産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】第78号 2008.11.28発行

 メールマガジン■産懇宅配便■

平成20年11月度(第78号) 目次
産懇宅配便
【20年11月度産業懇談会(木曜G)模様】 11月6日(木) 12時00分〜14時00分
【20年11月度産業懇談会(水曜第2G)模様】 11月12日(水) 12時00分〜14時00分
【12月度産業懇談会開催日程】
【産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1 『花ちゃんからの健康だより』
コラム2 『理念経営物語』
コラム3 『「ほん」のひとこと』
コラム4 『苗字随想』

【20年11月度産業懇談会(木曜G)模様】


テーマ『奉仕活動との関わり』

日  時:20年11月6日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:9名

スピーカー:
篭橋 美久(かごはし よしひさ)氏
東菱電子株式会社 代表取締役 

篭橋 美久氏

 昭和48年に26歳で会社を設立した。右も左も全く分からないサラリーマンが突然経営者になり、無我夢中で働いた。一度、瀕死の重傷を負ったが、給料の遅延、減額を我慢して会社を盛り立ててくれた社員、在庫品を纏めて買ってくださったお客様、そしてメーカー、こういった温情家の方々に巡り会って会社の再建が出来、今日まで無事に過すことが出来た。そうした中でロータリークラブに入会し、地区の世界社会奉仕委員会の委員長を務め、海外への援助、奉仕活動に関わることとなった。

 タイのチェンマイでは当初は寄付行為だけであったが、現在は愛知ロータリー奨学基金を作り、年間70名ほどの奨学生に奨学金を与えている。今年の1月にも式典に参加し、チェンマイ地区の小学校を訪問して学用品の手渡しをしたが、現地の小学生は本当に喜んでくれる。我々はそういう姿を見て、「やってよかった」から、「やってあげるべき」に、そして、現在は「是非やってあげよう」という感覚になっている。

 ラオス北部のナタック村の小学校を建て替える事業も支援した。鍵の引渡し式には村民全員が参加し宴会が行われたメコン川の川魚や年収に相当する4万円もの値段の水牛の肉料理など、我々の口には中々合わなかったが、現地では最高のおもてなしをしてくれた。お金を出して終わりというのが日本人に多い奉仕の方法だが、我々は現地まで行って確認をする。ラオスで多いと聞いている背任や横領が出来ないように、現地で農業支援をしているJICAと協力し、建設管理や教育委員会との連絡係をしてもらっている。また、現地の人達には労力を、県には予算を出して貰って価値観を高め、足らない分を我々が支払うという基本方針で推進している。こうした小学校建設プロジェクトを3年前から行ってきて、来年の2月に完成する4校目で完了する。
 大きな部落にしか小学校は無く、遠くの小さな部落の子供はとても通えないので、藁葺きの、壁が殆んど無いような寄宿舎に入り、布団無しで寝る。そして、土日に自分の村に戻り、月曜日に寄宿舎に戻る。ラオスは日本に比べ50年遅れているといわれているが、電気も無く、娯楽も殆んど無い。しかし、子供達は知恵を使い、竹を編んでボールを作り、蹴って遊んでいる。だから我々もサッカーボールをもって行った。すると100人ぐらいの子供達が集まってきて、直ぐに皆でボール遊びを始めた。そういう姿は今の日本にはない。贅沢になっているのではないか。あまりに惨めなので我々の仲間がお金を渡そうとしたが、私は止めた。相手のことを考え、それが本当に良いことなのかどうかもう一度考えて欲しかった。ただ単純にお金を渡せば良いではなく、それがどういう風に使われ、どういう効果があるかが大事なことだと思う。ラオスの人達は貧しく、電気もガスも無い。水は雨水とか川水を飲料水、生活用水として利用している。水道は無く、子供達がJICAから貰ったポリタンクに水を詰めて山道を歩いて運ぶ。一通り遊びを終えたら家事のお手伝いをする。それが日課である。そして皆で肩を寄せ合っての暮らしが今もラオスで続いている。日本の生活と比較し、なんと日本は幸せなんだろうと感じている。しかし、人間はもっと幸せになりたいと思い、その向上心のお陰で日本もこれだけの経済発展を遂げることが出来たと思う。もっともっとというのは希望として持つべきである。

