第45号 2006.2.27発行



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平成18年2月度(第45号) 目次
【18年2月度産業懇談会(水曜2G)模様】 2月8日(水) 12時30分〜14時00分
【18年2月度産業懇談会(木曜G)模様】 2月2日(木) 12時30分〜15時00分
【新会員自己紹介】
株式会社トヨタケーラム 代表取締役社長
【3月度産業懇談会開催日程】
【お知らせ】
【コラム】
コラム1  『花ちゃんからの健康だより』
コラム2  『プログレスシリーズ』
コラム3
『苗字随想』

18年2月度産業懇談会(水曜2G)模様

 テーマ:『 最近の世界の食器産業 』

日 時: 2月8日(水)12時30分〜14時00分
場 所: 名古屋観光ホテル 18階 伊吹の間
参加者: 28名


スピーカー:
    倉橋 鷹輔(くらはし たかすけ)
鳴海製陶株式会社取締役社長

 

1 磁史概要

 世界の磁器ブランドとしては、日本のノリタケ、ナルミ、ニッコー、ヨーロッパのマイセン、ヘレンド、ウェッジウッド、ロイヤルコペンハーゲン、ベルナルドなどがある。
 磁器の歴史をみてみると、中国で3世紀頃にはすでに作られていたようだ。6世紀隋の時代に白磁器完成、7世紀唐の時代に磁器は量産化され、輸出が開始された。日本では1610年、有田で磁器焼成に成功している。1650年代、中国、日本の素晴らしい磁器がオランダ東インド会社を通じて、ヨーロッパに持ち込まれた。当時、磁器は非常に高価なもので、同量の金と交換されていたという。1708年、マイセンの錬金術師がヨーロッパで初めて真正磁器を完成させた。磁器製法はヨーロッパ各地に流出していき、50年後には30箇所で作られるようになった。
 イギリスでは、ドーバー海峡の隔たりとカオリンが無かったため、陶器の時代が長く続いていた。1748年、牛の骨を砕き原料に混ぜ込んで作る製法が、ボウ窯にて発明されて以来、ボーンチャイナの時代が到来した。これが一つのブランドになって現在に至っている。

2 中国の陶磁器産業

 中国の陶磁器は、価格を武器に世界市場でどんどん伸びている。陶磁器食器の一大マーケットであるアメリカでは、現在中国製品が6〜7割を占めている。コストの4〜5割が人件費といわれる陶磁器産業、中国の人件費は日本の1/15〜1/20であり、人件費が安いことが大きな武器となっている。中国の特徴は、メーカー数が多い(一説には1,400社)、国営から私営、燃料は石炭が主流で低品質。技術、品質のバラツキが大きい。製造技術が確立されていないため、同一工場でもバラツキがある。中国食器の問題点として、不良品の混在が多い。鉛・環境問題が未解決。意匠等のコピー問題(いたるところでコピー商品が出回る)。サンプルの意味が無い(最もよく出来たものをサンプルとして提出してくる)。

3 ボーンチャイナについて

 陶磁器の分類として、土器(有色で吸水率が大きい。埴輪、植木鉢など)、陶器(吸水性があり、たたくと濁音がする。土鍋など)、せっ器(吸水性はほとんどなく、たたくと硬い音がする)、磁器(品質が優れ、生産量も圧倒的に多い。吸水性はなく、たたくと清音を発する。瀬戸物など)がある。磁器の一種であるボーンチャイナは、曲げ強度があり衝撃に対しても強い。原料の中に燐酸三カルシウムを含む。日本では燐酸三カルシウムを30%以上含むものをボーンチャイナと定義されている。生産している世界のメーカーは、ウェッジウッド(英)、ロイヤルドルトン(英)、レノックス(米)、そして日本のナルミ、ノリタケ、ニッコーなど。この生産にあたっては、精製度の高い原料、変形を抑える製造技術、高度な品質管理が要求される。

