テーマ:『最近のマンション事情(日本と東アジア)』
日 時:11月14日(火) 12時00分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者: 24名
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スピーカー:
梛野 泰男(なぎの やすお)氏
丸美産業株式会社 取締役本部長 |
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新築の分譲マンションの着工戸数は、2004年は全国で20万戸、2005年は23万戸。名古屋圏ではそれぞれ8.9千戸、9.4千戸となっている。
不動産は2004年に関東圏で底入れをした感がある。大体、名古屋圏は関東圏で生じたことが1年後に来るものだが、昨年あたりから名駅周辺は高騰して来ている。しかし、バブルの頃とは異なり、有効利用可能な土地は値上がり、普通の土地はそのままで、利用価値の少ない土地は値下がりをしている。
東京湾岸地域を中心にマンションが今どんどん建設され、お台場では2,000戸以上のマンションが出来ているが、売れ行きもまずまずで、場所によっては非常によく売れている。その点においては、構造計算偽装事件の影響はほとんどないように思う。
マンション建設には、建築確認が必要で、過去においてはすべて役所が認可していたが、規制緩和の一つとして民間に委託されるようになった。それにより、審査時間が約半減したが、結局、今回の件で従前と変わらないぐらいの時間がかかるようになった。また、その後対応は、大きな変化はなく骨抜き改革の様相だ。
今年は、大手の供給が積極的で今まで名古屋には来ていなかったハウスメーカーやハウスビルダーなどが進出し、大型物件の供給も増えている。しかし、ここへ来て、建設コストが上昇してきているために、分譲マンションの今年初めの販売価格と現在とでは販売価格が2割程度上昇した。この地域の原価割合は、不動産に関わる費用が20〜30%、建設コストが50〜60%を占める。マンションの価格の上昇に対して、戸建物件は、資材の上昇は有っても人件費の上昇は少なく、価格の差が縮まりつつあるのが現状だ。
これまでのマンション購入者層は、30歳前後の住宅一次取得者層が中心だが、最近は団塊の世代を中心とする層、男性・女性の一人住まいの層と購入者のすその広がりが顕著である。
専有面積の広さは、関東圏と中部圏では中部圏の方が10から15%ぐらい広いが、最近の東京から進出してきた企業は、東京並の広さで値段を抑える手法を取ってきている。一般に名古屋市東部から西三河は広くてやや価格が高いものが受け入れられるが、名古屋の西は多少狭くても安いものが売れている。
また、名古屋の一棟あたりの平均的な戸数は45.8戸で、平均単価は坪133万円程度だったが、これが今上昇して160から170万円。部屋の傾向はファミリータイプの3L、4Lが主体だ。独身女性や定年後の二人住まい用に2LDKも増加している。
丸美産業が、最初にマンションを手がけたのは昭和47年で現在までに140棟。戸数にして4,700戸を分譲した。愛知を主体にしながらも、先月東京都江東区で1棟、2棟目を横浜で販売する予定だ。また、静岡県でも一棟目を着工している。売れるマンションづくりには、用地がなにより大事だ。しかし、用地の仕入れも最近は不動産屋の数が減っている上に、入札が多くなり苦労している。供給戸数では、東海三県でベスト10に入ったことはないが、マンション事業は、土地購入にはじまり、近隣説明、設計・建設、販売、引渡しとサイクルが長く、資金固定もあり非常にリスキーな商売といえる。そのため数は極力追わず一棟一棟に真心を込め仕上げている。従来、広告は新聞折込を使っていたが、新聞を購入しない家族が増え、広告効果が減少。インターネットと投函で対応するようになった。
マンション毎に、丸美コミュニティーといって、当社が幾分かの資金を提供して、七夕祭り等のイベント等を行ってきて、今年10年になる。
丸美産業は、もともと木材業としてスタートし、昭和30年前後から丸太の輸入を始めた。カナダに現地法人を設立して15年、中国の大連・成都には現地事務所がある。また、昨年には、バンコクに事務所を設立した。そのような経緯から、海外での事業構築を模索している。海外での分譲事業なり、賃貸事業の可能性を求めて釜山、大連、ホーチミン、バンコクでの現地調査をしてきたか、いままでの結果としては、バンコクが最も良さそうだ。
大連のマンションは、200〜150m2くらいの広さでスケルトンタイプで販売し、自分で内装をするのが主流だ。これに対して、北京・上海では完成品の引渡しが増えてきた。中国は、いまだ都市と郊外・農村との格差が大きく、土地が国有なのが問題だ。
韓国では、ソウル・釜山の土地が高騰している。ホーチミンは調査未了だが、バンコクでは欧米系のマンション(ワンルームにワンバスが備わった200m2くらいの大きさ)が主流となっている。トヨタが進出していることから、駐在員用のマンションを調査したが、外国人の土地の購入には制約があり独資での進出は難しい。信頼できるパートナーが必要だ。東南アジアへの投資は、為替の影響もあってリスクが大きい。今、タイ事務所では内装のドアを日本国内向け作って、販売をしている。 |