 経営には奉仕の精神が必要だと思う。私のビジネスは金儲けやものを手に入れるだけの道具ではないと思っている。小さな売上、利益でも、何か大きな幸せというものを感じたいと思う。社会への貢献は儲けてたくさん税金を払うことだとおっしゃった人に、ある大手企業のトップの方が、社会に必要とされる会社、社会に貢献することが大切だと言われたそうだ。従業員、近隣住民、国に対する奉仕を念頭においているということを聞いて非常に感銘を受けた。私はそういったことがまだ殆んどできていない。しかし、社会に必要とされる人間になりたいと思っている。そして会社も社会に必要とされるものにしたい。経営と奉仕は一対のものである。奉仕はやってみると中々良いものなので、皆さんも是非おやりになって下さい。

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【20年11月度産業懇談会(水曜2G)模様】


テーマ『 「世の為人のため」〜「お得意様に学ぶ」スズケン在勤半世紀 』

日  時:20年11月12日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:24名

スピーカー:
西浦 忠男(にしうら ただお)氏
株式会社スズケン 取締役相談役

西浦 忠男氏

 スズケンという社名は創業者、鈴木謙三の名前から来ている。 「世のため人のためと」いう言葉は謙三の創業の心であり、「お得意様に学ぶ」というのは何をしなければいけないかを具体的に説いたものである。

○鈴木謙三とスズケンの発展
 鈴木謙三は明治39年に生まれ、厳格な教育者の父から、世のため人のためになることをやれと教育された。名古屋市立名古屋商業学校在学中に、既に世のため人のためになる職業に就きたいと思い、大正7年、12歳で薬問屋に奉公した。昭和7年26歳で独立し、大阪住吉区にスーパーの走りのような薬局を開業したが、その店も兄弟に譲り、名古屋に帰って東区に鈴木謙三商店を創業した。最初は仲買のようなものであった。スズケンには誠意という言葉があるが商売は真心と信用をお客さんに買ってもらうのである。どうすれば客に喜んで貰えるか、もっとサービスするには何をするかを考えるかで商売が成り立っている。自分が苦心して汗と涙と足で開拓した得意先は絶対に変わらない。仕入れることが出来るので売ることが出来る、買ってくれるので仕入れることが出来る。販売先も仕入れ先も大切な得意先である。昭和10年代各地に農業会の病院、軍需工場の病院、診療所がたくさん出来、取引するようになった。謙三はどうすれば病院が良くなるかどうすれば喜んで貰えるか本当によく工夫して努力をしていた。戦後の物のない時代に、闇が横行する中で公定価格で通した。後の随筆の中で、目先のことに囚われた商売には根がない。浮き草は大きな流れに合うとひとたまりもない。得意先とのつきあいは孫の代まで長続きしなければいけない。従って相手の足元を見たり、欺いたり、闇のような不正をしたりして、商売の根本を見失うようなことを決してしてはいけないと言っている。昭和21年株式会社鈴謙洋行を浜松市に設立し、昭和22年に名古屋市東区に本社を移して、個人商店の鈴木謙三商店を吸収して株式会社鈴木賢三商店に改名した。昭和28年三和化学研究所という製薬メーカーを設立した。将来に向けて医薬品の研究開発は卸にとって絶対必要だと考えた。昭和20年代後半からもっとお得意様のお役に立ち、もっと営業規模を拡大しようと30分以内に届けられる範囲に出張所、東海道の急行の止まる年に支店を作るという方針で店舗展開が始まった。昭和20年代4店舗、30年代27店舗、40年代には35店舗、50年代には41店舗になった。謙三は任せられる人間を作るのが自分の役割だと言い、支店長に全権を委譲した。この方式は上場の3年前に止めたが、ものすごい動機付けであった。任せることにより人を育て、人が育って事業が拡大出来るという極めて良い循環であった。
 私が入社した昭和32年の売り上げは7億1千6百万円、社員数は192名、営業拠点は本社、浜松、静岡、沼津の3支店、半田、豊橋、熱田の3出張所であった。その後、支店主張所をどんどん増やし、東京オリンピックの昭和39年にスズケンに社名を変更した。この年に売上高業界1位になった。売上高76億円、税後利益1億4千万円。10支店、17出張所、社員数が837名であった。平成5年頃から理念を同じくする企業と一緒になる動きが活発化し、大規模合併としては平成6年、東京、神奈川の加藤薬品、神弘薬品との同時合併に始まり、平成18年福岡の翔薬の子会社化・統合で全都道府県に拠点を持つ業界初の全国展開が完成した。昭和23年浜松支店開設以来58年かかった。現在のスズケングループの状況は平成19年度の連結ベースの売り上げは1兆5千865億円、経常利益371億円、従業員数12、623人。会社の業績の推移を見ると我々の努力はもとよりだが、日本経済の拡大と昭和36年発足の国民皆保険制度の浸透による医療需要及び医薬品市場の拡大が大きな要因であった。しかし、現在も業界再編は進行しており競合の合併によりスズケンの売り上げ順位は3位となったが、大編成劇の始まりの引き金を引いたスズケンは、再編の最終章で患者と国民にとってもっとも役に立つ形での幕を引くチャンスが到来したと考えている。

