産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第236号 2022.01.31 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

令和4年1月度(第236号) 目次
【代表幹事年頭所感】
【3年11月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】 11月17日(水) 12時30分〜14時30分
【3年11月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 11月24日(水) 12時30分〜14時30分
【新会員自己紹介】
小島 由公香氏

エムアイシイー株式会社 代表取締役

【2月度産業懇談会のご案内】
【3月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.43
コラム2 【師、曰く】 No.8
コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.159
【お知らせ】
【代表幹事年頭所感】

 新春を迎えて

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 会員の皆様には穏やかに新年をお迎えになられたことと心よりお慶び申し上げます。旧年中は、同友会活動に多大なご尽力とご協力をいただき、厚く御礼申し上げます。
 賛否両論ある中で行われたオリンピック・パラリンピックからまだ数ケ月しか過ぎていませんが、かなり前の様に感じるのは私だけでしょうか?新型コロナ感染者数が3億人に近づき、死者数は5百万人を越えるパンデミックになったにも拘わらず、日常化してしまったかのようなコロナ禍に加えて、半導体不足やコンテナー不足によるサプライ・チェーン問題、岸田新政権誕生、民主党政権になり更に悪化するようにすら見える米中対立と米中に挟まれる日本の難しい立ち位置、世界的規模で進むカーボンニュートラルの動き、どの話題も短い紙面では語りつくせません。
 しかし、元には戻れないだろうと言う感覚の中でも、我々は前に一歩進まなければなりません。

写真:加留部 淳氏
代表幹事 加留部 淳

今年度の活動方針「with Corona after Coronaの時代をどう生き抜くか〜個人として、会社として、社会・政治・経済の観点から〜」を策定して1年間、会員各位と活動してまいりました。このコロナ禍でも予定通りに産業懇談会の全ての活動が出来たこと、ソプラノ歌手の下垣真希さんにお越し頂き、厳しい状況の中で素晴らしい歌声を聞きひとときの安らぎを味わえたこと、また、同友会の歴史上約20年ぶりに女性世話人がしかも2名同時に誕生したことなどは望外の喜びでありました。
 感染力の強いオミクロン株の出現で、また油断ならない状況ですが、鷹の目線と蟻の目線でコロナ禍を生き抜き、制約ある中でも、さらなる成長に向けて相互啓発と自己研鑽を「明るく、楽しく、元気よく」続けてまいりましょう。
 最後に、令和4年が平和で実り多い一年となりますよう、また会員の皆様のご健勝とご多幸を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。


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【3年11月度 産業懇談会(水曜第1G)模様】

テーマ:
第1部 『 りそなグループのご紹介 』
第2部 『 今後の世界の経済・投資・経営環境について
     〜景気再起動後の社会変革の姿〜 』


日  時:令和3年11月17日(水) 12時30分〜14時30分
場  所:名古屋観光ホテル 曙西の間
参加者:17名
スピーカー:

写真:内藤 暁彦氏

(第1部)
内藤 暁彦(ないとう あきひこ)
株式会社りそな銀行
名古屋営業本部長 兼 名古屋支店長

写真:黒瀬 浩一氏

(第2部)
黒瀬 浩一(くろせ こういち)
りそなアセットマネジメント株式会社 運用戦略部
チーフ・ストラテジスト / チーフ・エコノミスト


<第1部> 『 りそなグループのご紹介 』

■りそなグループのご紹介
 りそな銀行は、りそなホールディングスを親会社とする国内最大規模の信託併営銀行で、りそなグループは、リテールNo.1を目指す商業銀行として、グループ全体で個人顧客1600万人、法人顧客50万社と豊富な経営基盤を有している。りそなグループでは、銀行業務に加え、不動産業務、企業年金業務も取り扱っているが、特に企業年金の歴史は長く、約半世紀に渡って取り扱っている。業界トップとなった時期もあり、企業年金のりそなとも言われている。
 個人顧客のうち接点があるのは1割程度のため、その課題解決のためりそなグループアプリを開発した。スマートフォンにて24時間365日対応できるだけでなく、ライフイベントに寄り添ったユーザーコミュニケーションを実現した。コロナ禍による後押しで、他金融機関とも連携し、現在ではいくつかの銀行に提供するアプリ商品にまで成長している。
 りそな銀行の前身の協和銀行は、中部地域とのつながりが深い。大正11年に名古屋の3貯蓄銀行(伊藤貯蓄銀行、熱田貯蓄銀行、丸八貯蓄銀行)が合併して旧・日本貯蓄銀行を設立。さらに昭和20年に9行の貯蓄銀行が合併し日本貯蓄銀行を設立した。その後、昭和23年に商号変更したのが協和銀行である。その後、埼玉銀行と合併しあさひ銀行となり、大和銀行とあさひ銀行の合併を経て現在のりそな銀行が誕生した。
 りそなグループは、SDGsへの取り組みと経営戦略を統合した「SDGs経営」を実践し、環境・社会課題の解決に取り組み、2030年までにCO2排出実質ゼロを長期目標としている。SDGsに係る外部環境の変化に対し、コンサルタントや、講演など、様々なソリューションメニューも準備している。

