産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】 第211号 2019.12.27発行

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令和元年12月度(第211号) 目次
【元年11月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】 11月13日(水) 12時00分〜14時00分
【産業懇談会「代表幹事講話」ならびに「新年合同懇親会」開催日程】
【2月度産業懇談会のご案内】
【コラム】
コラム1 【さっかの散歩道】 No.18
コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.134
【お知らせ】
【元年11月度 産業懇談会(水曜第2G)模様】

テーマ: 『 膜や〜私たちは世界の媒(なかだち)になる〜 』


日  時:令和元年11月13日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:26名

スピーカー:
奥村 学(おくむら まなぶ)
太陽工業株式会社
名古屋支店長

写真:奥村 学氏


■会社概要
 太陽工業は、大型膜面構造物のリーディングカンパニーとして、巨大ドームやスタジアム、各種商業施設などで、様々なニーズに対応した空間づくりを行っている。経営理念は「膜の無限の可能性を引き出し、お客様に感動と快適な環境をお届けします」。
 「膜」といっても何のことかと思われるかもしれないが、膜には(1)光を通す、(2)大面積を覆う、(3)ものを包む、(4)柔らかい、(5)軽いという大きな5つの特性がある。それを様々なものに加工して社会に届けていくのが当社の事業だ。「膜」という字は、月(生物)、日(太陽)、草・大地(自然)という要素から成り立っている。膜が、太陽と自然、自然と生物、太陽と生物をつなぐ「媒(なかだち)」の役目を果たすことを目指し、本日の演題とさせていただいた。世界の様々なものの間に入り、自然と共生して、人の生活の中心になる空間を創っていきたいと考えている。

■太陽工業の歴史
 1922年に創業、当初はテント・シートなどの物品販売から始まり、キャンプテント、プール、雨合羽などの資材を扱っていた。ダイハツ ミゼットの幌を手掛けたことが、太陽工業の発展の第一歩となった。1965年頃から様々なチャレンジを始め、木下大サーカスの移動式テントや、植村直己氏のエベレスト登頂の際には超大型ベースキャンプテントなども手掛けた。その他にも、テントでつくる魚のデパート、布製の海中重油タンク、砂漠にテントで山脈をつくり雨を降らすなど、実験段階で失敗したものがほとんどだが、お客様の要望に絶えず応えようとしてきた遊び心のある会社だ。こうした取り組みが実り、1970年の大阪万博では9割のテントを受注している。特にアメリカ館は日本初のエアドームとして有名だが、その他にも色々なパビリオンを手掛けた。
 1988年、万博での経験を生かし、東京ドームに膜(A種膜)を提供。これは、膜面構造物が恒久建築にも使えることを証明した大きな転換点となった。それまでの仮設建築ではないことから、当然、技術面でも多くの課題があったものの、一番の壁は法律だった。計画から認可を取得するまでに15年を要し、竹中工務店、日建設計とともに何百回と役所に通ったと聞いている。東京ドーム用の膜(A種膜)を加工する工場が無かったことから、東京ドームを作るためだけに、10億円の投資をして新工場を設立している。東京ドーム以降の具体的計画が存在しないなかで、このプロジェクトは社運をかけたビッグプロジェクトだと認識しリスクテイクした当時の経営層の英断だった。結果として、豊田スタジアムや東京スタジアム、埼玉スタジアムなどの多くのスタジム案件につながっている。