○私とスズケン
 昭和32年18歳で高校を卒業して小僧で鈴木謙三商店に入社。倉庫係などをやった後翌33年春に営業に出て、医者や薬剤師に会って医療用薬品を医療所診療所用に買っていただく仕事であった。名古屋、一宮、山梨、沼津、岐阜、富山と約25年間医科向けの営業をやった。富山では支店長で小さな支店で自ら開拓していた。支店長という肩書きだと面会率が100%になり肩書きは大事だと思い知った。昭和57年本社に転勤となり社長室付室に入り社長秘書を経て、昭和60年輸出比率80%で聴診器などの医療機器メーカーに出向し社長を4年務めた。4社の社長兼務であった。1985年G5のプラザ合意で1日20円の円高になりその後どんどん円高になり輸出に大打撃を受け5つの会社150人の社員を2つの会社で50人まで減らし、1ドル115円で利益が出る体質とした。社長時代は厳しくて夢中だったが、別所社長がすべて任せてくれた。この頃最も経営の勉強が出来た。平成元年にスズケン本社に戻り極秘に上場の準備を始めた。一人で従業員持株会を立ち上げる準備を始めた。財務、管理の経験が無く営業しかわからなかったが、この時も別所社長から全面的に任すと言われ無我夢中でやった。全社員、全役員の協力により平成9年9月に東証一部上場するまでの9年間は非常に充実していた。上場というのは透明な会社、安心できる会社にすることだというのを腹の底から感じることが出来た。平成2年に従業員持株会を発足、その後21世紀委員会を立ち上げた。平成4年に創立60周年を迎え21世紀委員会のアウトプットの一つとしてSOFT21を策定した。創業者の精神、「一緒にやりましょう」をベースにしてみんなの考えを入れ込んで目に見える形に纏めた。上場会社スズケンの新たな心構えである。SOFT21のSOFTはスズケンの持つ独創性、開拓者精神、優しさを表したもので経営理念、事業領域、経営基本方針、経営基本目標、行動指針を明らかにした。

○スズケンの今後
 最近は市場が大きく変化して調剤薬局の比重が圧倒的に大きくなった。今後の卸の経営環境は大きく変わり、デリバリーと金融中心となる。卸の粗利率が下がりコスト下げ競争に突入せざるを得ないと思われる。スズケンは卸をやっているからこそ得られる情報に基づき医療、健康の分野を深掘りし、患者や医療機関が必要とする新しい製品や仕組みを開発、提供し、卸以外の分野でも大いに役立てなければならないと考える。誰にでも効く薬、副作用のない薬はないので医療の現場には確実に情報が伝わっていないといけない。遺伝子の解析が進んで薬物療法が個の医療に向かいつつあり、個別の情報がなおのこと必要になってきている。医薬品メーカーの原材料の調達から患者に投与されるまでのサプライチェーンの情報を一元管理し、最も効果的、効率的な薬の使い方が出来るようにならなければならない。情報の担い手としての役割がますます重要となってくる。国内市場はこれ以上の成長は望めず海外市場に目を向けなければならない。今年、上海鈴謙滬中医薬有限公司を合弁で立ち上げた。中国のマーケットは急速に拡大しておりそう遠くない将来、日本を追い越す規模になる。スズケンの事業領域は健康創造であり、健康資源の開発、生産、流通を全世界で展開していきたい。創業者、鈴木謙三が、薬なら世の中の役に立てると起こしたこの会社を健康医療の分野で世の中になくてはならない存在とすることが我々に課せられた責務である。

