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日 時:1月19日(月) 17時30分〜20時00分
場 所:ウェスティンナゴヤキャッスル 2階 青雲の間
参加者:講演会55名、懇親会53名
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4グループ合同新年会に先立ち、岡部代表幹事から「人をつくり、国をつくる」と題し、ご講話をいただいた。
1. 失われた10年(第3の変革期)
バブル崩壊後の我が国においては、経済の長期低迷、政財官界における不祥事の続発、子供を産まない・育てられない親の増加、いじめ・学級崩壊に代表される教育システムの崩壊、少年による重大犯罪、老後への不安の増大などが見られ、モノ作り企業においては工場災害や爆発事故が続発している。そして、これらの事象の背後で、個人の自信、将来への希望、個人の倫理観の3つが大きく失われたのである。
しかし、こうした事態は我が国特有ではなく、他の成熟国家にも見られる文明国病とでも言うべき症状である。我が国は、世界第2位の経済大国でありながら他国に不況を波及させなかったという点ではむしろ褒められて然るべきである。旺盛な特許の出願状況や輸出量の増加を見ても「モノ作りの力」は実は全く衰えていないことがわかる。我が国には「失われなかった」点も多々あったが、正当に評価せずグローバルスタンダードを偏重してしまったことが、世界における我が国の評価を落とすことになったと言えよう。
2. 第1の変革期(明治維新)
明治新政府は、人材不足と近代軍を担う士官養成の必要性から「人作り」に多大な力を注ぎ、勉強することの価値を徹底して教えたため、勉強すれば立身出世できるという信念、知恵を出して改善努力をすれば偉くなれるという向上心が、人々の心に植え付けられた。
3. 第2の変革期(敗戦後)
日本経済は10年足らずで戦後を脱却したが、この原動力は「人」に他ならない。教育基本法・学校教育法の施行、6-3-3制の導入に続き、多数の大学が開校され、ここを目指して皆が勉強し基礎知識の蓄積が進んだことが我が国の経済発展に大いに寄与した。一方、モノ作り企業においては、技能者育成への努力が各々の企業、ひいては日本経済を飛躍させた。
4. 本年度の活動総括
最近の若者は、「自分のやりたいこと」に固執し、現実とのギャップに失望して、すぐ退職してしまう。このような「生きる力」「働く力」の減退に歯止めを掛けるには、家庭では躾、小中学校では自立心の涵養、大学では学ぶことの意義、学ぶ方法の習得に教育の眼目を置いて地道に取り組む必要がある。
今年度同友会でご講演頂いた大学教授の方々は、異口同音に「企業は人をつくることに尽き、人づくりはリーダー(社長)の思い入れによって決まる」と主張された。トヨタ、京セラ、堀場製作所といった大企業の経営者の方々にもご講演頂いたが、創業家が依然経営に関わり続けて創業時の社風を守り、人材育成に力を注ぎ、経営的成功を収めているという共通点があった。また、中小企業経営者の方々は、人材に恵まれていないだけに、より強い思い入れをもって人づくりに腐心されていることをお話から伺い知ることができた。
現在の第3の変革期は、第1、第2の変革期に比べれば条件は随分良い。しかしながら、世間には、何のリスクテイクもせずに発明の報酬を過大に要求する企業内研究者、パラサイトシングルに安住するフリーターといった「甘えの構造」が多々見られる。ここからの1日も早い脱却が望まれるところである。
引き続き、岡部・岡谷両代表幹事を交えて、恒例の合同新年会が開催された。年のはじめにグループを超えて親睦を深める、良い機会であった。盛会裏のうちに終了した。 |
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