産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】   第57号 2007.2.28発行

メールマガジン■産懇宅配便■

平成19年2月度(第57号) 目次
【19年2月度産業懇談会(木曜)模様】 2月1日(木) 12時00分〜14時00分
【19年2月度産業懇談会(水曜2G)模様】 2月7日(水) 12時00分〜14時00分
【19年2月度産業懇談会(火曜G)模様】 2月13日(火) 12時00分〜14時00分
【3月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』
コラム4
『鉄道の歴史と切手の世界シリーズ』

19年2月度産業懇談会(木曜G)模様


テーマ:『 先端材料で世界のトップ企業を目指す』

日  時:19年2月1日(木) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:34名

 

スピーカー:
  濱口 裕(はまぐち ひろし)氏
  東レ株式会社 名古屋支店長

濱口 裕(はまぐち ひろし)氏

  昭和23年8月大阪生まれ、阪神のファンだ。昭和47年大学卒業後、東レに入社。当初11年間は繊維の営業で女性用ニット生地を販売したり、紳士用のシャツ地を販売した。その後、11年半ほどコンタクトレンズの販売をした。それ以来コンタクトレンズを使用していて、現在も遠近両用のものをつけている。その後、経営企画室に4年半。ここでは長期経営計画、M&Aで韓国企業の買収なども手がけて、会社全体を勉強することができた。さらに宣伝室に2年、広報室に3年間過ごした。その間に担当した東レパンパシフィックテニスは、24年間にわたり当社が主催してきたツアーで、世界の女子テニスツアーの中でグランドスラム大会以外では、最もプレーヤーの認知度が高いと思う。広報では記者に、良い情報、悪い情報をいかに提供するかということが役割で、記者に自社を正しく理解してもらうことが極めて重要だ。メディアに対する情報公開の仕方で記事の書かれ方も異なってくる。それらを経て、TOREXブランドを浸透させるため上海に赴任したが、2年で名古屋に来た。自分の父親も、かつて名古屋に勤務をしたことがあり縁を感じる。

 東レの設立は1926年、昨年80周年を迎えた。東レグループ全体で36,000人が働いている。基盤事業の繊維、プラスティック・ケミカルで前期は売上の全体比65%9,000億円強、営業利益は同42%390億円を稼ぎ出すが、情報通信・機器、炭素繊維複合材料の戦略的拡大事業は、売上が全体の20%2,800億円に対し、営業利益は全体の46%430億円に上り、これらが、稼ぐべき事業になっている。環境・エンジニアリング、ライフサイエンスなどの戦略的育成事業は、2010年以降の稼ぎ頭になってもらうべき事業で、売上は全体比15%2,200億円、利益は同12%115億円となっている。
  当社は、高分子化学、有機合成化学、バイオテクノロジーをコア技術としているが、そこから生まれる素材をさまざまな分野に提供するというのが役割だと任じている。結果的にいろいろな分野向けに事業を拡大しているが、近年はナノレベルでのコントロールによって、さらにいろいろな事業に取り組めるようになっている。どのような形で提供するか、加工の仕方によっても、いろいろな応用が利くようになっている。
  当社の業績は2001年度に大きく落ち込み、この時にプロジェクトNT21を策定して、抜本的な体質強化による守りの経営を行なった。この計画は、1年前倒しで目標を達成、あらたな経営課題としてプロジェクトNT−Uを立ち上げ、今度は事業構造改革に伴う攻めの経営を行なっている。ただ、数字をベースとした計画は作らず、あるべき姿に対して、何をすべきなのかを課題とし、これに取り組むことで、結果的に数字がついてくると考えている。
  今中間期では、過去最高の売上7,460億円を達成、営業利益も430億円となった。中でも、炭素繊維複合材料、情報通信材料・機器がこの成長を牽引した。
  この炭素繊維複合材料は55%が産業用、22%航空機、23%がスポーツ用途だ。産業用として、自動車材料にも使われ、さらに耐震補強用途にも相当量使われている。パソコンの筐体などもあり、いろんなところで使われている。総需要に対し34%ぐらいのシェアを持っているが、さらに生産能力の増強を図る。航空機では、1982年ぐらいから一部に使われ、安全な航行を保証する部材である1次構造材として使われたのはB777。B787ではそのほとんどに使われる予定だ。情報通信・機器の分野では、携帯電話やカーナビに使用される液晶のカラーフィルター、PDP用材料などの材料のほか、高度な記録材料としてのファイルム、カラーフィルターの製造装置などがある。
  環境エンジニアリングにおける機能膜は、用途に向けた膜のバリエーションをいかにもつかということが重要だが、中でも、逆浸透膜は海水を淡水に変えることで、昨今注目されている。工業用水を浄化して、飲料水や原料に使うことは、一般通念としてなかったが、この膜で、工業用水を工場内で生産の原料水や水道水の代わりに使うことができるようになった。
  ライフサイエンス事業では、抗がん剤、肝炎に対する医薬のほか、人工腎臓などの医療材、高感度DNAツール、たんぱく質解析ツールなどのバイオツールを展開し、事業拡大を進めたい。さて、基盤事業の繊維事業は、欧米のケミカルジャイアントが繊維事業を撤退した中で、先進国の大企業として類のない糸・生地・製品まで手がける垂直統合型の展開をしている。今後、自動車用途を中心に産業用での拡大を図り、安定した収益を確保していく。プラスチックは、エンジニアリングプラスチックに取り組み、自動車、家電等のニーズに対応する。ポリエステルフィルムは世界6カ国で適地生産、現地供給をしている。