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【12月度産業懇談会開催日程】

グループ名 世話人 開催日時 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄
12月9日(火)
18:00〜20:00
料亭 蔦茂
名古屋市中区栄3-9-27
TEL:052−241−3666
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇
12月3日(水)
18:00〜20:00
※日程が変更となりましたので
ご注意ください。

料亭 蔦茂
名古屋市中区栄3-9-27
TEL:052−241−3666
水曜第2グループ 片桐清志
内藤由治
12月10日(水)
18:00〜20:00
中国潮州海鮮料理 晁隆房
名古屋市中区栄5−2−36 パークプレイス1階
TEL:052−262−3377
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助

12月4日(木)
18:00〜20:00

札幌かに本家 栄中央店 
名古屋市中区栄3-8-28
TEL:052−261−1161

4グループ共通事項

会費 実費精算の上、後日ご請求いたします。
出欠のご連絡 ◆ご出席の場合は、ご案内状に同封しております返信用紙にご記入の上、FAXでご連絡ください。(代理出席はできませんのでご留意ください。)
◆それぞれ開催日の稼働日2日前までにお取り消しなくご欠席の場合は、会費を申し受けますので、悪しからずご了承ください。
事務局連絡先 電話:052−221−8901 (担当:長瀬・藤原)
そ の 他 「中部経済同友会」で予約をしております。
それぞれの会場の地図がご入用の場合は、事務局までご連絡ください。

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【4グループ合同新年懇親会 開催日程】

産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」のご案内

日時

平成21年1月27日(火)17:30〜20:00
17:30〜18:30 川村代表幹事のご講話
18:30〜20:00 新年合同懇親会

場所 ウェスティンナゴヤキャッスル 電話:052−521−2121
講演会:2階 金の間 / 懇親会:2階 銀の間
ご講話演題 「広告の明日を考える 〜変化する時代への対応〜」
懇親会費 6,000円
※当日、講演会場受付で頂戴いたします。
※講演会のみご出席の場合は会費不要です。
本状ご案内先 代表幹事および産業懇談会メンバーの皆様
事務局連絡先 電話:052−221−8901 (担当:長瀬・藤原)
そ の 他 ◆食事の手配など準備の都合上、ご出席の場合は、ご案内状に同封しておりますFAX用紙で1月20日(火)までに必ずお知らせ願います。(代理出席はできませんのでご留意ください。)
◆懇親会のお取り消しにつきましては、1月23日(金)までにお知らせください。それ以降にご連絡いただいた場合は、会費を申し受けることになりますので、悪しからずご了承願います。

【お知らせ】

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【コラム】

花ちゃんからの健康だより
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.56

株式会社 スズケン
保健師 佐藤 花子

『 声かけ 』の話

 暖房の入る頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?美しい紅葉も終わりを告げ、地上の葉や花が少なくなると星や月が輝きを増して天が華やいでくるので、自然はうまくできていてすごいですね。ふと空を見上げると、月や星が輝いている。それをじっと見ていると切なさと不思議なパワーを感じます。

 この経済不況の中、多くの企業は総力をあげていることと思います。今こそ社員の元気度が業績に影響することは言うまでもありません。
 社内で、皆様の前をうなだれた若者が歩いています。さあ、皆様はどのように声をかけていますか?

例1. 
どうしたんだね。何かあったのかね。
「たいした事ありません。」
そうか、元気出せよ、若いんだから。
「はー」

例2.
どうしたんだね。ずいぶん元気がないね。
「ちょっと疲れが溜まっているんです。」
そうか、疲れているんだね。何か力になれることあるかい?
「今のところ大丈夫です。ありがとうございます。」

