■名古屋市経済局 参事 秋田重人氏 ご挨拶
本年度、名古屋市では組織の見直しを行い、新たに経済局を設置した。経済局では企業によるイノベーション活動の推進をサポートすると共に、労働施策や中小企業対策、次世代産業の振興や企業誘致に取り組んでいる。また、コロナ対策として新たな融資制度を創設するなど雇用維持対策も実施している。本日の話が皆様の事業やコロナ禍を乗り越えるヒントになれば嬉しく思う。
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<名古屋市経済局イノベーション推進部の企業支援策>
■ロボット・AI・IoT産業施策
2016年3月に策定された「名古屋市産業振興ビジョン2020」の基本方針では産業の発展を促すため、新たな価値をつくり出す産業として、ロボット・ICT産業を重点産業分野に位置づけている。
経済産業省が主導するIoTプロジェクト創出のための取り組み「地方版IoT推進ラボ」に選定され、推進のプラットフォームとして「Nagoya city Lab」を設立した。高度なものづくり産業が集積する当地の強みを活かし、IoT、AI、ロボット、ビッグデータを活用し、産業競争力のさらなる強化を図ることが狙いだ。IoTに関する研究会開催や技術相談、創業支援など、IoTを活用したものづくりを総合的に支援する施策である。
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名古屋市イノベーション推進部主幹 飯田浩史氏 |
■人材育成
中小企業におけるロボットやIoT導入を支援するため、担い手となる技術者を育成するための相談窓口として「Nagoya Robot and IoT Center」を設置した。令和2年度からは名古屋工業大学の独自運営により相談対応している。 専門人材向け講座「ロボット・AI・IoT導入及びサイバーセキュリティ対策専門人材育成講座」と、経営者向け講座「AI・IoT導入経営人材育成講座」を開講。担当社員と経営者双方が最先端テクノロジーについて学ぶことができるよう整えている。
■医療介護機器等事業
少子高齢化社会においては、医療介護分野は喫緊の課題だ。医療介護用機器・ロボットの開発及び普及を促進するため、産学・行政・病院・介護施設等との連携で「医療介護ものづくり研究会」を実施した。MRIの磁気対策用非金属製車いすや介護用おむつセンサーなど18件の試作評価を行い、製品化のサポートを行った。今年度からは名古屋産業振興公社と協力し「医療介護機器等高度化支援事業」を実施する。
■先進技術社会実証支援事業
技術を孵化させ、先進技術がどんどん生まれる意味を込めた「HATCH TECHNOLOGY NAGOYA」の事業として、行政課題に対して先進技術を活用した実証実験の提案を募集し、17件の応募に対して4件の実証実験を実施した。
今年度は先進技術を活用した解決策を企業等から広く募集し、費用の一部負担や専門家によるマネジメント等の支援を実施する。また、市及び民間施設を社会実証フィールドとして活用するため、場の提供と課題の整理や解決をする協議会を産学官で立ち上げ、企業等の提案をできるだけ早く実証し、実用化できるよう努めていく。
■新規事業創出のサポート
新規事業創出に取り組む中小企業を対象とした「NAGOYA ICT INNOVATION LAB.」や女性起業家を対象とした「NAGOYA WOMAN STARTUP LAB.」を開催している。今年度は技術とアイデアを磨き、人を育てる名古屋市発のイノベーター育成・ビジネス創出プログラム「NAGOYA BOOST 100000 2020」を実施する。このプログラムを通じ若手人材が起業や事業創造に挑戦する機運を醸成し、イノベーターとして育成し、新しい産業が生み出されるエコシステムを作っていきたい。
■名古屋市工業研究所
当地の中小企業を技術面から支援するために名古屋市が設置した地方公設試験研究機関であり昭和12年の設立以来、多くの企業に利用いただいている。
主な支援事業は、コンピュータを活用して製品の設計から試作にいたる工程を効率化する試作支援の取り組み、X線CTや3Dプリンタが導入された「3Dものづくり支援センター」の設置や画像解析技術の導入支援などを行っている。今年度は名古屋市工業研究所の職員がものづくり企業へ出張し、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けた企業活動の回復を支援する「ナゴヤ中小企業まるごと出張技術支援」事業を無料で実施している。
■名古屋少年少女発明クラブ
小中学生を対象に科学技術やものづくりに関心を持つ人材を育成するため、地元企業や経済団体の協力のもと平成19年3月からクラブを運営している。令和元年度ののべ参加者数は12,556名、54社に協賛をいただいている。中部経済同友会会員企業にも長年ご支援いただいており、感謝したい。
事業内容は市内6会場に出向いて実施している「ものづくり教室」、名古屋工業大学や名古屋市立大学、企業の協力を得て行っている「プログラミング教室」、日常生活の困り事を解決するため、あったら便利なものを自由に製作する「科学ものづくり自由創作教室」、「ロボット体験」ではサッカーロボットの組み立てやプログラミングを実施し、この体験講座の発展形がロボカップジュニア大会である。「ものづくり教室」卒業生の80%が理系に進学し、卒業生がボランティア指導員として活躍するなど成果も出ている。未来のイノベーションを担う子どもたちを応援する事業に是非、ご協賛をいただきたい。
■ロボカップジュニア・ジャパンオープンの開催
ロボカップとは、「2050年、人型ロボットでワールドカップ・チャンピオンに勝つ」ことを設定しその研究過程で生まれる科学技術を世界に還元することを目標とした国際的ロボット競技だ。名古屋市では2000年からロボカップジュニアの取り組みを開始し、18年に渡り全国大会や世界大会に出場する子どもたちの支援を続けている。ロボットへの人々の関心が向上していることを受けて、ロボカップジュニア・ジャパンオープンの開催を誘致し、2021年〜2023年は3年連続の名古屋開催が決定した。自律型ロボットの製作を通じ、次世代の産業人材の育成を目指している。
名古屋市 経済局 イノベーション推進部 スタートアップ支援室ではWEBサイトにて様々な支援策をご紹介されています。ぜひご参照ください!https://nagoya-innovation.jp/