テーマ:『 最近の世界の水族館 』
日 時: 2月2日(木)12時30分〜15時00分
場 所: 名古屋港水族館
参加者: 17名 |
スピーカー:
内田 至(うちだ いたる)氏
名古屋港水族館館長
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2月の例会は、会場を名古屋港水族館に移し、館内を見学すると同時に、内田館長様より「最近の世界の水族館」と題してブリーフィングをいただいた。概要は以下のとおり。
◇見学内容
北館3階のスタジアムにて、イルカパフォーマンスを見学した。そこには、イルカたちの生態や躍動感あふれる動きに配慮して、長さ60m、幅30m、最大水深12mという世界最大級プールが用意されていた。 この海のようなプールをのびのびと泳ぎ回るバンドウイルカたち、自然そのままのダイナミックな動きや、イキイキとしたパフォーマンスを堪能し、彼らが本来持つ生態に触れられた気がした。またそんなイルカたちを見て、見学者一同、精神的にさわやかな充足感をいただいた。 引き続き、シャチの「クー」の健康管理を目的としたトレーニングを見学、体長6m、体重2.7tという大型海洋哺乳動物シャチのもつ圧倒的な迫力や、イルカ同様 の賢さを目の当たりにすることができた。 これらのパフォーマンスでは、横14m×縦8mという巨大スクリーンに鮮明な映像を再現する世界最大のハイビジョン大型映像装置が活躍していた。ジャンプするイルカの水中での動きをリアルタイムで映し出すことにより、イルカの運動能力をわかりやすく、迫力を持って紹介したり、イルカの生態や形態、自然界での様子なども映像により楽しく映し出され、その理解促進に大いに役立っていた。
◇スピーチ内容
場所を1階のレクチャールームに移し、内田館長様よりブリーフィングをいただいた。
1 世界の水族館
世界の主な水族館は400箇所ほどあるといわれるが、そのうち100は日本にあり、日本は水族館大国といえる。外国の有名な水族館には、アメリカのSEA WORLD、SHEDD水族館などがある。ここ名古屋港水族館は、北館・南館合わせた建物面積では、水族館単独の施設として世界最大規模を誇る。
2 名古屋港水族館の建設経緯
名古屋港の最も古い埠頭の再開発を行なう中で、親しまれる港づくりの中核施設として水族館が位置づけられた。昭和60年から計画が始まり、平成2年工事着工、平成4年10月に南館がオープン。引き続き北館の計画が始まり、2年5ヶ月の工期を経て、平成13年11月に北館がオープンした。
3 名古屋港水族館の特色
南館は「南極への旅」を展示テーマとし、日本海・深海・赤道の海・オーストラリア・南極の5つの海域・地域に生息する生物(480種40,000点)を展示している。 北館の展示テーマは「35億年はるかな旅〜ふたたび海へもどった動物たち」。大洋・日本海・オーロラの海・進化の海(くじらの博物館)の4つの展示ゾーンに分け、くじらたちの進化の歴史を辿っている。(飼育生物:シャチ1頭、バンドウイルカ15頭、ベルーガ6頭)ここの特色は、このようにテーマ性を持たせた展示とともに、大型水槽での生物展示(アクリルガラスの技術向上により可能となった)、先進映像技術の導入、美術館・博物館と同感覚の照明や床のじゅうたん敷設などがあげられる。
4 生物の生態に合わせた展示
最近、北海道の旭山動物園が動物の見せ方を工夫することで、たくさんの入場者が押しかけ、上野動物園を抜いて、全国一の入場者数となった。どう展示すればこの生物の生態がよく理解してもらえるかを追求することが重要。それには、普段から生物本来の生態をよく見ていないとわからない。ここでは、ペンギンの飼育に当たり、高い繁殖実績を上げている海外の水族館を徹底的に学んだ。そして学んだことに改良を加え、気温、日照時間及び時間帯、降雪、空気の洗浄など、多くの項目に対し、きめ細かな配慮を実施している。それにより世界一の繁殖をさせることができている。またカメの展示においても、超長寿の生物を飼育するには、それなりの工夫が必要。当館では、産卵のための砂浜を赤羽根海岸の砂を用いて作り、見事に産卵を成功させている。今後も、生物本来の姿を多くの皆様にご覧いただけるよう努め、生命の神秘、偉大さ、連鎖を理解していただき、同時に種の保存、環境保護の重要性を訴えていきたい。 |