 中期経営課題として、2010年近傍に売上1兆8,000億円、営業利益1,500億円を目指すことを考えているが、戦略的拡大事業で収益を拡大し、先端材料比率を向上させる予定だ。設備投資は戦略拡大、育成事業への集中的な投資を行い、研究開発投資についても先端材料に80%を傾斜投資する。2010年近傍の先端材料の売上を2005年度の1.8倍にする予定だ。【1】事業構造革新、【2】海外事業強化、【3】先端材料事業拡大、【4】研究・技術開発力革新、【5】生産技術力革新、【6】コスト革新、【7】営業力革新、【8】コーポレートブランド強化の8つのプロジェクトを推し進めて、2015年には営業利益2,300億円を目指したい。

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19年2月度産業懇談会(水曜2G)模様


テーマ:『 企業におけるリスクマネジメント実践のために』

日  時:19年2月7日(水) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:33名

スピーカー:住友生命保険相互会社 
        常務執行役員中部営業局長 矢島 典明(やじま のりあき)氏
        スミセイ損害保険株式会社
        引受審査部 名合 正二(なごう しょうじ)氏

矢島典明(やじまのりあき)氏名合正二(なごうしょうじ)氏

  リスクマネジメントは、100人いれば100のリスクマネジメントがあるが、究極的にいえば企業の倒産防止だ。アメリカでは、すでに1930年代からその研究がされはじめ、75年にはリスクマネジャーを会員とする協会が誕生している。一方で、日本では災害が起きたら諦めるというようなメンタリティーの問題、あるいは含み資産やメインバンク制などが企業のリスクをヘッジしてきたために、リスクマネジメントの発展が遅れてきた。しかし、企業会計のグローバルスタンダード化でリスクが財務諸表にストレートに反映されるようになってきたため、その重要性がクローズアップされている。
  そもそもリスクとは、予想される結果と現実との潜在的相違、不確実性のことであるが、日本では「危険」と訳したこともあって、リスクについての認識が遅れている。
  日本のリスクマネジメントにとって転換点となったのは、大和銀行株主代表訴訟である。この訴訟における大阪地裁の判決は、取締役のリスク管理責任が問われたもので、この管理を怠ったのは取締役の注意義務違反にあたり、数億ドルにのぼる賠償を命じられた。
  会社法362条4項6号では内部統制について定めているが、今後、その体制の要求基準が厳しくなる可能性もある。また、財務報告の適正性確保のための内部統制の整備、文書化が求められており、いわゆるJ−SOXとして問題となっている。
  危機管理とリスクマネジメントの違いは、衝撃の大きいリスクの管理を危機管理といい、全てのリスクの管理をリスクマネジメントという。リスクマネジメントサイクルとは、リスクの洗い出し、分析・評価、処理方法の検討、処理の実施、結果のトレースで、このサイクルを回して継続的にレベルアップを図ることが重要だ。