4 食器産業の動向

 国内の陶磁器産業は圧倒的に家内工業の集団。生産量・出荷量は、ここ10年で半減している。陶磁器製食器の国内需給トレンドは、中国を中心に輸入が増え、輸出は減少。洋食器の市場も同様に、ここ7,8年マーケットは縮小し、国産品は落ち込み、輸入品が増えている。日本の陶磁器業界は、価格競争力を失い、高齢化により後継者がいないのが実情。特長のある技術、製品を作っているところは生き残れる。後継者がいない、特長がないところはものすごい勢いで淘汰されていくだろう。小ロット、差別化商品、短納期など、特長がある製品・技術に特化して生き残るしかない。日本に存在することの意義、メイドインジャパンが今、東南アジアでもブランドになっている。いいものを作れば、お客さんに評価してもらえる。日本のお客様は世界最高の目を持っており、それに鍛えられ日本の品質は世界最高になった。また商品開発の力は強い。コピーばかりする中国とは違う。ユーザー、マーケットの変化(結婚しない、食器を揃えない、引き出物はカタログ等)により需要は減少してきた。品質より価格重視のマーケットの傾向もある。ヨーロッパでは自国の商品を愛用するが、日本とアメリカのユーザーは輸入品に寛大である。
将来の動向予測として、東南アジアが世界の工場になる傾向が強まる。アメリカは短期利益を求めるため、生産を東南アジアに移し、OEMで作り自社ブランドで売る。ブランドメーカーは、@自分の市場をもち、販売力をもつ、A品質管理、ユーザーサポートの力あり、B商品開発力、技術開発力あり、これらがとりえであり、これをいかしていかないといけない。
次の30年間、東南アジアの経済発展が大いに進み豊かになる。資本、技術を持っている会社は大きなビジネスチャンスになるだろう。

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18年2月度産業懇談会(木曜G)模様

 テーマ:『 最近の世界の水族館 』

日 時: 2月2日(木)12時30分〜15時00分
場 所: 名古屋港水族館
参加者: 17名


スピーカー:
    内田 至(うちだ いたる)
    名古屋港水族館館長

 

 2月の例会は、会場を名古屋港水族館に移し、館内を見学すると同時に、内田館長様より「最近の世界の水族館」と題してブリーフィングをいただいた。概要は以下のとおり。

◇見学内容

 北館3階のスタジアムにて、イルカパフォーマンスを見学した。そこには、イルカたちの生態や躍動感あふれる動きに配慮して、長さ60m、幅30m、最大水深12mという世界最大級プールが用意されていた。 この海のようなプールをのびのびと泳ぎ回るバンドウイルカたち、自然そのままのダイナミックな動きや、イキイキとしたパフォーマンスを堪能し、彼らが本来持つ生態に触れられた気がした。またそんなイルカたちを見て、見学者一同、精神的にさわやかな充足感をいただいた。 引き続き、シャチの「クー」の健康管理を目的としたトレーニングを見学、体長6m、体重2.7tという大型海洋哺乳動物シャチのもつ圧倒的な迫力や、イルカ同様 の賢さを目の当たりにすることができた。 これらのパフォーマンスでは、横14m×縦8mという巨大スクリーンに鮮明な映像を再現する世界最大のハイビジョン大型映像装置が活躍していた。ジャンプするイルカの水中での動きをリアルタイムで映し出すことにより、イルカの運動能力をわかりやすく、迫力を持って紹介したり、イルカの生態や形態、自然界での様子なども映像により楽しく映し出され、その理解促進に大いに役立っていた。

◇スピーチ内容

  場所を1階のレクチャールームに移し、内田館長様よりブリーフィングをいただいた。

1 世界の水族館

 世界の主な水族館は400箇所ほどあるといわれるが、そのうち100は日本にあり、日本は水族館大国といえる。外国の有名な水族館には、アメリカのSEA WORLD、SHEDD水族館などがある。ここ名古屋港水族館は、北館・南館合わせた建物面積では、水族館単独の施設として世界最大規模を誇る。

2 名古屋港水族館の建設経緯

 名古屋港の最も古い埠頭の再開発を行なう中で、親しまれる港づくりの中核施設として水族館が位置づけられた。昭和60年から計画が始まり、平成2年工事着工、平成4年10月に南館がオープン。引き続き北館の計画が始まり、2年5ヶ月の工期を経て、平成13年11月に北館がオープンした。

