<住谷安彦氏によるご講演>
■自己紹介
1984年に京都の大学を卒業後、大日本インキ化学工業(株)に入社し、グラビア営業部に配属された。グラビア印刷とは食品パッケージなどのプラスチックフィルムなどに印刷する手法のことをいうが、2014年まで営業一筋に、京都、大阪、九州、上海など様々な地域に異動したが、名古屋には2019年より赴任している。
いろいろな趣味があるが、旅行では、東海道五十三次を、京都の三条大橋から日本橋まで歩いて制覇した。落語鑑賞、音楽鑑賞、映画鑑賞の他、写真も好きで、丸八会の写真の会にも入会している。ゴルフの平均スコアは100程度で、競馬は約30年やっているが赤字である。一方、10年前に始めた一口馬主では、6頭の成長を見守ってきたが、現在所有している馬は予想以上にレースに勝っている。共通の趣味の方はお声がけいただきたい。
■DIC株式会社紹介
1908年に、川村喜十郎が川村インキ製造所を創業した。1962年に、社名を大日本インキ化学工業(株)に変更し、2008年4月の創業100周年を機にDIC(株)となり今日に至っている。
喜十郎は、従来の方式より高品位な印刷が可能な、オフセット印刷が日本に伝えられると、1914年には専用インキの開発に取り掛かり、なんと1年で開発・製造に成功させた。
その後も、有機顔料の自給生産の開始や、合成樹脂事業の外資合弁会社を設立するなど、化学メーカーとして大きく踏み出した。近年では液晶材料メーカーや、サンケミカル社のグラフィックアーツ材料分野を買収。太陽ホールディングスと資本業務提携し、エレクトロニクス分野へも進出した。2021年、欧州化学メーカー最大手のBASFの顔料事業を買収し、顔料分野では世界1位となった。
創業以来、幅広く分野を拡大し、世界62ケ国173社のネットワークを活かした、グローバル企業となっている。
名古屋支店は錦三丁目にあり、40名の所帯である。EP営業GはPPSという耐熱性と耐薬品性に優れた難燃性プラスチック原料を取り扱っており、これも世界シェア1位である。土地柄、約60%は自動車向けである。EV化に伴い、PPSの使用量が増加するだろう。
■インキ事業紹介
パッケージ包装には、表刷りと裏刷りがある。表刷りは、文字通り表から印刷する手法であるが、耐摩擦性や耐油性などを付与した品質設計になっている。食パンや、野菜のフィルムなどに使われており、インキに光沢が必要となるなど、単純に見えるが技術的に難しい。
一方裏刷りは、フィルムの裏側に印刷するため、フィルム自身の光沢を利用した綺麗な発色が可能である。印刷後、フィルムやアルミを貼り合わせて色々な機能を付与する。
スナック菓子やレトルト包装材に採用されている。ペットボトル用ラベルにも裏刷りがあり、収縮させてボトルに密着させる仕様もある。
缶コーヒー、缶詰、歯磨き粉チューブ、一斗缶、王冠など、金属用インキやニスも扱っている。金属板にニスを塗った後、金属に直接印刷し、上から再度ニスを塗っている。
その他、タバコや菓子箱などの紙用インキも扱っている。新聞向けインキとしては、全国で主要新聞社にDIC製インキを導入いただいている。
<岡 紗智子氏によるご講演>
■カラーセミナー、ワークショップのご紹介
色を通じた地域活動の一環としてカラーセミナーやワークショップも行っている。
製品開発時のカラーマーケティングは重要である。例えば好みの色が青だった人の場合、扇風機のような小型家電は好みの色、もしくはそれに近い色が選ばれることが多いが、冷蔵庫のような大型家電を選ぶ場合は青ではなくキッチン空間に溶け込む色が好まれる。
また、自動車を選ぶ場合も青ではなく、飽きない色が好まれる。
カラーマーケティングを考える際、人や物、時代によって、色の好みは変わる事を考慮する必要がある。また、色自体にも人に与えるカラーイメージがあり、赤は興奮や情熱などのプラスのイメージと、逆に怒りなどのマイナスイメージも与える。DICでは、色と認知体系を組み合わせた、定量的な統計分析により、イメージを多角的に把握する手法であるDCAMを提供している。入門編はDICカラーデザイン社のHPに記載しており、参考にしていただきたい。
DICでは1968年より、色見本帳「DICカラーガイド」の販売を行っている。10年ほど前より、工場の統廃合などで不要になったカラーガイドを使ったカラーワークショップを、名古屋三越にて定期的に行っている。カラーガイドには2230色もの色のバリエーションがあるため、色鉛筆では出せないアートが楽しめるとして、年齢性別問わずとても好評である。
<住谷安彦氏より関連事業ご紹介>
■DIC スピルリナ
スピルリナはらせん状の微細な藻の一種であり、地球最古の生命体ともいわれている。
DICでは1972年より研究を開始しており、年間900トンのスピルリナを生産している。ベータカロチン、たんぱく質、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、マルチサプリメントとしても販売されているほか、抽出したフィコシアニンと呼ばれる青色色素は、天然着色料としてソーダアイスの着色にも利用されている。フィコシアニンには、肌のバリア機能を高める役目もあり、機能性表示食品としても販売している。
<池上佳隆氏より関連事業ご紹介>
■DICプラスチック株式会社 ヘルメット事業紹介
DICプラスチック(株)はDIC(株)の100%子会社であり、1950年代よりヘルメットの製造販売を行っている。軽くて、通気性が良いヘルメットや、折り畳み型ヘルメットなどが好評で、シェアは約20%を誇っている。
折り畳み型ヘルメットの開発を始めるきっかけは2011年の東日本大震災であった。震災前より、企業各社はヘルメットを社内配布していたが、実際の震災時に使用された事例は少なかった。倉庫にまとめて保管していたため、取りに行けなかったり、身近に備えていた折り畳み式でも、外観が奇抜であるがために使用しにくかったというのが理由である。
DICプラスチック(株)では、2013年秋に「IZANO」を開発・発表した。折り畳み式であるものの、ヘルメットとして違和感のない形であるため、実際に利用いただきやすくなった。また飛来落下物対応だけでなく、墜落事故時を想定した後頭部と前頭部に対する保護機能を持たせることにも成功した。
2021年6月に更に改良した「IZANO2」を、開発期間3年を経て発表した。62mmまで折りたためるため、出張用のビジネスバックにも収納可能である。さらに、頭周りのサイズ調整機能により、小学校低学年から大人まで使用可能であるのも特徴的だ。また内装部品が交換可能となり、コロナ禍の中で需要は伸びている。
<星 信幸氏より関連事業ご紹介>
DIC(株)の関連会社である、(株)ルネサンスでは、愛知県でスポーツクラブを4店舗運営している。星課長の指導のもと、参加者全員でシナプスソロジーの体験を行った。シナプスソロジーとは、2つのことを同時に行ったり、左右異なる動きを行うなど、慣れない動きで脳を混乱させ、刺激を与えることで、脳の機能を高め、集中力を向上させる運動である。参加者は皆さん、笑顔で楽しまれていた。