 企業を取り巻くリスクには7つの分野がある。事故や災害によるもの、PLや権利侵害などの法務によるもの、投機の失敗や買収などの財務のリスク、社員の犯罪などの労務リスク、規制強化などの政治リスク、金利変動などの経済リスク、テロ・誘拐などの社会リスクである。これらのリスクによって、売上、財産、賠償責任、人材、企業イメージの5つの企業損失の形態が生じる。
  リスクの危険度は、発生する可能性の評価と影響度の評価の積で表すことができる。したがって、できるだけ発生頻度を下げてリスクを扱いやすくするか、発生事象の影響を極力抑え込んでリスクを小さくする、あるいは、保険などの仕組みへ転嫁する対策が必要だ。
  具体的なリスクについて、参考事例を紹介する。
  アスベスト訴訟は、1964年に研究論文で人体への影響が明らかとなったにも関わらず、メーカーが危険性を警告せずそのまま使用し、1973年に米国で製造物責任が認定された。それ以後、訴訟は60万件にも上り被告会社は8,000社となる。米国の保険業界はすでに200億ドル以上を支払っているが、更に総賠償額は1,400億ドル以上に膨らむ見込みだ。日本では始まったばかりといっても良い。
  ジョンソン&ジョンソン社のタイレノール事件は、解熱剤のタイレノールに青酸カリが混入され7名が死亡したという事件だが、同社はどう対応したかというと、ただちに全米中の全ての商品を撤去し回収した。このリコール費用は1億ドル以上かかったが、生産過程に問題がないことをテレビ等で情報提供すると共に、わずか2週間で3重密閉包装の混入を防ぐ手立てを実施した。これにより同社は35%のマーケットシェアをすみやかに取り戻した。
  一方、日本の某社では目薬異物混入事件として、金銭を要求する脅迫状とガソリン混入の目薬が届いたため直ちに対応チームを立ち上げ、目薬250万個の回収とテレビCMの自粛を行った。その後容疑者が逮捕され、メーカーではフィルム密封包装の製品を出荷した。これらはいずれも危機管理・リスクマネジメントの成功例として評価されている。

 ハインリッヒの法則によれば、事故と被害(損害)は別のものでヒヤリ事故が何度もある限り必ず大きな損害が生じる。また、事故は間接原因まで遡らないと防ぐことはできない。
  あるリスクマネジャーの経験であるが、リスクマネジメント実務のポイントとしては、まずリスクは生きモノで変化していくということ。また弁護士・コンサルタントなどの専門家を使うこと。リスクに対して空振りは許されても、見逃し三振は許されない。3人寄れば文殊の知恵ということもある。リスクはマニュアル通りに発生しないので、立派なマニュアルは役に立たないということ。
  また、危機時のコミュニケーションの専門家いわく、物事に筋道を通してくるお客様には初期対応が大事で、面談に行き誠意をみせることが大切。ちょっと変だと感じたことは、ハインリッヒの法則を思い浮かべてリスクの根絶が必要。会社の常識は社会通念の変化により社会の非常識になっていることもあるので要注意。更に危機管理時の心得は、問題を起こした人がウソをつかないように、決してその場で叱らないことだそうである。
  リスクマネジメントの実践のためにはリスク感性の醸成、問題意識が必要だ。全員参加のリスクマネジメントによって、リスクに敏感な企業になろう。それがリスクに強い企業になることであり、リスクマネジメントの真髄ともいえる。

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19年2月度産業懇談会(火曜G)模様


テーマ:『 仕事と余暇』

日  時:19年2月13日(火) 12時00分〜14時00分
場  所:名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者:20名

 

