産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第225号 2021.2.26 発行

メールマガジン■産懇宅配便■

令和3年2月度(第225号) 目次
【3年1月度 「代表幹事講話」ならびに「40周年記念セレモニー」】 1月15日(金) 17時30分〜19時10分
【3年2月度 産業懇談会(火曜G)模様】 2月9日(火) 12時30分〜14時00分
【3年2月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 2月10日(水) 12時30分〜14時00分
【3月度産業懇談会のご案内】
【4月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.32
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.148
【お知らせ】
【3年1月度 「代表幹事講話」ならびに「40周年記念セレモニー」】

テーマ: 『 コロナ禍の創業100周年に想うこと 』
            〜過去・現在、そしてこれから〜


日  時:令和3年1月15日(金)
      講 話:17時30分〜18時30分
      40周年記念セレモニー:18時45分〜19時10分
場  所:
ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋
      7階 ザ・グランコート
参加者:67名
写真:盛田 淳夫氏

スピーカー:
盛田 淳夫(もりた あつお)
中部経済同友会 代表幹事
敷島製パン株式会社 代表取締役社長


■敷島製パンの創業について
 1920年6月8日に「食糧難の解決が開業の第一の意義であり、事業は社会に貢献するところがあればこそ発展する」を創業の理念として、名古屋の地で創業し、本年100周年を迎えた。偶然か、歴史の必然か、当社が創業した100年前も同じような社会環境にあった。
 創業の2年前、1918年の春にスペイン風邪が発生、創業の前年1919年の春までには日本でも45万人が死亡したと伝えられており、当社創業のきっかけとなった米騒動もその様な社会環境の中で起きた事件だった。その意味でも、創業時の理念に改めて思いを致し、創業100周年にあたり新経営理念を制定した。

■経営で大切にしていること
 社長就任以来、「会社は社会から生かされている」という考え方を基本として持っている。お客様に買って頂く1個100円のパンの日々の積み重ねで会社は成り立っており、お客様=社会に背を向けて会社は存続できない。お客様がパスコの製品・サービスに不満に思っていることがあれば、その不満を解消する努力をしなければならない。
 「事業を通じて社会に貢献していく」という理念に則り、コロナ禍において、マスクや消毒液など様々なものが売り場から消えていく中でもパン売り場にはいつも通りパンがあるという日常風景を支えることで、人々の不安を和らげることで我々は社会に貢献できているのですよと社員を励ましていた。

■現在の市場の変化
 国内のパン市場は生産年齢人口の減少で長期的には縮小傾向にあるが、高単価なプレミアム商品のヒットやパンの夕食需要の増加、外国人人口の増加などの市場拡大要因により微増推移の予測である。
 現在の市場変化を「10年サイクルで変化する流通」の側面からみると、1953年の日本初のスーパーマーケットの誕生を皮切りに、1970年代以降に全国展開する大手量販チェーンやコンビニの台頭が始まった。1980年代には特定の分野に特化した「カテゴリーキラー」が出現し、1990年代に勢力を拡大した。一方、大手量販店は徐々に失速を始め、2000年代に大企業への吸収合併や子会社化の動きが加速された。EC業態では2014年に国内小売業ランキングのTOP10に入ったAmazonが2018年にはTOP3へと急成長し、スーパーチェーンを買収するなど存在感を増しており、小売業界は戦々恐々としている。好調だったコンビニも近年は成長に鈍化が見られる。店舗数を増やして売上を拡大する戦略に限界が見え、再編や海外展開を強化する動きが活発化している。国内小売業で急成長しているのがドラッグストアだ。食品売上高が伸長しており、食品スーパー買収の動きもある。食品メーカーにとってドラッグストアは取引先としての重要性が増している。コロナ禍では、都市部のコンビニや百貨店が苦戦する一方で、巣ごもり需要によりスーパーやドラッグストア、ホームセンターの売上が好調であった。
 「消費者の変化」の側面からみると、かつては専業主婦世帯が主流であったが、現在は共働き世代が主流となり、この40年でその比率は完全に逆転した。また、世帯構成も生涯未婚率が上昇し(男性で4人、女性で5人に1人)、3世帯に1世帯が単身世帯となっている。もう一つ特徴的なのが女性のライフコースの多様化であり、マーケティング的には目が離せない変化だ。かつてマーケティングにおいて、対象の顧客は人物像に幅を持たせて設定し「ターゲット」と言っていた。しかし、近年は人物象をリアルに設定した「ペルソナ」とういう考えに基づき製品開発をする必要がある。

