テーマ:『 井村屋製菓株式会社 本社工場見学 』
日 時:20年3月6日(木) 11時00分〜16時30分
場 所:井村屋製菓株式会社 本社工場
参加者:20名
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今回は、井村屋製菓株式会社の山川皓会長、浅田剛夫社長のご案内で、井村屋製菓株式会社本社工場(三重県津市)を見学させていただいた。一行は、バスで午前11時に商工会議所ビルを出発して、午後12時半に会場に到着。本社工場の大会議室をお借りして昼食、歓談の後、同会議室にて浅田社長より井村屋製菓の事業概要をご説明いただいた。その後、2班に分かれて肉まん・あんまん製造工場とあずきバー製造工場を見学させていただき、再び合流して、新規事業として2年前に竣工した賃貸住宅ヴィル グランディールを見学させていただいた。
●井村屋製菓の概要
井村屋は昨年4月に会社設立60周年を迎え、新たな井村屋に向かって、スタートをきったところである。当社は創業以来、一貫して「特色経営(商品づくりや企業経営において決して人真似はしないこと)」と「不易流行(新しい変化に対して勇気を持って変革に臨むこと)」の考えを貫いてきた。また、創業者井村二郎からは、「どんなに小さなヒットでも構わないから、日本一の商品をつくってそれを柱とし、その柱を何本も持つことが大事である。」と教えられてきた。
当社では、あずきバーやゆで小豆などの小豆を扱った商品の他、水羊羹や肉まん・あんまんなどの商品を長年手掛けてきた。また当社は、多様な業態を扱う食品会社という他に例を見ないユニークな存在でもあり、現在では、アイスクリーム、冷凍食品、調味料関係、チルド商品、更には外食事業など食品に関わる幅広い事業を手掛けている。無くてはならない食品は扱っていないが、「あったらいいな。」が当社の商品の最大の特徴である。
当社では一昨年、企業ポリシーを「Be always for Customers!」と定めた。しなやかで強く魅力ある企業を目指しながらも、その根幹には「常にお客様を大切にしよう」という意識や姿勢が大切である。現在、食品業界は食の安全・安心に関わる大変大きな課題を抱えている。昨年1月の不二家の期限切れ原材料使用問題に始まり、その後も北海道のミートホープ、「白い恋人」の石屋製菓、船場吉兆、そして、ご当地の老舗である赤福、更に今年2月に起こった中国製餃子の問題など、こうした食品の品質問題が立て続けに起きて皆様に大変なご迷惑をお掛けしている。食品の安全・安心はこれまでも井村屋製菓の絶対テーマであったが、安全・安心な食品を提供し、消費者に信頼していただくことが、これまで以上に食品メーカーにおける企業存続の必須条件になってきたと感じている。また、小麦粉などの原材料価格が高騰しており、大変頭の痛い問題であるが、何とか皆で知恵を出し合って、この問題もクリアしていきたい。
当社では、昨年3月に中国でカステラ事業を立ち上げ、今年4月からは国内で冷凍和菓子事業にも進出する。ここ数年、井村屋では大きな変革に向けてグループを揚げて取り組んでおり、ようやくその土台が出来てきたように思う。変化の激しい世の中であるが、今年は更に「凡事徹底」を合言葉に、細やかなことを疎かにせず、心を込めて安心・安全な商品の提供に努めて参りたい。
●肉まん・あんまん工場の概要
平成8年に高効率の大量生産型設備を導入した。生産能力はMax120万個/日。一日の平均生産量は約80万個である。以前は、従業員120名体制で製造を行っていたが、この大量生産型設備の導入によって、一挙に50名程度の人員が削減できた。最近は、商品の規格も多様化し、また、手間隙をかける高付加価値商品も増えてきているので、再び人員も増やしつつあるところである。
肉まん・あんまんの敷き紙には、一枚毎に製造日時とどのラインで包餡されたかが識別できるよう、レーザーでロットが印字されている。従って、商品に異常が見つかった場合は、敷き紙さえ回収できれば、印字されたロットから遡って、原料の調達先から出荷までの製造記録をトレーサビリティできるシステムとなっている。また、最終の袋詰め工程では、袋詰めと同時に重量チェックやX線検査を行っており、金属などの異物検出も厳重に行っている。これらの検査によって発生するロス率は現在、約2.4%であるが、これらのロスも養豚業者などに協力していただき、飼料化するなどして有効利用している。
●あずきバー工場の概要
平成18年に「バーサライン」という最新鋭設備をアメリカから導入した。設備導入以前は、3年連続で需要に供給が追いつかず、欠品を発生させてご迷惑をおかけしたが、設備導入によって製造能力が向上したことにより、昨年8月には過去最高の売り上げを記録した。今期は、夏場までに1億5千万本を販売し、最終的には2億本に達すると見込んでいる。
ここ半年程、砂糖などの原材料や原油の価格が急激に高騰しており、これに加えて小豆が不作となると死活問題にも繋がり兼ねないが、幸いなことに今年は小豆も豊作で品質も大変よいと予想されている。
バーサラインでは、品質保持のため、最低でも1日2時間以上、また週に1度は4時間の洗浄を行っており、どんなに生産がタイトな時期であっても18時間以上設備を稼動させることはない。どんなに生産がタイトであったとしても、品質を疎かにして消費者の皆様にご迷惑をお掛けするわけにはいかないからである。
●賃貸住宅ヴィル グランディールの概要
1昨年、新規事業として賃貸住宅ヴィル グランディールを竣工した。全34棟から成り、現在、140世帯、約350名が入居されている。間取りは1Kから3LDKまで取り揃えており、賃料は、1Kが4万5千円〜、3LDKの最も広いお部屋(約80m2)で9〜10万円となっている。敷地内には、子供が遊べるエリア(キッズコート)やビオトープを併設し、また電線は全て地中に埋設するなど非常に景観や環境に配慮した設計となっている。また、昨年9月には、敷地内に企業内託児所「アイアイ・キッズルーム」を開設した。今後も仕事と子育ての両立を目指す従業員を積極的に支援し、働くお父さん、お母さんを応援する企業でありたいと願っている。
約2時間にわたって工場見学をさせていただいた後、質疑応答のお時間をいただき、午後3時に見学会を終えて、一行は井村屋製菓を後にした。
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