産業懇談会【メールマガジン 産懇宅配便】   第55号 2006.12.25発行

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平成18年12月度(第55号) 目次
メールマガジン ■産懇宅配便■

【18年11月度産業懇談会(火曜G)模様】 11月14日(火) 12時00分〜14時00分

【18年11月度産業懇談会(水曜1G)模様】 11月15日(水) 12時00分〜14時00分
【4グループ合同新年懇親会日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』
コラム4
『鉄道の歴史と切手の世界シリーズ』

18年11月度産業懇談会(火曜G)模様


 テーマ:『最近のマンション事情(日本と東アジア)』

日 時:11月14日(火) 12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 24名

 

スピーカー:
  梛野 泰男(なぎの やすお)氏
  丸美産業株式会社 取締役本部長

梛野 泰男氏

 新築の分譲マンションの着工戸数は、2004年は全国で20万戸、2005年は23万戸。名古屋圏ではそれぞれ8.9千戸、9.4千戸となっている。
  不動産は2004年に関東圏で底入れをした感がある。大体、名古屋圏は関東圏で生じたことが1年後に来るものだが、昨年あたりから名駅周辺は高騰して来ている。しかし、バブルの頃とは異なり、有効利用可能な土地は値上がり、普通の土地はそのままで、利用価値の少ない土地は値下がりをしている。

 東京湾岸地域を中心にマンションが今どんどん建設され、お台場では2,000戸以上のマンションが出来ているが、売れ行きもまずまずで、場所によっては非常によく売れている。その点においては、構造計算偽装事件の影響はほとんどないように思う。
  マンション建設には、建築確認が必要で、過去においてはすべて役所が認可していたが、規制緩和の一つとして民間に委託されるようになった。それにより、審査時間が約半減したが、結局、今回の件で従前と変わらないぐらいの時間がかかるようになった。また、その後対応は、大きな変化はなく骨抜き改革の様相だ。

  今年は、大手の供給が積極的で今まで名古屋には来ていなかったハウスメーカーやハウスビルダーなどが進出し、大型物件の供給も増えている。しかし、ここへ来て、建設コストが上昇してきているために、分譲マンションの今年初めの販売価格と現在とでは販売価格が2割程度上昇した。この地域の原価割合は、不動産に関わる費用が20〜30%、建設コストが50〜60%を占める。マンションの価格の上昇に対して、戸建物件は、資材の上昇は有っても人件費の上昇は少なく、価格の差が縮まりつつあるのが現状だ。
  これまでのマンション購入者層は、30歳前後の住宅一次取得者層が中心だが、最近は団塊の世代を中心とする層、男性・女性の一人住まいの層と購入者のすその広がりが顕著である。

 専有面積の広さは、関東圏と中部圏では中部圏の方が10から15%ぐらい広いが、最近の東京から進出してきた企業は、東京並の広さで値段を抑える手法を取ってきている。一般に名古屋市東部から西三河は広くてやや価格が高いものが受け入れられるが、名古屋の西は多少狭くても安いものが売れている。
  また、名古屋の一棟あたりの平均的な戸数は45.8戸で、平均単価は坪133万円程度だったが、これが今上昇して160から170万円。部屋の傾向はファミリータイプの3L、4Lが主体だ。独身女性や定年後の二人住まい用に2LDKも増加している。

 丸美産業が、最初にマンションを手がけたのは昭和47年で現在までに140棟。戸数にして4,700戸を分譲した。愛知を主体にしながらも、先月東京都江東区で1棟、2棟目を横浜で販売する予定だ。また、静岡県でも一棟目を着工している。売れるマンションづくりには、用地がなにより大事だ。しかし、用地の仕入れも最近は不動産屋の数が減っている上に、入札が多くなり苦労している。供給戸数では、東海三県でベスト10に入ったことはないが、マンション事業は、土地購入にはじまり、近隣説明、設計・建設、販売、引渡しとサイクルが長く、資金固定もあり非常にリスキーな商売といえる。そのため数は極力追わず一棟一棟に真心を込め仕上げている。従来、広告は新聞折込を使っていたが、新聞を購入しない家族が増え、広告効果が減少。インターネットと投函で対応するようになった。
  マンション毎に、丸美コミュニティーといって、当社が幾分かの資金を提供して、七夕祭り等のイベント等を行ってきて、今年10年になる。