■「OODA」ループで経営を回す
 環境が激変する現在、従来の「PDCA」のサイクルを回すだけでは変化に対応できない。判断と決断をいかに早く適切に回すかを考える場合、「OODA」ループが最適ではないかと考える。「OODA」はObserve(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意志決定)、Action(行動)の4つの頭文字であり、戦闘機パイロットの行動を分析し導き出された理論である。即ち、「即断即決」で俊敏にアクションを起こすことが重要。

■Pascoの取り組み(SDGs、D&I、DX)
 事業を通じて社会貢献をするという当社の考え方とSDGsの考え方に親和性があると思っている。2019年に経営層による「SDGs100年委員会」、若手社員による「SDGs更なる貢献プロジェクト」、全従業員を対象にした「SDGs理解浸透プロジェクト」のSDGs3本柱プロジェクトを始動した。
 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)では2030年9月の女性管理職比率30%や男性育休100%取得宣言など目標の具体的KPIを設定し、様々な制度の整備、取り組みを行っている。
 DXの取り組みでは売場に設置した「デジタルサイネージ」による販促策やLINEを活用したプレゼントキャンペーンなどを行っている。また、コロナ禍前からリモートワークの導入に向けた整備を進めており、緊急事態宣言時にはリモートワーク用パソコン300台を配布し、スムーズにリモートワークに移行ができた。ペーパーレス化にも取り組み会議資料、稟議書の100%電子化を実現している。

■国産小麦使用の取り組み
 日本の食料自給率は2019年時点で38%と半世紀の間に30%も減少している。その中で小麦の自給率は更に低くわずか3%となっている。更に、世界的な不作や輸出規制の影響を受けやすく、安定供給の観点でも問題がある。このコロナ禍において各国が国内の食料安全保障を優先した輸出規制を行っている。また、国内では気候などの影響でパンに適した高タンパク質の強力小麦の自給率は低い。その状況を打破したのが新品種の超強力小麦「ゆめちから」である。当社では現在10%前後の国産小麦使用率(10年前まではほぼゼロだった)を2030年までに20%に増やことを目指している。

■これからに向けた挑戦
 世界人口の増加により、2030年頃には世界的にタンパク源が不足する「タンパク質危機」が起こると予想されている。国際連合食糧農業機関(FAO)は2013年の報告書で環境負荷が少なく、持続可能なタンパク源として「昆虫食」を推奨している。当社も高崎経済大学ベンチャー「FUTURENAUT」と協業し、食用コオロギパウダーを使った製品開発を進めてきた。昨年12月に、Pasco未来食Labo「Korogi Café」シリーズとしてバケットとフィナンシェを発売した。コオロギはタイで養殖をしているが、養殖に適した環境、短い出荷サイクルに加え、労働負荷が小さいため女性や高齢者でも取り組みやすい。そのため、貧困をなくすことや産業技術革新、人や国の不平等をなくすなどSDGsの観点ともマッチしている。ありがたいことに様々なところで反響をいただいており、今後も新製品の開発も含めて取り組んでいく。

 講演会終了後は、産業懇談会40周年を祝し、記念セレモニーを開催した。
 永年にわたり産業懇談会の世話人を務め、会の運営、発展に多大な貢献をしていただいた世話人5名に感謝状を授与。更にサプライズとして世話人全員に似顔絵をプレゼントした。コロナの影響で恒例の新年合同懇親会は中止としたが、久しぶりに会員同士の懇親を深める有意義な場となった。

写真:感謝状授与 世話人集合写真

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【3年2月度 産業懇談会(火曜G)模様】

テーマ: 『 当社の取扱い医療機器の動向とPCR検査について 』


日  時:令和3年2月9日 (火) 12時30分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 曙西の間
参加者:22名

