テーマ: 『 企業は永遠に発展・存続し続けなければならない 』
日 時:20年4月8日(火) 12時00分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:21名
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スピーカー:
杉山 正昭(すぎやま まさあき)氏
菱栄エンジニアリング株式会社 代表取締役 |
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1. 永遠に発展・存続し続けるには
大まかに分けると発展・存続し続けるには三つのことが必要である。第一に経営者が絶えず経営に情熱を燃やし続けること。第二にあらゆる変化に敏速に対応すること。第三に目的、目標に向けた計画を遂行することである。経営者に求められるものはまず、経営は何かを考え、会社の理念、存在理由、目標をしっかり作ることである。経営者には必ずしも高度な知識は必要ではないが高度な倫理観と判断力が必要である。松下幸之助さんのお言葉だが、失敗した会社は失敗したように、成功した会社は成功するようにしているものだ。失敗した会社を思い浮かべ、自分の会社を振り返っていただけばこの言葉の深さが理解いただけると思う。まず経営者は情熱を持ち続けなければいけない。聞く耳を持ちながら経営に対する熱意を持ち続け、経営者品質を構築し、リーダーシップを取れる会社作りをすること。責任者は自分から進んでやる人間でなければいけない。株主、お客、社員など会社を取り巻く多くの人に対し経営責任を持つので責任範囲をしっかりと設定し判断を間違わないことが重要である。変化に対応するには、自社製品がどの位置にあるのかをベンチマークし、製品企画を十分行って行かなければ会社として存続出来なくなる。差別化とコスト競争力が重要である。我社には5by5ルールというものがあるが、ベンチマークをしてお客さんのニーズを捉え5年間で、50%ずつ商品(特許商品)開発をして行くというものだ。そういった開発に対する留意点としては、喜ばれる会社を意識することである。どうして買っていただけるかもよく考え顧客満足を顧客感動にしなければいけない。価格はお客様の事前期待と事後評価を考えて、商品価値を考え設定する。お客様に対するアフターサービスの気遣いが社外セールスを作ることもある。社員を長期資産と考え教育で資産の増加を図る。マネージメント、技術、マナーなどあらゆる教育を行うと社員品質が高まり立派な会社の構築が出来る。勉強しろだけでは駄目で、会社が仕組みを作ることが基本である。しかし、教育をしたからといって必ずしも儲かると言うことではない。地道な教育をしていかなければならない。そして、従業員に対してはしっかりとした理念、目標、戦略を示し納得させる。社員が納得したかどうかを確認することが大事である。そして、報告をタイムリーに受け、その時口出しをしないことが肝要だ。そうでないとやる気をなくさせる。昔から信賞必罰と言われているが、機会は平等に与え処遇は公正にすること。VE(Value Engineering)、VA(Value Analysis)という原価低減手法があり、改善提案があるが、そういったものをどんどん出させ、良い改善提案だったらそれに見合った賞金を公正に出す。全然出さない人には罰を与える。
2.企業倒産について
経営者の放漫・過信、社員教育の欠如、事業目的計画性の欠如、業界情報不足と環境変化への対応不足、新製品の欠如、技術開発の遅れ、同族経営の弊害、公私混同、経営哲学の欠如、決断力・実行力の欠如、計数管理の不足と勉強不足、ワンマンと反省心の欠如といった倒産の理由がある。経営者は自信、過信、慢心、放漫、破滅と悪化する可能性があるので自分がどこにいるのかを判断し、自信は無くてはいけないが過信は要注意である。
3.品質・生産性の向上
品質には製品、経営、管理品質がある。20世紀前半より米国にはSQCという統計的管理手法があったが、第二次世界大戦後、GHQは日本企業にSQCを紹介した。その後アメリカからデミング氏が来日され、日本の戦後の復興に貢献された。その後トヨタ自動車がクラウン、コロナを作っていた時にTQCを導入した。デミング氏の広めた手法としてはまず、製造するものの品質基準を決め、それに基づいてどのように作るか作業標準を作る。製造工程では策定した品質基準と作業標準に基づいて生産し、商品を市場に出荷する。その後、市場での評価を調査して不具合が有ればアフターサービスし、そこで得た各種情報を参考にして品質基準、作業標準を見直す。トヨタ自動車はこの手法をどんどん取り入れて、後にジャストインタイムが芽生えることになった。そのトヨタ生産方式を私なりの手法で紹介したい。
トヨタ生産方式がものづくりと生産性向上の原点であることは間違いない。必要なものを必要な時に必要なだけ安く作る。これが原点である。そこで見える化によって問題を顕在化しムリ・ムダ・ムラを無くしていく。品質は前工程で完璧に作り込み後工程に不良品は渡さないのである。また、見える化によって自動化の流れスピードを決めているが、そこで考案されたのが有名なジャストインタイムである。必要なものを必要な量だけしか置いておかない。月、週、日、時間といった軸で納入ルールを決定する。それによって品質向上、生産性の向上を図る。このサイクルを廻す中で改善を行いものづくりを強化をしていくことである。これは中小企業にも当てはまる。当社はほとんど1台のマシンを作ることしかしないが、ライン化したらどうなるかを考えた。その結果、今日組む材料(部品)だけを置いておく様にした。部品が無くなっていくスピードによって、半分終わったな、とか、早く終わったなとかの判定が出来るが、それが見える化ということである。万一間違って設計されたり、加工されたものがあると、生産上のトラブルや品質不良が発生する。その理由を解明すれば、その後の生産に反映出来て良いものを生産出来るという構図になる。
4.危機感の共有化
会社には必ず悪いものがあると思っているが、その危機感を皆で解決して行かなければいけない。まずは自分のところの問題点、何が悪いかというところを取り出し、それに対して背水の陣の体制で問題解決に取り組む。これはトヨタさんがやっていることである。円高になると1円で500億円の損失が出ると言って上から下まで騒ぐが、トヨタ自動車は非常に対応が早い。一般に大企業ではトップから下まで情報を浸透させるには1ヶ月程度掛かると思うが、トヨタ自動車は方針が出ると翌日には末端に届いている。そしてどんなことにでも背水の陣をしいて対応するが、そうしてやってこそ会社はいつまでも存続していけるのである。
現在、少子高齢化、フリーターの増加、日本経済のスケールダウン、地球温暖化といった問題に直面し、更にはBRICsの台頭、円高、原油高、資材供給逼迫などにより日本経済はどんどん窮地に追いやられているが、日本企業が世界をリードし永遠に存続し続ける為には、一生懸命考えて良いものづくりをして行くことが大事で、それが次世代に向けて我々がやっていかなければいけないことだと思っている。
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