<第2部> 『 今後の世界の経済・投資・経営環境について
                     〜景気再起動後の社会変革の姿〜 』

■自己紹介
 昭和62年に大和銀行に入行し、エコノミスト業務、資産配分に関するストラテジスト業務を経て、1999年に信託財産運用部(分社化により現りそなアセットマネジメント(株)運用戦略部)に配属され、現在に至っている。りそなアセットマネジメントは、株、為替、債券の資産運用会社である。報道ステーションや、ワールドビジネスサテライトなどのメディアでコメンテーターとして出演経験があり、最近では日経プラス9にも出演している。

■経済トレンド
 アメリカおよび日本のGDPと株価は、いずれもコロナ禍の2020年3月末に底値を付け、そのまま下がると予想されていたが、V字回復している。リーマンショックの時は、株価の回復に3,4年要したことを考えると、今回はうまくコロナ対策がなされたと考える。コロナが始まった時は、多くの学者は成長率の低下を予想したが、2020年の夏から株価の上昇を予想し出した。これまでの慣習から浸透しなかった様々な技術が、コロナにより急激に利用され始めたことで、企業の先見性に期待したからである。例えばweb会議システムは、過去より技術はあったものの、コロナ禍で一気に普及した。実は、自動車も開発後、すぐに普及したわけではない。自動車は戦前にイギリスで発明されたが、脅威に感じた当時の馬車業界が圧力をかけたのだ。極端な速度規制に加え、走行時には自動車の60ヤード前で、人間が赤旗を持って触れまわらなければならず、この法律が撤廃されるまでイギリスでは自動車が普及しなかった。一方ドイツは、馬車業界から自動車運転手に業種変更をうまく促し自動車産業の成功を果たした。市場が整ってはじめて産業の発展に繋がるのである。
 過去の感染症と経済の関係性を振り返ると、1920年のスペイン風邪は、第1次世界大戦の兵士の移動に伴い世界中に広まったが、戦争終了と共に収束し、自動車産業により生活形態も大きく変わり、様々な産業も生まれ、1930年代にバブルに突入した。ただ、日本のバブル崩壊同様、不良債権の処理を間違えたため不況を迎えてしまった。コロナ収束後、スペイン風邪同様に、新規産業発展により好景気が訪れるのではないだろうか。日本はコロナワクチン接種開始が、他国と比較して約1か月遅れを取ってしまった。ワクチン接種時の不手際を教訓に、経口薬の導入スピードは速くなると予測する。日本のワクチン接種率と経口薬確保は世界一であるため、今後の経済へのコロナの影響は楽観視している。
 ESGやSDGs由来の技術変革は、一時的な流行ではなく大きな文明の変化となるだろう。物が不足していた頃はインフレ傾向であったが、物が十分行き渡った2000年以降、デフレ傾向となり大量生産から多品種少量生産にニーズが変化した。しかしながら不足時代の大量生産・大量消費・大量廃棄を続けたため、その犠牲になったのが、地球環境、幼児労働、黒人差別などの人権侵害、女性蔑視など古くからの悪しき慣行である。今、世界中の多くの国がSDGsとESGの重要性を再認識し、「包摂的成長(inclusive growth)」へと舵を切り始めた。現在の株価上昇を、政府のばらまきによる過剰流動性市場であるとの声もあるが、商品市況から、これらの新規事業が原因であることが確認できる。
 アメリカでは消費者物価指数は5%と高いが、期待インフレ率は低い水準にあり落ち着いてきた。また、素材価格は上昇しているがコロナで製造業の売上、利益率は5%以上も上昇している。これはITやDXを用いた経営の合理化の成果であろう。技術革新が起こると、新規事業が数多く立ち上がるが、今、アメリカでは起業ブームで記録的に起業数が増えている。コロナ収束後の、新しい形の旅行ブームが予測され、2021年には90社も航空会社が起業した。物価が大きく上がると消費者はモノの購入意欲を無くす。そこで金融当局が利上げをすると、景気が悪化しつつも物価高になる事が懸念される。しかし、今の米国は物価上昇率から企業の借入金利を差し引くと大幅なマイナスだ。企業にしてみれば在庫の時価評価だけで利益が出る。米国で想定されている金利引き締めは、景気を冷ます程の物にはならないと想定される。
 中国はばらまきの影響で価格が予想以上に上昇したため、2020年秋には景気対策を打ち切った。現在、景気は減速しているが、意図的に減速させる手法であり、うまくコントロールできている。しかし、これ以上落とすと、意図しない失速が予測されるため、今後は景気上昇に舵を切るであろう。中国恒大集団など、問題も多いが、中国は問題解決能力も高い。気づかないうちに法律を変え、知らないうちに解決していることが多い。恐らく中国恒大集団問題も、まもなく解決するであろう。


