題」、必要な能力がなかなか身につかない「能力開発の問題」、キャリアの進路選択で迷っている「進路選択の問題」、人生の逆境の中で苦しんでいる「人生の逆境の問題」、これらの問題に処するとき重要なもの、それは、『感性』だと先生は言われる。
なぜ、感性なのか?人間関係に躓くときは大抵、自分にとっての真実で相手を裁いてしまい、相手にとっての真実を想像できないからだと。想像力、共感力の欠如。リーダーシップに躓くときは大抵、部下の無言の言葉に気づけないからだと。傾聴力、推察力の欠如。能力開発に躓くときは大抵、頭で考えようとするからで、心で感じ体で掴んでいないからだと。体得力、直観力の欠如。進路選択で躓くときは大抵、新たな環境で求められる声に気づけず、過去のやり方に固執しているからだと。感受力、変容力の欠如。人生の逆境を越えられないのは大抵、解釈を過つからだと。逆境を論理的に解釈するのではなく、絶対肯定の心で解釈し、自身が納得する物語を紡ぎ出す力が大切だと。解釈力、物語力だ。師、曰く、それら10の力は、いずれも広い意味での人間力。その人間力を身に着けることが大切なのだと。
では、どうしたら、その人間力が養われるのか?以前語った、死を見つめる方法、祈りを習慣にする方法や、他にも自然の声に耳を傾ける方法もあるが、今回はもう一つの方法をお伝えしたい。それは、様々な人格を育てる方法。人格は一つではない。人には、全ての人間が持つ様々な人格が内在する。その様々な人格を育てると、様々な感性が表に現れ、様々な才能が開花するのだと。人格は、決して好意的なものばかりではない。例えば、臆病人格もまた、大切な人格だ。なぜならば、臆病である者の心が理解できるから。つまり、人間関係での想像力、共感力に活かされる。「経営者として大成するのは、悪いことが出来て、悪いことをしない人間である」という格言にも通じる。
様々な人格を育てる為に、何をすればよいのか?それは、もし、あのような人生が与えられたなら、自分もあのような人格で生きたかもしれない、「可能的自我」を体験することだ。日常や小説からでも良いが、映画もまた、お勧めの方法だ。これなら実践し易い。但し、条件がある。人間の多面性を描いた作品、極限状況の人間を描いた作品が条件だ。「白いカラス」、「ソフィーの選択」、「ディア・ハンター」、ドキュメンタリー「サイゴン陥落」等々。実は、先生はかなりの映画鑑賞家。「カッコーの巣の上で」もお気に入りの一つ。
私も、人間を掘り下げた深い映画を沢山観よう。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
(飛騨民俗村 飛騨の里)
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