■主要事業について
 太陽工業では大きく分けて、建築、産業、土木、物流の4事業で成り立っている。
 膜は意外と丈夫で、アメリカで40年以上使われているものもあり、ちょっとした鉄板よりも長持ちする。また軽いので免震構造にしなくても十分に地震にも強い。テントはだんだん汚れてくるという印象があるかもしれないが、TOTOとの共同開発の光触媒を使うことで、汚れを酸化分解して洗い流し、白さを保つことができる。また涼しいというメリットもある。当地での膜構造の導入事例では、ららぽーと名古屋みなとアクルスや、イオンモール名古屋みなと、木曽三川公園138タワーパーク等が挙げられる。
 震災では多くの施設で天井材が落下して、多くの被害が発生したが、膜であれば軽く、落下物を受け止める事もできる。そのため当社が手掛ける膜天井による内装が注目されており、G7伊勢志摩サミットや、学校・体育館など多くの公共施設でも採用して頂いている。
 私が長年担当してきた産業分野では、「テント倉庫」と呼ばれるものを扱っている。テントというと仮設のイメージがあるが、空調を入れることで温度管理が必要な食品等も納められる。また最近では、膜材の良さである採光性に加えて防犯性を高めるために外装に鋼板を使用したハイブリッドフレックスという製品も提供している。ハイブリッドフレックスを産業用途から商業用に発展させるべく、大阪本社の横にモデルルームを設置しているので近くにお越しの際にはお立ち寄り頂きたい。
 土木分野では、タコムという合成繊維の布製型枠の内部にモルタルを注入することで、一定厚のコンクリートを形成する布製型枠コンクリートマットや、シルトスクリーンという海洋工事での汚濁防止膜を展開している。また災害・緊急用の分野ではマク・クイックシェルターというエアテントを展開している。従来2〜3人で組み立てていたテントを、エアーで膨らませるだけでテントとして使用できるという製品だ。
 物流分野では、タイコン、俗にトンバッグと呼ばれる繰り返し使えるコンテナバッグを製造しており、全国8か所の拠点でメンテナンスも引き受けている。ワンウェイ使用のコンテナバッグは東日本大震災の際、原発事故で発生した汚染土の運搬・仮保管でも使用された。その他、耐ウイルス性を持つ高機能素材を使用した防疫バッグなど種類も多彩だ。

 これらの分野のほかに、膜の「白さ」を活かしたプロジェクションマッピング投影や、建築物のファサ―ドなど意匠・内装分野に、トランポリンのように遊べる「ふわふわドーム」で遊具分野に進出。これまで培った技術を基に新分野に挑戦し続けている
 太陽工業は、施主様、建設会社様、設計事務所様、コンサルタント会社様、その全てのお客様のベストパートナーを目指し今後も頑張りたい。


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【産業懇談会「代表幹事講話」ならびに「新年合同懇親会」開催日程】
日時 令和2年1月30日(木)17:30〜20:00
17:30〜18:30 嶋尾 正 筆頭代表幹事 講話
18:45〜20:00 新年合同懇親会(着席ビュッフェ)
場所 ホテルナゴヤキャッスル 
講演:2階 青雲(東)の間
懇親会:2階 青雲(西)の間
ご講話演題 「経営者とは?」(仮)
本状ご案内先 代表幹事および産業懇談会会員の皆様
令和元年度に中部経済同友会にご入会された新入会員の皆様

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2月度産業懇談会のご案内
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 集合場所
火曜グループ

富田 茂
広井幹康
深田正雄

2月18日(火)
12:00〜14:00
『日本を取り巻く危機管理の傾向と対策』
綜合警備保障株式会社
執行役員 熊崎 善夫 氏 
名古屋観光
ホテル
18階
伊吹の間
水曜第1グループ

淺井博司
足立 誠
落合 肇

2月19日(水)
12:00〜14:00

『今後の世界の経済・投資・経営環境について
〜2020年は2019年のデジャヴュ(既視感)〜』
株式会社りそな銀行
名古屋営業本部長兼名古屋支店長 木村 修二 氏
信託財産運用部 アドバイザー 黒瀬 浩一 氏

名古屋観光
ホテル
18階
伊吹の間
水曜第2グループ

片桐清志
大倉偉作
見祐次

2月12日(水)
12:00〜14:00
『下水道教室「うんちくんのだいぼうけん」プロジェクトについて』
有限会社東海維持管理興業 専務取締役 中林 直子 氏
『女子プロはなぜ飛ぶのか?』
株式会社プロギア 
サイエンスフィットグループリーダー 細内 巌 氏
サイエンスフィットグループ名古屋店長 岡本 勝哉 氏
名古屋観光
ホテル
3階
桂の間
木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助
田憲三

