テーマ:『 社会インフラを支える情報通信システムについて
−from the Front Line− 』
日 時:20年3月19日(水) 12時00分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者:22名
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スピーカー:名菱電子株式会社
取締役社長 岡野 勝(おかの まさる)氏
ソフトウェアシステム部 グループマネージャー 伊藤 貴志(いとう たかし)氏
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1.弊社概要
名菱電子は、三菱電機のグループ企業として、情報通信システムの開発、設計・施工、及び保守・運用を行う、地域に密着した総合システムエンジニアリング会社である。1968年名古屋で創業、現在は本社を日進市に移転し、本年7月に40周年を迎える。おかげ様で2年連続の増収増益となり、目標としてきた売上高50億円を07年度達成の見込みである。
2.三菱電機神戸製作所の歩み(自己紹介を兼ねて)
三菱電機は、1921年(大正10年)に三菱重工(当時は三菱造船)神戸造船所敷地内の電機部門が分離独立し、三菱電機神戸製作所として創業。それから2年後、三菱重工長崎造船所の電機部門が三菱電機長崎製作所として分離独立、更にその1年後、名古屋製作所が設立された。
私は、1974年に三菱電機発祥の神戸地区に入社以来、一貫してコンピュータを活用した監視制御に関する仕事に携わってきた。当時、コンピュータ制御に関するニーズが高まり、私自身も恵那山トンネル(1974年)や関越トンネル(1985年)の遠方監視制御システム、東京サミット(1993年)に向けて導入されたパトカー動態管理システムやその後高度化する警察通信指令システム、横浜ランドマークタワー(1993年)向け大規模ビル管理システムなど、各種分野の監視制御システムを経験することが出来た。
3.三菱電機と弊社の関係
弊社は三菱電機グループとして、公共・電力・交通等の社会インフラに係わる情報通信システム分野を手掛けており、光通信、無線通信、衛星通信を組み合わせた各分野に最適な「広域監視制御ソリューション」、ネットワークセキュリティ技術、Web技術を活用した「業務ソリューション」、またこれに加えて、システム納入後の「保守・運用サービス」をお客様にご提供することが主な役割である。
4.国のIT戦略〜e-JAPANからu-JAPAN〜
2001年より政府が進めてきたe-JAPAN戦略を更に発展させたのがu-JAPAN政策である。e-JAPANでは、2005年までに世界最高水準の通信インフラ整備を実現することが目標であった。u-JAPANでは、既に世界最高水準に達した日本の通信環境を、更に2010年までに世界で断突の水準にまで進歩させることが目標とされており、これによって、ITにC=Communicationを加えたICTが生活の隅々にまで溶け込んだ社会、「いつでも、どこでも、だれでもICTの恩恵を実感できる−ユビキタス社会−の実現」が期待されている。
5.事例紹介
(1)交通分野の情報通信システム
東海道・山陽新幹線各駅の旅客案内情報システムは三菱電機が納入しており、名菱電子は三島から米原まで10駅のシステム保守を担当している。また、名鉄殿計画の駅務管理システムでは5年間で約150の駅に、無人化設備の導入を行い昨年ほぼ完了した。
(2)国交省関連(河川/道路/砂防)
最近の例では、昨年11月に開通した中部縦貫自動車道に、道路情報の収集・提供設備、道路照明、道路ヒーティング(融雪設備)、トンネル内の換気設備などを集中管理する遠方監視制御システムを納入した。
(3)ITS関連(画像処理/ETC/DSRC応用)
既に自動料金収受システム(ETC)で普及している高速無線通信技術(DSRC)は、今後ガソリンスタンドやドライブスルー、駐車場管理など、民間での活用が検討されている。
(4)防災行政無線/防災情報システム
阪神淡路大震災後、愛知県では、県庁と東三河の2箇所に衛星通信用地下シェルタ局を設置し、地上系大容量デジタル多重マイクロ回線と衛星系無線回線の2ルート高信頼度ネットワークによって、県、市町村、保健所、消防本部、自衛隊等を結び災害に備えている。
6.まとめ 〜「ものづくり」から「ものコトづくり」へ
(1)地域情報化の推進
将来は、地域公共ネットワークが更に充実していくと予想される。恐らく、1)住民基本台帳ネットワーク、電子申請、電子投票などの行政基幹ネットワーク、2)防災、学校教育、福祉などの地域イントラネットワーク、3)行政サービス、地域内高速通信、地域内放送などの地域振興ネットワークという順で段階的に導入、ネットワーク整備が進み、充実が図られていくことになるだろう。
(2)顧客重視の企業を目指して
顧客にとって最高の製品を提供するのが、従来の製品重視のものづくりであったとすれば、顧客にとって最高のソリューションを提供するのが、顧客重視のものコトづくりである。すなわち、三菱電機製品だけを扱うのではなく、パーツ毎に最適な選択をして、全体をひとつのパッケージとして考えることで、顧客にとって最高のソリューションをご提供していくことが弊社の目指すべき姿と考えている。
(3)弊社の企業理念
弊社では、創立40周年を迎えるにあたり、前述のような目指すべき姿を念頭に、以下のように企業理念、経営方針、行動指針を設定した。
<企業理念>
情報通信技術の向上に努め、地域に密着した総合システムエンジニアリング会社として、安心・安全で環境に優しい社会の実現に貢献する。
<経営方針>
三菱電機との最適な協業体制と、地域・顧客に密着した付加価値のあるサービス提供により、自立経営と持続的発展を目指す。
<行動指針>
- 顧客重視:お客様の立場で考え、お客様の問題解決に繋がる付加価値サービスを提供し、信頼関係を築く
- 現場重視:本質を見極め、創意工夫で業務改善を積み重ねる。
- 技術重視:三菱電機との連携を活かし、飽くなき技術力の向上に努める。
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