スピーカー:
落合 穣 (おちあい ゆたか)
株式会社 中部メディカル 代表取締役

落合 穣氏


■当社について
 昭和38年9月、三重県四日市市にて島津製作所の医療機器を取り扱う会社として創業した。現在はX線撮影装置やCT、MRIなどの医療用画像診断機器、放射線治療装置の販売及びメンテナンス、X線非破壊検査装置の製造販売を行っている。医療用の自社商品として、放射線治療に用いる「フィールドマーカー」やデジタルマンモグラフィ品質管理ツールセット、PET撮像用マンモクッション、X線乳腺組織画像表示装置を製造販売している。
 本社工場やテクニカルセンターの他に、8mmの鉛で覆われたX線照射実験室やクリーンルームなどの設備を備えX線実験の研究開発のサポートをしている。
 直近では開業医向けに4検体の検査が可能な島津製作所製のPCR検査機(遺伝子解析装置)の取扱を開始した。

■医療機器の市場動向
 医療機器の国内市場規模は増加傾向にあり2015年に2兆7千億円を超え、現在は3兆円規模の市場となっている。国内は治療系医療機器の市場が大きく、伸び率も高くなっている。グローバルの市場規模は3,362億ドル(2016年)で日本は米国に次ぐ世界第2位の市場規模である。しかし、中国やアジア地域市場の急速な成長が予測され日本の地位は相対的に低下すると危惧されている。医療機器メーカーの売上規模を見ても上位は欧米系、特に米国企業が多くを占めており、日系企業は国際競争力に課題がある。

■医療機器の分野別国際競争力
 日系企業は超音波画像診断装置やMRI、CTなどの診断機器分野で一定の国際競争力を有している。中でも内視鏡分野は日系メーカーのシェアが99%を超え市場を独占している。日本国内のCTやMRIの保有台数はOECD加盟国の中で突出して多くなっている。しかし、PETやPET-CT分野は米国、欧州勢が圧倒的な強みを持っている。また、人口関節や放射線治療装置、腹膜透析装置など治療機器分野の日系企業の国際競争力は総じて弱いものとなっている。

■PCR検査の基礎
 PCR(Polymerase Chain Reaction、ポメラーゼ連鎖反応)はDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きを利用して、少量のDNAサンプルから特定の遺伝子情報を研究に十分な量にまで増幅するもので、医療や分子生物学の分野で広く使用される有用な技術である。PCRは1983年にキャリー・マリスによって発明され、ノーベル賞を受賞した。
 PCR反応はバラバラになったDNAやRNAを構成する原料であるヌクレオチドを、ポリメラーゼ(酵素)の働きを利用し、プライマー(短鎖RNA)を起点として伸長して遺伝子を複製する反応である。熱変性(90℃以上)で単鎖に分解した遺伝情報にアニーリング(40〜65℃)でプライマーを結着し、72℃でポリメラーゼが働きヌクレオチドを結合して遺伝情報が伸長し複製される。
 PCR反応での生成物の量の測定には蛍光分子を用いた3通りの方法があるが、リアルタイムで測定する方法としてはTaqManプローブ法(加水分解プローブ法)が主に用いられる。TaqManプローブ法は、蛍光を発する分子と近傍にあると蛍光を打ち消す作用のある分子を両端にそれぞれ取り付けたプローブを作成し、ターゲット遺伝子にこれを吸着させ、ポリメラーゼ反応によりプローブが分解される事で蛍光分子が蛍光を打ち消す分子から距離が離れる事で蛍光を発し、その蛍光分子の蛍光強度を測定することにより生成物の量(濃度)を測定する方法である。又、通常のPCRはDNAからRNAを作成しターゲット領域を複製する事が可能であるが、その逆のRNAからDNAの生成は不可能とされていたが、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)を利用する事でRNAから相補的DNAを作成する事により、RNA型レトロウィルスであるコロナウィルスのPCR反応を可能にしている。
 PCR検査はPCR反応サイクルを重ねることでターゲットの遺伝子を増幅させ、増幅量が閾値を超えるかどうかで陽性、陰性の判定をおこなっている。PCR検査の精度はサイクル回数(Ct値)によって結果に差が出てくる。増幅数は30サイクルで10億倍、40サイクルで1兆倍、45サイクルで35兆倍となる。サイクル数の選択により2桁以上の差異があり、日本で行われるPCR検査は40〜45サイクルが標準であるが、コロナの封じ込めに成功している台湾では35サイクル、アメリカは40サイクル、イギリスは45サイクルと国によって検査基準が異なっている。このCt値の違いは検査の精度、コロナウィルス感染を示すのに十分な量であるかどうかに関係してくる、つまり結果に反映され「陽性」、「陰性」の判定が違ってくることを意味している。日本で検査して陽性でも台湾で検査すると陰性となる場合がある。PCR検査の陽性者はすべてコロナ感染者ではなく、「コロナ感染の可能性がある者」であることを理解しなければならない。しかし、日本ではPCR検査の陽性者は感染力の無い者や感染していない者も含まれているが、PCR検査の陽性者すべてに対して14日間の隔離、入院措置がとられているのが現状である。