3 名古屋港水族館の特色

   南館は「南極への旅」を展示テーマとし、日本海・深海・赤道の海・オーストラリア・南極の5つの海域・地域に生息する生物(480種40,000点)を展示している。  北館の展示テーマは「35億年はるかな旅〜ふたたび海へもどった動物たち」。大洋・日本海・オーロラの海・進化の海(くじらの博物館)の4つの展示ゾーンに分け、くじらたちの進化の歴史を辿っている。(飼育生物:シャチ1頭、バンドウイルカ15頭、ベルーガ6頭)ここの特色は、このようにテーマ性を持たせた展示とともに、大型水槽での生物展示(アクリルガラスの技術向上により可能となった)、先進映像技術の導入、美術館・博物館と同感覚の照明や床のじゅうたん敷設などがあげられる。

4 生物の生態に合わせた展示

  最近、北海道の旭山動物園が動物の見せ方を工夫することで、たくさんの入場者が押しかけ、上野動物園を抜いて、全国一の入場者数となった。どう展示すればこの生物の生態がよく理解してもらえるかを追求することが重要。それには、普段から生物本来の生態をよく見ていないとわからない。ここでは、ペンギンの飼育に当たり、高い繁殖実績を上げている海外の水族館を徹底的に学んだ。そして学んだことに改良を加え、気温、日照時間及び時間帯、降雪、空気の洗浄など、多くの項目に対し、きめ細かな配慮を実施している。それにより世界一の繁殖をさせることができている。またカメの展示においても、超長寿の生物を飼育するには、それなりの工夫が必要。当館では、産卵のための砂浜を赤羽根海岸の砂を用いて作り、見事に産卵を成功させている。今後も、生物本来の姿を多くの皆様にご覧いただけるよう努め、生命の神秘、偉大さ、連鎖を理解していただき、同時に種の保存、環境保護の重要性を訴えていきたい。

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【新会員自己紹介】

(あらき ひろみ)

株式会社トヨタケーラム 代表取締役社長

【株式会社トヨタケーラム】
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄2-12-12 白川第2ビル別館
TEL:052-223-3800 FAX:052-223-3809
URL:http://www.caelum.co.jp

 株式会社トヨタケーラムのでございます。この度、シーキューブ株式会社の片桐様よりお誘いを受けて、中部経済同友会の産業懇談会・水曜第2グループに参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願い致します。 私自身のことを少し書きますと、昭和17(1942)年、宮崎県延岡で生まれ、小中学生時代までを九州で過ごしました。中学3年生の夏、名古屋に転居し、その後は名古屋にいます。実家は石川県の小松ですので私としましては、自分を石川県人だと思い、お会いする方にもそのように言っています。 1968年トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)に入社し、コンピュータ技術を使って新車開発・モデルチェンジのプロセス変革を終始一貫して行ってきました。具体的には、CAD/CAM 黎明期の数値制御技術(NC)に始まり、CAD/CAM の研究・開発・実用化までをモノづくりの立場から推進してきました。1992年には、トヨタ自動車社内、ボデーメーカーのみならず、部品・型設備メーカーのシステム化支援を展開するため、ケーラム事業部を立ち上げました。1993年10月には、新規事業としてビジネス展開するため、トヨタ自動車と三井造船の合弁により株式会社トヨタケーラムを分社・設立し、同時に代表取締役専務、1998年には代表取締役社長に就任し、現在に至っております。 会社設立以後は、単にCAD/CAM/CAE/CATシステムを世界中のお客様に開発、販売、サポートするというだけではなく、トヨタ自動車で培ったモノづくり精神を生かし、お客様がプロセス変革を進め、成果を出していただけるよう貢献することを大きな目標とし、社員一丸となって取り組んでいます。 ところで私事で恐縮ですが、先日、「日本コトづくり経営」という本を出版させていただきました。 この本の中で私は「コトづくり」という言葉を造語して使っています。有形の「モノづくり」という言葉に対して、ソフトウェアや制御技術、さらには設計技術一般で、無形のものをつくり出すことの総称として使っています。 現代では、ソフトウェア(コト)を搭載した製品(モノ)があふれています。 特にこの中部地方はモノづくりが強いと言われていますが、コトづくりにも強くならないといけません。「コト」の品質次第で、せっかく築いたモノづくりの定評も根底から覆されかねないからです。 最近では、ソフトウェア品質が社会問題にまで発展したり、インド・中国に仕事が流出し、ソフトウェア技術の空洞化が起こったりしています。これにはやはり、日本のソフトウェアの品質・生産性の向上、つまりは「コトづくり」にしっかり取り組んでいくしかありません。 「モノづくり」と「コトづくり」は日本の双輪になるべきなのです。高品質な「モノゴト製品」をつくりだす技術を日本が開発・保持できれば、今まで以上に競争力を持つことも可能です。
 トヨタケーラムでもソフトウェアの品質・生産性に関する問題を非常に重要視し、自己再帰的に、ソフトウェアの開発・改善・保守手法に、「モノづくり」の品質、納期、コストなどの管理手法を取り入れ、日本独自の「コトづくり」の確立を目指しています。これにより、お客様にお届けするCAD/CAMシステムの品質・生産性を向上し、お客様に安心して使っていただけるシステムを迅速にご提供していく所存です。また、この技術を将来、ご提供できるところまで高めていきたいと思っています。当会でも皆様との交流等を通じて、是非この「コトづくり」の今後の方向性について意見交換をしていきたいと思っています。また、少しでも中部の発展ひいては日本のモノづくり、コトづくりに寄与できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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【3月度産業懇談会開催日程】
【3月度産業懇談会】 (場所は、木曜グループ(3月2日(木))以外、名古屋観光ホテルです。)
グループ名 世話人 開催日時 テーマ・スピーカー 場所
火曜グループ 各務芳樹
深田正雄