 丸美産業は、もともと木材業としてスタートし、昭和30年前後から丸太の輸入を始めた。カナダに現地法人を設立して15年、中国の大連・成都には現地事務所がある。また、昨年には、バンコクに事務所を設立した。そのような経緯から、海外での事業構築を模索している。海外での分譲事業なり、賃貸事業の可能性を求めて釜山、大連、ホーチミン、バンコクでの現地調査をしてきたか、いままでの結果としては、バンコクが最も良さそうだ。
  大連のマンションは、200〜150m2くらいの広さでスケルトンタイプで販売し、自分で内装をするのが主流だ。これに対して、北京・上海では完成品の引渡しが増えてきた。中国は、いまだ都市と郊外・農村との格差が大きく、土地が国有なのが問題だ。
  韓国では、ソウル・釜山の土地が高騰している。ホーチミンは調査未了だが、バンコクでは欧米系のマンション(ワンルームにワンバスが備わった200m2くらいの大きさ)が主流となっている。トヨタが進出していることから、駐在員用のマンションを調査したが、外国人の土地の購入には制約があり独資での進出は難しい。信頼できるパートナーが必要だ。東南アジアへの投資は、為替の影響もあってリスクが大きい。今、タイ事務所では内装のドアを日本国内向け作って、販売をしている。

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18年11月度産業懇談会(水曜1G)模様


 テーマ:『 キリンビールの取り組み(創業100周年を控えて) 』

日 時: 11月15日(水) 12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 19名

 

スピーカー:
  中島 肇(なかじま はじめ)氏
  キリンビール株式会社 名古屋工場 工場長

中島 肇氏

 名古屋工場は清須市に昭和37年に設立されたが、同じところに所在する工場としては、当社の中で2番目に古い工場で、規模としても2番目だ。

 会社は来年100周年を迎えるが、まず当社の市場であるビールを含めた酒類業界について、どう推移しているか説明したい。バブルが弾けて以降、少子化と酒を飲まない世代が登場してきたことによって消費量が減っている。ビール・発泡酒・いわゆる第三のビールを足したビール系飲料の総量は減少し、焼酎のみが増加している。焼酎1に対して、同じように酔うにはビールは4倍、発泡酒で2倍の酒税がかけられている、結果としてビール系飲料で酒税の7割を占めているという事実となる。大手ビール5社の出荷数量推移でも、ビールは激減、発泡酒と新ジャンルがやや増えてはいるものの、総量は減少している。

 さて、キリンビールは、2001年に業界2位に転落した。私が入社した77年ごろのシェアは64%程度。独禁法に抵触することが懸念されていた頃で、60%以上のシェアも72年〜85年までの13年間。55%以上のシェアでは66年〜88年まで22年間も継続していた。
  今年首位になると、6年ぶりのこととなるが、この4〜5年、我々は、何をすべきかを真面目に考えてきた期間でもある。

 我々の活動としては、まず、首位転落が確実になった2001年11月に「新キリン宣言」を出し、お客様本位の立場から企業の総点検をした。具体的には、お客様からのご指摘を営業部門から、工場部門まで毎日メールで見ることができるようにした。お客様から営業に寄せられた問い合わせに基づいて開発に繋げたいと考えたからだ。品質本位の活動は、原料にこだわり、生産設備にこだわっていた姿勢はもともとあったが、生ビールを上手く注ぐための器具のメンテナンスとか、注ぎ方、温度管理を含めて、営業も含めたあらゆるところで品質を横串に展開した。社員に関わる活動としては、キリンスピリットとして、自分たちの強み弱みを今一度見直した。
  環境活動は、名古屋工場の水源である木曽水系の上流では植林を行うなど、それぞれ全国の工場の水源を守る活動をしている。1本のビールを作るには10倍の水が必要で、9本分は排水処理をし、クリーンにして川に戻している。さらにビン、アルミも再利用している。また、アルコール飲料を販売する企業の社会的責任として、問題飲酒の防止に向けた啓蒙活動を実施している。