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【3年11月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 100年以上続く いい会社の共通点
           〜その芯は? どうすれば?〜 』


日  時:令和3年11月24日(水) 12時30分〜14時30分
場  所:名古屋観光ホテル 曙西の間
参加者:22名

スピーカー:
北川 幸一(きたがわ こういち)
トゥモローブレイン株式会社
代表取締役

写真:北川 幸一氏

■自己紹介
 1982年にソニー一宮(株)に入社し、6年半生産現場監督を行った後、マレーシアに赴任し、新工場の立ち上げ及び、マネジメント業務を行った。帰国後は、本社テレビ事業本部へ転籍し、海外工場の技術指導やテレビの製品設計、設計改革を6年行った。より良い製品を作るため、更に上流業務に携わりたいと商品企画マーケティングへ異動願いを出した。丁度薄型テレビの波にテレビ事業が大打撃を受ける直前の頃である。ソニーでも薄型テレビ開発強化の提案をしたが、ブラウン管で一世風靡していた中でその声は響かなかった。そうしている間にもテレビのシェアは1位から、3〜4位に転落していったのである。その環境変化での商品企画業務は遣り甲斐の反面で非常に苦しかった時期です。TOPブランドも油断や驕り、機を見誤るとブランドが失墜する怖さと影響を実体験したことは今に役立っている。
 父の他界に伴い、地元であるソニーEMCS(稲沢・幸田)に転勤した。商品設計、企画マーケティング時代に『顧客の顔が見えるモノづくり』ができない苦しみを抱えていた為、稲沢ではCS(カスタマーサービス)を希望した。当初は品質ロス削減によるコスト抑制と顧客損失防止に世界を走り回って品質ロスを削減したが、なかなか赤字脱却には至らなかった。答えは顧客接点にあると信じて、ソニーの技術者や作業者を教育し店舗で接客に立たせる『顧客の顔が見えるモノづくりプロジェクト』を始動させ、リーダーを務めた。
 この経験をもとに2014年に経営コンサルタントとして独立した。業務改革、風土改革を柱とし、企業の商品開発やマーケティング・販売、製品品質の支援を行っている。目指すところは『顧客視点で顧客満足/顧客感動を目指す人づくり・風土づくり』と、商品企画から販売までの幅広い実務経験を活かし『琴線に響くモノづくり』支援で日本を元気にすること、クライアント様が『顧客から選ばれ続ける企業・ブランドになる』『顧客が求める価値以上の商品・サービスを提供し続ける企業になる』人づくり・風土づくりのお手伝いをしている。

