テーマ: 『中小企業のIT投資事例
ERPパッケージによる業務処理システムの切替体験談』
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スピーカー:
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日 時:10月9日(木)12時30分〜14時
場 所:名古屋観光ホテル18階 伊吹の間
参加者:17名 |
ERP
当社は、電気通信工事用物品の販売業を主に、一般貨物自動車運送事業、産業廃棄物処理業を行い、本社を名古屋市中区に、営業拠点を愛知県大口町・静岡市・津市に置いている。
売上の90%以上を占める物品販売については、従来オフコンによる販売管理システムを使用していたが、バックオーダー処理や配送料計算を別のパソコンで行っていたこと、仕入担当者毎に需要予測や仕入方法が異なっていたこと等により、売上・仕入・在庫の状況を把握するのに時間がかかった。
また棚卸で在庫数の過不足が生じるなどの問題も抱えており、業務全般の見直しをする必要に迫られていた。
そのきっかけとして、企業の経営資源を統合管理し、経営の効率化を実現するためのERPシステムを導入することとした。ERPシステムを実現するERPパッケージ(ソフトウェア製品)は開発されてから10年近く経っているものが多く、改善が重ねられてきて使い易いものになっている。購買・生産管理から販売・仕入在庫、財務会計、経営分析、人事情報、といった企業活動全般にわたる業務を共通のデータベースを介して統合することが可能となり、(1)部門ごとに構築されていた複数のシステムや経営データ資源を統合・一元管理させることにより情報の共有化が出来る、(2)経営判断に必要なデータをリアルタイムに取り出せる、(3)販売・仕入・在庫管理に関するグローバルスタンダードな業務ノウハウが簡単に入手でき、ビジネスプロセスの最適化(BPR)ができる、(4)ゼロから作り上げるシステムと違い、導入期間が短く、(5)汎用システムのため、導入・運用システムコストが抑制できる、などの特徴が挙げられる。
ERPの導入・移行
ERP導入に際して配慮したことは、自社の業態・業務プロセスに合った、導入実績の多いERPパッケージを選ぶこと、また業務の見直しをフロー図に基づいて実施し、標準化されたプロセスを積極的に取り入れ、カスタマイズは最小限にとどめた。選択したERPパッケージは住商情報システム鰍フProActiveであるが、当社独自の業務プロセスに対処するため、受発注・出荷処理、配送料計算、需要予測などの機能ソフトを追加(カスタマイズ)した。これら機能追加だけで約2,000万円と膨れ、導入費用は、4000万円程かかった。半年の準備の後2003年4月に本格導入をしたが、やはり不慣れによるミスが続発し、落ち着くまでに数日かかってしまい、新システム移行へのサポート体制とともに、導入準備期間に余裕を持つことの重要性を痛感した。
導入後まだ半年ではあるが、受発注・出荷・請求等の処理が同一システムで一元管理できるようになり、お客様からの問い合わせにも迅速に対応できるようになったこと、またオフコンからパソコンになったことに伴い、コンピュータに入力された全データを閲覧できるようになり、的確な経営分析が可能になったことなど導入効果は当初の期待以上のものがあり、今後もデータ蓄積による需要予測などにおいて効果が発揮できるものと期待している。