2月13日(木)
12:00〜14:00
『ANAブランド戦略』
全日本空輸株式会社
執行役員中部支社長 矢澤 潤子 氏
名古屋観光
ホテル
2階
曙の間

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【コラム】

コラム1 【さっかの散歩道】 No.18
コラム【さっかの散歩道】

長瀬電気工業株式会社
代表取締役 屬 ゆみ子

『 星降る夜 』

 12月15日午前3時、毛皮の上にダウンジャケット、ニット帽にストールの完全防寒でマンションのベランダにある椅子に腰かけ、夜空を見上げた。まもなく年内最後の天体ショー、双子座流星群が降ってくる。街中に住んではいるが、繁華街の光に背を向けると、意外に星が良く見え、最初の一筋から、数分おきに光が流れてくる。子供のころ、「流れ星が消えるまでにお願いごとを3回唱えると叶うのよ」と言われ、何度か試みるも光ははかなく消え、一度たりとも3回言い切ったことがなかった。結局「お星さまはお願いなんて叶えてくれないのよ」と、悲しくなったことを思い出す。そして今夜もまた“3回唱える”に挑戦する。大人になって分かったことは、文章でなく象徴的な名詞を3回なら結構いけるということだ。英語ならなお確率は高い。


懐かしの正座早見表★

 いつの頃からか、星空を見上げるのが習慣になっていた。お稽古や塾のハシゴで、帰る頃になると特に冬場は日も落ち、暗がりの街灯の中、バス停から自宅まで歩きつつ星を眺めていた。そうでもしないと、途中の神社でお化けに遭遇するかもしれないし、サーカスの人に誘拐(昔のあるある都市伝説!!)されるかもしれないという恐怖感を払しょくできなかった。そして何年生の時だったか当時の副教材「科学と学習」の付録に星座早見表がついていて、それからは星空を見上げる楽しみが倍増し、帰り道が楽しくなった。その功罪か、当時伏見にあった音楽学校に通いながら、気分が乗らない(つまりサボりたい)時など、科学館に潜り込みプラネタリウムで時間をつぶすなんてこともしばしば。これが結構度胸が必要だった。まず遠巻きにチケット売り場の優しそうなお姉さんをチェックする。なぜなら、小学生がレッスンバックぶら下げて「子供一枚」とチケットを買おうもんなら、大概の大人は、「親御さんは?一人なの?何年生?家はどこ?」など質問攻めをしかけてくる。それをうまく回避して、チケットを買わなければならない。おそらく何回か聞かれたことが有ったと思うが、多分下手な言い訳をしたのだと思うが、それでもひるまず通ううち、逆にお姉さんの方から「今日のプラネタリウムは冬の大三角よ」などと声をかけてもらえるようになった。あの頃の私にとって、プラネタリウムはファンタジーの玉手箱だった。

 そして齢を重ねるうち、星は空ではなく「占い」という文字で読むようになる。特に年の瀬も近づいてくると、来年はどんな年になるだろうと、経済、社会、天災等々、各方面で様々な予測は、データ分析、歴史の読み返し、いわゆる世相の潮目…それらを専門とするアナリストが実しやかに来年を語る。一方で、女性誌を賑わせるのは様々な占術師による占いだ。特に星占いは各紙が特集を組む。この星占いもまた、統計学の一種なのだが、“神秘的”というかどこかファンタスティックなイメージでとらえられることが多い。それは恐らく星占いを好んで見るのが女性で、特に恋愛運とか仕事とかが注目されているからなのだろう。ところが海外に目を向けてみると、意外に専属の占い師(予言系というより星占いや暦占い)を抱えている経営者や政治家には男性が多かったりする。この場合自分を占うというより、取引先やパートナーの状況、或いは相性などがメインになるらしく、メンター的な要素も持ち合わせるのだとか。なので、自分の生年月日を決して他言しない人も多いと聞く。まあ、当たるか当たらないかは別として、第三者的に客観視するという点では聞いてみようかという程度のものなのだろうが、人によってはその占いがピッタリはまって成功したという方も少なからず居られるようだ。


占星術用のホロスコープ。これで過去・現在・未来が見える!?