スピーカー:
  下 昇治(しも しょうじ)氏
  エスケイメンテナンス株式会社 取締役社長

下 昇治

 高校時代は、無口で板前か大工になりたいと思っていたが、大学でライフル射撃部の主将をやってから営業に向いているのではないかと思い直した。学校を卒業して、トヨタ自販に入社。当時は、従業員4,000人ぐらいで、自由・闊達、リベラルな雰囲気があった。商社からの転職などの中途採用の方々も多くいて、インターナショナルな雰囲気すらあった。1982年にトヨタ自工と合併して、自工の規律、組織力、金太郎飴と自販の自由な発想、個性、一匹狼風とでもいう面が一緒になって、個性も生き、組織も生きたという感じがする。
 最初は、船積みを担当し、その後、欧州の担当となったが、当時ドイツ、イタリア、フランスではほとんど売れておらず、販売店を大事にするという姿勢でコツコツやってきたことが今日を築いたと思う。
 86年に、トヨタはケンタッキーへ工場を進出し、現場の人達は英語がしゃべれなくても、あっという間にとけ込んで行った。トヨタはこの後、ものすごい勢いで国際化していくが、この人達が実は、トヨタの国際化に一番貢献したと思う。
 トヨタが凄いと思う出来事が、この前後にあった。それは、アメリカ向けのピックアップトラックの販売が大きく伸びるという見込みがあって、生産体制をそれまでの倍の40万台にした直後に、日米自動車摩擦が持ち上がって、20万台しか売れなくなってしまった。その時に、在庫は悪だという判断で、直ちに生産体制を再び20万台に戻した。そういう問題が持ち上がってきたときには、どうしようかと考えている間に時間が経過して、大きな傷を負うのが常だが、あの時にすぐに決断したトヨタのトップは本当に凄かった。
 その後、子どもを連れてトロントに駐在し、そこでの生活に馴染んだが、小学校の娘が「コップを割ったのね」と言ったら「コップが割れたの」と言ったり、ある時は、悪さをしたので手を挙げたら、警察に通報しようとしたのには驚いた。
 日本に戻って、米州を担当し、その後1年でITSを担当した。ITSはその頃、アメリカもヨーロッパも世界基準を狙って熾烈な活動をしていたが、日本だけは技術者だけの集まりという感じで、彼我の感があった。そこで大急ぎで省庁、自動車・部品・電機メーカーとの調整をした。この時ほど忙しいと思った時はなかったように思う。それにしても、その頃、自分は次長クラスで、報告する相手は豊田章一郎会長、張常務と和田副社長とが横で聞いているという風で、人の使い方にも驚いたものだ。
 その後、中南米を担当し、ブラジルにも駐在。そこから戻って、フォークリフトの担当となって、今度は全世界を駆け巡った。2001年に製販統合で、豊田自動織機に転籍したが、100人の部下の内、8割は2年でトヨタに戻って行ってしまった。その戻って行く人達に、自分がいた足跡として、今やっている仕事を見直して、整理してフローチャートを作ってもらった。これが、事務の合理化・改善に大変役立った。その当時、4万台だった輸出は今や8万台と倍増している。

 こうして海外に行く機会も多いが、英語は本当に苦手で、最初の出張では、自分の言いたいことだけを暗記して、人の言うことなど聞くこともできなかった。結局、ボキャブラリーだけの英語では尊敬されず、シェークスピア、マークトウェイン、オスカーワイルドらがこう言っているという引用を話の中で折り混ぜると、なかなかのものだと思われる。
 
 仕事を通じて思うことは、今の課長はプレイングマネージャーで自分が担当者になっているが、昔の課長は仕事全体を見回していて、朝来て、新聞を広げているだけで、書類を持っていくと赤鉛筆でどっさり直してくれるというような仕事の進め方で、本当に偉かったなと思う。そして、トヨタ生産方式で思うのは、TPSは門外不出の秘伝というものではなく、結局、PDCAのサイクルをきちんと回すことや、なぜなぜを5回繰り返すというようなことを、愚直に徹底的に繰り返す、風土を作ることが大事だ。それが実に難しいということだ。
 