  どちらも、心配して声をかけているのですが、1と2を比較すると、2の方が明らかに元気を与えたような感じがします。特に現代は、単独でする仕事も多くなり、その上コミュニケーション不足も重なり、孤独感が増幅され、元気をなくす人が増えています。そんな人々を元気にすることは管理監督者の大切な仕事です。
 『声かけ』は、独りよがりでは効果が半減します。そのときのポイントは、価値観が一人ひとり違うことを頭に置いて、相手の価値観を大事にするつもりで、話しかけることです。時には、弱音をしっかり受け止める余裕も覚悟も必要です。声かけが多い職場は、そうでない職場に比べて、活気があり業績も良いと聞きます。それは自分を大切にしてくれる人や声をかけてくれる人には相談がしやすく、その人の話に耳を傾けやすくなるという相乗効果があるからでしょう。『声かけ』は元気な人にも有効で、お金のかからない「優れもの」です。

声かけトマト 声かけトマトとは その名のとおり 話しかけて 栽培したトマト 「いい実だね」 「ありがとう」など ほめたトマトは甘い味になり 高価なトマトになる 「ばかやろう」と おこったトマトは 味がすっぱくなる

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コラム【理念経営物語】
株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

理念経営成功例:No.6

【 根本的技術営業 】

 A社というメーカーに、大変技術力に優れたBという経営者がいました。しかし、Bは、その技術をいかに社会(人や企業)に提供すれば良いのか?いつも悩んでいました。そんなある日、知人から「ある企業に、技術営業に優れた大変人柄のよい人物がいて、その人物が現在転職希望であり、私に相談に来ているけど、興味があれば一度会ってみますか?」という話が来ました。経営者は即答しました「ぜひ会いたい!」と。そして、経営者はその人物に会いました。経営者は言いました「我社の技術を今まで以上に社会貢献に役立てるような提供の仕方をしたい」と。それに対する技術営業の人物は「つまり、理念に基づいた技術提供をするということですね」と言いました。その後この人物は技術営業部長として入社し、常に経営者とコミュニケーションを取り、理念を共有する努力を欠かさず、職務を遂行しました。理念に基づいた技術提供の具体的方法は、今ある技術をいかに提供するか?という前に、(1)技術自体がいかに理念から生まれたかを常に考える。(2)その理念を理解した上で技術者が技術創造をしているのかを常にチェックする。(3)企業側=提供する側からではなく、社会側=提供される側から常に物事を考える。―――という方法でした。このような技術営業部長の職務遂行を見て、経営者は、本当に良い人材が来てくれたと喜ぶと共に、「技術をいかに提供するか?」と悩んでいたが、自分自身が、自社の技術は良いものだ!という自己満足。良いものは役に立つという慢心を反省しました。いつも社会や顧客のことを考えていたつもりでしたが、あくまでも企業側の論理になってしまっていた。だから、この機会に創業の精神=ゼロに戻って我社の技術を社会貢献に役立つように技術営業部長を中心に全社をあげて努力しよう!そう心に誓いました。そして、どんなに理念を大切に考えていても、このような氣づきがなかったら、もしかしたら、思いとはまったく逆に、社会に反する経営の道を辿ってしまう可能性さえあったのではないか?そう考えながら苦笑いを浮かべました。

解説

自己満足で経営をする氣など誰もないでしょう。しかし、優れた技術を持っている事で、時にその技術に自惚れてしまい、根本を忘れてしまうことがあります。大切なことは、常に常に根本に戻って自社の技術を考えることです。

理念経営論

理念経営論とは、
根本にある理念に基づき、ビジョンに向かい、
木(企業組織)は成長していく。それが理念経営論です。
根をしっかりと伸ばすことで、木は成長します。
理念経営論は、
(1)本質的経営=理念創造・実現経営
(2)夢実現経営=ビジョン創造・実現経営
(3)実践的経営=全社員自立・実行経営

以上、3つの柱から出来ています。

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コラム【「ほん」のひとこと】
 〔「ほん」のひとこと〕No.2

株式会社 正文館書店 取締役会長
谷口正明

『逝きし世の面影』渡辺京二著・平凡社ライブラリー

 今年の年賀状で、多くの方にお薦めしました。嬉しいことに、「良い本を紹介してくれた」「私も昔読んで感動した」などとお返事を頂きました。
  内容は、幕末から明治の初めに来日した西洋人の目に、当時の日本人がどう映ったかを明らかにしたものです。そこには、貧しくても、明るく、満ち足りた表情で、自然の一部として生きる、我々の先祖の姿がふんだんに描かれています。二度と戻れないかもしれないが、私たちの国の過去にそういう時代があったことを知っておくことは、今後の日本や世界を考える上で、決して無駄ではないと深く感じ入りました。600ページの大著で、挑戦のしがいがある本です。