■「顧客の顔が見えるモノづくり」プロジェクト
 ソニーの経営理念は、創業者の設立趣旨書に記載されている「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」である。これこそがソニーの活力の源であり、長年会社が継続できた主因であったが、昨今は消費者の価値観が変化し多様化が進んだ結果、ソニーの技術志向が市場価値にマッチしなくなってきていた。例えば、昔は技術者と市場年齢が近かったため、技術者の欲しい物の商品化でヒットし利益を上げていたが、近年は年齢や価値観にズレが生じてきた。更にソニーは直営店舗が無く顧客接点が無いため、だんだんと顧客の顔が見えなくなってきていた。これを改善し全員野球で取り組むことがソニー復活の鍵であると、考える様になった。
 復活の光明探しの為に、2009年に広島の家電量販店で自ら接客を行った。売場で顧客視点の意識や行動を一つ一つ検証しながら接客し、お客様と向き合っていくと、自然と自分に接客して欲しいと列ができ、結果、ソニーの接客スタッフ歴代1位の売上でテレビ販売を終えた。その時の検証結果や吸い上げた顧客視点での問題をソニーに持ち帰り、顧客視点の製品改良や生産方法等の改善に繋げ成果が出た。それにより「技術者に顧客視点と熱意を持たせて全員野球をすれば復活できる」と確信に変わり、この活動をソニーの技術者や作業者にまで広げるプロジェクトを始動した。まずは近場から始まり、社内の信頼を勝ち取ると全国にこの動きが広まり、累計300人以上の社員が店頭に立つようになった。テレビだけでなくカメラも同様の取組みを推進した。更にはアメリカの店舗にまで広がり、売り上げ上昇、ファン創りに大きく貢献した。この取組みの最大の効果は、取組んだ社員は皆、顧客と直接目を合わせ、お客様の笑顔と感謝の言葉を受け取ることで最大のモチベーションアップとなり、『自分は誰からお金を頂戴しているのか』『何のために仕事をしていたのか』を再確認し、帰って来た時の社員の目の輝きが変わっていたことである。
 2011年の震災で、ソニー仙台事業所も被災した。避難所にいた社員のうち、有志39名にプロジェクトに参加してもらった。電気が途切れた工場の食堂で陽の光の下で研修を行い、東北全土の店舗へ派遣しソニーのモノづくりを伝道してもらった。震災から2か月、派遣した全員の目の輝きが変わり「生きがいを見つけた。活力を得た」と言ってもらえた。この経験から、人の人生に携われる仕事がしたいと思うようになり、その3年後に独立した。

■コンサルタントから見る会社経営のポイント
 会社経営をするにあたって長期視点で最も重要なのは『ファン創り』である。一般的に収益の80%は、20%のファン(生涯顧客)によるものだ。私が利用するタクシー会社では、顧客接点サービスを重視した社員教育によってできた固定客により、コロナ禍でも大きな影響はなかったそうだ。ファン創りのポイントの一つは、製品・サービスに接する最初の第一印象を徹底的に磨くことである。その後では巻き返そうにもロスが大きいからだ。また、顧客接点である不具合対応に対しスムーズに応対できるかも、ファン創りのポイントである。
 会社経営における、もう1つの重要なポイントは、利益感度分析である。売価の原理原則は、顧客が決めることである。物が不足し大量生産による同一性が求められる時代では、品質と価格だけが判断基準だったため、価格競争になっていた。しかし、物や情報で溢れ多様な価値観の現代消費者にとって、商品・サービスの選択判断基準はモノからコトへ移行、スペックではなく「何に役に立つのか」「何が楽しいのか」等の顧客ベネフィット(価値)である。価値観の判断も良い/悪いではなく、自己の感性に合う/合わないである。これに気づき、顧客視点で顧客のベネフィット(価値)を考え続けることが重要である。例えば、望遠鏡の製作販売会社は、「望遠鏡を作る会社」から、「星を見せる会社」へと理念を変え、「星を見ることは楽しい」を徹底追及した結果、星空ブームを牽引する会社に成長している。手段や目に見えるものであるWants(要求)ではなく、ゴールや最終目的であり目に見えないNeeds(要求)を追求すべきである。例えばお茶を買う人は、お茶が欲しいのではなく、ヘルシーに喉の渇きを潤したいのである。「工場では化粧品を作り、店舗では美しくありたいという希望を売る」というような視点で考えなければ、ただの価格競争になる。