 最近聞いた大変怖い話がある。仲が良いといわれていた夫婦で、ご主人が寝たきりになってしまった。ご主人は饅頭が大好きで、奥さんは毎日、ご主人のためと饅頭を買ってきて枕元に置いている。ご主人は動けないので、饅頭に手を出すことはできないが、夕方、奥さんが再びご主人の枕元に来て、その饅頭を干からびてきたとゴミ箱に捨ててしまうという話だ。
 この話を聞いて私には大変怖かったが、皆さんは如何か。また、退職前のセミナーでは、会社をやめた後のスケジュールを書いてくれと言われて、食事の時間以外のスケジュールが書けないという人が沢山出る。散歩、将棋や碁も毎日、何時間もすることもできない。いかに趣味を持つかということが大事だ。夫婦の会話で、相手の話をよく聞いてなくて、はいはいと適当に相槌を打ったりすると、呼んでいないわよと怒られたりするが、引退しても緊張感を持つことが大事だ。家内がケーキ教室に通っていて、その仲間を集めて料理教室をやっているが、いろいろ若い人達に教えることが楽しい。レシピ作りも実は大変な作業だ。
 随筆家の白洲正子さんとは、東京時代にお付き合いがあったが、その当時の仲間との付き合いも今あって、広島の田舎に家を建てた時に大工さんや庭師さん、左官屋さん等、白洲さんお抱えの職人さん達が協力してくれた。地元ミュージシャンが帰ってきた時に、コンサートなどもやったりしている。これからはふきのとうがおいしい。花山椒ももうすぐだ。人生も短い。楽しみがいろいろあるので、引退してからが楽しみだ。

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【3月度産業懇談会開催日程】
(場所は名古屋観光ホテルです。)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ
各務芳樹
深田正雄
3月13日(火)
12:00〜14:00

キャリオ技研株式会社
代表取締役 富田 茂氏
「若者への伝承 デジタルで伝える限界はこころの問題から解決!=技術伝承をデジタルで行う簡単な手法(納入案件での苦労や社内実例)を紹介」

18階
オリオンの間

水曜第1グループ

飯田芳宏
落合 肇

3月28日(水)
12:00〜14:00

酒井法律事務所
所長 弁護士 酒井 俊皓氏
「法律よもやま〜裁判員制度について〜」

18階
伊吹の間

水曜第2グループ

片桐清志
谷田利景

3月14日(水)
12:00〜14:00

大日コンクリート工業株式会社
取締役専務 鈴木 忠明氏
「中堅企業における経営革新の歩み
   〜トヨタ生産方式導入を中心に〜」

18階
オリオンの間

木曜グループ

河村嘉男
倉藤金助

3月1日(木)
12:00〜14:00

名南経営センターグループ
代表 佐藤 澄男氏
「これまでの出会いと学び」

18階
伊吹の間

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【お知らせ】

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【コラム】

コラム【花ちゃんからの健康だより】
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.35

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

フードファディズムの話

水仙  今年はいつもより早く春の訪れを実感しますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
とある番組の影響は健康づくりにいろいろな波紋を広げています。多くの人はマスメディアによって伝えられる無数の健康情報に翻弄されてしまいそうになります。特定の食べ物を話題に取り上げ、健康によいと過大に評価される「フードファディズム」と呼ばれる現象が蔓延化して来たように思います。ココア・にがり・寒天・酢・納豆など特定の食べ物について、体に良いとかダイエット効果があると放送されれば、スーパーでは飛ぶように売れ、返って食生活に乱れが起こる状態になります。国民栄養調査によると健康のために必要な情報を得る場合、テレビ・ラジオからは男性が56.2%、女性が76.0%でともに1位でした。2位が家族からで、医療機関からは14%にとどまりました。これからはもっと健康な人にも医療機関などが関わり、皆様が健康情報に翻弄されないように支援できることが望ましいようです。今後、医療改革により中高年に対しては健康保険組合などの保険者が主体となり、健康増進のためにいろいろなスキルやアイテムを使って健康情報を個別提供していく時代になりますので、疑問や悩みを解決しやすくなります。
 ペットたちはバランスのとれたペットフードだけで、元気に過ごすことができますが、大脳の発達した人間にとって『食べ物』は体の栄養だけではなく、心の栄養にも影響しますので、まず「おいしいね。体にいいね。」と楽しく語り合いながら食べるほうが良いことはいうまでもありません。もう少し冷静に情報を活かし、健康の味方にして効果を出したいものです。
 これから山菜が美味しい季節になりますね。自然から若々しい元気をいただきましょう。