3月14日(火)
12:00〜14:00

名古屋ステーション開発株式会社
取締役社長 渡部 一俊氏
「峠 の 話」
18階
伊吹の間
水曜第1グループ 飯田芳宏
落合 肇

3月15日(水)
12:00〜14:00

弁護士法人清和
弁護士 榊原 章夫氏
「企業経営におけるリスク管理
         ―法的側面から」
18階
伊吹の間
水曜第2グループ 片桐清志
谷田利景

3月22日(水)
12:00〜14:00

菊水化学工業(株)
専務取締役製造本部長 水谷 驍氏
「最近のアスベスト対策について」

18階
伊吹の間
木曜グループ 河村嘉男
倉藤金助

3月2日(木)
12:00〜14:30

「ノリタケの森」見学および昼食懇談会
※ご出席の方には後日、詳細案内をお送りします。

ノリタケの森

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【お知らせ】
 

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【コラム】



〔花ちゃんからの健康だより〕 No.23

財団法人 愛知健康増進財団
保健師 佐藤 花子

未病の話

     2月の花 福寿草(ふくじゅそう)  
 寒さも峠を越え、春の息吹が感じられます。この冬は、皆さま風邪にも負けずにお過ごしでしたでしょうか?
2月は「職場における健康診断推進運動」が展開されています。今年度のスローガンは
「健康管理も 大事な仕事
     毎年受けよう健康診断」
初期には自覚症状のない生活習慣病(糖尿病・高血圧症・心筋梗塞・がんなど)は、定期健康診断や人間ドックで健康状態を把握して未病(病気になって仕事ができなくなる前の状態)のうちに病気の芽を摘み取りたいものです。健康管理の仕事に長年携わってみて、健康に無関心な人もまだたくさんいらっしゃるなあという感があります。また、健診をうけて未病の状態であると解っていたにもかかわらず、忙しさのあまり放っておいて倒れてしまった方々が「あの時、受診すべきだった。」と悔やんで話してくれます。そこで、皆さん!イメージしてみましょう。急に倒れた場合は仕事をやりっぱなしで入院となるため、職場に過大に迷惑をかけることを。忙しい中でも時間の工夫をして受診し、大病を予防することは、スローガンどおり 大事な仕事 なのです。病気になってから、自分の身体をいたわるより、未病のうちにいたわって病気を予防してほしいと思います。 いつ倒れてもおかしくないような健診結果の方には、身内に話すように、つい熱くなる私です。皆さんにPPKであってほしい。PPKとはぴんぴん元気に生きてころりとあの世への略語でしたね。私に関わった方がPPKで無い場合は、お墓に蹴りでも入れようかと密かに思っています。あしからず・・・。
【メモ帳】

