テーマ:『昨今の建設業』
徳倉 哲夫氏
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佐藤 俊夫氏 |
日 時:
11月24日(水) 12時30分〜14時00分
場 所:名古屋観光ホテル 18階 オリオンの間
参加者:28名
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スピーカー:
徳倉 哲夫(とくら てつお)氏
徳倉建設株式会社 取締役専務執行役員
佐藤 俊夫(さとう としお)氏
徳倉建設株式会社 企画営業部長
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1 建設市場について
建設業は、東証一部上場企業数が104社、会社四季報に記載されている企業数が226社に上り、兼業として建設業を行っているところも多く、コンサルタントや建設設計事務所等まで含めると巨大な業界であり、全就労者の1割弱の人たちが従事している。
しかしながら、平成不況と公共事業予算の縮小に伴い、84兆円市場(平成4年度)から54兆円市場(平成15年度)へと急激に市場規模が縮小し、その傾向が継続中である。
2 昨今の建設業
建設業界の全企業数は約55万社と言われるが、資本金が1億円以上は1.2%程度しかない。また、建設業法により登録が必要で、5年に1度更新しなければならないが、この審査が年々厳しくなっている。加えて、建設業に関連する個人資格も数多くあるが、一級建築士を始めとする難関な資格が特に必要とされているので、企業内教育に力を入れ、切磋琢磨することが求められている。
公共事業は、世間の批判から「新契約入札制度」が導入されたために、入札の参加条件として企業ランクを一定以上に維持しておく必要である。とはいうものの発注者である地方自治体等が様々な条件(地元企業優先等)を提示するために、優良建設会社であればどの入札にも参加できるわけではない。
また、民間需要は公共事業以上に厳しいものがあり、価格決定後もさらにコストダウンを求められるだけでなく、設計変更に伴うコスト増を認めない傾向にある。
3 PFIについて
PFI(Private Finance Initiative)は、民間企業の技術や経営手法を公共事業に導入し、市場原理を有効活用することで住民に対して最良のサービスを提供していこうというものであり、市場規模は年々増加している。
そのメリットは、行政側は公共事業を民間に移管することで、民間の多様なアイデアを活用できることであり、民間企業側は新たな事業機会を創出することにある。そのため、建設業界に限らず、様々な企業がPFI事業を手がけている。
今後、この流れは衰えることはなく、有望な市場だと考えているので、当社としても事業の柱とすべく鋭意取り組んでいる最中である。
4 今後魅力ある建設業にするためには
今、建設業界に求められているものはQ(品質)C(コスト)D(工期)S(安全)E(環境)であり、技術開発もこれらに重点が置かれている。ただ、環境に対する要求が年々厳しくなっているため、関係機関との調整に手間も時間もかかる傾向にあり、工期の短縮は困難な場合が多い。
仕事のやり方もCADや電子書類の普及に伴い、大きく変化しているが、若年層が現場を経験しない傾向にあるので、いかにベテラン技術者の知識・経験を彼らに伝承していくかが、今後の大きな課題である。
事業構造も、国内市場だけでなく海外市場も今以上に力を入れ、建設だけではなく、需要が見込まれる維持・補修分野で稼ぐことできる体制に移行していかなければならないと考えている。