 少しずつでも社員が取り組んでいくことで、全体として大きな動きになっていくと思う。来年はもちろんとして、さらに100年後をどうするか、従業員も会社も自らの存在を自問自答する運動が出てきた。その一例が技術部門を中心にしたビール5000年の旅プロジェクトである。これから革新をする上で、古代のビールはどうだったのか、中世のビールはどうか、日本のビールのルーツを辿って、ビールの歴史を継承し、さらなる「ビール」の楽しさ、奥深さ、可能性の提案に結び付けたいと取り組んできた。
  さらにキリン・グループ・ビジョン2015は、これからの長期構想で、新しい方向性を考えた。来年7月に事業持株会社から純粋持株会社に変わる。
  経営理念を「食と健康」の新たなよろこびを広げることとして、新しいロゴも導入し、キリンブランドをグループ全体で育てたいと考えている。
  100周年企画もいろいろあるので、ご応募いただきたい。

  名古屋工場のある清洲は、歴史的に大きな変化を与えた土地であり、キリンがこの地に進出した頃から大きくシェアをとりはじめた事実もある。この地域では一度もトップシェアを譲ったことはなく、このような由緒ある土地で今後とも末永くビールづくりを続けていきたいと考えている。

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【4グループ合同新年懇親会 開催日程】

産業懇談会「代表幹事のご講話」ならびに「新年合同懇親会」のご案内

 毎年恒例となりました、代表幹事のご講話ならびに産業懇談会4グループ合同の新年懇親会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。
 今回は、石川代表幹事から貴重なお話をいただくとともに、産業懇談会メンバーの皆様とも、年のはじめにますます親睦を深めていただきたく存じますので、お誘い合わせのうえ、ぜひとも多数ご出席下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。

 日  時

平成19年1月25日(木) 17:30〜20:00

 場  所 名古屋マリオットアソシアホテル
講演会:17階 ルピナス/懇親会:51階 シリウス
電話:052−584−1111
 会  費 5,000円
※当日、講演会場受付で頂戴いたします。
※講演会のみご出席の場合は会費不要です。
 当日の予定 17:30〜18:30 石川代表幹事のご講話
18:30〜20:00 新年合同懇親会
 ご案内先 代表幹事および産業懇談会メンバーの皆様
 事務局連絡先 電話:052−221−8901 (担当:白石・亀井)
 そ の 他 食事の手配等準備の都合上、ご出席の場合は同封のFAX用紙で1月18日(木)までに必ずお知らせ願います。 (代理出席はできませんのでご留意ください。)
懇親会のお取り消しにつきましては、1月23日(火)までにお知らせください。
それ以降にご連絡いただいた場合は、会費を申し受けることになりますので、悪しからずご了承願います。

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【お知らせ】

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【コラム】

コラム【花ちゃんからの健康だより】
〔花ちゃんからの健康だより〕 No.33

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

適正エネルギーの話

12月の花 フキタンポポ
12月の花 フキタンポポ  今年も暮れようとしています。いよいよ平成19年から毎年200万人以上が定年を迎えます。どのような事態が起こるのかを予想した厚生労働省は、医療費・介護費の増加をくい止めるべき政策をあわてて準備しています。国があわてていても国民である私たちの危機感はいかがなものでしょうか?今年最後にあたり皆様にしっかり知っていただきたいことがあります。それは自分の適正な摂取エネルギーについてです。糖尿病の治療をしている人は1日の摂取エネルギーを医師や栄養士から指示され食事をしています。実は糖尿病以外の人も適正エネルギーの食事をしたほうがよいのです。そこで皆様も自分の1日の適正エネルギーを計算してみましょう。