 黄金色の見事な色の花が咲きます。光や温度に敏感で、昼間でも陽がさえぎられると1〜2分で花がしぼみ、再び陽がさすと咲きます。寒い時期に咲くので、花の中の温度を保つための知恵でしょうか。幸福と長寿のどえりゃーめでたい名前ですが、根と茎は有毒です。注意しましょう。花が終わると、にんじんの葉に似た葉が茂ります。

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株式会社リーダーズドメイン代表取締役会長
窪田経営塾塾主
窪田 貞三

『企業の進歩発展のヒント:bP1』
【信じれば成長する】

 「信じるから成長する」「信じないから成長しない」のです。企業は人の集まりです。人によって組織されています。その一人ひとりを信じることが出来れば企業は成長します。 しかし、人を信じるということはなかなか難しいようです。「社員全員を信じてください」と言えば、「全員を信じることは難しい」という答えが返って来るのではないでしょうか?よく組織は、2:6:2に分かれ、2割の優秀な社員と6割の普通な社員に対して、残りの2割が会社の期待に答えられないような社員であるといった考え方です。私はこの話を聴いた時に思いました。これは経営者が2割の社員を信じ、6割の社員をとりあえず信じ、残りの2割の社員を信じていないのではないかと。確かに残りの2割という社員が期待に答えてくれないから信じることが出来ないという考え方も分かりますが、信じなければいつまでたっても、この2割の社員は期待に答える社員にはならないでしょう。

・・・・・<事例研究> 教育シリーズ−4「ある塾講師」・・・・・

 ある学校に問題児と言われる生徒がいました。彼は先生の言うことを全く聴かず、学校も休みがちで、授業態度も悪い生徒でした。心配した母親は、厳しいことで有名なある学習塾に無理やり彼を入塾させました。その後三ヶ月ほどが経過し、母親が塾の講師を訪ね、「うちの息子はどうですか?」と聴きました。その時に塾講師から出た言葉は、学校での彼の評判とは全く正反対の言葉でした。授業は真剣に聴き、講師に対する態度も良く、成績も上昇してきたと言うのです。その言葉に大変驚いた母親は聴きました。「うちの息子は学校では問題児と言われているのですが?」と。塾講師はすぐに答えました。「確かに彼が入塾した時の態度は決して褒められるような態度ではありませんでしたが、私は彼は絶対に変わることのできる人間だと信じてこの三ヶ月接してきました。ただそれだけです」と。母親の目から涙がこぼれました。学校の先生だけではなく、自分自身も息子を心から信じてあげていなかったことを反省しながら。

 この母親は自分の息子を心から信じていなかったことを反省したのですが、本当にそうなのでしょうか?信じていたから学習塾に入塾させたのではないでしょうか?その思いに塾講師は応えてくれたのだ思います。この塾講師は、生徒の立場に立ち、真剣に話しを聴き、心で応えることが出来る講師であり、なによりも生徒を信じることが出来る心を持った講師なのです。信じることが出来るかどうかは、実は生徒側の問題ではなく、先生や親などの大人側の問題であると思います。企業組織においても、この考え方は共通するように思えるのですが。  
●プログレスとは

 プログレスとは、『新時代経営コンサルティング手法』として、私の会社である株式会社リーダーズドメインにおいて企業経営ご指導法として用いているもので、日々多くの企業と関わらせていただいています。同じように努力していても「潰さないための経営」より「進歩発展のための経営」のほうが企業組織は生き生きとするでしょうし、企業におけるマイナス面の分析でも、「成り立たせるための分析」よりも「進歩発展させるための分析」のほうがより良い組織創りに繋がる---と言う考えを土台に持ったものが、このプログレスです。