■100年続く老舗企業の共通点
 コンサルタント立ち上げにあたり、数年かけて老舗企業をベンチマークした結果、長く続く企業の秘訣は、一言でいうと、近江商人の「三方よし」である。重要な5つの経営要素は、「顧客と取引先を大事にしながら共に成長するということ」「従業員、後継者に対する人財育成」「長期持続的な競争力を生み出す、自社の強みに拘っていること」「地域社会とともに歩む」というスタンスが経営理念に入っているかどうか。その理念の中心に、顧客、従業員、取引先の信用・信頼のシンボルであり「自社らしさ」を表す『ブランド』、いわゆる『暖簾』に最大の重きをおいていることである。5つ目はこれらの経営要素の中で、顧客視点を幹とし、幹がぶれない経営方針が老舗企業の共通点であった。良い会社づくりは実り多き、太い幹と、それをはぐくむ土壌作り(風土)こそが、重要な成功要件だったのである。
 風土の土壌改革では、トップダウンではなく、社員の中から火種を作らないといけない。火は下から燃え広がるものである。推奨する手法は、実際に経営課題解決のための、組織横断の若手プロジェクトをいくつか立ち上げることである。若手社員が組織のあちこちで、ボソボソと火をつけていってくれる。ただし、最初の動機付けはトップダウンでもスタートまでに内発的動機付けに変化させること。「やれるかも」と思わせることが肝要。
 一方、行動を変えるための業務改革は、トップから風を起こし、火を燃え広がらせなければならない。企業理念やブランド、ビジョンの再構築と浸透が必要である。トップダウンといっても成功の秘訣は、最終決定しないことである。トップが指針を固めた後、各部署の選抜者で委員会を作り、会社のビジョンや方針やスローガンを立てるのである。自部署の選抜者がその場に参加して造り上げたものであるため、変革の「自分ごと」感が増し、無下にはしなくなるのである。そして同時に、上司やトップのコメントの本質や言葉の裏側を、社員がきちんと理解し行動するトレーニングも必要である。また、各種の人財教育のポイントは研修ではなくトレーニング(訓練)であるべき。吉田松陰の松下村塾の掛け軸に掲げ勝海舟も多用していた名言、「知行合一」という言葉があるが、人の成長は知識を身に着けたらすぐに行動に移すことで、初めてその本質を理解しようやく体得できるのである。私の指導経験も含め、座学だけ表面的な研修のみを受講し「分かったつもり」になることで、その人は二度とその本質の学びの機会を持たない。その事から当社の人財育成支援は「知識(研修)と行動(実践)」は一対、「実戦ベースでのトレーニング」を基本としている理由です。例えば、事業計画の策定・落し込みにおいては、企業トップの考え方を使って、トップの言葉の本質・裏側を紐解きながら、実際の事業計画書を作成する研修と実践ワークショップを対で行っている。
 柱がぶれず、下から火が燃える風土・土壌があれば、トップの変更、時代による事業転換があってもぶれない事業経営ができるのだ。


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【新会員自己紹介】

写真:小島 由公香氏
火曜グループ

小島 由公香(こじま ゆきこ)
エムアイシイー株式会社
代表取締役

【エムアイシイー株式会社】
〒456-0074 名古屋市熱田区比々野41-1-805
TEL:052-671-7180
URL:http://www.mic-japan.com

 このたび火曜会に入会いたしました、エムアイシイー株式会社の小島由公香と申します。
 どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 我社はAIを導入した医療機器翻訳、およびシスコシステムズやGoogleなど各種IT関連企業に、データベース活用のUI翻訳やドキュメント・ヘルプなどのテクニカルドキュメントを提供致しております。
 様々なコンピューターソフトや各種CAT、および独自開発ツールを駆使して、クラウド上で世界各国の企業と繋がり、小さな会社ながら膨大なデータベースを各社とシェアし、ローカリゼーションサービス(テクニカルトランスレーション)というジャンルで、世界各国最先端の技術開発を陰ながら支えております。
 今後も日本のDXの発展に関して、このような技術的側面から少しでも貢献していけたらと思っております。

【略歴】
1976年 南山大学外国語学部英米学科卒
1978年 CISV海外派遣デリゲーションリーダー(米国)
1979年 東海クラシックゴルフトーナメント アテンド通訳
1990年 エムアイシイー株式会社 設立
1995年 日本IBM、オラクル、SAP社等取引スタート
2000年 ローカリゼーションサービス(UI変換・コンテンツ・ヘルプのドキュメント制作)をスタート
2001年 データベースおよび各種マクロやCATを駆使し、SLV(英語から日本語化へのシングルランゲージべンダー)として世界各国IT系企業のドキュメントを取り扱う
2004年 東京オフィス開設
    (2020年3月:新型コロナウイルスのため、東京オフィスはリモートに移行)
2010年 エムアイシイーメデイックス株式会社設立
    医療関連AI翻訳および医療機器ドキュメント制作のジャンルに進出
2004年〜2018年 世界各国のローカリゼーションカンファレンスに参加

【家族】配偶者と長男
【趣味】ゴルフ、美術鑑賞、音楽、歴史
【加入団体】

  • 中部経済同友会
  • 中部経済連合会
  • 日刊工業新聞社 産業人クラブ(理事)
  • 名古屋アイリスロータリークラブ

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【2月度産業懇談会のご案内】

 2月度産業懇談会につきまして、全てのグループで延期することにいたしました。

 オミクロン株急拡大による感染リスクを鑑み、より斯かる判断をさせていただきました。
 会員の皆様におかれましては事情をお汲み取りいただき、ご理解賜りますようお願いいたします。

 延期日は、4月以降を予定しておりますが、改めてご案内いたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