■PCR装置
 最後に島津製作所製PCR検査装置AutoAmpの仕様説明及びイメージビデオ鑑賞。


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【3年2月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 トヨタのSDGsの取組み 』


日  時:令和3年2月10日 (水) 12時30分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 那古(西)の間
参加者:22名

スピーカー:
大塚 友美 (おおつか ゆみ)
トヨタ自動車株式会社 DCSO
(東京からリモートでご登壇)

大塚 友美氏


■SDGsに本気で取り組む
 トヨタの経営は創業期からSDGsの精神である「産業報国」を掲げている。社会のために仕事を続けるべく「Youの視点」をもった人財を育てること、自分以外の誰かの幸せを願い、行動できるトヨタパーソンを育てること。これらは、SDGsに真摯に向かうことだと考える。
 行政や他社と仕事をしていく上でSDGsを共通言語にすると、コミュニケーションがスムーズになり良い連携が生まれる。SDGsをより深く理解するには、17のゴールや169のターゲットだけでなく、その前文に書かれているSDGsの精神を理解することが大切である。これまで企業の競争力は製品やサービス、機能であったが、これからは「人類や地球の存続に関わる課題にいかに貢献できるか」といった視点が問われる時代となる。

■SDGsによる社会、そしてビジネスの変化
 生活者の意識はサステナビリティ重視に変化していることを日々実感している。特に、25才〜40才のミレニアム世代や更に若いZ世代のSDGsに対する関心は非常に高い。若い世代は学校でSDGsについて学んでおり、我々世代より理解が深く、環境問題の解決に熱心だ。採用面接時、学生からSDGsやサステナビリティに対する取組み、自分が仕事を通してそれらに貢献できるチャンスがあるかという質問を受けることも多くなってきた。
 SDGsの取組みが進むにつれビジネスの規範が変化している。NPO、NGOを含むステークホルダーと連携してルールメークが進み、他社・他業種に競争優位な環境が作られていくケースもあるので、注視していきたい。

■トヨタにおけるSDGsへの取組み
 トヨタの具体的な事例をいくつか紹介したい。CASEの進展など自動車業界が100年に一度の大変革期を迎える中、トヨタは「自動車をつくる会社」から「モビリティカンパニー」へのフルモデルチェンジに向けて動き出している。そのひとつの試みとして、昨年初めに発表した実証都市「Woven City」がある。近未来のクルマは、社会システムの一要素として都市のインフラに組み込まれ、コネクティッドカーから収集されるビッグデータが都市のビッグデータと連携することで、新しいサービスの創出や社会課題の解決につながることが期待できる。Woven Cityにおいて都市のプラットフォームと近未来のモビリティサービスを一体的に企画開発し、自動運転、再生可能エネルギー、ビッグデータ、スマートホーム、人工知能、ロボットなどの技術やアイディアの開発・社会実証をリアルな街で集約して行うことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けたい。この事業はトヨタが「モビリティカンパニー」に生まれ変わる象徴的なプロジェクトのひとつだ。主役はあくまでも「人」。試行錯誤しながら創られていく、終わりのない未完成の都市である。
 「2050年カーボンニュートラル社会」の実現に貢献するため、2015年から「トヨタ環境チャレンジ2050」を続けている。2050年までにグローバル全工場のCO2排出をゼロにするといった6つのチャレンジを掲げている。「エコカーは普及してこそ環境への貢献」の考え方のもと、これまで技術進化と普及促進を加速させてきた。「2050年カーボンニュートラル社会」を目指していく上でも、地域別にエネルギーミックスが異なる中、様々なパワートレインの中から常に最適解を選んでいく事が重要と考える。トヨタは、水素を「将来の有力なエネルギー」の一つと位置づけているが、昨年12月にフルモデルチェンジし発売した新型「MIRAI」は、水素をエネルギー源とし、使用時に一切CO2を排出しない。災害などの非常時には車両そのものを非常用電源として活用できる機能も標準搭載している。会社として、災害時に車輛を提供し、給電に活用してもらう「クルマ救電」と称した取組みも行っている。
 モビリティカンパニーとして、様々な手段で移動の自由をサポートするために、体の不自由な人が楽に乗降車できる回転シートを装備した福祉車両「ウェルキャブ」も製造。過疎地では福祉車両の提供だけでなく、自治体と連携し、ドライバーと車両を合わせて提供する取組みを行っている。また、車椅子の方がバスに乗降する際、車椅子の固定に時間がかかるためバス利用に気が引けるといった声をいただいたことから、取り付けをより安全、簡単にするための規格化にも自工会を通じて力を注いでいる。
 コロナ禍における社会貢献としては、マスクやフェイスシールドの生産、医療用防護ガウンの生産向上支援などいろいろあるが、現場から生まれた事例として、足踏み消毒スタンドの制作がある。工場の生産ラインを止めざるを得ない中、「自分たちには何ができるのか」と考えた現場社員たちにより自然発生的に生み出され、病院や商業施設などで実証実験を行い、医師や利用者のリアルな声を聞き、作り手と使い手がともに知恵を出し合い、改善を重ね完成に至った。自社の強みはモノづくりで培った力であることを改めて強く感じた事例だ。その認識から現場の強みであるトヨタ生産方式を、ホワイトカラーの職場にも浸透させる研修を始めている。