健康情報 慌てず 活かして 効果を出そう(佐藤花子)

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コラム【プログレスシリーズ】

株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『 企業の進歩発展のヒント:23』

氣配りが人を動かす

 よく「社員のモチベーションを高めることが重要である」という話を聞くことがあります。仕事にやりがいや生きがいを感じて働いてもらうことはとても大切なことです。そのために必要なことは、氣持ちよく働ける環境を創ることや、部下にやる氣を起させてくれる管理職の存在も欠かせません。理想を言えば、中間管理職という立場の人が、部下だけではなく、上司(経営陣など)のモチベーションを高めることが出来れば、それは理想的な中間管理職であると言えるでしょう。そういう人の特徴はまさに「陽」のイメージが強く、人に好かれ、人の氣分を「陽」にする明るさや人間的可愛らしさを持っている人でしょう。そして、こういう人こそが「氣配りが出来る人」であると思います。しかし、氣を使ってばかりいるのに、同僚や上司や部下から、あまり良い印象で見られていない人がいます。氣を使うことと氣配りの違いを言い出すと、言葉遊びになってしまうでしょうが、氣を使っても周りに良い印象を与えない人の特徴として、自分中心に氣を使っている人が多いようです。私がここで言っている氣配りとは、相手の立場に立ち、相手のモチベーションを高める氣配りであるということです。

・・・・ <事例研究> 歴史人物シリーズ−6「豊臣秀吉」・・・・

 豊臣秀吉が木下藤吉郎と名乗って、信長の草履取りをしていたころの話----、ある雪の夜、信長が女部屋からの帰りに草履を履くと、草履が温かくなっていて「サル!おまえは草履に腰掛けていたな、不届者め!」と怒鳴って、秀吉を杖で打ったが、秀吉は頑として「草履に腰掛けてなどいません」と言い張る。信長が「温かくなっているのが何よりの証拠だ!」と言うと、秀吉は「寒い夜なので、お足が冷えていると思い、背中に入れて温めていました」と答えた。「ではその証拠は何だ!」と尋ねられた秀吉の背中には、下駄の鼻緒の跡がクッキリと付いていたという。信長は心を打たれ、すぐさま彼を草履取りの頭としたということです。

事例へのコメント
職場では氣配りが大切!

豊臣秀吉は愛嬌に満ちた武将というイメージが強く、三英傑の中では一番「陽」のイメージを持った武将で、「武力より知略」というイメージの武将であり、氣配りの人だったようです。この事例を見ても分かるように、上司である信長の氣分を良くし、その結果として、自らの出世というものを掴み取っていったのでしょう。敵の城を後一歩で落とせるところまで来た瞬間に、信長を招き、勝ち名乗りを自分ではなく、信長に上げさせたことがあるという話を聴いたこともあります。このように、氣配り「相手の氣分を良くする」ということが重要であり、戦国時代に最も出世したといわれる天下人豊臣秀吉の例は、現代サラリーマン社会においても、なにか大きなヒントがあるように思えます。最近氣配りが出来ないサラリーマンが多くなってきたと思っているのは私だけでしょうか?もちろん媚を売るのではない真の氣配りが重要ですが。

●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

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コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No 57

