テーマ: 『奉仕活動との関わり』
日 時:20年11月6日(木) 12時00分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:9名 |
スピーカー:
篭橋 美久(かごはし よしひさ)氏
東菱電子株式会社 代表取締役 |
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昭和48年に26歳で会社を設立した。右も左も全く分からないサラリーマンが突然経営者になり、無我夢中で働いた。一度、瀕死の重傷を負ったが、給料の遅延、減額を我慢して会社を盛り立ててくれた社員、在庫品を纏めて買ってくださったお客様、そしてメーカー、こういった温情家の方々に巡り会って会社の再建が出来、今日まで無事に過すことが出来た。そうした中でロータリークラブに入会し、地区の世界社会奉仕委員会の委員長を務め、海外への援助、奉仕活動に関わることとなった。
タイのチェンマイでは当初は寄付行為だけであったが、現在は愛知ロータリー奨学基金を作り、年間70名ほどの奨学生に奨学金を与えている。今年の1月にも式典に参加し、チェンマイ地区の小学校を訪問して学用品の手渡しをしたが、現地の小学生は本当に喜んでくれる。我々はそういう姿を見て、「やってよかった」から、「やってあげるべき」に、そして、現在は「是非やってあげよう」という感覚になっている。
ラオス北部のナタック村の小学校を建て替える事業も支援した。鍵の引渡し式には村民全員が参加し宴会が行われたメコン川の川魚や年収に相当する4万円もの値段の水牛の肉料理など、我々の口には中々合わなかったが、現地では最高のおもてなしをしてくれた。お金を出して終わりというのが日本人に多い奉仕の方法だが、我々は現地まで行って確認をする。ラオスで多いと聞いている背任や横領が出来ないように、現地で農業支援をしているJICAと協力し、建設管理や教育委員会との連絡係をしてもらっている。また、現地の人達には労力を、県には予算を出して貰って価値観を高め、足らない分を我々が支払うという基本方針で推進している。こうした小学校建設プロジェクトを3年前から行ってきて、来年の2月に完成する4校目で完了する。 大きな部落にしか小学校は無く、遠くの小さな部落の子供はとても通えないので、藁葺きの、壁が殆んど無いような寄宿舎に入り、布団無しで寝る。そして、土日に自分の村に戻り、月曜日に寄宿舎に戻る。ラオスは日本に比べ50年遅れているといわれているが、電気も無く、娯楽も殆んど無い。しかし、子供達は知恵を使い、竹を編んでボールを作り、蹴って遊んでいる。だから我々もサッカーボールをもって行った。すると100人ぐらいの子供達が集まってきて、直ぐに皆でボール遊びを始めた。そういう姿は今の日本にはない。贅沢になっているのではないか。あまりに惨めなので我々の仲間がお金を渡そうとしたが、私は止めた。相手のことを考え、それが本当に良いことなのかどうかもう一度考えて欲しかった。ただ単純にお金を渡せば良いではなく、それがどういう風に使われ、どういう効果があるかが大事なことだと思う。ラオスの人達は貧しく、電気もガスも無い。水は雨水とか川水を飲料水、生活用水として利用している。水道は無く、子供達がJICAから貰ったポリタンクに水を詰めて山道を歩いて運ぶ。一通り遊びを終えたら家事のお手伝いをする。それが日課である。そして皆で肩を寄せ合っての暮らしが今もラオスで続いている。日本の生活と比較し、なんと日本は幸せなんだろうと感じている。しかし、人間はもっと幸せになりたいと思い、その向上心のお陰で日本もこれだけの経済発展を遂げることが出来たと思う。もっともっとというのは希望として持つべきである。
経営には奉仕の精神が必要だと思う。私のビジネスは金儲けやものを手に入れるだけの道具ではないと思っている。小さな売上、利益でも、何か大きな幸せというものを感じたいと思う。社会への貢献は儲けてたくさん税金を払うことだとおっしゃった人に、ある大手企業のトップの方が、社会に必要とされる会社、社会に貢献することが大切だと言われたそうだ。従業員、近隣住民、国に対する奉仕を念頭においているということを聞いて非常に感銘を受けた。私はそういったことがまだ殆んどできていない。しかし、社会に必要とされる人間になりたいと思っている。そして会社も社会に必要とされるものにしたい。経営と奉仕は一対のものである。奉仕はやってみると中々良いものなので、皆さんも是非おやりになって下さい。
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