コラム1 【さっかの散歩道】 No.23
長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子
『 後方支援 其の2 』
先月から始めた子ども食堂の支援、当日用意した100食×2地域分は、開始から15分もたたないうちに配り終えることが出来た。運営側としては、物資の配給より食堂形式で食べてもらう方が、きっと予算も安くつくし、その上、調理済食材をまとめて200個オーダーとなると、このご時世、メーカー直で対応してくれない。実は私も今回、子供用レトルトカレー200食分を某メーカーにダイレクト発注をかけたのだが、スーパーマーケットの搬入が優先とのことで対応していただけなかった。なので近隣のスーパーマーケット数軒ハシゴして、何とかかき集めた次第である。
そんな中、運営の方から「パンを配りたいのだけど、Pascoに協力要請の手紙を書こうと思って…」との打診!待て、待て、Pascoと言えば同友会筆頭代表幹事、且つ産業懇談会に気心の知れた会友が居るではないか。早速先方に連絡を取ってみると、やはりスーパーに卸すパンのラインナップは協賛不可とのこと。しかしそこはSDGsに力を注ぐ企業、「ネット販売用のパンなら、どーんと200個協賛します」とのお申し出。その対応に運営一同拍手喝采の大感謝。
手配から配送までをお引き受けいただき、この場をお借りして、心から御礼申し上げます。 |
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食品提供は、これから湿度と気温との戦いになる。食品を選定するにも気を遣うし、その入手や、搬送、保管にも細心の注意を必要とする。こういう時こそ皆で知恵を出し合って乗り越えてゆこうと考えている。
前回この話を寄稿して以降、単身赴任の会友で「帰ってこないで!」と言われた方たちから「大人食堂もやってほしいくらいです」との声が寄せられた。話を聞いてみると、それまでは週末ごと自宅に帰っていたので、そもそも自炊するつもりもなく、レンジでチンするコンビニ食か、居酒屋あるいはファストフード、ファミレスなどで何とか済ませていたのだという。ここ1か月近くロクなもの食べてないと、体調不良を訴える方もいた。名古屋に来て間もない支店長さんたちは、それこそ親しい店もなく、どこが開いていて、何を食べられるかも分からないのだという。幸い名古屋は危機的クラスターも少なく、常連さんまたは会員向けに時短営業している店が何件かあったので、ご紹介したりしていた。食事は「食べられれば何でも」というわけにはいかない。どんなに栄養があっても、どんなに高級食材であっても「おいしい!」と感じて食べなければ、よほどの飢餓状態でない限り、体にちゃんと吸収されない事がある。それを払拭するために一番手っ取り早いのは、“誰かが(できれば家族や知人が)、自分のために作ってくれた食事を摂る”こと。大人食堂を渇望される方のほとんどは、きっと今まで気にも留めてなかったと思うが、例えば家で、レストランで自分のために手間暇かけて作ってもらった料理は、それだけで生命力をUPさせてくれていたのだ。勿論自身で一から料理するのもOK。この場合は脳の中に「ご褒美ドーパミン」が分泌されるので、食事と共にかなりの幸福感が味わえる。
実はこのゴールデンウィーク、友人の店が通常の時短で営業をしたいというので訳を聞くと、やはりお客様の殆どが男女問わず単身なのだという。店が閉まると食事難民になるらしいので、長居せずとも食べられるもので、皆さんをお迎えしたいが何かないかと相談された。はい。フードコーディネーターとしてお答えさせていただきましょう。「ピンチョス惣菜はどう?」ピンチョスとは一口串刺しの食べ物の事。様々なメニューのアイデアを出し、私もまた久しぶりに調理場に立った。前菜として食べられるもの、メインとして栄養のあるもの、おつまみとして楽しめるもの、食事の代わりになるもの。
あらゆるものを串に刺して提供させていただいた。
これが結構好評で、ゴールデンウイークは休む間もなくボランティアでキッチンに立ち続けた。今なおリクエストがあるが、通常の仕事をしながらは、さすがに無理なので、週末だけケークサレ※(おかずケーキ、甘くなく中にベーコン・オニオン・チーズなどが入っている惣菜パンのようなもの)を焼くことにした。今が旬の蕪のムースも時間があれば作っている。最近自宅で子供とパンを焼いたり、たこ焼き、お好み焼きなど粉ものを楽しむ家庭が増えたせいか、小麦粉がすっかり品薄で、ベーキングパウダー(膨張剤)に至っては全く売り場から消えている。ケークサレには欠かせないので業務用の450g入りを購入してもらった。ちなみに一台焼くのに必要なのは5g…。90台焼けってことか?!
年明け早々、あちこちの占い師が「土星が暴れるから、今年は5月16日頃までざわつくわよ」と言っていた。それがまさかコロナだったとは当時は想像もつかなかったが、その5月16日を過ぎ、なんとなく落ち着いてきたので、占いも捨てたもんじゃないな、などと思っている。考えれば人間も宇宙のシステムの中に組み込まれた生物、少なからずそういう影響は受けているのだろう。今回、様々なものが淘汰されるような風潮の中でたくましく生き残る道は…などと考えながら車で信号待ちをしていたら、横をママチャリの前かごにUber‐eatsのバックを入れて抜き去ってゆく人影。青信号で発進し、追い抜きざまサイドミラーで確認すると、なんと70歳に手が届こうかというTシャツ姿のオバサマだった。心の中で(ウーバーイーツならぬバーバーイーツ!失礼!!!!)とほくそ笑むも、こういう逞しさがこれからは必要なんだと、妙に腑に落ちた。脱帽! |