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〔苗字アラカルト〕 No 45

片桐清志

『渡る世間は鬼だらけ?』

 2月3日の節分には鬼は大忙しだったことだろう。あまり苗字に馴染みそうに無い鬼だが「鬼姓」は結構多い。仏教では魔物として扱われるが、もともとは先祖の霊の象徴や荒神の一種として祭りでは名脇役だったようだ。恐ろしさだけでなく強さのシンボルと考えたのだろう。鬼で始まる苗字だけでも77種、九鬼さんのように下に鬼がつく苗字も多い。
 一字姓の「鬼」さんもいる。呼び方も「オニ」でよいので節分の時には家に入れてもらえるか心配だ。因みに赤鬼さんも青鬼さんも見つからなかった。鬼頭のように鬼の体の一部との組み合わせでは他に鬼口(オニグチ)、鬼目(オニメ)、鬼面(キメン)がある。ありそうでないのが「鬼手」。さすがに「鬼角」は見つからなかったが、驚いたことに鬼首まであって「オニコウベ」とお呼びする。お手柄のご褒美にもらった苗字かも知れない。
 強さを強調したと思われるものでは鬼丸(オニマル)・鬼童(キドウ)・鬼子(オニコ)・鬼王(オニオウ)・鬼神(キシン)がある。鬼極(オニキメ・キキョク)や鬼武(オニタケ)も見つかる。動物では鬼虎(キトラ)と鬼熊(オニクマ等)がある。
 鬼勝(オニカツ)があると思えば反対に鬼追(オニオイ)もある。鬼無(キナシ)は平和そうだし、鬼無里(キナサト)はユートピアを連想させるが、節分のときはどうするのだろう。そうかと思えば、鬼山(オニヤマ・キヤマ)、鬼谷(キタニ)、鬼沢(オニサワ等)、鬼城(オニガジョウ・オニキ)・鬼庭(オニワ)・鬼ケ原(オニガハラ)・鬼村(オニムラ)などは鬼がたくさん出てきそうだ。鬼島もあるがオニシマ・キジマ等の読み方はあるがオニガシマは見つからなかった。
 鬼が下につく姓では大鬼(オオキ)、岩鬼(イワキ)のように木や城のキが鬼に変わったものも結構多い。数字との組み合わせでは一鬼(イチキ)、三鬼(ミキ)、五鬼(ゴキ)、九鬼(クキ)と続く。いくつが最多なのか探してみると、百鬼(ヒャクキ・モモキ・ナキリ等)もあるし、万鬼(マキ・マキソ・ナキリ)までは見つかった。苗字の世界は「渡る世間は鬼だらけ」だ。節分が済んだ頃に日本中の「鬼さん」にご集合してもらって慰労会をしてあげたくなる。

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【平成18年2月号編集後記】

 木曜グループが計画してくれた名古屋港水族館を見学し、内田館長のお話を伺った。迫力あるイルカショーも印象的だったが、内田館長の水族館に対する熱き思いと「いのち」の素晴らしさを子供たちやお母さん方に伝えようとする努力に感動した。
 科学技術の進歩は暮らしを便利で豊かにしてくれるし、病気や怪我から私たちを救ってくれる。しかし他方で心ならずも人間性を阻害していることも多い。スイッチひとつでリセットできるゲームなどは子供たちに本物の「いのち」とのふれあいを結果的に遠ざけてしまった。めだかを飼育する体験を通じて「いのち」の脆さや成長力の不思議さを学ぶ。その原体験がやがて生き物に対するいたわりや「いのち」の大切さを身につけていく。
 人工のものが身の回りに増え続ける中で、自然の仕組みの素晴らしさに接する機会が少なくなっている。そうした都会の子供たちに少しでも「生き物」とのふれあいを通じて人間性を高めようという館長の理念と努力に敬意を表したい。一例を紹介するとペンギン館の雪ひとつとっても、随分こだわって担当者を南極にまで何度も派遣している。ペンギンの気持ちになりきってご自身もメーカーの人と納得いくまで何度も打ち合わせている。
 人間性を疑いたくなる事件が多発する現代社会で、その原因と解決の糸口を教えられた。また、ともすれば効率優先になりがちな経営の現場で、何のためのビジネスなのか原点を考えるきっかけを与えてくれた。

(片桐)