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コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No.78

片桐清志

「蓮」と「菱」

  「艸」冠の花で苗字にも人気があるのが「蓮」だ。泥池の中でも清らかな大輪の花を咲かせるため仏教で重用されることが影響していそうだ。「蓮」で始まる苗字だけでも42種が見つかった。もちろん一字姓の「蓮」さんもいてハス、ナメラとお呼びする。ユニークな苗字では蓮仏(レンブツ・ハスボトケ)、蓮台(レンダイ)、蓮覚寺(レンカクジ)、蓮花(ハスハナ)、蓮根(ハスネ)、蓮実(ハスミ)などがある。
 「蓮」に次いで人気があるのが「菱」だ。蓮に比べると目立たないが、夏から秋口に水面に白い花を咲かせる。文字通り葉の形が菱形をしており家紋にも好んで用いられる。一字姓の「菱」さんもいる。「菱」で始まる苗字は36種見つかった。ユニークな苗字では菱刈(ヒシカリ)、菱形(ヒシガタ)、菱根(ヒシネ)などがある。因みに花菱(ハナビシ)さんは見つかったが、三菱さんは見つからなかった。
 「芹」も結構苗字に登場する。「芹」で始まる苗字はおなじみの芹沢(セリザワ・セリガサワ)、芹川(セリカワ)など13種見つかった。残念ながら一字姓の「芹」は見つからなかった。
 その他の花では「蕗」が蕗田(フキタ)、蕗野(フキノ)、蕗谷(フキヤ・フキタニ)など8種見つかった。こちらは一字姓の蕗(フキ・フキアワセ)さんもいる。
 少数派だが「蘭」も蘭崎(ランザキ)、蘭苑(ランエン)など7種見つかった。一字姓の「蘭」さんもいてアララギ・ランとお呼びする。
 「菫」さんも見つかった。そのまま「スミレ」さんとお呼びする。苗字の世界も本当に色とりどりだ。

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【平成20年11月号編集後記】

 あれほどの猛暑もいつの間にかすっかり影を潜め、コートが恋しい季節になった。異常気象と言われながらも、経済界の混乱をよそに季節はそれなりに巡っている。
 先日、愛知県経営者協会の呼びかけに応じて高校生を対象にした「出前講座」に出かけた。小生にとっては6月の今池中学に続き、本年二度目の教壇体験だ。この出前講座の趣旨は実社会で活動中の社会人の話を聴くことで、普通科高校2年生が将来の進路選択の参考にしてもらうのが狙いだ。小生の訪問先は名古屋市立向陽高校になった。向陽高校は今年60周年を迎え、文部省のSSH(スーパーサイエンスハイスクール)にも認定されている。しかも今年ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英教授(京都産業大学)が十回生の卒業者だ。訪問すると校舎の正面に、受賞を称える大きな垂れ幕が目に飛び込んできた。理科離れが問題になっているが、ここばかりは無縁のようだ。
 65分間の授業では自分自身が大学受験に際して考えたこと、大学でのデジタル通信との出会い、就職時に考えたこと、社会人になって光通信の技術開発に携わったことなどを話した。ついでに最新の光ファイバーを使った小実験も行った。17歳の若人の目にどう映ったか分からないが、多少なりとも刺激になることを願っている。
 さて、産懇宅配便の今月号では木曜Gの篭橋氏(東菱電子)の「奉仕活動との関わり」を紹介できた。ともすれば金銭の寄付で済ませる社会奉仕でなく、自ら行動する奉仕活動の体験談をお話いただいた。「経営にも奉仕の精神を」「経営と奉仕は一対」との言葉が印象的だ。
 水曜第2Gの西浦氏(スズケン)には「『世の為人のため』〜『お得意さまに学ぶ』スズケン在勤半世紀」をお話いただいた。創業者の思いや戦後の事業再開と成長秘話、さらにご自身の体験談をご披露いただいた。経営環境が激変する中で、創業者の思いを原点に数々の経営課題にチャレンジし続けた西浦氏の熱意が伝わってくる。
 12月は各グループとも、この1年を振り返る懇談会を計画している。大いに歓談し、お互いに親睦を深めていただきたい。

(片桐)