片桐清志

幸と福

 節分、桃の節句など春先は幸福を願う行事が多い。先月の「祝」と「寿」に続いて、今月の苗字もめでたいシリーズの第二段として「幸」と「福」に注目してみた。
  「幸」も「福」も一字姓がある。「福」はフクという読み方だけだが、「幸」はサイワイ、サチ、ユキ、コウ、ミユキなど多様な読み方がある。驚いたことに「幸」と「福」を組み合わせた「幸福」もある。読み方もそのままの「コウフク」でよい。名前では幸が福を上回るが、苗字では「福」が多い。「福」で始まる苗字は約250種で、「幸」の100種弱の2.5倍と圧倒している。
  「幸」でめでたい苗字を探すと、幸光(ユキミツ・コウミツ)、幸喜(コウキ)、幸賀(コウガ)、幸徳(コウトク)、幸早(サチハヤ)、幸楽(コウラク)、幸王(コウオウ)、幸神(サチノカミ・コウシン・コウガミ)、幸増(コウマス)、幸良(コウラ・ユキナガ)、幸重(ユキシゲ)、幸袋(コウブクロ)などが見つかった。
  「福」でめでたい苗字は、福吉(フクヨシ)、福慶(フクケイ・フクヨシ・フケ)、福喜多(フクキタ)、福来(フクキ・フクライ・フクラ)、福多(フクダ)、福富(フクトミ)、福満(フクミツ・フクミチ・フクマ)、福万(フクマン)、福盛(フクモリ)、福益(フクマス)、福増(フクマス)、福重(フクシゲ)、福福(フクフク)、福勢(フクセ)、福当(フクダ・フクタキ・フタ)、福善(フクゼン)、福味(フクミ)、福栄(フクエ)、福賀(フクガ)などがある。ユニークな苗字では福袋(フクブクロ)や福神(フクカミ・フクガミ・フクジン)、福禄(フクロク、残念ながら福禄寿は見あたらない)、福寿(フクジュ)、福音(フクインではなくフクオト)などだ。
  因みに節分でおなじみの福内(フクウチ)は見つかったが鬼外は見つからなかった。

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鉄道の歴史と切手の世界
〔鉄道の歴史と切手の世界シリーズ〕 No.8

トンネルと切手(4)香港の地下鉄

藤井  浩(名工建設株式会社 社友

6. 香港の地下鉄(図―7,8,9:3種類)

(図-7:香港地下鉄駅)
(図-7:香港地下鉄駅)

(図-8:香港地下鉄車両)
(図-8:香港地下鉄車両)

(図-9:香港地下鉄路線図)
(図-9:香港地下鉄路線図) 


◆発行目的:香港地下鉄開通記念
◆発行日:1979年10月1日
◆印刷方式:平版
◆発行国:香港(発行当時)

 1979年10月、香港地下鉄の1期工事が完成し三種の切手が発行された。額面20Cの切手(図-7)には地下2層式の地下駅断面が描かれている。額面1$の切手(図-8)には地下鉄車両の前頭部、後部、車両側面図が描かれている。額面2$の切手(図-9)は地下鉄線路を描いたもので、切手右側の太線(赤色)が1980年2月開通した1期計画の路線を示し、左側の線(白色)は建設中の2期計画の路線である。香港の人口は当時490万人であるが、居住地域が香港島北部のセントラル地区と九龍側のネイザンロードに集中しており、道路交通の渋滞が著しいため地下鉄工事が計画されたものである。
 1期計画の路線は、香港島のチャーター(中環東)駅から九龍側のカントン(観塘)駅に至る15.6km(地下部12.8km、地上部2.8km)の路線である。この路線には地下駅12、地上駅3、操車場1の計16駅が建設されている。1979年10月カントン駅側の一部区間が開通し1980年2月全区間が完成し、イギリスのマーガレット王女も出席されて1期計画路線の開通式が行われた。
  2期計画線は開通した路線のほぼ中央部にあたるプリンスエドワード駅から西に分岐し、チュンワンウェスト駅までの10.5kmの区間である。日本の建設会社の施工水準の高さが評価され、7社の建設会社が工事に参加している。海外のトンネル工事に参加し、日本のトンネル技術力が発揮されることは誠に喜ばしいことだ。2期工事は1982年に完成し、全線で26kmの地下鉄線路となり、一日180万人の輸送力を受け持っている。
  香港地下鉄の地質はシルト混じり砂、風化花崗岩、花崗岩となっており、地下水位も高く、高層建築がトンネルに近接している。このためトンネル工事に当たっては、地下水位を3m以上下げないこと、建築物の沈下を25mm以内にすることなどの厳しい制約条件がつけられた。トンネル掘削工法としては、土砂区間ではシールド工法(圧気併用)が採用され、軟岩区間では圧気併用のショートベンチカット工法、硬岩区間では全断面掘削が行われている。駅部については地中壁、鋼矢板、アースアンカーを用い開削によっている。
  地下鉄を描く切手としては香港以外にモスクワ、ベルリン、ブタペスト、メキシコなどの切手がある。