中止
2月1日(火)
12:30〜14:30

『再生可能エネルギー熱や未利用熱を利用したヒートポンプによるカーボンニュートラルやSDGsに向けた取り組み』(仮題)
ゼネラルヒートポンプ工業株式会社 
代表取締役 柴 芳郎 氏

名古屋観光ホテル
集合・食事
18階 伊吹の間
講演
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

中止
2月16日(水)
12:30〜14:30

『高齢社会を迎えた日本が選択する道
        〜社会保障改革の観点から〜』(仮題)
衆議院議員
橋本 岳 氏

若宮の杜
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間
水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

中止
2月2日(水)
12:30〜14:30

『感動と失望の海外駐在について』
安藤株式会社
取締役社長 安藤 仁志 氏

若宮の杜
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間
木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

中止
2月4日(金)
12:30〜14:30

『大人のお酒講座』
一般社団法人日本バーテンダー協会
中日本統括本部 愛知県支部長
代表評議員 谷口 耕一 氏

若宮の杜
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間

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【3月度産業懇談会のご案内】

 3月産業懇談会は下記のとおり実施いたします。
 定員は引き続き、先着25名を目安に、会場収容人数の50%となるよう運営します。
 緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が適用された場合は、昼食の提供を中止致します。
 何卒、ご理解・ご協力賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

3月15日(火)
12:30〜14:30

『中小零細企業における新型コロナウィルス感染症の影響と展望』
株式会社トリニティホールディングス 
取締役社長 四元 圭 氏

名古屋観光ホテル
集合・食事
18階 伊吹の間
講演
3階 桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

3月16日(水)
12:30〜14:30

『トヨタの現場力向上に向けた人材育成』(仮題)
トヨタ自動車株式会社
グローバル生産推進センター人財育成室
主幹 青山 松季 氏

名古屋観光ホテル
集合・食事
2階 曙東の間
講演 
3階 桂の間
水曜第2グループ

大倉偉作
香川裕子
高見祐次

3月2日(水)
12:30〜14:30

『長寿命化再生建物で金融・不動産評価を変える
〜ライフサイクルコスト削減で
       日本の暮らしを豊かに〜』
ナグラ産業株式会社
代表取締役 名倉 昌孝 氏

若宮の杜
迎賓館
集合・食事
2階 桜の間
講演 
1階 橘の間
木曜グループ

河村嘉男
中林直子
吉田憲三

3月3日(木)
12:30〜14:30

『新幹線地下街エスカ50年の歩みと地下街よもやま話』
株式会社エスカ
取締役社長 広井 幹康 氏

名古屋観光ホテル
集合・食事
18階 伊吹の間
講演 
3階 桂の間

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.43
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 ひとり『プロジェクトX』その2 』

 あけましておめでとうございます。
 今年の干支は壬寅。徳川家康の生まれ干支、でもって私は還暦。
 思い起こせば、成人してからほぼ10年サイクルで様々なことにチャレンジしてきた気がする。
 20代は大学卒業後、家出同然で上京しマスコミに飛び込んだ。30代はバブルが弾けて単身フランス留学。