(例)サラリーマンで身長が170cmの人の場合

1.7m×1.7m×22=63.58

63.58×30kcal1907kcalが適正エネルギーになります。

体重1kgあたりに必要なエネルギーは下表で決めましょう。
労働の程度 体重1kgに必要な
エネルギー
1日中ほとんど寝たきりの老人や安静を指示されている入院患者 20kcal
ある程度糖尿病が重い場合や無職のご隠居など、主として自分の部屋だけで生活している人、または減量が必要な人 25kcal
サラリーマンや主婦、教師、医師、看護師、店員、運転手など日本人の70%がこれに該当 30kcal
軽いスポーツ、農繁期の農夫、操業中の漁夫、山林業など 35kcal
激しいスポーツ、線路工、大工、左官、とび職など 40kcal

年末年始は暴飲暴食になりやすい季節、栄養過多の食事にならないように、体のエネルギー収支にも関心を持って過ごしましょう。よいお年をお迎えくださいますように。

【メモ帳】
名前の由来は、花がタンポポ、葉がフキに似ていることから。福寿草に似ているので、お正月の寄せ植えには品薄の福寿草の代役として植えられています。(店頭にてご確認ください。)葉は咳を鎮め、痰を出す作用があり生薬として、花と葉のエキスには皮膚を軟らかくする効果があり化粧水にも利用されており、意外に身近な花です。

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コラム【プログレスシリーズ】

株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『 企業の進歩発展のヒント:21 』
【 一歩先を行けば成功する 】

 経営者と社員の距離を具体的に計ることは出来ませんが、経営者の考えは社員と比べ、「相当先」を行っていることが多いでしょう。相当先を見ている経営者が目先しか見ていない社員に、先のことを言ってもなかなか理解はされません。もちろん経営者は先のビジョンや方針を持っていなければなりませんが、社員に理解してもらうためには、先のビジョンに繋がる現在という時からの一歩先のイメージを見せるべきでしょう。一歩先を見せることから始まり、その先が微かにでも見えるようになれば、目先しか見ていない社員も、いずれ「相当先」を見ることが出来るようになるでしょう。また、具体的な仕事をして行く上でも、一歩先の考え方が大切です。例えば、明日しなければならない仕事を今日するという考え方です。一ヶ月単位で考えれば、12月1日の仕事を11月30日、一年単位で考えれば、12月に1月に行うことを考え行動するといった考え方です。そうすることで「仕事に追われないで、余裕を持った仕事」が出来るのです。

・・・・ <事例研究>  歴史人物シリーズ−4 「 山内一豊の妻 」 ・・・・

 戦国時代から安土桃山時代、江戸時代の武将・大名。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康らに仕え、関ヶ原の戦いにおいて家康方について功績を認められたため、土佐国20万石を与えられ、初代土佐藩主となった山内一豊。
 しかし、その山内一豊も、昔はわずか400石を食む身分でした。それにもかかわらず、家臣をたくさん抱えていたため、常にお金に困るような状態でしたが、一豊の妻千代は、馬揃え(合戦の前に、馬を一堂に集めてその検分をするもの)の時に、「ここぞ!という時に使うように」といわれて嫁入りの際に隠し金として義父から頂いていた黄金十枚を「ここが人生のターニングポイントだ!今、使うべきだ!」と読んで、東国一といわれる駿馬を買い、織田家中で一豊の名を知らしめることに成功しました。山内一豊は、このように内助の功によって出世した武将として有名です。

事例へのコメント
ここが人生のターニングポイントだ!