【平成19年2月号編集後記】

 今月8〜9日の両日、犬山で第44回中部財界セミナーが開催された。中部経済同友会と中部生産性本部の共催で、「今こそ脚下照顧〜未来(あす)への確かな一歩〜」のテーマのもとに約230名が参加し熱い討論を行った。「元気な中部」といわれるが、それを長期的、持続的な元気にするため、今こそここで「強み」と「弱み」をしっかり検証し諸課題に的確に対処していこうという趣旨だ。牛尾治朗氏(ウシオ電機会長)からの「時代を拓く経営」では先見性を、豊橋出身の伊丹敬之先生(一橋大教授)からは「今こそ脚下照顧」という演題で人間中心の経営の大切さをご教授いただいた。その後参加者は7つのテーマ別分科会に分かれ、全員参加の討論会となった。業種は異なっても共通の悩みと正面から向き合っている経営トップの取組み事例は貴重なアドバイスとして経営の指針に役立つ。
  その一方で最近奇妙な新聞記事を目にした。神戸市の職員が採用時の最終学歴を詐称していたために解雇されたという記事だ(H19.2.2:中日新聞)。大学中退を卒業と偽るなど学歴詐称記事は過去にもあった。しかし今回の記事が過去のものと大きく異なるのは学歴を過少申告している点だ。大学を卒業しているにもかかわらず、最終学歴を高卒として採用された事が問題になっている。いわば学歴隠しだ。ウソをついたこと自体の不正は糾弾されても仕方が無いが「なぜ」という疑問がいくつも浮かぶ。
  なぜ学歴隠しをしたのか。なぜその事が解雇という重罰になるのか。そもそも学歴を採用条件にすることの意味は何なのか。今ごろになってなぜ表面化したのか。神戸以外はどうなのか。次々に疑問が膨らむ。早速ネットで詳細を調べてみた。表面的には分かりにくい事件だけにブログなどでも結構コメントがあった。
  学歴隠しの目的はすぐ分かった。要するに公務員採用は学歴別に職種と採用数が決まっている。大学卒は総合職等に限定されていて、今回問題になった「労務職員」には開放されていない。このため大学卒にとっては難関となる総合職を避け、高卒枠の労務職に変更したと思われる。「大は小を兼ねる」式の考えに立てばそのこと自体に問題は無いはずだが、公平の原則に照らせば、過小評価を許せば高卒者の職を大卒者が不当に奪うことになる。
  「機会均等」をどう実現するかは実務的にはいろんな困難が伴う。全員が同一条件で受験すれば一見平等に見えるが、高卒者からは公平性だという声が上がるだろう。職種毎に採用条件に一定の制約を与えることは「機会均等」の実現手段として妥当とも思える。とりわけ公務員という性格を考えれば、公平性の問題は避けられない。ただ「職業選択の自由」をどう保障するべきかやはり疑問が残る。
 今月号からいつもの例会模様を紹介できた。濱口氏、矢島氏(名合氏)、下氏から豊富な体験を基にした業界の最新動向や専門家としての解説等、今日我々が直面している課題に対し大変有意義なヒントをたくさんお聞かせいただいた。3月も会員の趣向を凝らしたテーマが並ぶ。講師を引き受けてくれた会員各位と参加者の熱意に改めて感謝したい。

(片桐)