トラの置きもの
我が家のトラ娘

40代は再度大学で栄養の勉強を始め起業。50代は実家の承継とオペラのレッスン復活。そして生まれ変わりの60歳、今年から始まるチャレンジは「サンクスワイナリー」。

 朝、中富良野の歩道に30cmほど積もった雪を、誰かが残した足跡を辿りながら、半分ラッセル状態で役場前に到着する。この辺りは車の通りも多く既に除雪も終わっているのだが、逆に歩行者は良く滑る。私もご多分に漏れず役場玄関を目の前にして2度尻餅をついた。
 体についた雪を払いながら役場に入り、どの部署に行こうかと案内板を見てみるも、農業関係の部署がいくつかあって、町からやってきた他所モンには全く理解できず、とりあえず一番近くにあった「農業委員会」に向かう。通常なら事前にアポを取って誰とコンタクトするか決めてゆくのだが、この度の企画はすべてが「飛び込み、突撃」で成果を上げている。つまりスマートさや合理的な方法より「目の前の人間力」が何よりの武器になると考えていた。それは又、去年秋に北大を訪ねた時、教授陣と話して確信したことでもあった。「所詮北海道も他所モンの集まりだけれど、自分たちの力で大地の開拓を成し遂げてきたプライドがある。」訪ねる側にそんなつもりはなくとも、いきなり都会から金庫をぶら下げてやってくる、上から目線を感じるような訪問は、決して有効ではないと助言を頂いていたが、まさにそんな展開が目の前で繰り広げられようとしていた。
 他所モンの上に農業などかじったこともないオバハンがいきなりやってきて「ワイナリーを作りたいのです」と都会の言葉で話し始める。警戒されて当たり前。森林を切り開きたいだの、周りの土地を数年かけて整備したいだの、応対してくれた女子に話していると、遠巻きにやり取りを聞いていた彼女の上司が強面でやってきて、
「農業免許はお持ちですか?」
でた!!これこそ北大で先生たちが言っていた決め台詞。正面袈裟懸け、一刀両断の威力を発揮する…のだが、私にとってはここからがスタートだ。さあ!正面突破の人間力(大して無いけど)がどこまで通用するかの真剣勝負。すかさず問い返す、
「農業免許取得にはどのような条件があるのですか?」
農業免許の発行は自治体単位で行うので、この場合は中富良野町の定めに乗っ取らなければならない。
「農業に従事した実績で判断します」
「何年間従事すればよいのですか?」
「えっと…そこまで細かい規定は特に無いのですが…農地所有者でないと」
「農地を所有するには農業免許が要るんですよね??」
怯まず質問を投げかける。そんなやり取りを少しばかりした後、私自身農業免許は持っていないが、隣の農場のオーナーが応援してくれていると、その名を出した途端態度が一変する。「そうなんですか!その農場はよく知っています」そこから話は問題解決に向けて知恵を出し合うという展開に変わっていった。よくよく聞くとこの農場オーナーは地域でも名の知れた名士で、地元にも貢献度が高く、後から聞いて笑ったのだが、強面担当者のお父さんとオーナーが同級生なのだそうだ。

帰り際、これからその農場に挨拶に行くのだと伝えると「名刺か何かもらっていいですか?」心の中でガッツポーズをする、(やっと来た!)。通りすがりの変わりモンのオバハンに、名前と素性が紐づく瞬間だ。
 「また何かあったら相談に来ます。よろしくお願いします」。深々と頭を下げ、タクシーを呼び農場へと向かう。(タクシーを呼ぶのも役場のお兄さんが親切に手伝ってくれた。良いご縁は一つ繋がると波紋の様に広がってゆくものだとつくづく実感)

写真:雪原1
どこが道なのかもさっぱりわからない雪原

 運転手に農場の名を告げると10km先の隣町にもかかわらずよく知っている様子で、タクシーは小雪の中を静かに進み始めた。ふと、亡き父に感謝する。こんな素敵なご縁を北の大地で繋ぐきっかけを作ってくれた。生前は憎らしいほどの道楽オヤジだったけど、そのオマケ(笑)は大当たりだ。窓の外に目をやると、辺りは白一色。どこが道でどこから畑なのか境界線がさっぱり判らない。山に差し掛かるとまるでスキー場のゲレンデに迷い込んだような風景が広がる。レンタカーを借りなくて良かったと安堵しつつ畑に到着した。

写真:雪原2
スキー場か??

 オーナーのワンコは、豆柴にポメラニアン。2度目の訪問を大歓迎してくれ、2匹を担いでお宅にお邪魔する。秋、北海道大学で先生たちと話したこと、出資を申し出てくれている友人たちのこと、そして役場でのやり取り、一通り報告すると一言。「面倒なことは考えず、そこの野っ原5町(約5ha弱)使っていいから、春になったらみんなで土堀に来なさい」。ここ最近、周辺の農場にはワイン用の畑を作りたいと帯広辺りから大小メーカーがやって来ているのだそうだ。オーナーの所にも近くのワイナリーからブドウ栽培の打診があったとか。「上の地主はどっかのワイナリーに売り払ったって、ウチとこはどうするんやって聞かれたけど、あんたの顔が思い浮かんだんよ」そう言うと、オーナー一家がほほ笑んだ。「賃借の契約とか準備します」と申し出ると「うちの畑がブドウ栽培に向いてるかどうかも分らんうちに、地代など貰えん。ものにならん畑で金貰っても詐欺になるから、ちゃんとブドウが収穫出来て何とかなりそうだったら考えよ」。
 身の引き締まる思いだった。春になったら誰より早く戻って来て、先生たちと事業計画作成に取り掛かろうと決意を新たにした。

 余談:翌日全身筋肉痛になった。尻餅2回は脂肪のおかげで青タンで済んだが、どうやら受け身はかなり力が入っていたようだ。

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コラム2 【師、曰く】 No.8
コラム【師、曰く】

妹尾 鷹幸(ペンネーム)
(株式会社構造計画研究所 名古屋支社長 妹尾(せのお) 義之)