■おわりに
 こうした取組みのベースとなっているのが昨年策定した「トヨタフィロソフィー」だ。モビリティカンパニーへ変革する中、トヨタのブレない軸を明文化したものであり、ミッションの「幸せを量産する」は理念においSDGsと共通だと考えている。
 自分がいまの役目についてから1年が経つ。SDGsへの取組みは「企業変革」や「競争力強化」、「一体感のある職場づくり」につながる事に気付いた。会社のトップがSDGsへの取組を継続的に発信することの重要性もひしひしと感じている。
 年初から「私たちは、動く。」という広告を展開しているが、SDGsへの貢献に向け、一人ひとり行動を起こしていきたいと考えている。


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3月度産業懇談会のご案内

 現在、愛知県に緊急事態宣言が発令されているため、3月はすべての例会で昼食の提供を取りやめることに致しました。開催時間を12:30〜14:00に変更致しますので、ご出席の際は食事をお済ませになってご参加くださいますようよろしくお願い致します。

  • 例会のご参加は「ご所属グループのみ」に限定(※他グループ例会へのご参加は当面禁止)
  • 定員は先着25名(※定員の締切はホームページにてご連絡いたします)

 ※会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

3月2日(火)
12:30〜14:00

『結婚しない中小企業後継者』
榊原建工株式会社 
代表取締役 榊原 清孝 氏

名古屋
観光ホテル
3階
桂の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

3月24日(水)
12:30〜14:00

『第一生命グループのご紹介 〜QOL向上への貢献〜』
ネオファースト生命保険株式会社
中部営業部長 永松 伸大 氏

名古屋
観光ホテル
3階
桂の間
水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
高見祐次

3月17日(水)
12:30〜14:00

『デジタルトランスフォーメーションから見えてくる
         これからのマーケティング手法とは』
Sansan株式会社 名古屋支店
支店長 酒井 亮平 氏

若宮の杜
迎賓館
1階
橘の間

木曜グループ

河村嘉男
吉田憲三

3月4日(木)
12:30〜14:00

『ミッションスクールの教育
−変わるもの・変わらないもの−南山学園の場合』
(仮題)
学校法人 南山学園 理事長 市瀬 英昭 氏

名古屋
観光ホテル
2階
曙の間

 *水曜第2グループは通常と会場が異なりますのでご注意ください。
  (若宮の杜 住所:名古屋市中区栄三丁目35-30、Tel:052-231-2038)

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4月度産業懇談会のご案内

 4月の例会は下記の時間帯にて開催いたしますが、今後の情勢により、昼食提供や開催時間等、変更する可能性がございます。変更が決定次第、ホームページでもご案内いたします。

  • 例会のご参加は「ご所属グループのみ」に限定(※他グループ例会へのご参加は当面禁止)
  • 定員は先着25名(※定員の締切はホームページにてご連絡いたします)