 ところが私の場合、最近あることに気づき、耳を傾けようにもどこに傾けたらよいのかわからない状況になっている。何故なら、占星術師によってまるっきり違う判断が出ていたりするからだ。ある日の私の星座の幸運度占い、携帯アプリ1位、テレビの占い3位、PCの占い12位。またある日、携帯アプリ4位、テレビ12位、PC1位。占星術師の皆さん、何をご覧になって占っているやら。
 占いにまつわるエピソードは事欠かない。何年か前、私の友人が、朝テレビの占いで1位だったので、気分も晴れやかに出かけようと、自宅前の道を歩いていたら、正面から自転車に乗ったお婆さんが近づいてきて、なんと彼女とすれ違いざま、バランスを崩してコケたのだそう。振り返った彼女、「大丈夫ですか?」と声をかけるも、「あそこが痛い、ここが痛い、動けない」と言われ、救急車を呼ぼうとしたら、そこに通りすがりのお巡りさん。「どうしました?」との問いかけに、おばあさん「この女の人がぶつかって来て転んだ」。彼女は絶句、とんだ言いがかりで警察に連れてゆかれ、結局お婆さんの家の人が迎えに来るまで、警察で足止めされた。最終的に、お婆さんには若干の痴ほう症があり、家族に内緒でお出かけしたそうで、彼女も無事解放されたのだが、直後私に電話で「占いでは最高のラッキーデーとか言ってたのに、どうゆうことよ!!」と怒り心頭。以降しばらくそのテレビ局の番組は一切見なかったらしい。
 星占いがあてにならないなら、タロットカードでもと思って、さまざまなシーンで試みるが、いつも同じカードしか出なかったりするので、友人の占い師(何故か私の周りには、色々な占術師がいる)に問うてみたところ、ケラケラ笑って一言、
   「所詮占いだから。」
クライアントを多く占えば占うほど、全く統計に合わない稀有な人が6%くらいいるのだそうだ。どうやら私はその部類らしい。それはつまり「自分で頑張んなさい」という星からのメッセージなのだとか。ん〜物は言いようだ、さすが占い師、愛情込めて「胡散臭い!!(笑)」。

 10年ほど前の映画「クイーンエリザベス、ゴールデンエイジ」の中で、主人公のエリザベス女王は、謀反や戦の度に占星術師に意見を仰ぎに行っていた。終盤でスペインの無敵艦隊をどう駆逐するかとの問いかけに、占い師は「負けます」と。それを聞いた女王は「占いが語ることなど、所詮未来の陰にしか過ぎぬわ!」と言い放ち、自ら甲冑をまとい最前線で軍隊を鼓舞、奇跡の勝利を手にする。そんな強さがあれば、占いなど本当に必要ないのかもしれない。深夜に防寒着着て、こっそり流れ星に3回お願いごとを言ってるようでは、来年もまたドキドキハラハラの1年になりそうだ。

 みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。

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コラム2 【「ほん」のひとこと】 No.134
コラム【「ほん」のひとこと】

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『 八本目の槍 』
今村翔吾著・新潮社刊

 羽柴秀吉が柴田勝家を破った賤ケ岳の戦で勇名をはせた「賤ケ岳の七本槍」、加藤清正・福島正則・加藤嘉明・平野長泰・脇坂安治・糟屋武則・片桐且元。彼らを、八本目の槍である石田三成との関係で描くことによって、三成の生涯を浮き彫りにする読み応えのある小説です。三成の、対徳川家康戦略には、思わず膝を打ちました。

 著者の今村翔吾は、1984年京都生まれで、大ヒットシリーズ「羽州ぼろ鳶組」があります。『童の神』は、第160回直木三十五賞の候補にもなりました。

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