〔愛・地球博の魅力〕 No.1
「愛・地球博」のための情報通信を担う
西日本電信電話(株)
取締役名古屋支店長
伊藤卓志
1.はじめに
2005年日本国際博覧会「愛・地球博」の開催まで、いよいよ1か月を余すのみとなりました。1997年(平成9年)の開催決定から8年の間、日本政府や愛知県、そして経済界などが開催に向けて諸準備を重ねられ、多くの国や企業などが出展されるとともに数々のイベントが開催されることになりました。私どもNTTグループは、諸般の事情により出展は行っておりませんが、この間、「愛・地球博」会場と日本全国や世界各国を結ぶ情報通信を安定的にご提供すべく準備を進めてまいりました。ここでは、この取組みについてご紹介します。。
2.情報通信ネットワークの構成
「愛・地球博」は、「自然の叡智」をテーマに開催されますが、一方で「IT(情報通信技術)万博」と称されるほど、最新の情報通信技術が駆使される予定です。また、開催期間中には、会場と全国各地や世界の主要国との間を映像で結ぶイベントも予定されています。「百聞は一見に如かず」ということわざがありますが、情報通信分野では、目で見る映像情報を通信するには耳で聞く音声情報(通常の電話)に比べて、千倍近い情報量を通信することが必要になります。このため、高精細の映像情報を送り受けするための通信回線は、携帯電話などで用いられる無線方式や固定電話で用いている銅線による有線方式では長距離の通信が困難なことから、光ファイバによる有線方式を用いています。
光ファイバは胃カメラなどにも用いられていますが、情報通信用の光ファイバは、太さが 0.15mmの髪の毛ほどのガラス繊維で、これをプラスチックで被覆したものを最大で千本まで束ねたケーブルにして実用に供しています。光ファイバは、ガラス繊維の中心部のわずか0.01mmの部分に赤外線の光を閉じ込めて通信を行いますが、情報通信用の光ファイバはこの光が30km程度透過してやっと明るさが半分になるという、非常に透過度の高いものを用いています。日本の光ファイバ関連の技術力は世界でトップレベルにあり、日本企業が世界の4割程度のシェアを有しています。
「愛・地球博」のための情報通信を担うため、長久手会場、瀬戸会場の両会場と私どもの通信ビルの間にこうした光ファイバケーブルを布設し、この通信ビルから基幹情報通信ネットワークを介して日本全国や世界各国との間で映像情報を含む各種情報を通信できるようにしています。基幹通信ネットワークは広域の情報通信を担っているため、非常災害時にも通信ができるよう信頼性の高いネットワーク構成としていますが、博覧会会場と直近の通信ビルの間の光ファイバケーブルについても万一の災害時に一定の通信が確保できるよう、2つのルートに分散して布設しています。これにより、一方のルートで故障が発生しても、他方のルートで通信を確保することができます。
3.大規模災害への対応
今年1月17日に阪神淡路大震災から10年を迎えましたが、これを契機に、私どもは1月18日に「愛・地球博」会場周辺での大規模災害による情報通信設備の被災を想定して、博覧会協会様のご協力も頂き、災害演習を実施しました。
当日は、NTTグループが連携して、衛星通信により通信を確保する衛星通信車載局やポータブル衛星通信システム、商用電源停電時に電源を確保する移動電源車などを博覧会会場に持ち込み、非常用通信回線の確保や特設公衆電話を短時間で設置するなどの演習を実戦さながらに行いました。
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博覧会会場での災害演習風景 |
4.博覧会場内の情報通信システム
私どもは、博覧会場までの情報通信を担うとともに、会場内の情報通信システムについてもお手伝いさせて頂いています。これは、会場をまさに一つの街ととらえて準備する必要があり、各パビリオンなどへの情報通信ネットワークに加え、コミュニケーションシステム、映像表示盤システム、入場証・通行管理システム等の構築をお手伝いしています。博覧会にお出かけの際には、是非ご覧頂きたいと思います。
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「愛・地球博」の情報通信システム |
5.おわりに
「愛・地球博」のために、私どもが担っている情報通信についてご紹介いたしました。2項でご紹介した光ファイバを用いる通信サービス「Bフレッツ」については、ご家庭などでも「ブロードバンド」が体感頂けるよう、ご利用可能なエリアを順次拡大していますので、是非、ご利用下さい。なお、私どもが提供しております通信サービス等については、ホームページ http://www.ntt-west.co.jp/nagoya/ にアクセス頂ければご覧頂けます。
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