 ※会合にご参加いただける際は、マスクのご着用・手洗い、積極的なアルコール消毒の励行にご協力ください。発熱の症状がみられるなど体調不良の方は、ご参加をお控えいただきますようお願いいたします。

グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

4月13日(火)
12:00〜14:00

『小説やらまいか豊田佐吉傳
作家 北路 透 氏
(社会保険労務士法人 北見事務所 所長
 北見 昌朗 氏)

若宮の杜
迎賓館
1階
橘の間

水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

4月21日(水)
12:00〜14:00

『宣長さんに思う』
岩部建設株式会社
代表取締役  岩部 雅人 氏

若宮の杜
迎賓館
1階
橘の間
水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
高見祐次

4月14日(水)
12:00〜14:00

『「不思議の国イラン」&「中国食紀行」
         〜駐在の経験から語ります〜』
東朋テクノロジー株式会社
事業企画統括部長 中村 亮介 氏

若宮の杜
迎賓館
1階
橘の間

木曜グループ

河村嘉男
吉田憲三

4月22日(木)
12:00〜14:00

『株式時価総額でみる日本経済の変遷、推移』
東海東京証券株式会社
専務執行役員 鈴木 卓也 氏

若宮の杜
迎賓館
1階
橘の間

 *通常と会場が異なりますのでご注意ください。
  (若宮の杜 住所:名古屋市中区栄三丁目35-30、Tel:052-231-2038)

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.32
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 たまご 』 と 『 こおろぎ 』

 年明け1月、久しぶりの産業懇談会で会友の皆さんにお目にかかった。皆さんお変わりなく、正月も半ばを過ぎての新年のご挨拶に少しばかり心が和んだ。

筆頭代表幹事に盛田さんがご就任されて以降、なかなか同友会でもちゃんとご挨拶できておらず、この日の御講話も大変楽しみにしていた。Pascoさんは、昨年から子供食堂へのご協賛を折に触れてして頂いている上、この頃は企画部の社員さん数名が、時にはご家族連れで定期的に当日の運営補助に来てくださっている。今でこそ社会貢献とかSDGsとか声高に言われているが、このPascoさんの取り組みには大変助けられ、頭が下がる。そんなことを思いながらの筆頭代表幹事のお話しをうかがうに、創業当時から食を通しての社会貢献という社風が、当たり前のように息づいているのだということが解り、“感銘”を通り越し、とても幸せな気分になった。

写真:筆頭代表幹事 盛田氏
1月15日 盛田さんお話の様子

食は命を繋ぐもの、そういう意味ではお医者様と同じ(医食同源)だし、またQOLの点からも、決して贅沢である必要はないけれど、美味しく、楽しく味わうことが出来れば健康寿命を延ばすこともできる。これまで細々とではあるけれど『食、栄養』に関わって来た身としては改めて基本の基を真っすぐお話しくださる盛田さんの姿を前に、襟を正した。

 で、『コオロギ』。
 食糧不足のたんぱく源として注目されている昆虫食。以前から「コオロギの粉末」はマッチョ系お兄さんたちの間で優良プロテインとして密かなブームを呼んでいたのは漏れ聞いていたのだが、どうやらPascoも粉を買っているらしいとか、無印良品でコオロギパン作ったとか聞いて、いよいよ実食する時が近づいてきたと思っていたら、盛田さんから『コオロギフィナンシェ』のお土産。当日隣に座っていた好奇心旺盛な火曜日世話人の富田さん、即完食。言うほど甲殻類っぽくないし、バターが効いてて美味しいとの感想。どれほどの栄養価なのか気になって、早速アミノ酸スコアのチェックをしてみた。

写真:コオロギフィナンシェ
コオロギの商品byパスコ

一般的に目にすることの多い栄養評価はタンパク質が何g、炭水化物何g、脂質何gとかになっているが、タンパク質にもいろいろあって、ご存じの方もあると思うがもう少し分子の小さいアミノ酸まで分解すると、20種類に分類され、そのうちの9種類が必須アミノ酸と言われる、体外から摂取する必要のあるアミノ酸である。私たちが栄養学の勉強をしていた頃は『たまご』こそが完全食と言われていたので、コオロギの粉末と見比べてみることにした。必須アミノ酸の中では1種類(フェニルアラニン)を除いてすべて『コオロギ』に軍配が上がっている。しかも粉末なので摂取量の増減コントロールがし易く、加工もし易い。ネットで調べたら、普通に粉末コオロギを売っていて、それこそお茶やコーヒーにひと匙お試しくださいレベル。今度そば粉の代わりにガレット(おかずクレープ)でも焼いてみようかと購入意欲をそそられた。