山内一豊の妻千代は、まさしく一歩先を考え行動できる人だったのでしょう。それも将来のビジョンを持ち、一歩先を見ていたのだと思います。大河ドラマの中で、千代の言葉に「命の持ち帰りこそ功名」という言葉がありました。今無理をし過ぎて将来を亡くすより、命を大切にすることで、明日と将来を生きることを考えた言葉だと思います。また、馬揃えの話から感じることは、千代の判断力と決断力の強さです。真の断力と決断力は理念やビジョンがないと生まれません。きっと、千代は理念経営者だったのでしょう。

●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

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コラム【苗字随想】
〔苗字アラカルト〕 No 55

片桐清志

イノシシあれこれ

 来年の干支はイノシシだ。今号は年末恒例となった「干支」シリーズのイノシシにまつわる苗字を紹介したい。
  「亥」で始まる苗字はさすがに少なくわずか8種で、「亥ノ坂」「亥口」「亥堀」「亥埜」「亥野」「亥飼」「亥場」「亥角(イカド・イスミ・イズミ)」だ。一字姓の「亥」はない。
  しかし「猪」で始まる苗字なら130種で、今年の「犬」の50種を遙かに上回る人気だ。もちろん一字姓の「猪」もあり、読み方も「イ・イノシシ・チョ」等と読む。上記の「亥」を「猪」に変えた「猪ノ坂」「猪口」「猪野」「猪飼」「猪場」は見つかったが、残りの3つは見つからなかった。
  猪と体の一部を組み合わせた苗字もたくさんある。上記の口の他にも「猪目(イノメ)」「猪耳(イカガ)」「猪頭(イノガシラ・イトウ)」「猪脇(イノワキ・イワキ)」「猪腰(イノコシ)」「猪尻(イジリ)」「猪股(イノマタ)」「猪肢(イノアシ)」「猪足(イアシ)」「猪尾(イノオ・イオ)」「猪爪(イツメ・イノヅメ)」「猪野毛(イノケ)」などが見つかる。しかしイノシシの名物はなんと言っても鼻だ。驚いたことにちゃんと「猪鼻(イハナ・イバナ・イノハナ)」や「猪之鼻(イノハナ)」がある。
  ユニークな苗字では「猪使(イノツカイ)」「猪師(イノシ)」「猪狩(イカリ)」「猪子(イノコ)」「猪妻(イノツマ・イズマ)」がある。「猪熊」は見つかったが、残念ながら今年の干支の犬との組み合わせの「犬猪」も「猪犬」も見つからなかった。

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鉄道の歴史と切手の世界
〔鉄道の歴史と切手の世界シリーズ〕 No.6

トンネルと切手(2) ―シンプロントンネル(スイス連邦・イタリア)―

藤井  浩(名工建設株式会社 社友

3.シンプロントンネル(図-3)

(図-3 シンプロントンネル:スイス連邦)
(図-3 シンプロントンネル:スイス連邦)

◆発行目的:シンプロントンネル開通50周年記念
◆発行日:1956年5月1日
◆印刷方式:グラビア印刷
◆発行国:スイス連邦

4.シンプロントンネル(図-4)

(図-4 シンプロントンネル:イタリア)
(図-4 シンプロントンネル:イタリア)

◆発行目的:シンプロントンネル開通50周年記念
◆発行日:1956年5月19日
◆印刷方式:グラビア印刷
◆発行国:イタリア

 スイスとイタリアの国境を貫くシンプロントンネルの開通50周年を記念してスイス、イタリア両国で記念切手が発行されている。スイスの切手はシンプロントンネル北口を出る急行列車とブリーグ駅を描いている。イタリアの切手はシンプロントンネル南口を出る蒸気機関車とアルプスを越える郵便馬車が描かれている。
 シンプロントンネルはスイス西南部とイタリア北部を結ぶもので、シンプロン峠の真下を貫く世界最長の鉄道トンネルとして誕生した。単線並列のトンネルで最初のトンネルは1898年着工、1906年完成し19.803kmの延長がある。複線化工事には1912年着工し、1922年完成した。2番目のトンネル延長は19.823kmの延長があり、最初のトンネルより若干延長が伸びている。長大トンネルのため開通当初から電化されている。
 トンネル工事はスイスによって行われたためイタリア側のトンネル南口までスイス国鉄の軌道になっている。トンネル掘削には本トンネルから17mの間隔をとって平行の補助トンネルを設け、ずり出し、排水などに使用した。複線工事に当たっては補助トンネルを切り広げて本トンネルに改築している。トンネル工事は多量の湧水とアルプスの地熱のために難航した。トンネル坑口から8kmの坑内で50℃の坑内温度を記録したり、毎秒15,000ガロン(68m3)の湧水に遭遇したりしている。
 イタリアの記念切手を良く眺めてみると、図案に二つの大きな誤りが見られるようである。その一つはヨーロッパの鉄道は右側運転が普通であるが、スイス、イタリアは日本と同じく左側運転であり切手に描かれた蒸気機関車が右側を運転しているのは誤りとなる。二つ目の誤りはシンプロントンネルは開通当初から電化されており、切手の図案のように複線完成時の1922年以降に蒸気機関車が運転されることにはならないわけである。政府で発行される郵便切手の図案は各方面の専門家を集めた委員会で慎重に検討して決定されるのが普通で、ダブルエラーを起こすのは珍しいといえる。
 また、郵便馬車の図案はルドルフ・コラーの名画「ゴタルド越えの郵便馬車」を参考にしたものと思われるが、シンプロントンネルの横にゴタルド越えの郵便馬車を描いたのはあまり適当とはいえないようである。