 ペンネームは、恩師、田坂広志先生の多重人格マネジメントの応用、作家人格の名。心に鳴り響く言葉を、今回も一筆。

『 感謝 』

 前回の『瞑想』でも書かせて頂いたが、田坂先生の教えの柱は感謝と全託。「人生で起こることすべて深い意味がある」という言葉を幾度も耳にした。『人生で起こること すべて良きこと』の著書にもあるが、苦労や困難、失敗や敗北、挫折や喪失、病気や事故、それらの逆境をも含めて、深い意味があるという。そう言い切れる訳は、根底に天の導きという全託の思想があるからだ。成功者に見える田坂先生ご自身も、そんな逆境を体験されたからこそ、言葉に重みがある。No.3『人生の三つの真実』に書かせて頂いたが、田坂先生は30代の若かりし頃に死の病に絶望し、良きことどころか深い意味があるとさえ思えなかった経験がある。しかし、禅寺での体験から今を生き切ることを見出し、十数年以上も病とともに、行きつ戻りつのなかで生き、深い境地を得られたのだろう。人生で起こること、すべて天による導き、ゆえに良きことという深い境地に。

 しかし、私には逆境を「良きこと」と解釈するには違和感があった。逆境は嫌だ、良きことなどではない、そう率直に思ってしまう。実際、逆境に陥り、心が折れそうになることもあった。逆境など避けたい、順境のままで居たい。それは当たり前のことだろう。最近では、逆境を良きこととは言われず、「深い意味がある」と言われるようになったのは、たぶんそんな私達への配慮に違いない。だが、田坂先生は自身への逆境をも含めて、本心で良きことと思われている節がある。数年前、腰の病に、立つことさえ厳しい中、激痛をこらえ必死に講義されていたことがあった。その激痛の真っ只中でさえ、「病は福音なり」とすら言われた。講義を一時期休講にし、手術をするに至るまでの病だったにもかかわらず。余程の激痛の中でも、休講前の講演で控室に見舞った我々に、微笑みかけた慈愛に満ちた表情は、今も忘れない。

 人生起こること、すべて天の導きだという境地。そして、別の機会に書かせて頂こうと思っているが、天は逆境によって自分を成長させようとしているのだという解釈。それゆえに、人生起こることすべてに「感謝」。感謝することで、良いことが起きるとか、人から良く思われるとか、そんな解釈は一切無し。ただただ「感謝」だけがあるのだ。その境地に辿り着くことは、様々な経験をして、それを深く解釈し、体験としてこそ得られるものであろう。若い頃には、熱い思いやエゴで突き進むことも必要だろう。その度に壁にぶつかり傷だらけになり、時に成功し、時に失敗し、しかし、それさえも天啓なのだと思えるようになると、むしろ自然に「感謝」できるようになる。私もかつては、エゴの固まりみたいなものだったし、情熱にほだされて猪突猛進タイプゆえに、満身創痍の傷だらけでもあったが、54歳の今もエゴはあるものの、感謝と全託を多少なりとも実践できるようになり、奇蹟も体験させて頂けた。これからも感謝と全託を実践できるよう、修行してゆこうと思う。まだまだ入口、序の口に立っているに過ぎないが、一歩一歩、前に進んでゆきたい。修行は続くよ、どこまでも。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

写真:謹賀新年 ご健幸な一年をお祈り申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。 2022年(令和四年)正月 妹尾 義之 拝

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コラム3 【「ほん」のひとこと】 No.159
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 源頼朝の世界 』
永井路子著・朝日文庫

 一流の歴史小説家によるエッセイ集です。学者の書くものとは一味違い、読み易く訴える力の強い文章です。

 全体は3部構成で、第1部にあたる「頼朝とその周辺の人びと」では「源頼朝」「北条政子」「比企尼と阿波局」「頼家と実朝」「北条義時」が、第2部にあたる「逞しき東国武者」では「三浦一族」「伊豆の軍団」「武蔵七党」が、第3部にあたる「西国の権謀家たち」では「後白河法皇」「源通親」「後鳥羽院と藤原定家」が取り上げられています。

 この本は、今から40年も前に中央公論社から出されたものですが、文芸評論家の細谷正充氏は、解説で次のように述べています。「現在、歴史研究はもの凄い勢いで進んでおり、本書が刊行された頃とは、隔世の感がある。だが、それだからこそ、作者の歴史に対する見方の先進性に驚くのだ。たとえば、乳母の力。「比企尼と阿波局」を読んで、この時代にここまで乳母の役割に踏み込み、歴史を解釈していることに仰天した。今読んでも、実にスリリングである」。

 今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の、恰好の手引ともなるでしょう。

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