 で、『たまご』。
 40歳で大学に入って栄養の勉強をし始め、最初にぶつかったのが“摂取カロリーの壁”。自分の基礎代謝カロリー測定後、運動価のカロリーを足して、一日に摂取する理想的な献立を作成しなさいという課題が提示された。若い女子大生と違って、あちこちで散々美味しいもの食べて飲んでエンゲル係数を高めでキープしていた私には、どうしても譲れない当時の食生活習慣があった。それは、毎朝バゲット2切れ、そして夜はシャンパンと白ワイン1杯ずつ。これをあらかじめ引いて献立を考えたのだが、どうしても10数キロカロリーの誤差が出る。教授に「これで勘弁してください!!」と訴えると、「あなた、ワインかパン止めて違うものに差し替えれば完璧じゃないの?」と言われた。
 「違うんです先生、私は毎日これを摂取することで楽しく幸せに暮らせるのです。数字を合わせることより私の人生には大切なことなのです」暫しの沈黙のあと教授から思わぬ話を聞いた。とある病院勤務の栄養士が、数字にこだわる余り『カロリーメイトの卵とじ』を作ったというのだ。この頃の学生は、コンビニやファストフードに慣れ、出汁や本物のコンソメの味、食材のうまみを知らないことが多い、特に病院食は治療によって様々な制限が加わるため、出す方も食べる方も食に何の期待もしていない(確かに昔の病院食はまずかった)。美味しいものが食べられればそれだけで元気になれるのに…そしてこう付け加えられた「あなた、チャレンジしてみなさいよ」。

そうして卒業後フレンチのカロリーダウンをベースに、500円500キロカロリーのお弁当を作る会社を立ち上げた。3年ほど続けたが家業継ぐことになり、お弁当屋は断念するも、この間研修に来ていた数名のフードコーディネーターや栄養士が、今もなお各地で活躍している。思い出されるのは、この頃病態栄養学会の友人から、腎臓病食のレシピ本を出版したいというので参画したことがあった。人工透析が始まると、タンパク質、塩分や野菜や果物に含まれるカリウムの摂取を大幅に制限される。つまり「味のない料理」にカロリーを稼ぐため「どんぶり飯」を餌のごとく食べさせられるのだ。透析が始まると、人によっては寿命のカウントダウンが聞こえることが有る。人生最後になるかもしれない食事がこんな悲しいものでいいのだろうか、という思いで、レシピを考えながら涙したりした。限定冊数での販売だったがおかげさまで「とても病態食とは思えない出来栄え」とのお声をたくさんいただいた。それは偏に友人たちの尽力によるもので、最後の1冊を今でも大切に保管している。

写真:レシピ表紙
病院食の表紙

 時々「長生きする食生活を教えてください」と卒寿間近の大先輩に尋ねられるが私が申し上げるのはただ一言「おいしいと思うもの、大好きなものを我慢しないで召し上がってくださいね。年齢と共に体にガタが来るのは当たり前、これまでお元気で来られたのだから、このままでいいのですよ」
 食べられること、美味しいと思えることは本当に幸せなこと。私の場合は別腹ワインも含むのだが。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.148
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 まんが訳 酒呑童子絵巻 』
大塚英志監修・ちくま新書

 とてもユニークな本です。「まんが訳」とは、昔から日本人に親しまれてきた絵巻を、その物語と絵だけを使って現代のまんがの紙面構成に「翻訳」することだそうです。衣装や立ち位置で登場人物の関係を示したり、背景の小道具で理解を深めさせたりという、現代ではわかりにくくなっている絵巻の文法を、現代漫画の文法で読み直しています。
 源頼光たちと酒呑童子一党の戦いを描く「酒呑童子絵巻」のほか、安珍・清姫で有名な「道成寺縁起」、頼光と腹心の渡辺綱が蜘蛛の化け物を退治する「土蜘蛛草紙」を、オールカラーで掲載。愉しんで読みました。

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