【平成18年12月号編集後記】

 子供に関しては「少子化」をはじめ「幼児虐待」「いじめ」など暗いニュースが多い。そうした中で久しぶりに明るい話題に遭遇した。今年10月に東京・豊洲にオープンした「キッザニア」だ。名前から想像できるように子供を対象にしたテーマパークだが中身がかなりユニークだ。従来の遊園地型ではなく、お仕事体験型で、消防士やお医者さんなど70種以上の職業体験ができる。ママゴト遊びをテーマパークにしたようなものだ。子供の世界もTVゲームに代表されるようにバーチャル化が進む中で、敢えてそれに逆行した企画が大ヒットしている。逆転の発想ともいえるが、まさに「コロンブスの卵」だ。
  発案者の住谷さんが手作りでじっくりと練り上げた企画は見事だ。「ホンモノ」にこだわり、飛行機のパイロット体験にはホンモノのフライトシミュレーターを航空機メーカーから取り寄せている。「キッジ」と呼ばれる専用通貨を発行し、仕事をすれば給与を貰え、それで買い物もでき、残れば預金し次回来場時に使える。そのための専用のATMまである。「子供による、子供のための、子供の国」の出現だ。子供の好奇心と探究心を上手に活用した「お仕事体験による社会学」の場づくりを目指している。
  もちろんその運営にはホンモノの企業がスポンサーとして協力している。40社を超えるスポンサー企業も新たなCSRの実験場と位置づけ、未来の顧客獲得と割り切っている。手っ取り早い企業買収による利益優先と成長がもてはやされる昨今、じっくりと地に足の着いた取組みに注目したい。
  「まなぶ」の語源は「まねる」だと聞いたことがある。子供の目覚しい成長力の源は鋭い観察力と、それをすぐ実行する行動力だ。電車に乗れば自分で切符を買おうとするし、運転手や車掌の行動から目を離さない。車内アナウンスに耳を傾け、いつの間にか駅名を覚えてしまう。家に帰ればそれをすぐに真似し、大人の気分を楽しんでいる。子供はいつの時代も大人の世界の観察者であり、追跡者だ。「いまどきの子供は・・」と言う前に、私たちが「良いお手本になっているか」自問してみることが必要だろう。出発点でのボタンの掛け違いは途中ではなかなか気付かない。最初が肝心だ。「キッザニア」が子供の可能性や夢を育むことを期待するとともに、このユニークな企画が今後どんな進化を見せてくれるのかを楽しみにしたい。
  さて「産懇宅配便」も2006年の最終号をお届けする時期になった。毎号たくさんの話題を提供していただいた多くの講師、ご多忙な中連載いただいたコラム執筆者各位、親しみのこもった自己紹介をいただいた新入会の方々、そして毎号締め切りと格闘しながら取り纏めてくれた事務局の皆さんのこの一年のご努力に感謝したい。2007年も会員の皆さんにとって、素晴らしい年になることをお祈りし今年最後の編集後記とする。

(片桐)